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アメリカ合衆国は「移民の国」──誰もが口にするこの国のかたちは、いかに形成され、どう変貌してきたのか。移民を近代世界のグローバルな人流のなかに位置づけ、また日本や中国などアジア系移民の歴史経験に着目して、アメリカ史をとらえなおす。トランプ政権下で揺れ動く〈いま〉を考えるためにも求められる、歴史的視座。
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Posted by ブクログ
アメリカという国を「移民」という観点から覗き、建国から近代、現代へと繋がる過程の中で、彼の国は移民をどのように捉え、時には受け入れ、排除し、動員してきたかについて見事に纏めている。 その中で果たして「移民」とは何であるのか、本当にアメリカは移民の国と言えるのか(伝統の創造)、ということは大きな学び...続きを読むとなった。 (その他にも多々重要な観点はあるものの、本当に重要な文章が度々出てくるので1-2ページごとにマーカーを引いてしまい、遅々として進まなかった) 本書は「新書」というジャンルにも関わらず、わずか250ページほどでこれだけ広範囲なテーマを扱い、尚且つ「アメリカにおけるアジア移民」という観点から、社会における差別構造がいかに作用してきたか、また建国前後におけるグローバルな人の移動を扱ったと思いきや、第二次世界大戦下における排日の取り組み、ベトナム戦争化におけるアジア難民についても取り上げるなど、その展開は多岐にわたる。 また、特に19-20世紀でのアメリカの国勢調査の人種分類表の精緻なデータの紹介など、話のスケールの大きさの中にも随所に正確な調査に基づいた知見が伺えた。 余談として、この本を読んでいる際、日本における外国人労働者を技能実習生として受け入れた際の劣悪な扱いについて「日本における奴隷制だ」というTweetを見て、ついドキッとしてしまった。 アフリカからの黒人奴隷をプランテーションの主たる労働力に充てた後、中国人、日本人を同様に建国後のアメリカの産業発展へとあくまでも「自由労働者」として動員した背景と正に重なるイメージが自分の中でオーバーラップした。 相違点は多々あるものの、過去から学び、現在を見る目として本書を通読したい。 著者の指摘にもある通り、日本の移民政策は避けて通れず、既に多くの「外国人」は日本社会に根付いているのだから。 黒人の人種差別について学ぼうと手に取った本の3冊目、恩師の紹介ということもあったが、果たして自分は描かれていることのどれくらいを自分が消化できているのか。 恐らく何度も読み返すことになると思うが、その度に新しい発見があるのではと、今から楽しみでもある。
『移民国家アメリカの歴史』貴堂嘉之、2018年、岩波書店 f:id:ariel_1226:20201231150558j:plain アジア系に焦点を当てたアメリカ移民の歴史。私はアリージャンス見るかわからないけど観劇の予習や復習にもよさそう。その出来事だけでなく、それがどこからどうつながって起...続きを読むこり、どこへ向かっているのかを知ることができる。 始めに来た中国系移民への差別、日系アメリカ人の第二次世界大戦時の経験、戦後の当事者の沈黙、公民権運動におけるブラックパワーとイエローパワー、「モデル・マイノリティ」というステレオタイプとの葛藤、同時多発テロ後の「愛国者法」への抗議、多様化するアジア系との連帯… この歴史を日系アメリカ人の人々が誰のため、何のために語り継いでいるのか、そしてどんな行動を起こしてきたのかを知ることで、自分たちがこの国で何をすべきなのかを考えさせられる本だった。 本来の目的は試験勉強の参考書にということだったのだけど、アメリカへ渡った移民の歴史が授業でも参照した戯画などの資料付きで解説されていて、良い復習になった。
『世界史の考え方』からの流れで読む。よく見聞きする一般的なアメリカ合衆国の通史ではない。アメリカにおけるマイノリティとしてのアジア人を中核にして、アメリカ人になるとはどういうことかを示唆している。
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貴堂嘉之
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