香山リカのレビュー一覧
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香山リカのエッセー集、のようなもの。いまや常識となっているような30の「常識」に対して、時には皮肉も交えながら、疑問を投げかける。エッセー集(のようなもの)なので電車でも気楽に読める。
全体を通して感じることは、住みにくい世の中だなあということ。別に政治、経済の状況がまるっきり異なる過去と比較して言うわけじゃないんだけどさ。特に印象に残ったのはジェンダーフリーに言及した「男は男らしく、女は女らしく」。あまり聞かない論調で新鮮だった。
政治に関してはあまり言及したくない。本人だって、おそらく気楽に書いてるんだし、そうした本に向かってあーだこーだ言ってもしょうがないでしょうに。ただ敢えて一つ言 -
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日本社会を席巻する「うつ病」という現象を通じて、「甘え」と「病」の境界線に迫ろうとした興味深い一冊。著者の本はこれが初体験だったが、文体も軽くかなり読みやすくて、この少ないボリュームでここ数年来の「うつ病」騒ぎをざっと簡単に見直すことができる。社会において「精神病」が取り沙汰される時、臨床の場に身を置く専門家は、メディアからこういう要請を受けるのだなぁとか、こんな風に事件を切り取って見ているのだなぁということを知れる意味でも面白い本だった。
初めは単なる憂鬱な気分に始まり、いずれは自殺という最悪の結末にも至りかねない社会的危機としての従来の「うつ病」から、「五時までうつ」「軽症うつ」と呼ばれ -
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年間3万人の「孤独死」があるという。
香山先生の知人女性2名も、そのようななくなり方をしたとか。
大原麗子、飯島愛・・などの著名人も多い。
先生の診療室にはシングル女性の「孤独死恐怖症」が多々現れるようになった。恐ろしさから逃れるために結婚を考えるとか(それは相手に失礼だろうとワタシは思うけれど・・)
でも、人間一人で生まれ、一人で死ぬのは当たり前となぜ思えないのだろうか。心中しても事故で一緒に死んでも、個人の死は死でしかないのに、甘えた考えではなかろうかと私は思ってしまうけれどね。ほんとに「しがみつかない死」でありたい。
それよりも先生の言うところの自分の死というより
家族などを -
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「しがみつかない生き方」は巷でかなり評判になっていたが、読まないうちに「〜死に方」が出ていて読んでみることにした。「しがみつかない」という言葉が使ってあるように「こうでありたい」という気持ちが強くなりすぎて「こうでなければならぬ」になると苦しくなってくるのではないかな。そんなに思い煩っても思い通りの『死』を迎えることなんてほとんどないわけなんだから、毎日を生きる、ことを考えよう。そして、自分をよく見せるべく見栄をはったりしないで、なるべくあるがままの自分でいられるようにしていれば、「あんな人だったなんて・・・」度数も低くなるであろう、と思った次第です。
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この本は自分が「モンスター被害者」になってないか、
検証できていいと思う。
しかし、それらが増えていることは述べられていても
具体的な対処方法はあまり書かれていない。
著者自身もそれは自覚しており、あとがきで書かれている。
お医者さんだからしょうがないのかな。
こっちはフリー仕事でモンスターなクライエントについて、いつまでも
内省したり、うらみごとを言ったりしていたら失職してしまう。
理不尽なことなど腐るほどある。
自分が他者に理不尽なことをしたことも腐るほどある。
自分が正しいか被害者かの思考に酔いしれるのは時間の無駄だ。
真実は、いずれわかる。もしかして真実はないかもしれない。
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書かれている「若者像」と自分がほとんど重なる部分がなくて、これは自分と彼らのどちらが特殊なのだろう、と思った。僕もいちおう若者のはずなのだが。
分析の材料としているのが、若者の言動の一部だけを切り取られたものという印象が拭えず、もっと深い事例を欲しいと感じた。でもこれは本書の性質上難しいだろうから、「もっと知りたいという人は専門書に入ってみてくれ」ということと理解する。
各項目の最後で、「その若者をなんとかするために、まずは大人がこうならなくちゃね」という書き方をしているのだが、それがいちいち鼻につく。大人がいまの若者と付き合っていくための本だとするが、これを実際大人たちが読んでいくには、かな