入山章栄のレビュー一覧
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両利きの経営とは、深化と探索の両方を追求する経営のこと。
社会や技術が素早く変化する現代においては、既存事業の成功が”時代を遅れ”を生み出す元凶になる場合もある。(サクセストラップ)
よく勉強をしている人ならば、「そんなことはわかっている」と思ったかもしれない。
この本がすごいのは、「両利きの経営が大切だ」とただ声高に叫ぶだけでなく、様々な企業の成功事例、失敗事例から、両利きの経営を目指したときにあらわれる課題や、その課題の乗り越え方まで踏み込んでいるところだ。
深化と探索は、反対方向の力が必要だ。(探索とは既存事業の焼き直しや、小さな改善イノベーションではなく、自社にとって未知の領域への拡大を指す)
方向性が違うので、既存事業のマネジメントやリーダーシップでは、適応できない。つまり同じ組織・風土の中で両立させるには常に矛盾が生じる。
本書では経営者(層)や中間管理職(ミドルマネジメント)による、リーダーシップの課題であると位置づけている。
つまり、両利きの経営の成否はリーダー次第ということだ。
両利きの経営を実行する際に必要なリーダーシップの5原則を以下に抜粋する。
1. 心に訴えかける戦略的抱負を示して、幹部チームを巻き込む
2. どこに探索と深化の緊張関係を持たせるか、明確に選定する
3. 幹部チーム間の対立を回避せずに、向き合う
4. 意図的にユニットごとに異なる基準を課して「一貫して矛盾する」リーダーシップ行動を実践する
5. 探索事業と深化事業に関する議論や意思決定の実践に時間を割く
第1,第5の原則は、普遍的なリーダーシップのありかただが、2,3,4に関しては複雑かつ高難度なリーダーシップである。
経験や明晰で論理的な思考力だけでなく、強い意志、精神力、高度な調整力などが求められると感じた。リーダーとしてはかなりのハードモードと言える。
この時代に経営の持続可能性を担保するには、訓練により身につけた強さとしなやかさを兼ね備えたリーダーシップが必要なのだろう。
チャレンジしてみたい気持ちはあるが、正直、うまくできる自信はない。 -
Posted by ブクログ
この時点ですでに「両利きの経営(深化と探索)」を唱えていたのか。
これだけ情報が伝播するのが一瞬という時代にも関わらず、人の心に言葉が根付くのには逆に時間がかかっているような気がしてしまう。
2021年の今でこそ、社内のみならず各所で「両利きの経営」の話を聞く。
しかもこの著作、約10年前に発行であるが、この10年間で両利きを達成して業績をV字回復した会社はほとんどないということか?
それだけ「両利き」が根付いてないということか。
この10年で両利きを意識していれば、必ず業績は回復しているはず。
「『両利き』なんて10年前の理論じゃないか」で切り捨ててもいい話だ。
しかし10年経った今でもこれらが実現できていないことは何を示唆しているのだろう。
本書でも書かれているが、ドラッカーもポーターも今の経営学者は研究していない。
学問にも栄枯盛衰はつきものと思うが、それではこの10年間でどの部分がどう進化していったのかが知りたいところだ。
ビジネスは確かに大きく変化している。
個人的な考えだが、日々の技術進歩、科学の進歩があって、それがビジネスに転用されて変化していっているように感じる。
理想的な経営理論があって、それに合わせて後追いでビジネス自体が変化するということはないと思う。
やっぱりテクノロジー起点と考えるのだが、それは偏った考えだろうか。
一方で最近は人事組織についてもテクノロジーを活用するようになっている。
経営は「戦略」という言葉が一般化したくらい、戦争・競争と切っても切り離させない。
どういう組織が強いのか。どういう人材がいれば勝負に勝てるのか。
ライバル企業に打ち勝つために、この辺をHRテックとして効果的に管理する方法も流行っている。
本書を読むと「必ず勝つ戦略」がどこにもないことに気が付いてしまう。
それは当然であって、もし必ず勝つ戦略が体系化されていて、誰でも真似が出来たらどうなるだろうか。
どの企業もその必ず勝つ戦略を使ったらどこが勝つのだろうか。
そう考えると「どうすれば勝てる組織を作れるか」という点に集約されていくのだということが見えてくる。
なぜ成功した経営者ほど、M&Aでオプションを多めに積み上げてしまうのか。
日本人は集団主義と言われるが本当なのだろうか。
やはり企業は人と組織で左右される。
究極の経営とは、実は人事なのではないだろうか。
そんなことすら本書を読んで考えてしまった。
(2021/12/21) -
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◎購入動機
会社からお勧めの本と共有を受け、興味を持ったため。
◎所感
アメリカで経営学を研究している入山氏が、世界最先端の経営理論をエッセイ形式で綴っている。
その中でもいくつか興味をそそられたトピックについての要約・感想を述べる。
⚪︎トランザクティブ・メモリー
トランザクティブ・メモリー
→組織の記憶力に重要なことは、組織全体が何を覚えているかではなく、組織の各メンバーが他メンバーの“何が誰を知っているか”を知っておくことである、という考え方。
これを自分の環境に置き換えると、例えば自分が何かしらの業界で案件を持った時、同業界の導入の事例を当然把握したくなる。そのために全てのビジネスモデルの導入事例を完璧に記憶していれば良いのだが、現実的ではない上、組織内の記憶力最適化の面で考えれば適切とは言えないだろう。
やはり全ての内容を自身で把握するのではなく、この手の企業であれば“誰に相談すれば良いのか”を知っておくことが大切である。
皆さんがどんな企業とのやり取りがあるのかを把握しておくことが非常に大切である。そのために日々自分以外の方の日報を読む癖をつけたい。
⚪︎知の探索と知の深化
知の探索
→企業が知の範囲を広げるために新しい知を探す行動のこと。
知の深化
→すでに持っている知識や同質の知に改良を重ね、それらを深めて活用すること。
2つのバランスを取ることが重要。
私自身、やはり刺激の多い“知の探索”ばかりを求めてしまう節がある。
得た知識をいかに実務に活用していくか、浅く広い知識ではなく一歩踏み込んだ深い知識にも真摯に向き合っていきたい。
⚪︎国民性を数値化する
通常の業務にはあまり関わりがないが、個人的に面白かったトピック。
ざっくりと違うんだろうなと思っていた各国の“国民性”を数値化した研究。
私自身、海外旅行に行っても言葉の壁よりも文化の壁を感じてしまい、その壁をなかなか楽しめないタイプである。
海外市場に進出する際にはあまり懸念されていないとのことだが、軽く見ていると痛い目を見そうな領域。
◎まとめ
本書に出てくる様々な理論は知らないものばかりだったが、研究手法と結果を学ぶと納得感のいくものばかりだった。
全ての経営学者は企業の経営に貢献したいと考えているはすだが、自分の成果を残すことや自分の理論に反対する勢力を論破することが正義になっている節もあると感じた。
其々の学者が様々な理論が発表し、他の研究者に
立証されることのないままSafariのように乱立される。
学者のビジネスモデルや評価基準を考えれば仕方のないことだし、それも経営学の面白みの一つかもしれないと思った。
経営学がどこまで実際の企業に貢献できるかはわからないが、知の探索の観点からこれからも学び続けていく。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ早稲田大学ビジネススクール准教授の入山章栄先生による経営学入門書である
経営学には学術研究の側面と実際に経営者がこれを活用する話と二種類あるが実は大きく乖離しているということとを紹介する本である
経営という言葉からはドラッガーを真っ先に思い浮かべてしまうが、経営学のほぼ名前が出てこない。破壊的イノベーションで有名なクリステンセンも論文数という点では数がほとんどなく有名ではあるもの研究者の業績としては低いとのこと
個人的には「トランザクショナルメモリ」の話が興味深い
経営的にうまくいっている組織では「トランザクショナルメモリ」すなわちその集団においてそれぞれの人を知っているという記憶量が大きいと、その組織のパフォーマンスが上がると言う
自分もいろいろと講座を作っているのだが、この「トランザクショナルメモリ」の向上に役立つののだというエビデンスをとってみたい
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▼総評
一章が割と短く、さくさく読める。
経営学の割と先端の(なお5年前に出版された本なので恐らく当時は本当に最先端の)研究をビジネスパーソン向けにひと通りいいとこ取りしているというのは、多分本当なんだろう。
▼特に興味深かったポイント
・弱い繋がりで遠くまで繋がってる方が、クリエイティブになれる。
ある程度の強さがない人間関係なんて意味がない、つまり関係性が無いも同然なんだと思いきや。弱い繋がりだからと遠慮せず、むしろダメ元でどんどん活用してしまえばいいんだね。名刺は召喚カードという考え方と似てる。
矢野和男著「データの見えざる手」を思い出します。
・トランザクティブ・メモリー
「誰が何を知っているか」を知っていること。大事だよね。
・近代経営学は、企業経営の一側面に焦点を定めて分析する。一方で、現実の経営は、複数からなるこれらの「部分」たちを足し合わせ、すり合わせて、最終的に「一つだけの意思決定」をしなければならない。そして、このようなプロセスにおいて、現在の経営学は決定的な理論をまだ持っていない。(P306-308要約)
これだな。経営学がどうも不毛な結果論でしか無いという印象しか持てないのは。
・知識はインフォーマルなものこそ重要
シリコンバレーにIT企業が集積するのも、実際そこでしか得られないインフォーマルな知、暗黙知などを求めるから。
それにしても、中華系にしろユダヤ系にしろネットワークの強い民族に比べて、日本人という属性がグローバルにおいてメリットになることってほとんど聞かないよなぁ…。
▼もやもやポイント
本書は、基本的に、統計分析に基づく研究を引用することを徹底している。
なんというか….経営学や社会学などは統計分析を盲信し過ぎているきらいがあるように思う。身も蓋もない言い方をすれば、ランダムな対照実験などで検証されることのない理論など、どんなに尤もらしく捏ねくり回したところで、ただの結果論である。現実世界での再現性は保証されないし、それを指摘しようものならさらに色々な言い訳を捏ねくり回される。
経営学の世界では、「そうそう実験なんて出来ないから、「ありもののデータを分析する」のが研究」というのが当然なのかもしれないけど…。それを良しとしない経営学者が書いた本があれば、是非読んでみたい。
(少なくとも著者は、その点について何の疑問も抱いていないようだった。)
(なお、組織論の領域に限っては、比較的進んでいるように見える。)
(先日読んだ、リチャード・E・ニスベット著「世界で最も美しい問題解決法」の影響を多分に受けております…。)
特に、本書にはメタ・アナリシスによる分析に基づいた研究も多く引用されるが、それらなんかは特に、結論だけ引き合いに出されたところで、素人目にはとても疑わしく映る。
さすがに、「平均の平均」のようなことではないだろうとは思うものの、メタ・アナリシスとやらで導かれた結論にどれだけの信憑性があるのか、正直理解出来ない。(そんなこと言うならメタ・アナリシスをちゃんと勉強しなさいということですね、はい…。)
でもまあ、真理に近づくという目的に真摯に向き合っている方々が、十分有用な道具であると考えているならば、そういうものなのかなぁ…。
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ワークマンの躍進の本関連でのチョイスだったが正にワークマンの戦略を詳しく書いてあった。きっとワークマンの土屋氏はこの本も読んでいるのではないだろうか。
ブルーオーシャン戦略というとまだ誰も手をつけたことがない市場を見つけ出すという発見の要素が強そうだが、この本を読んでどちらかというと未開拓の市場を創るというイメージを持った。
この本で様々な事例が載っていたが私の頭に浮かんだのはスーパー銭湯アイドル純烈だった。普通は売れるはずがないグループが見せ方や市場を変えたことで紅白まで出場できるようになる、正にブルーオーシャン戦略だったのではないだろうか。
この本にはブルーオーシャン戦略を成功へと導くため、組織について等、経営についても触れられているが個人的には、ブルーオーシャン戦略をつくるには!という部分に集約されるともっと読みやすく、理解しやすかったように思う。
自分の会社はニッチな産業だが元々ニッチな市場であっても創意工夫により広大なブルーオーシャンへと変化する可能性も感じたので自社でもブルーオーシャン戦略を考えてみたいと思う。 -
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内容の大枠は前著の「世界の経営学者はいま何を考えているのか」とそう変わらない。
・経営戦略と市場特性
産業組織型、チェンバレン型、シュンペーター型の3つがある。
・成功しやすいビジネスモデル
効率性、補完性、囲い込み、新奇性の4つ
新奇性の高いビジネスモデルは高い企業価値を実現する
・組織構造がドミナントデザインに従う
効率性の観点から製品のモジュールに合わせて組織がデザインされる。隣り合う部品が近くに配置される。結果として新しい組み合わせが出る機会が減る
・ブレストは効率が悪い
心理的安全性を担保しないと、個人でアイデアを出す場合と比べて、アイデアが出にくくなる。
他方で、誰が何を知っているかを知る場としては効果的。 -
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「世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた(KADOKAWA)」
に紹介されていた本の中で面白そうだったので読んだ。
一定の市場空間の中で競争をするよりも、
市場の構造や境界を変えて、競争を無意味にする
というのがブルーオーシャン戦略の核心。
この戦略を知っているだけで、より広い視野で問題解決や意思決定をできるようになると思う。価値とコストのようなトレードオフになりがちな関係のものも、市場構造を変えることで両方を満たすことができるという考えは大事。可能性が広がる思考の仕方、考えである。
今後社会人として自分の価値を高める戦略を練る上で、同期や社内の競争だけに目を向けるのではなく、ブルーオーシャン戦略をとるのも手かも。
この戦略をビジネスで使うのはかなり先になる気がした。 -
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地方再生に関しての本。クマモンやB級グルメの意味のなさを語ってる点は面白かった。
クマモンについては、わざわざ東京からくまもんに会いにいく人は少ないわけで、基本は県内の人たちの盛り上がりとなる。同じ区域内で消費が行われる事は悪い事ではないが、大事なのは区域外からのお金を入れる事。
商売でも何でもそうだけど、人のポケットから自分のポケットにお金を入れる事が構造で、それを自分のポケット内でやっても意味がない。
つまり、全て国内消費だとすれば、日本国内でのお金をどれだけ自分のところに集められるか?というのが、地方再生には大事という事だ。
B級グルメについては、県外からの人を集めて開催しても、収支でプラスになるのか不明だし、食材を県外で購入して持ち込んでいたら、購入してキャッシュが落ちるのは県外なので意味がないという事なのだ。
人口も結局、国内の人の取り合いなので、どこかが増えれば、どこか減る。ましてや人口減少国なので、確実に減るのである。
人もお金も外から取ってくるしかないのであり、その頭でやらないと衰退するよっていう話をしてくれている。人口なんて基本は増えないし、お金だって勝手には増えない。
それでも交付金とかっていう麻薬があるので金銭感覚が狂ってくるのだ。
行政もビジネスだと橋下さんが言ってたけど、収支で黒になる方法を必死に考えていかないと先は暗いよって話なんだろうな。
国の制度もあるだろうけど、いかに頼らずにやれるか?を考えておいた方が、国に左右されずに行政運営ができる気がする。 -
Posted by ブクログ
経営学を役に立たせるものとして展開していく。ドラッカーやポーターはそのまま活用できない、最新の経営学の視点を持ってて参考になる。
企業の目的は、持続的な競争優位。ポーターは、SCP(構造、遂行、業績)という戦略を提唱している。これは競争しない戦略。
だから、以下の2つの視点からポジショニングを考えよ、ということ。
1.適切な産業を選ぶ
ファイブフォース(新規参入力、企業の競合圧力、代替製品・サービスの圧力、顧客からの圧力、サプライヤーからの圧力)の視点から。
2.今自社がいる産業でユニークなポジションをとる
だが…現代は、競争優位を持続できる期間は短くなってきている。より積極的な競争行動をとる企業のほうが高い業績を実現できる。
ポーターの守りの戦略だけではなく、攻めと守り、両方の戦略が必要になってきてるという。
あと、両利きのイノベーションの話は興味深かった。
・知の深化 既存の知識を求める活動
・知の探索 新しい知を求める活動
企業はどうしても知の深化を考えてしまいがち。知の探索にどれだけリソースを避けるか。
分厚い本だけれど、各テーマはコンパクトにまとまっているので、気になる箇所だけ読んでも◎