入山章栄のレビュー一覧
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経営学は実際の経営には役に立たないのではないか、というあるあるに答えてくれる本。真理を追い続ける学問や科学としての経営学と生の経営の立場の両方を踏まえて書かれているところがわかりやすさにつながっていると思う。例えば組織のあり方について研究された数多くの論文をメタ解析した最新の研究内容をわかりやすく解説した上で、「企業にはタバコ部屋が欠かせないということ」などと解説する。読み手としては勉強になる上、実感持って理解できる。
内容ももちろん大事なのだが、この本がとても読みやすいことに驚きつつ一気に読んでしまった。全26章の一つ一つはどれも大事なテーマなのだが、くどくど小難しい理論を展開する他のの専門書と異なり、コンパクトに必要な事項がまとまっていて飽きずに読み続けられる。参考にした論文は脚注に示されているので、深く学びたい人はそれを参照することができる。著者が学者で教員だからかなあ。 -
Posted by ブクログ
定期的に地域活性化ネタは仕入れる必要があるかと半ば義務感もありながら手にとった本でしたが、これが非常にためになるものでした。
特に興味深かったのは、東京大学の林助教が低減する「自主再建型移転」の話で、中山間の限界集落の集団移転についてです。限界集落をどう維持するかについてはどこでも課題になっているわけですが、「活性化」するか「最後の一人までサービスを維持する」のどちらかという雰囲気ですが、なんで移転の話ができないのか不思議でならなかったんです。そこはなんとなく「人権」的な話で言い出せないのかと思っていましたが、実際に80年台までは事例が多く、満足度も高いという話を読み、目からウロコでした。普通に考えたらそうだよね!!中山間からひとりみのおばあちゃんが、いきなり都市部の息子のところにいったらまさに「土から離れる」ことになり一気に弱ることになるんだろうけれども、息子の都市部ではなく、同じ地方の少し都会部に移れば、土から離れることもなく、コミュニティも維持し、市町村にとってもサービスの維持がしやすい形なので全然アリだと思うんです。これからはこういう動きが出てきてほしいですね。
ほかの章も非常に納得感のある話で面白かったです! -
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気鋭の経済学者、飯田泰之が主編者となり、5人の地方再生に取り組むスペシャリストによる講義と、飯田氏自身との対談をそれぞれ1人、1章という形でまとめたものです。
感想として…
人口減少という現状を前提とすれば、どこかの人口を増やせば、どこかの人口が奪われる事になる。
その中で集積できるところはいかに集積し、減少するところはいかに、戦略的に止まるか、あるいは撤退戦を進めるか…
とはいえ、けっして後ろ向きではなく、未来の地域のあり方…その選択、そのために今出来る選択肢を示した本だと思います。
あと、本書で強調しているのは、民間が主体でなければ駄目だという事、補助金行政の批判ですね。
補助金がいかに、民間や地方自治体のインセンティブを歪ませるかです。
この本は地方再生に興味を持つ人のための入門書であり、同時にインデックスだと思います。
各章からより専門的な方向への導入になりそうです。 -
Posted by ブクログ
告白すると『世界の経営者はいま何を考えているのか』というタイトルだと本を読み始めた後しばらくするまでそう思っていた。読めばわかるが(読まなくてもわかるが)、「経営学者」が考えることと「経営者」が考えることはずいぶんと違う。本書は「経営学者」が考える「経営学」のフロンティアに関する本。著者もニューヨーク州立大学バッファロー校にアシスタント・プロフェッサーとして籍を置く現役の経営学者だ。
まずは『もしドラ』の影響を受けている(?)日本の読者に向けて、ドラッカーが経営学の世界では興味の対象ではない、ということから始める。ドラッカーの言葉は、名言ではあるが、実証的ではないため経営学の研究対象としては相応しくないと「経営学」の世界ではみなされているからだ。その事実に対比する意味で、企業データに関して統計手法を駆使して実証的研究を行うものを経営学としている。ちなみにドラッカーの方でも自分のことを「社会生態学者」であるとし、「経営学者」とは定義していないのではない。そういう意味でフェアではない取上げ方ではある。戦略的ではあるが。
著者によると、現在の世界の経営学の「マクロ分野」は主に三つのディシプリンにわかれているとのこと。その三つとは、ポーターなどの「人は本質的に合理的な選択をする」という仮定をおく古典的「経済学ディシプリン」、ハーバード・サイモンに代表される「認知心理学ディシプリン」、社会学の手法を応用する「社会学ディシプリン」が存在するという。どのディシプリンを選択するかで、経営学者のキャリアプランにも大きな影響があるという。
何年も前にミンツバーグが『戦略サファリ』というそのタイトルに若干の皮肉を込めた経営学で乱立するスクールの状況を描いた著作を出したが、その頃から経営学の状況は変わらず(ひどくなっている)、それは経営学という「学問」に伴う根源的な特質であるということなのかもしれない。
本書では、経営学のフロンティアとして、ハイパー・コンペティションやトランザクティブ・メモリー、モデレーティング効果、コンピテンシー・トラップ、ソーシャル・ネットワーク、ストラクチュアル・ホール、ホフステッド指数、リアル・オプション、買収プレミアム、コーポレート・ベンチャー・キャピタル、などの概念を紹介している。それはそれで、おもしろいが、本当に実際の経営において役に立つのだろうかという思いがわいてくる。
著者はそのことに十分に自覚的である。そして著者は、現在の経営学に対して次の3つの課題を指摘する。
課題① 経営学者の理論への偏重が、理論の乱立化を引き起こしている。
課題② おもしろい理論への偏重が、重要な経営の事実・法則を分析することを妨げている。
課題③ 平均にもとづく統計手法では、独創的な経営手法で成功している企業を分析できない可能性がのこる。
まさしくこれらの課題が、「経営学者」が考えることと「経営者」が考えることが交わらない理由である。
経営学のフロンティアを紹介するということでは、説明も読者に優しく、本書は面白い。一方、ビジネススクールはその存在意義はあるとしても、経営学という学問に存在意義は果たしてあるのか、という疑問はさらに強くなった。おそらくは、著者の意図とは反対に。そして、それは一度私企業に勤めた後に学問の世界に戻った著者も疑問として持っていることと同じであるかもしれない。 -
Posted by ブクログ
宗教を学んだ方がいい、と以前から頭では理解していましたが、動画を見ても本を読んでも、なんだか頭に入ってこず、知識が定着しなかったという苦い過去があります。。。
この本は対談形式で、わかりやすい言葉に置き換えられているため、宗教に関して過去挫折したことのある私の頭にもすっと入ってきました。
特にウクライナ戦争を、東方正教会(ホールディングス会社とする)の視点から、ロシアが子会社、ウクライナが孫会社と比喩しているところは、目から鱗でした。
本書で繰り返し書かれていることは「腹落ち」。
正確性よりも、腹落ちが重要。
そして大事なのは「自分たちが腹落ちする未来へのビジョン」。
これは生き方にも通ずると思いました。
私が、本書を読んで驚いたのは、アメリカがあまりにも宗教の影響を受けているということ。
そりゃあ、宗教わからない私が洋画を見ても、今のジョークなに?今何でそう返答したの?なんでなんで?ってなるのは当たり前だったわけですよ。
読みやすい一冊でしたが、内容はとても濃い。
これはビジネスパーソンは早めに読んだ方が良い。 -
Posted by ブクログ
複数学派のある経営学の理論を横断的に捉えた珍しい本。
入山章栄先生曰く、世の中で出回っている経営フレームワークのほとんどは実用ツールだけど、学術的にあらゆる局面を想定して検証された「理論」ではないと。
大きく3つある経営学の系統(ディシプリン)=経済学派、心理学派、社会学派を偶然経験したため、それらを捉えて著書にしたいわゆる「鈍器本」。
うーん。経済学部出身で、戦略コンサルにいたので、ある程度分かったつもりになっていたが、改めて分かってないことが多すぎることに気付かされた。
途中まで読んだが、分厚過ぎて中々終わらず、真ん中を超えた所で中断中。いつかまた読もう(笑)