あらすじ
ドラッカー、ポーターしか知らないあなたへ。
「ビジネススクールで学べる経営学は、最先端からかけ離れている!」
米国で10年にわたり経営学研究に携わってきた気鋭の日本人学者が、
世界最先端の経営学から得られるビジネスの見方を、
日本企業の事例も豊富にまじえながら圧倒的に分かりやすく紹介。
世界の最先端の「知」こそが、現代のビジネス課題を鮮やかに解き明かす!
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Posted by ブクログ
経営学は実際の経営には役に立たないのではないか、というあるあるに答えてくれる本。真理を追い続ける学問や科学としての経営学と生の経営の立場の両方を踏まえて書かれているところがわかりやすさにつながっていると思う。例えば組織のあり方について研究された数多くの論文をメタ解析した最新の研究内容をわかりやすく解説した上で、「企業にはタバコ部屋が欠かせないということ」などと解説する。読み手としては勉強になる上、実感持って理解できる。
内容ももちろん大事なのだが、この本がとても読みやすいことに驚きつつ一気に読んでしまった。全26章の一つ一つはどれも大事なテーマなのだが、くどくど小難しい理論を展開する他のの専門書と異なり、コンパクトに必要な事項がまとまっていて飽きずに読み続けられる。参考にした論文は脚注に示されているので、深く学びたい人はそれを参照することができる。著者が学者で教員だからかなあ。
Posted by ブクログ
星6個つけたいです!
2015年初版だが、今(2025年)でも全く新しさを感じます。
経営学の教科書的な本には書かれてない、経営学の先端を学べて、すごく勉強になります。
5ForceやValue Chain(ポーター)、VRIO分析(バーニー)は定番だけど今でも使える?CSRやダイバーシティは企業業績や株価にプラスなの?情報共有はメールじゃダメ?組織学習は失敗と成功、どちらが有効?等、実務家の問いに対する研究事例が数多く紹介されてます。
久しぶりに手書きの読書メモを書いて、内容を要約したり、大事な箇所を抜粋しました。
経営学の定番は一通り学んだけど、更に学びたい実務家の方に、強くお薦めできる良書です!!!
(戦略コンサル、銀行の法人営業、企業の経営企画に携わる方等)
Posted by ブクログ
経営学者は大衆向けに本を書いても評価されないので最新理論を学ぶのは実は難しいと前置きしつつ、最新トレンドをわかりやすく解説してくれます。確かにアメリカのMBA持ってますが、古典は習ったけど、最新理論はほとんど知らなかった。。
Posted by ブクログ
経営学というものの使い方について、誤解を解決しながら教えてくれる、入門書。分厚いけど読みやすい。ビジネス書に慣れてない方にもおすすめ。
起業するのには必ずしも全部の知識はいらない。面白く起業、会社ってどうすればいいのかわかりませんが、他ビジネス書とは違う視点が得られた気がする
Posted by ブクログ
経営層と話す機会も出てきたので一読。経営に関する論点と先端の知見を知れて面白かった。意思決定に携わる際に定石を知ってると立ち振る舞いに自信を持てるなと。書籍の性質上、本書は簡単な内容に留めていると思うので、他の著作で踏み込んだものがあれば読んでみたい。
Posted by ブクログ
本書のタイトルと直接は関係ないが、最後の数章も興味深かった。米国の大学で経営学のPhDを取り研究に携わっていた著書の文章なので説得力があった。日本の将来は大丈夫だろうかと不安になった。
Posted by ブクログ
パフォーマンスが高い組織は、「組織のメンバーが『ほかのメンバーの誰が何を知っているか』を知っている。
これすごく納得でした!
誰が自分の目の前の課題を解決できる情報を持っているのか、そこへ辿り着けば道筋さえ知っていれば、仕事は終わる。
明日からでも使える働くためのスキルだなと思います。
本全体に関していうと
経営学のメソッドがフレームワークから統計分析に変わり、今までよりも柔軟にそして正確に経営学を解き明かしつつあるなという印象を受けました、
Posted by ブクログ
アメリカでの経営学の主流と日本のビジネスパーソンが参考としているものの違いが良く分かった。どっちが良いと言うことではないけど。そんな中でもリーダーシップ等、重要なところをおさえているので、ビジネスパーソンにとって良書です。
Posted by ブクログ
読みやすく、良い意味で現実的かつハードルの低い経営理論を紹介してくれる。組織の学習効果・パフォーマンスを高めるトランザクティブメモリーには、サラリーマンあるあるの喫煙所コミュニケーションなど例に出しながら分かりやすく解説してくれる。
多様性がポジティブな結果を生むためには?成功体験と失敗体験のどちらがつぎの成功へ繋がるか?といった視点も面白い。
Posted by ブクログ
ビジネススクールで教えている内容と、世界の最先端での経営学研究内容は全く異なったものである。ビジネススクールで教えている内容は、経営学的に言えば、相当以前のものである。なぜ、そうなっているのかと言えば、世界最先端の研究をしている経営学者が、それを「教えることが可能な形」に整理することに興味がないから、最先端の経営学者は、最先端の研究をし論文を書くという「経営学者としての活動」が自らの関心事であり、「教育者としての活動」には、ほとんど関心を持っていないから。なぜなら、彼の業績は研究・論文発表によって測られるから。というのが、ビジネススクールで世界最先端の経営学が学べない理由であると筆者は説明している。
そして、では、執筆当時(本書の発行は2015年である)の世界最先端で行われている経営学の研究がどういうものかを、筆者は説明している。
確かに、日本の経営学の「教科書」を読んでも、上記で説明されているような、経営学の先端研究の成果は記載されていない。
入山先生は、そのようなことに問題意識を持ち続けておられるのだと思う。それが、大著「世界標準の経営理論」につながったのだと思う。
Posted by ブクログ
最新の「経営学」について書かれた本。「経営学」は科学(データに基づく真理の追及)であって、実際の経営に使える実学ではない。
でも最新経営学理論の部分は整理して自分のコンサルティング資料にしておきたい。
Posted by ブクログ
魅かれた所は戦略と事業の関係やトランザクティブメモリ、RBVの限界とか。
言われれば当たり前なのだが、会社が身を置いている市場において、フレームワークや考え方がどう役に立ち限界があるのかを教えてくれた本。
とはいえ、この本だけで網羅する話でも無いので、古典を学んだ後に読むのが丁度良い気がする。
Posted by ブクログ
経営学が役に立たない理由
経営学は厳密である、知的に新しい、が必要だが、実務に役に立つ、とはトリレンマの関係にある。
経営学者は、実務に役に立つ必要があるとは考えていない。
役に立つためには、新しい視点よりも、現実のエビデンスが必要。
顔を付き合あせて生まれるトランザクティブメモリーが必要。
競争の形が違えば、求められる戦略は違うのが当然。
価格勝負ほど、ビジネスモデルが重要。
リアルオプション理論=不確実性が高い事業環境では、投資の柔軟性を高めれば、リスクを抑えつつ、チャンスを逃さないことができる=投資の柔軟性を高める。
知の範囲を広げることと、知の探索=深めることの両方が必要。企業は深めることに傾きやすい。
両方できることが大事=両利きの経営
看板方式はスーパーの引き取りを取り入れた。ヤマトの宅配は、吉野家の単品経営からヒントを得た。大規模小売店と地元商店の共存共栄からセブンイレブンを日本風にアレンジした。=知の探索。
組織の知は、コンポーネントな知(部品ごとの知識)とアーキデクチュラルな知(組み合わせデザイン)に区別できる。
初期はアーキテクチュラルな知によって製品を作り出す。標準化してドミナントデザインが出来上がると、コンポーネントな知で改良するが、新しい組み合わせは出現しにくい。新しいアーキテクチュラルな知を創造し続けることが大事。
イノベーションと創造性(クリエイティブ)の違い=創造性は既存の知を新しく組み合わせて新しいアイデアを生み出す力。イノベーションはアイデアを実現する力。創造的な人ほどイノベーションを起こせない。
弱いつながりのほうが、拡散しやすい=新しい組み合わせが起こりやすい=創造性が発揮されやすい=クリエイティブ=チャラ男
イノベーションは、製品化と実行=強いつながりが必要=根回しオヤジ
知の探索のためには、組織全体の学習は遅く、学習速度が混在していて、メンバーが一定の比率で入れ替わること。特に不確実性が高いとき。
トランザクティブメモリー=who knows shat を高めるとフォーマンスが高まる。コミュニケーションを高めるが、メール電話より、直接顔を見ることが大事。インフォーマルな会話の重要性。平場のオフィス設計(アスクルの例)フェイストゥーフェイスの仕掛けを作る。総合商社には、高い水準のトランザクティブメモリーがある。
ブレストではアイデアは出ない。気兼ね、他人の評価を気にすること、などから思い切ったイデアが出ない。集団で話すときは思考は止まり勝ち。
反面、ブレストは組織全体の記憶力を高める=シェアードメンタルモデル。ブレストでアイデアが出なくても悲観しない。そもそも組織の記憶力や価値基準を共有するところに意味がある。
失敗体験と成功体験はどちらが大事か。
成功体験はその後の成功率を上げる。しかし大事なのは失敗体験。失敗を十分に重ねてから成功する組織がその後も活躍する。アリババおジャックマーは、受験から起業まで失敗の連続だった。若いうちは失敗経験を積め。
グローバル企業とは。
北米、アジア太平洋、欧州の3か所を主要市場とすると、すべての市場で20%以上の売上があるのは少ない。日本で3社。ホーム地域への異存が高い。他地域では商売はしているが通用しない。ソニー、キャノン、マツダ、トヨタは欧州では少ない。
FSA(ファインスペシフィックアドバンテージ)ではなく、PSA(レジオナルスペシフィックアドバンテージ)を持っている。そのまま世界で通用するFSAにはならない。
世界はグローバル化していない。情報化で国同士の距離の影響はむしろ増えている。世界は狭くなっていない。距離の弾性値が高い傾向は、アニメゲームポルノなど嗜好性の高いデジタルコンテンツ取引で顕著。世界はフラット化ではなく、スパイキー化しつつある。VCは、特定の地域に集中するスパイキー化が進む。スパイキーグローバリゼーションを前提にすると、国単位ではなく各都市が連携することが有用。
ダイバーシティ経営は必要か
タスク型の人材多様性とデモグラフィー型の人材多様性。タスク型はプラスの効果があるが、デモグラフィー型は同質なグループで対抗するのでマイナス効果がある。デモグラフィーが多次元になれば、組織内の軋轢は減るので、パフォーマンスは高まる可能性がある。中途半端なダイバーシティがよくない。
ホモフィリー=人は同じような属性を持った人とつながりやすい。健康な人は健康な人と。つながった相手から影響を受けやすい。
社内では、女性は男性人脈に入りにくい。また女性人脈は薄い。男性人脈と女性人脈をうまく使いこなせる人が女性として成功しやすい。
リーダーシップ=トランザクティブリーダーシップ(アメとムチ)=実務家、トランスフォーメーショナルリーダーシップ(啓蒙)=カリスマ。不確実性が高いときほど、カリスマが必要。
女性のほうがトランスフォーメーショナル型になりやすい=リーダー像と女性像という矛盾したイメージを克服するために、カリスマスタイルになる。
リーダーの話法=イメージ型の言葉とコンセプト型の言葉。イメージ型のほうがカリスマ性を発揮しやすい。情景を語る。比喩(メタファー)を使う。
トランスフォーメーショナル型のリーダーのほうが、内発的動機付けを高めやすい。新幹線清掃のテッセイの例。
同族企業は日本だけに多いわけではない。アメリカもSP500の1/3が同族企業、全体では雇用の6割は同族によるもの。日本では上場企業の3割。
同族企業のほうが業績が良い。物言う株主としての同族。企業と一族を一体とみなす。社内外の優秀な経営者を放棄している。身内の経営に甘くなりがち。
婿養子による経営が最強。日本の養子の98%は大人の養子。日本の上場企業の3割が同族企業。婿養子の企業のほうがROEが高い。
アシックスの尾山氏(娘婿)、松井証券の松井道夫氏、スズキ自動車の鈴木修氏など。
同族だが、外部経営者という例。LIXIL、カルビー、サントリーなど
CSRは業績を高めるか。
周囲からの評価が高まる。人材強化、イメージ効果。広告費を使うBTOC企業のほうが効果が高い。
情報開示効果により資金制約が緩和される。ネガティブ事件による株価の落ち込みが少ない。
CSRは、情報開示することが前提。=自らを律する機会になることも一因。
起業活性化のための方策
事業のたたみやすさ(リアルオプション理論)=倒産法(チャプターイレブン)。日本も法整備では悪くない。
キャリアのたたみやすさ=倒産したあとに、職に就けるか。日本では難しい。
ハイブリッド起業家=勤めながら起業する。スウェーデンでは半数近くがハイブリッド型。起業を辞める人もいる。
副業は、安月給を埋めるものではない。労働契約における誠実義務で副業も認められていない。
企業家精神=アントレプレナーオリエンテーション=革新性、積極性、リスク志向性
4条件=サーチ行動(現状を疑い、疑問をもつ)、知の探索、知の深化(深堀り)、トランザクティブメモリー(who knows what)
儲かる条件は、産業か企業そのものか=産業効果は4割、企業効果が6割。業績がよい企業は企業効果が見られる。業績が悪い企業は産業効果に左右される。
リソースベーストビュー=何が価値があるリソースか。市場によって変わるべき。しかし経営学では一側面に着目して議論することが多い
MBAでは、ケース分析が大事。部分だけの分析では実際の企業を評価できない。
知の競争をする経営学者は、ドラッガーを読むヒマはない。
経営学者とMBAの教育者と一般図書を書く人との違い。
Posted by ブクログ
ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学
経営学は答えは示せない。
あくまで思考の軸、羅針盤である
2017年1月16日記述
入山 章栄氏による著作。
早稲田大学ビジネススクール准教授。
慶應義塾大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科修士課程修了。
三菱総合研究所で主に自動車メーカーや国内外政府機関へのコンサルティング業務に従事した後、
2008年に米ピッツバーグ大学経営大学院よりPh.D.を取得。
同年より米ニューヨーク州立大学バッファロー校ビジネススクール助教授。
2013年から現職。Strategic Management Journal, Journal of International Business Studiesなど
国際的な主要経営学術誌に論文を発表している。
本書によると経営学の最先端はMBAの教科書に反映されていないのだという。
意外な思いもするが、考えてみるとやむを得ないのかもしれない。
大学でも学部レベルで学問の先端についてわかるはずがないからだ。
ましてMBAは2年間くらいだろう。
じっくり教える時間もないのかもしれない。
P16で紹介されているようにAOM(アカデミーオブマネジメント)の世界大会に参加する各国の参加人数の内、日本は33人。(2015年)
韓国でも154人。
台湾で134人なのだからこれは人口比を考えても
日本の少なさが目立つ。
野口悠紀雄氏が2004年にスタンフォード大学に教えに行っている時に日本人留学生の少なさを指摘していた。
しかし留学生だけではなく研究者のレベルにおいてすら既に同様の傾向を持っている。
日本人の英語力(特にエリートの)は確実に落ちているとしか言えない。
他に印象に残った部分を紹介してみたい。
経営学を上手く使っている方々の多くは、答えそのものよりも経営学の知見をあくまで「思考の軸・ベンチマーク」として使っている
メタアナリシス・・過去の統計分析の結果を、さらに統計的に総括する手法。
競争の型が違えば、求められる戦略は異なるのです。
イノベーションの源泉の一つは、「既存の知と、別の既存の知の、新しい組み合わせ」にあります。
人間はゼロから何も新しいものを生み出せません。
従って、常にいまある知と、それまでつながっていなかった別の既存の知が新しくつながることで、新しい知が生まれるのです。
*企業はどうしても知の深化に偏り、知の探索を怠りがち。(コンピテンシートラップ)
知の探索のためには「幅広い人々から多様な情報が効率的に流れる」ネットワーク上にいるほうが有利です。そしてそのようなネットワークは「弱いつながり」からできているのです。
従って、弱いつながりの人脈を多く持つほうが、人はクリエイティブになれるのです。
従業員の創造性の高さ⇒アイデアの実現の関係は、その人が(1)実現へのインセンティブを
強く持ち、(2)社内に強い人間関係を多くもっている場合にのみ、大きく高まる。
組織の学習効果、パフォーマンスを高めるために大事なのは、
「組織のメンバー全員が同じことを知っている」ことではなく、「組織のメンバーが他のメンバーの
誰が何を知っているかを知っておくことである」というものです。
英語で言えば組織に必要なのはwhatではなくWho knows whatであるということ。
直接対話することが組織の学習効果を高める。
シリコンバレーのハイテク企業の中に遊び場を設けて社員の直接対話の機会を増やすことをしている。
コーヒー飲み場、お茶飲み場を設ける企業もある。
ブレストはアイデアを出すのに効率が悪い。ただし組織の記憶力を高めるのに役立つ。
世界始業を北米、欧州、アジアに分けた時全ての地域でホームの売上が5割以下などにまんべんなく売り上げる構成になっている企業はわずか。他の2地域に2割以上の売上。
365社のうちで言えば9社だけ。(2001年時点)
IBM インテル フィリップス ノキア コカ・コーラ フレクストロニクス モエヘネシー・ルイヴィトン
SONY、キャノン の9社。
マクドナルドやトヨタも入っていない(トヨタやホンダも欧州では苦戦している。世界の3地域で
まんべんなく打ち上げられていません。
⇒優れた多国籍企業でも、その優位性はホーム地域では威力を発揮するが、他地域では通用しない
日頃からCSR活動をきちんとしていれば、企業イメージや透明性が向上し、いざネガティブな事件に巻き込まれても、投資家が極度の不信を起こさずに済む
ハイブリッド起業・・会社をやめずに会社務めをしながらそれと並行して起業すること世界でもハイブリッド起業が増えている。フランス18% スウェーデン32% オランダ68%
日本の起業活性化案の一つとしてサラリーマンの副業推奨は大いにアリだと。
米国には2013年時点で2774の四年制大学があります。
そのうち研究大学と呼べるものは百数十くらい。
AAUという選ばれた研究大学だけが所属できる団体に属している大学は全米で60だけ。
このAAUの基準は厳しく、研究パフォーマンスが悪いとメンバーから外されてしまう。
米国のビジネススクールの教授の3タイプ
タイプ1・・査読論文を学術誌に掲載することを主戦場とする経営学者
(上位ビジネススクールでは大半を占める)
タイプ2・・教育中心の教授
(ヨッフィーやバブソンカレッジの教授などに代表される)
タイプ3・・査読論文を学術誌に掲載するのではなく、一般書籍など別のかたちで
経営学や実務家に幅広く影響を及ぼす経営学者
(ポーターやクリステンセンなど)
これは米国だけではなく日本にも当てはまる気がする。
本来は大半の大学で求められているのはタイプ1ではあくタイプ2であろう。
経営共創基盤の冨山和彦CEOの主張する大半の大学は職業訓練校化するべきだと。
G(グローバル)型とL(ローカル)型にわけよという議論とほぼ通じる。
タイプ3は野口悠紀雄氏のような存在であろう。
世の中にどれだけ訴えかけたいかどうかという動機次第という所だろう。
まあ、本人次第。ウェットなコラムかけるとか学術論文とは違う文才が必要。
Posted by ブクログ
「世界標準の~」を読む前に、先に出ていたこちらも読んでみました。働き始めてから理論を学ぼうとすると、細かすぎたり役に立ちそうにもなかったり、そもそも難しすぎて理解できなかったり、、ということが多いです。
こうした、現役の教授が、一般の人向けに膨大な理論をわかるように教えてくれる本はとても貴重です。
いつまでたっても経営といえば科学的管理法とかXY理論とか、全然進歩してないのかな?と思うときがありましたが、そんなわけがありません。
それなりに本を読むだけで学んでいるように思われがちな日本ですが、実際に研究の現場では何が競われているのかを知らないまま、いつまでもドラッカーの引用をし続けてて若者に説教するようにはなりたくありません。
なんとなく言われていたことに、理論で答えが出ていることを知るだけでも、本書を読む意味はありました。そして、「トランザクティブ・リーダーシップ」「トランスフォーメーショナル・リーダーシップ」という言葉を知ることができました。
「世界標準の~」を読むのがより楽しみになってきました。
Posted by ブクログ
2015年時点ではありますが、最先端の経営学として紹介されているものについて、興味深かった。また世界の経営学の動向について実学に近い形の方向性に一部なっているところについても興味深かった。
「ビジネススクールでは学べない」となっておりますが、正直学校・教員次第かなと思いまして、この本の内容についてもビジネススクールの授業で出てきたものもございました。
「ツール化」された経営学だけ学ぶのではなく、最先端の研究をもとに、ビジネスを考えられるようにするというのは、私が日頃より考えていることとマッチしました。
Posted by ブクログ
■読書の目的
教養として、組織経営・マネジメントに役立つ知識を得たい
■所感
ほぼ教養として読みましたが、経営学まわりの様々なトピックについて、得られるものも多かったです。
Posted by ブクログ
最新の経済学が非常に分かりやすく解説されている。
特にビジネスパーソンが興味を持ちやすいように、理論の説明の際には具体的な企業名などを例にあげて説明されている点は面白く感じた。
何度も読み返したい一冊。
Posted by ブクログ
新旧経営学の違いと奥深さを垣間見える一冊。
ビジネススクールで学ぶことと、現場で起きている経営課題への取り組み、研究面での考え方など幅広く知れる内容。
社会人になったあと渡米して博士号(PhD)を取得して日本の大学院で教えてるだけあり、
内容の充実度がある印象。
著者が言うように学問は奥が深い
Posted by ブクログ
タイトルとおり ビジネススクールでは通常教えていない、比較的新しい経営学の知識を紹介
110ページまで読んだ。続き読みたい。
9/24 最後まで読んだ。大変面白い。いくつか抜粋
市場の状況に応じて取るべき競争戦略は異なる。
プレーヤの数が少ない安定した市場:ポーター型のポジショニング戦略により、差別化またはコスト戦略
プレーヤの数がある程度多い競争市場:バーニーのRBV自分の強みを磨くことにより競争する
不安定な市場:先の見通しが立たず長期戦略が使えない。リアルオプションによりリスクを抑えつつ新規投資。
組織のトランズアクティブ・メモリー(誰が知っていそうかという知識を共有する)が重要。そのためには、対面のコミュニケーションのっかいが必要。ブレストは新しいアイデアを出すためには、意外と効率が悪いが、組織のトランズアクティブ・メモリーを向上するには役に立つ。
成功体験は成功の確率を上げる。失敗体験は、サーチ行動の昂進により成功の確率を上げる。失敗経験が一度もないのは危険。
市場はグローバル化していない。ごく少数の例外を除き、ほとんどの企業は母体地域での売り上げが50%を超える。世界はフラットではなく、距離は情報の流通を妨げる。しかし、特にある地域と別の国のある地域が強い結びつきを持つことがある。これは、留学などによる。
タスク型(能力による)ダイバーシティはプラスだが、デモグラフィー(性別、国籍、年齢など)によるダイバーシティーは中立またはネガティブ。後者は、分派の対立が生じることによるので、細かくダイバーシティを進めると解決するかも。
トランズアクティブ・リーダーシップ(1対1の対応)とトランスフォーメーショナル・リーダーシップ(メッセージとモティベーション):日本では後者が不足している
同族経営は、プラスとマイナスがある。マイナスを避けるためには、同族外から優秀な人材を同族に取り込む婿養子制度が有効。
Posted by ブクログ
前半は、堅苦しくなく、現代用語を駆使して経営をメタファーしていて、興味深い。難しいことをシンプルに表現するのが、上手。両利きの経営、トランザクション、チャラ男と根回しオヤジ。
Posted by ブクログ
早稲田大学ビジネススクール准教授の入山章栄先生による経営学入門書である
経営学には学術研究の側面と実際に経営者がこれを活用する話と二種類あるが実は大きく乖離しているということとを紹介する本である
経営という言葉からはドラッガーを真っ先に思い浮かべてしまうが、経営学のほぼ名前が出てこない。破壊的イノベーションで有名なクリステンセンも論文数という点では数がほとんどなく有名ではあるもの研究者の業績としては低いとのこと
個人的には「トランザクショナルメモリ」の話が興味深い
経営的にうまくいっている組織では「トランザクショナルメモリ」すなわちその集団においてそれぞれの人を知っているという記憶量が大きいと、その組織のパフォーマンスが上がると言う
自分もいろいろと講座を作っているのだが、この「トランザクショナルメモリ」の向上に役立つののだというエビデンスをとってみたい
Posted by ブクログ
▼総評
一章が割と短く、さくさく読める。
経営学の割と先端の(なお5年前に出版された本なので恐らく当時は本当に最先端の)研究をビジネスパーソン向けにひと通りいいとこ取りしているというのは、多分本当なんだろう。
▼特に興味深かったポイント
・弱い繋がりで遠くまで繋がってる方が、クリエイティブになれる。
ある程度の強さがない人間関係なんて意味がない、つまり関係性が無いも同然なんだと思いきや。弱い繋がりだからと遠慮せず、むしろダメ元でどんどん活用してしまえばいいんだね。名刺は召喚カードという考え方と似てる。
矢野和男著「データの見えざる手」を思い出します。
・トランザクティブ・メモリー
「誰が何を知っているか」を知っていること。大事だよね。
・近代経営学は、企業経営の一側面に焦点を定めて分析する。一方で、現実の経営は、複数からなるこれらの「部分」たちを足し合わせ、すり合わせて、最終的に「一つだけの意思決定」をしなければならない。そして、このようなプロセスにおいて、現在の経営学は決定的な理論をまだ持っていない。(P306-308要約)
これだな。経営学がどうも不毛な結果論でしか無いという印象しか持てないのは。
・知識はインフォーマルなものこそ重要
シリコンバレーにIT企業が集積するのも、実際そこでしか得られないインフォーマルな知、暗黙知などを求めるから。
それにしても、中華系にしろユダヤ系にしろネットワークの強い民族に比べて、日本人という属性がグローバルにおいてメリットになることってほとんど聞かないよなぁ…。
▼もやもやポイント
本書は、基本的に、統計分析に基づく研究を引用することを徹底している。
なんというか….経営学や社会学などは統計分析を盲信し過ぎているきらいがあるように思う。身も蓋もない言い方をすれば、ランダムな対照実験などで検証されることのない理論など、どんなに尤もらしく捏ねくり回したところで、ただの結果論である。現実世界での再現性は保証されないし、それを指摘しようものならさらに色々な言い訳を捏ねくり回される。
経営学の世界では、「そうそう実験なんて出来ないから、「ありもののデータを分析する」のが研究」というのが当然なのかもしれないけど…。それを良しとしない経営学者が書いた本があれば、是非読んでみたい。
(少なくとも著者は、その点について何の疑問も抱いていないようだった。)
(なお、組織論の領域に限っては、比較的進んでいるように見える。)
(先日読んだ、リチャード・E・ニスベット著「世界で最も美しい問題解決法」の影響を多分に受けております…。)
特に、本書にはメタ・アナリシスによる分析に基づいた研究も多く引用されるが、それらなんかは特に、結論だけ引き合いに出されたところで、素人目にはとても疑わしく映る。
さすがに、「平均の平均」のようなことではないだろうとは思うものの、メタ・アナリシスとやらで導かれた結論にどれだけの信憑性があるのか、正直理解出来ない。(そんなこと言うならメタ・アナリシスをちゃんと勉強しなさいということですね、はい…。)
でもまあ、真理に近づくという目的に真摯に向き合っている方々が、十分有用な道具であると考えているならば、そういうものなのかなぁ…。
Posted by ブクログ
内容の大枠は前著の「世界の経営学者はいま何を考えているのか」とそう変わらない。
・経営戦略と市場特性
産業組織型、チェンバレン型、シュンペーター型の3つがある。
・成功しやすいビジネスモデル
効率性、補完性、囲い込み、新奇性の4つ
新奇性の高いビジネスモデルは高い企業価値を実現する
・組織構造がドミナントデザインに従う
効率性の観点から製品のモジュールに合わせて組織がデザインされる。隣り合う部品が近くに配置される。結果として新しい組み合わせが出る機会が減る
・ブレストは効率が悪い
心理的安全性を担保しないと、個人でアイデアを出す場合と比べて、アイデアが出にくくなる。
他方で、誰が何を知っているかを知る場としては効果的。
Posted by ブクログ
全体的に学んだ感はないが、今後のキャリア形成含め、行動につながる一冊にはなる。
・メタ論文を読んで、自分なりの経営学への理解を深めたくなるきっかけになる一冊。
・ポーターとバーニーは有名で、その主張内容は知っていたが、その背景について理解したくなった。
・IT業界にはリアルオプション戦略がフィットするそうだ。
・イノベーションには、知の探索、知の進化を両輪で回す事が必要
・グローバル企業の定義は何か、分析を深める必要あり
・副業、ハイブリッド起業のすすめ
Posted by ブクログ
・優れたビジョンの6つの特性
→簡潔、明快、ある程度抽象的、チャレンジング、未来志向、ぶれない
・リクシルのビジョンは模範的
・イメージ型の言葉→情景が浮かぶ言葉やメタファー
・イノベーションの出発点は知と知の新しい組み合わせであり経営者の地の探索は必須
・組織に必要なのはwhatではなくwho knows whatだ
Posted by ブクログ
社内勉強会のために再読。
初回から7年が経過しているが、かわらず刺激的な内容で学びを続けないといかんなぁ、と感じさせられる。
社内勉強会は、SCPやRBVから入るのは致し方ないとして、その次に続くものを提示して、継続していることも、伝えていきたいと思う。
巨人の肩に乗りつつ、自分たちに合ったものを作り上げる。まだまだっすわ。
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2016/10/01
刺激的な題名は出版社の推薦だったと、あとがきにある。なんだかなぁ。内容は、2010年以降を中心とした経営学の論文レビュー。文中に多量に登場する「最先端の経営学では」を気に留めなければ、平易で分かりやすい文章。経営学の基本を修めた後の学びのインデックスとして活用できる。
本書によると経営学は「経営に役立つ」方向へ進んでいるという。同様の志向を学会誌で拝見した加護野先生と金井先生の対談でも目にした。経営側としては、とても心強い傾向だ。しかし、だとするなら、研究者の評価基準を現在のものから変更する必要があると考える。企業における人事評価では、評価基準は目的や目標と関連しなければならない。論文の数による評価だけでは、なかなかドライブしないのではないか。