逢坂剛のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
アクの強い公安刑事・桂田は、新しい相棒・浅見とそれなりに上手くやっていた。
警視庁警務局・特別監察官である津城は、桂田を内偵調査するために浅見に協力を求める。
桂田に親近感を感じ始めていた浅見は抵抗をおぼえるが、津城は気にしたようすもなく帰っていく。
ほぼ同時に起きたビル人質事件と右翼の大物射殺事件。
関係のないものと思われたこのふたつの事件は、思いがけない繋がりがあった。
この作品が書かれていたときには、すでに「百舌の叫ぶ夜」の構想があったのだろうか。
凄烈な印象を残す津城警視のキャラクターは、このときには基本的なものはほぼ出来上がっていたようだ。
桂田の孤独さが垣間見える場面はどこか哀しかった。
悪い人間ではない・・・とは感じたけれど、一度狂ってしまった歯車は元には戻らない。
麻由子の弱さがすべてを桂田から奪い去ってしまった。
本当に悪人だったのは誰か。
少なくとも桂田や浅見ではないことは確かだ。
どこか陰鬱な空気が漂うプロローグが、この物語の雰囲気を序盤にして一気に作り上げていた。
読み始めの掴みがいかに大事か、グッと物語の世界に入っていけた。
悪人になりきれなかった浅見の選択に、少しだけれど心が落ち着いた。
「裏切りの日日」をさらに研ぎ澄まして洗練された先に「百舌の叫ぶ夜」があるのかと。
もう一度「百舌シリーズ」を読みたくなった。 -
Posted by ブクログ
作品紹介にはミステリーとあるけれども、読んでみると脳科学を根底に描いたサスペンスのような気がする。
精神科医が患者たちの症状をもとに、その深層心理を探り、分析し、解明しようとする。
だが、壊れた精神が宿る脳からは、常識では図れない恐ろしい闇が潜んでいたりもする。
外部からの衝撃によって脳の機能が損傷すること。
それが原因ならば医学的にもきちんと解明がされ、治療法もまた見つけることができるだろう。
けれど、脳自体に問題がないとしたら?
もしくは、生まれつき人とはほんの少しだけ脳の状態が違っていたとしたら?
見分けることは本当に難しいだろう。
藍子に迫る異常な殺意。
身近すぎるほど身近にも、その殺意があることに藍子は精神科医でありながら気付くことができない。
どんなに科学が発展しようが、どれほど医療技術が進化しようが、すべてを解明することなど出来ないのだろうな・・・と考えてしまった物語だった。