入山章栄のレビュー一覧
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ネタバレ■経営と宗教。一見関係ない両者が、実は「組織の原理原則」という深部で繋がっていることを喝破する一冊。形式として、数値を追うだけの「政(まつりごと)」に陥った現代経営への鋭い警鐘として機能している。
■池上彰氏は宗教を語らせると素晴らしい(経済や現代社会への切り口は疑問符が付くことが多いが・・)。この本では、宗教を池上彰氏、経営を入山氏がエキスパートとして言及している点、非常に読みやすい点が魅力。
■鍵となるのは、共鳴を通じた「腹落ち」の有無。単なる目標数値の追求は、内発的な動機を欠いた「形式」に過ぎず、組織を疲弊させ不正へと導く危うさを孕む。口先だけのパーパス経営を排し、真の納得が組織の持続性を決定づけるという指摘には、強い説得力が宿る。
考察の核となるのは、組織における「腹落ち」の有無。口先だけのパーパス経営が躍る中、信念と日々の業務が結びつかない組織の脆弱性を突く。
■トヨタのトップダウン的なカトリック的な統制。ホンダの色々とカオスな現場はあるが、本田宗一郎Loveのプロテスタント的気風。創業者が英雄とされるリクルート、松下電工(Panasonic)。組織の個性を宗教史の文脈で読み解く組織論は極めて納得できる。また、任天堂やロームといった京都の企業が独自の強さを誇る理由もなんとなく、哲学思想の根付きから見えてくる面白さがある。数値化できない「腹落ち」の文化こそが、他者の追随を許さない競争優位の源泉となり得る。
■大局を見失いガラパゴス化した日本企業への批判も痛烈。同業他社との小競り合いに終始せず、思想的背景まで遡る「問い」の深さ。経営を宗教の写し鏡として捉える覚悟が、ビジネスパーソンに真の広視野をもたらす。
■経営を「手法」ではなく「信仰」に似た価値基準の体系として再定義するアプローチは面白い。表面的な数字の先に、持続可能な成果を導くための「納得感」をいかに設計するか。リーダーの主観と組織のビジョンを統合する覚悟を促す、深い洞察に満ちた視点。 -
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宗教を学べば経営がわかる
著:池上 彰 ・ 入山 章栄
宗教をよく理解することは、現代のビジネスや経営を考える上でとてつもない学びとなる。宗教と経営は互いに学び合える。宗教を学べば、自分の経営・ビジネスがより深く考えられるようになり、逆に経営理論から宗教を読みとけば、宗教がよりわかりやすくなる。この両方向の視点を提示することで、読み手の知的刺激は大いに刺激される。
宗教は経営であり、経営は宗教である。両者は根底にあるものが「人」である、「組織」であり、「信じることに向けての行動」という意味で、本質的にほぼ同じである。
本書の構成は以下の6章から成る。
①トヨタはカトリック、ホンダはプロテスタント
②イノベーションのためには、宗教化が不可欠
③どんなビジネスも最初は「カルト」
④パーパス経営の時代こそ、プロテスタントの倫理が求められる
⑤なぜイスラム教は「ティール組織」が作られるのか
⑥アメリカ経済の強さも、矛盾も、その理解には宗教が不可欠
お勧めいただき本書を手に取った。
見事なまでの引き付ける導入で、読み手の「経営」×「宗教」の仮設建てをこれでもかと搔き立ててくれている。「経営論」を本職とする立場から「宗教」を見ていることは確かではあるものの、切り口やスタンスの取り方のバランスがこれまた素晴らしい。
池上氏との対談の前には、対談内容をより深く理解できるような背景や前提知識や行間のにおいのようなエッセンスが説明され、読者を置いてけぼりにすることなくぐいぐいと二人の世界に引き込んでくれる。
書名からすればお堅いイメージがあるかもしれないが、難しいことを容易に置き換えてくれるプロのお二人だけあって、理解しながら読み進めることができる良書であった。 -
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世界標準の経営理論
著:入山 章栄
出版社:ダイヤモンド社
力作 これまで、部分をかじりながら読んでいたが、一気通貫で読みたくなって、手にしましたが、なんだかんだで、1カ月近く読むのにかかってしまった
本書は、世界で最新の理論をつかって、経営のWhyを解決しようというのが本旨です。
ディシプリンという言葉がでてくる、学問の領域と言った意味でしょうか
理論は数あれど、それは理論にすぎない
方向性は、こうだ
①本当の意味で、経営理論は存在しない
②経営理論を深く知るには、本書以上の経営学書は必要ない
③経営理論を信じてはいけない
ようは、理論は理論であって、求める、正解ではない
本書の構成は大きく3つです
1 各ディシプリンの最新経営理論の解説
経済学
マクロ心理学(組織を対象とした心理学)
ミクロ心理学(個人を対象とした心理学)
社会学
の4つのカテゴリーから、32の理論の解説です
2 経営の現象を、32の理論を組み合わせて、解決しようというアプローチ
戦略とイノベーション
組織行動、人事
企業ガバナンス
グローバル経営
アントレプレナーシップ
企業組織のあり方
ビジネス
が対象です
3 自分が抱える課題に対して、どう理論を組み立て、どう実証するのか
序章から終章へたどり着く道のりは、32の理論をベースとして、実際の課題をよく観察し、仮説を立てて、それを検証しながら、悪戦苦闘しながら、解決策を模索しようということが結論です。
目 次
「世界標準の経営理論」を手にされた方へ
序章 経営理論とは何か いまこそビジネスに経営理論が求められる、3つの理由
第1部 経済学ディシプリンの経営理論
第01章 SCP理論│ポーターの戦略」の根底にあるものは何か
第02章 SCP理論をベースにした戦略フレームワーク│ポーターのフレームワークを覚えるよりも大切なこと
第03章 リソース・ベースト・ビュー(RBV)│バーニーの理論をようやく使えるものにしたのは誰か
第04章 SCP対RBV、および競争の型│ポーター vs. バーニー論争に決着はついている
第05章 情報の経済学1│「悪貨が良貨を駆逐する」のはビジネスの本質である
第06章 情報の経済学2(エージェンシー理論)│人が合理的だからこそ、組織の問題は起きる
第07章 取引費用理論(TCE)│100年前も現在も、企業のあり方は「取引コスト」で決まる
第08章 ゲーム理論 1│この世のかなりの部分はゲーム理論で説明できる
第09章 ゲーム理論 2│我々は人を「無償」で信じるか、それとも「合理的な計算」で信じるか
第10章 リアル・オプション理論│不確実性を恐れない状況は、みずからの手でつくり出せる
第2部 マクロ心理学ディシプリンの経営理論
第11章 カーネギー学派の企業行動理論(BTF)│経営理論は名経営者の教訓を裏付ける
第12章 知の探索・知の深化の理論1│「両利き」を目指すことこそ、経営の本質である
第13章 知の探索・知の深化の理論2│「両利き」は戦略、組織、人材、経営者のすべてにおいて求められる
第14章 組織の記憶の理論│日本企業が「組織の記憶力」を取り戻す術は何か
第15章 組織の知識創造理論(SECIモデル)│これからの時代こそ、「野中理論」が圧倒的に必要になる
第16章 認知心理学ベースの進化理論│組織の成長は「進化するルーティン」で決まる
第17章 ダイナミック・ケイパビリティ理論│企業が変わる力は組織に宿るのか、個人に宿るのか
第3部 ミクロ心理学ディシプリンの経営理論
第18章 リーダーシップの理論│半世紀を超える研究が行き着いた「リーダーシップの境地」
第19章 モチベーションの理論│半世紀を超えてたどり着いた新時代のモチベーションとは
第20章 認知バイアスの理論│認知の歪みは、組織で乗り越える
第21章 意思決定の理論│意思決定の未来は「直感」にある
第22章 感情の理論:感情のメカニズムを理解してこそ、組織は動き出す
第23章 センスメイキング理論│「未来はつくり出せる」は、けっして妄信ではない
第4部 社会学ディシプリンの経営理論
第24章 エンベデッドネス理論│ソーシャルネットワークの本質はいまも昔も変わらない
第25章 「弱いつながりの強さ」理論│弱いつながりこそが、革新を引き起こす
第26章 ストラクチャル・ホール理論│「越境人材」が世界を変える、そのメカニズムとは
第27章 ソーシャルキャピタル理論│リアルとデジタルのネットワークで働く、真逆の力
第28章 社会学ベースの制度理論│「常識という幻想」に従うか、活用するか、それとも塗り替えるか
第29章 資源依存理論│小企業が大企業を抑え、飛躍する「パワー」のメカニズム
第30章 組織エコロジー理論│変化の時代にこそ不可欠な「超長期」の時間軸
第31章 エコロジーベースの進化理論│生態系の相互作用が、企業進化を加速する
第32章 レッドクイーン理論│競争が激化する世界で、競争すべきは競争相手ではない
第5部 ビジネス現象と理論のマトリックス
第33章 戦略とイノベーションと経営理論│近未来に戦略とイノベーションは融合し、理論も重層化する
第34章 組織行動・人事と経営理論│これから人事がさらに面白くなる、5つの背景
第35章 企業ガバナンスと経営理論│あるべきガバナンスを考え抜く時代に、必要な理論は何か
第36章 グローバル経営の理論│「国境」の本質を見直すことが、グローバル経営の未来を映し出す
第37章 アントレプレナーシップと経営理論│アントレ領域が拡張する未来に、起業家をどう育てるべきか
第38章 企業組織のあり方と経営理論│「5つのドライビングフォース」が示す、未来の企業組織の姿
第39章 ビジネスと経営理論│現代の経営理論はビジネスを説明できない
第6部 経営理論の組み立て方・実証の仕方
第40章 経営理論の組み立て方│ロジックの賢人ほど、「人とは何か」を突き詰める
第41章 世界標準の実証分析│ビジネスの実証分析は想像以上に身近で、とてつもなく深い
終章 経営理論のさらなる視座│経営理論こそが、あなたの思考を解放する
「世界標準の経営理論」を読んでくださった方へ
ISBN:9784478109571
判型:A5
ページ数:832ページ
定価:2900円(本体)
2019年12月11日第1刷発行
2020年09月16日第7刷発行 -
Posted by ブクログ
毎週聴いてる文化放送 浜松町innovation culture cafeが本になった!
毎週興味深く聴いてはいたのだが、文字になるとまた別の面白さが浮かび上がる。
なんでこういうタイトルになっているかというと、
ファシリテーター入山章栄早稲田大学ビジネススクール教授が、
「異分野の二人をひきあわせ」、対談をさせているからなのだ。
目次にあるように TVプロデューサーと元野球選手とか、
宇宙ビジネスのプロとカブトムシ起業家とか、、、
これが化学反応を起こし、楽しい議論になるのだ。
聴いてもらうのが一番だろう。
podcastでおいかけることができる。
本はそれを文字化し、最後に入山さんがまとめている。
このまとめは番組にもそんなにはなかったはず。
このまとめだけ読んでも意味がある。
人材と発酵は同じ、なんて普通出ない言葉だ。
人間に残るのは主観性、とかね。
いろんな世界を知らなくてはいかんのだ。知の探究のためには。
01 仕事でも経営でも、
「退く力」と「殺す力」が必要不可欠!
高橋弘樹(ReHacQプロデューサー)
✖
高森勇旗(元プロ野球選手)
✖
入山章栄
02 宇宙もカブトムシも、活用のカギは
「有機物の循環」にある!
石田真康(SPACETIDE CEO)
✖
石田陽佑(TOMUSHI CEO)
✖
入山章栄
03 「世代交代」のジレンマは
“ニッチシフト”で解決できる!
稲垣栄洋(植物学者)
✖
山野千枝(ベンチャー型事業承継代表理事)
✖
入山章栄
04 AI時代の人の成長のヒントは、
自然のなかにある!
赤平大(元テレビ東京アナウンサー)
✖
今泉忠明(動物学者)
✖
入山章栄
05 社内起業の成功の秘訣は、
「非財務価値」の打ち出しにある!
武田幸恵(ロート製薬/親子Smile)
✖
本多達也(富士通Ontenna)
✖
入山章栄
06 AIによる暗黙知の形式知化は、
日本の大きなムーブメントへ!
岩佐大輝(ミガキイチゴ開発者)
✖
乙部信吾(LIGHTz CEO)
✖
入山章栄
07 会社というUXの変革こそ、
究極のウェルビーイングにつながる!
とりいめぐみ(UXデザイナー)
✖
吉田健一(産業医)
✖
入山章栄
08 発酵も人材育成も本質的に重要なのは、
多様性より拮抗作用だ!
泉谷直木(アサヒビール元社長)
✖
関恵(発酵食堂カモシカ代表取締役)
✖
井上福子(経営学者)
✖
入山章栄
09 AIの登場・拡大により人類は
「超主観時代」に突入する!
深井龍之介(コテンラジオ創設者)
✖
宮内俊樹(トラストバンク・ゼネラルマネージャー)
✖
入山章栄
10 ファシリテーション能力こそが、
これからの組織の最大の武器となる!
入山章栄(経営学者/浜カフェマスター)
✖
志水静香(Funleash CEO) -
Posted by ブクログ
星6個つけたいです!
2015年初版だが、今(2025年)でも全く新しさを感じます。
経営学の教科書的な本には書かれてない、経営学の先端を学べて、すごく勉強になります。
5ForceやValue Chain(ポーター)、VRIO分析(バーニー)は定番だけど今でも使える?CSRやダイバーシティは企業業績や株価にプラスなの?情報共有はメールじゃダメ?組織学習は失敗と成功、どちらが有効?等、実務家の問いに対する研究事例が数多く紹介されてます。
久しぶりに手書きの読書メモを書いて、内容を要約したり、大事な箇所を抜粋しました。
経営学の定番は一通り学んだけど、更に学びたい実務家の方に、強くお薦めできる良書です!!!
(戦略コンサル、銀行の法人営業、企業の経営企画に携わる方等) -
Posted by ブクログ
ネタバレ最近メディア(NewsPicksなど)に出るようになったと思っていたら、なるほど。そのような理由だったのですね。本人曰く、遺言のようなものとのこと。一代で、しかも50歳を越えてから急激に成長させ、今や2兆円ほどの売上を誇る事業ならびに企業グループをつくりあげた手腕を、余す所なく公開しています。経営者や組織づくりを担っている人向けの内容が多いですが、「運は自分で引き寄せるもの」。「主語の転換」や「信用性の積み重ねが一番大事」など、個人が人生を歩んでいく上で重要なキーワードも、たくさん盛り込まれていて、大いに参考になりました。対談相手も含め、このような書籍を企画した文藝春秋さんは、さすがだと感心しました。※もう一冊の著書『運』の内容も含めてのレビューです。
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Posted by ブクログ
ー まず「この世には本当の意味での経営理論は存在しない」という点を、クリアにしておこう。とはいえ、これが言わんとすることは、本書を読みこなしてきた方には、もう明らかかもしれない。なぜなら本書で紹介されてきた理論は、あくまで他ディシプリン (経済学、心理学、社会学) から派生してきたものにすぎないからだ。
本書では「なぜ、 経営学では他分野の理論を基礎 (ディシプリン) とするのか」について、 序章で触れただけだった。 とはいえ、その理由は明快である。経営学で扱う対象は、経営ビジネス・組織などだが、 それらはあくまで「現象」にすぎないからだ。
序章で述べたように、ではその経営ビジネスを実際に誰が行っているかというと、それは「人」 である。 すなわち経営理論とは、 「人・あるいは人が織り成す組織が、普段から何をどう考え、どう意思決定し、どう行動するか」を突き詰めたものにほかならない。 経営学とは、人の考えを探究する分野なのだ。
一方で、人の考えほどいい加減なものはない。人の考えは曖昧だし、気分に流されるし、悩むし、迷う。 その複雑怪奇な「人の考え」をきれいに理論的に切ることは、極めて難しい。 しかし、それでは経営学の発展が止まってしまうため、世界標準の経営学では「そもそも人はこのように考えるものだ」ということにはっきりとした基盤を持った、他分野の考え方を応用しているのだ。それが、経済学、心理学、社会学の3つである。 ー
理論は“理論”として知っておいた方がいい。
あとは、自分が所属する組織がそれにどれだけ近しいか、って話だ。
離れすぎていたら、それはそれでなんとかするしかない。
まぁ、たとえ乖離があったとしても、まったく途方に暮れる必要はなくて、それだけ経営理論ってものが、いかにいい加減で、実際の経営の現場とは異なるものなのか、ってのが体感できれば、それで充分なんだと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ一言要約:幻想の共有は不完全だからこそ発展をする
宗教とは言わずもがな人間が生み出した精神世界の話で、フィジカルなものではなくいわば幻想であるが、逆説的に人類の生み出した全ての「価値」は始まりは全て脳内世界の幻想であるとも考える
この幻想が縦(複雑化)、横(対象事物)、時間(時代の流れ)に対して広がり、個体間を超えて他者と共有し、個体同士が共感をすることで単体では弱い人類が強力に支え合いある地域や社会、延いては(生物として)地球全土をある種征服したといえる
かつ、広がりを増すごとに個体ごとに異なる幻想が生まれだし、それがテーゼに対してアンチテーゼとなり、ぶつかり合うことで新たな幻想(ジンテーゼ)が生まれるアウフヘーベンが起き、社会、文化、人類そのものを発展させたのだろう(物事の進化発展は全てこの理であろう)
宗教はある種の「想像力」のなせる技で、ついにはアメリカという超大国を「創造」までした、人類の最大の武器なのだろうと帰結する
よって、著者らのいうように、宗教の理解とは組織経営を理解する上で多すぎる示唆を与えてくれた -
Posted by ブクログ
「知の探索」、大事だなあと痛感した。書店に並んでいる本が私たちに偶発性をもたらしてくれるという話、とてもワクワクした!今すぐに本屋に行きたい!
あとは「創造性は移動距離に比例する」という話にとても納得感!いろんな場所に行って色んな人と話す重要性を感じた。中でもその国のOSともいえる宗教を事前に理解しているのとしていないのでは、その人に対する理解もまったく変わってくるような気がした!
宗教、と聞くとオウム真理教とかいわゆるカルトといったイメージがあって敬遠していたけれど、意外と線引きって曖昧なんだなあって。宗教、なんだか奥が深くて面白そう!もっと勉強したい!