高杉良のレビュー一覧
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男女のもつれの結末
男の欲望と女性の欲望、どちらも企業内の職務上の立場から「禁」の世界を生み出し、最後には男の地位と名誉を守るために女性が引き下がる、実に現実味した企業内の男女関係の小説だ。
一方、女性雇用・出世に対する大手日本企業の立場は以前旧態依然として役員の見栄と偏見があることをこの小説が解く。既婚者、バツイチなど女性の雇用に対する日本企業は未だ「未成熟」だと言わざるを得ない。先進アジア諸国をはじめ欧米諸国では「実力・才能・行動力・実績」などを重要視するが日本の人事は未だ「偏見」が多く、だから日本の企業に「時代遅れ」「才能の流出」などと言われても仕方がないと思う。 -
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バブル崩壊後の日経新聞を題材にした小説の下巻。
解説を読んで本著にまつわる裁判の模様も知るコトができましたが、この文庫版で登場していた「宇野社長」は、文庫化前は「亀田社長」だったそうで、どうもそれが実在した鶴田氏的にはNGで裁判に発展した、というエピソードも語られていました。なんとも…。
主人公の記者、倉本が現場から社長室に異動したところで日経…じゃない、東経産新聞自身の醜聞が出てきて、主人公も巻き込まれる、というのは流石にできすぎているので、主人公のモデルはいないのか、複数人物なのか。
腐敗した経営陣を告発する流れの中で、経営陣に与する人、自浄作用を働かせようとする人、だんまりを決め込む人、といったスタンスがあって、正しいコトをしたいが、出世は…みたいな葛藤が存在しているあたり、ほぼ現実の出来事として本著を認識してしまうのが、著者の力量なんでしょうか。
本著、下巻の後半はほぼ東経産新聞の子会社で裏金が作られていた事件に充てられていて、株主総会での株主提案なんかもあったりして、コーポレートガバナンスの話だなぁと。
本著を読んで思ったのが、いま広がりつつある執行役員制度は理に適っているのかな、ということです。
一般論として、取締役は「(従業員の業務執行の)チェック機能」と言うものの、「同じ釜の飯」をずっと食べてきた社内生え抜き人材が取締役になって身内のチェックをするというのは、やっぱ無理があるのかな…と思いました。(社外取締役のチェック機能がどこまで利くのか、というのは別のテーマとしてありそうですが…)
そう思うと「取締役」は、今後、サラリーマンの目標ポストではなく、特殊職になっていくのでは…。
上記を踏まえつつ、日経新聞社さんの会社概要を見てみると、執行役員制度が入ってる訳でもなく、取締役は全員社内取締役の身内で、監査役も含めて全員男性。
日経自体は上場会社じゃないので、上場会社に求められるルールに従えと言える理屈は無いんですが、モヤモヤとアタマに浮かんでくる言葉は、紺屋の白袴だったり、「おまいう」だったり、何とも悩ましいです。
…と、本著の感想から大きくブレましたが(笑、マスコミに対する理想と現実を、楽しく、良く、理解できる、例えば業界を志望する学生さんなんかにはひょっとするとインターンよりも有用な1冊ではないかと思います。
著者の他の作品も業界基礎教養的に読んでいきたいところです。次はワタミの『青年社長』かな…。 -
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高杉良氏による、バブル崩壊の頃の日経新聞を題材にした小説。「対抗誌のないのをいいことに、経済情報を独占し、いい気になっている点を反省してもらいたいな。」と登場人物に言わせるという(笑
調べればわかる「ほぼ史実」「ほぼ実名」の内容を取り上げつつ、結構にこき下ろしていて、これはこれでかなり勇気がないとできない振る舞いだなと思いました。
…と思ったら日経の鶴田元社長と島田元常務に名誉棄損で訴えられてたんですね。提訴時に講談社と著者が発表したコメントがなかなか奮っていて、「言論・出版の自由を守るべき立場にある代表的新聞社の元トップと現役の最高幹部が、あろうことか文芸作品の出版禁止命令を公権力に求めるなど前代未聞の暴挙としか言いようがない」と。
そういえば、元々講談社の本だけど、文庫は角川から出てるんですね…。
本著、読み始めるとまぁ読みやすい。ラノベよりスイスイ読めます!(笑
ただし、自分がサラリーマンに馴染んで(染まって?)しまった証拠でもあるなと…経済小説はサラリーマンのラノベですね。
登場人物たちをちょいちょい居酒屋に行かせては人の悪口を延々と喋らせるというストーリー展開が繰り返される(笑 んですが、バブルの頃のリーマン暮らしってこんな感じだったのかなぁ…と社会科見学気分で読めてしまいます。
(それだけ、著者の取材力があるってコトだと思いますが)
上巻ではリクルート事件やイトマン事件、「私の履歴書」の諸々、といったトピックが扱われましたが、本番は下巻なんですかね。一気に読み切ってしまいたいと思います。 -
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主人公は架空の人物、企業も架空の企業と思って読んだが、解説を読んで「あれっ?」と思いインターネットで調べてみたところ、主人公の北野譲治氏は実在の人物で、イーパーセルも実在の企業であった。自分の無知を恥じるしかない。ちなみに北野氏は現在もイーパーセルの社長である。
当初は架空の人物と思って読んでいたため、「こんな調子のいいことあるんかいな?」と思っていたが、実際の出来事も多いのだろう。
北野氏の才能にもよるが、大切なのは一つひとつのことを誠実に続けていくことだと本書から感じた。
なお、先日読んだ『最強の経営者』でも触れていたが、本書でも村山富市元首相の人柄を非常に高く評価してる。これは作者である高杉氏の評価でもあるのだろう。 -
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たまたま書店で見つけて手に取りました。高杉良さんの経済小説はその昔よく読んでました。日本興業銀行などなど。。
「灼熱起業」というタイトルに、なぜかアジアで起業した人の話かなと興味をひかれ、買ってしまいました。
感想は。。面白い!
「マルキン自転車」はなんとなくブランド名だけは知ってましたが、そのメーカー「ホダカ」は知りませんでした。
実名がバシバシ出てきてわかりやすく読めます。イトーヨーカ堂伊藤雅俊さんの著書が引かれていて、そこに「ディセントラライゼーション」とか、チェーン店経営の話題であるが、Web3で議論されてることと通じることも出てきてとても興味深いです。
現代のテック系起業家にも読んでほしい。 -
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ネタバレ「燃ゆるとき」
高杉良作
2005年
角川書店
(初出版は1990年、実業之日本社)
「まんぷく」がヒットする中、インスタントラーメンはモデルの安藤百福が考えたのではない、という噂がネット上を飛び交うようになっているけど(そのことも書いてある)、ここで、実名企業小説でおなじみの高杉良の古い小説を読んでみた。日清食品を痛烈に批判したとされる「燃ゆるとき」。マルちゃんの東洋水産の創業から成功までの話だけど、実名は東洋水産や政治家の名前だけで、あとは誰でもわかるような仮名。例えば、日華食品の安東福一、村野証券と言った具合。しかし、最後の解説で中沢孝夫兵庫県立大学教授(当時)が、実名と照らし合わせて解説し、東洋水産が一時子会社となっていた三井物産と日清食品を辛辣に批判している。実名小説だし、書いてあることは基本的に全部事実だと思っていいかも。
以下、メモ
第一物産(現在の三井物産)。この商社の汚さには反吐が出るが、詳しくは本書を読んでもらう以外にない。起業家の苦労を知らないサラリーマン根性の悪さ丸出しである。さんざん東洋水産に儲けさせてもらいながら、下請け扱いどころか、泥棒のような社員を「経営監督者」に押し込んだり、巨額な負債を隠して、ゴミ会社と合併させたり、トンあたり六万円から七万円が普通の建設コストの冷蔵庫を十二万円でつくらせたり、不良品の冷蔵設備を買わせたりと、とにかくめちゃくちゃなのである。<中沢氏解説より>
東洋水産がアメリカ進出をした。その時、N新聞(日経新聞)が「日華食品(日清食品)が米国で特許を確立し、輸入差し止め権も。東洋水産など大打撃」と昭和51年6月に報じた件に関して・・
N新聞は裏付けもなく書き、日華食品のお先棒をかついだ。事実関係は本書の中にあるとおりで、日華食品が特許を取得した事実はなく、全ての行動が東洋水産への妨害活動でしかなかった。裁判で危うくなったら、今度は和解工作に来た。相手側に森和夫(東洋水産創業者)はこういう。「安東社長は臆面がなさ過ぎます。わたしは恥を知らない人間だけにはなりたくないと思っています」。こんなことまで森にいわれる相手側(日華)の担当者もたまったものではないが、まったくの嘘をリークするばかりか、嘘の広告まで新聞に掲載したのだから、安東福一(安藤百福)の神経の凄まじさに驚くのである。<中沢氏解説より>
インスタントラーメンを発明したのは自分だと吹聴していますが、事実に反します。鶏糸麺としてはじめに発明したのは陳という人で、安東さんはそれを盗んだんですよ。お話にならないくらいえげつない人なんです。(本文292P)
フクイチアントウさんは一九五五年ごろ、大阪の信用組合の理事長をしていたのですが、信用組合の資金を小豆の買い占めに注ぎ込んで、背任罪で起訴されたのです。執行猶予になりましたが、犯歴であることには変わりません。(本文301P)←ドラマでは2度逮捕されているが、いずれも冤罪扱い。それとは別の話もあったのか?
アメリカでの特許侵害訴訟で嘘がばれてきて、負けが濃厚になった日華食品は、和解案を提示してきた。そこで、米国進出している先輩企業に挨拶料を払えと1億円を要求。東洋水産の森社長は、マフィアかヤクザでもあるまいし、と怒る。