創元SF短編賞作品一覧
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4.6高さ100メートルの巨大な鉄柱が支える小さな甲板の上に、“会社”は建っていた。語り手の従業者はそこで日々、異様な有機生命体を素材に商品を手作りする。雇用主である社長は“人間”と呼ばれる不定形の大型生物だ。甲板上とそれを取り巻く泥土の海だけが語り手の世界であり、そして日々の勤めは平穏ではない――第2回創元SF短編賞受賞の表題作にはじまる全4編。奇怪な造語に彩られた、誰も見たことのない異形の未来が読者の前に立ち現れる。デビュー作ながら第34回日本SF大賞を受賞した、現代SFの到達点にして世界水準の傑作!創元SF文庫収録に際し、著者によるイラストを5点追加。/本文イラスト=酉島伝法、解説=大森望(本電子書籍は、『皆勤の徒』(創元SF文庫 2015年7月初版発行)を電子書籍化したものです。)
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-地球が蒼類と呼ばれる異生命体に支配され、ほとんどの生き物が死滅した未来。一部の人類は海底都市へと逃げ込み、人造人間〈イレニアム〉たちを使役して海中に潜んで暮らすようになっていた。荒廃した中国・上海に、六つのポッドが着底した。海底から送り込まれたイレニアムの作戦部隊だ。彼らの任務は蒼類の活動を抑制する酵素を持つ陸生サンゴ・アマノリスの採取することだった。隊員のアニカは生まれて初めて大地を踏みしめ、訓練の記憶を頼りに街を駆け抜ける。しかし、作戦遂行のために脳内に埋め込まれた装置が解除されたことで、その視界に色彩あふれる幻の上海の姿が現れ……自らの使命と向き合う主人公の心の機微を、現実と幻が交錯する都市の姿に重ねて描く、第11回創元SF短編賞受賞作。※本電子書籍は、『Genesis されど星は流れる』(東京創元社 2020年8月28日初版発行)に収録の「蒼の上海」のみを電子書籍化したものです。『Genesis されど星は流れる』全ての電子書籍版ではございませんのでご注意ください。
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3.6パチンコ店の屋上で拾った奇妙な犬を飼育する三姉妹の人生を繊細かつユーモラスに描いて第1回創元SF短編賞佳作となった表題作をはじめ、郊外のぼろアパートで暮らす多言語の住人たちの可笑しな日々「シキ零レイ零 ミドリ荘」、15人姉妹の家が建つ孤島をある日見舞った異常事態「母のいる島」、謎めいた子供たちの日記で幕を開ける不可思議な冒険「おやすみラジオ」、ねぶたの街・青森を舞台に時を超えて紡がれる美麗な幻想譚「巨きなものの還る場所」の全5編を収録。新時代の感性が描く、シュールで愛しい物語。第36回日本SF大賞候補作。/解説=大野万紀
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3.5
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3.4過剰共感能力者とは、他人の感情に共感しすぎてしまう特異な体質のために、社会生活に支障をきたしてしまう人々。生きづらさを抱える彼らの共感能力を生かし、本来はその持ち主にしか理解できない記憶を第三者にも分かるようにする“記憶翻訳”の技術を開発したのが九龍という企業だった。珊瑚はその中でもトップクラスの実力を持つ記憶翻訳者だ。依頼人の記憶に寄り添い、その人生を追体験するうち、珊瑚は幼い頃に失った自身の一部について思いを馳せるようになる──第5回創元SF短編賞受賞作「風牙」を収録。心を揺さぶる連作短編集。/【収録作)風牙/閉鎖回廊/いつか光になる/嵐の夜に/あとがき/解説=長谷敏司※本書は、『風牙』(2018年10月刊行)を再編集・改題し、書下ろし2編を加えたものです。
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4.0
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3.8ネパールで永く信仰を集める、生きた女神クマリ。代替わりに集められた幼女のうちから一人だけが選ばれる。辺鄙な町に暮らす青年シッダルタは、きつい性格の新人クマリの警護に抜擢された。若者のあいだで人体改造が流行する近未来のカトマンズを舞台に、「ゲンロンSF新人賞」と「創元SF短編賞」を連続受賞した新鋭がパンキッシュに紡ぎ出す、神話的バイオSF。イラスト=鈴木康士*本電子書籍は、『年刊日本SF傑作選 おうむの夢と操り人形』(創元SF文庫版 2019年8月30日初版発行)に掲載の「サンギータ」のみを電子書籍化したものです。『年刊日本SF傑作選 おうむの夢と操り人形』全ての電子書籍版ではございませんのでご注意ください。
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3.6ベテランから日本SF界の未来を担う新鋭まで、現代SF界を牽引する書き手が集結。新時代を創る書き下ろしアンソロジーシリーズ第3巻。/【収録作】宮澤伊織「エレファントな宇宙」/空木春宵「メタモルフォシスの龍」/オキシタケヒコ「止まり木の暖簾」/池澤春菜×下山吉光〔対談〕「プロの覚悟を届けたい――朗読という仕事」/松崎有理「数学ぎらいの女子高生が異世界にきたら危険人物あつかいです」/堀晃「循環」/宮西建礼「されど星は流れる」/折輝真透「蒼の上海」/第11回創元SF短編賞選考経過および選評/ちいさなあとがき/編集部より
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3.8
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5.0舞台は「北の街」にある古い大学。語り手の女子アトリと同じ生物学研究室に通う、幼馴染みの男子学生イカルが、一心不乱に奇妙な実験をはじめた。イカルはそれを、「亡くなった心の師を追悼する実験だ」と言い張るのだが……。少しだけ浮世離れした、しかしあくまでも日常的な空間――夏休みの閑散とした大学で、人知れずおこなわなわれた秘密の実験と、予想だにしなかったその顛末とは? 理科系のセンスに満ちた、期待のアイデア派新人が登場! 応募総数612作から大森望・日下三蔵・山田正紀が選出した、第1回創元SF短編賞受賞作。選評付き。(本電子書籍は、『年刊日本SF傑作選 量子回廊』(創元SF文庫版 2010年7月初版発行)に掲載の、受賞作短編である「あがり」を電子書籍化したものです。同名の書籍(『あがり』 創元日本SF叢書版 2011年9月初版発行、創元SF文庫版 2013年10月初版発行)及び、『量子回廊』全ての電子書籍版ではございませんので、ご注意ください。)
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4.1舞台はどことも知れぬ惑星。数百メートルの巨大な鉄柱に支えられた小さな甲板。そこに“会社”が建っている。語り手は日々、そこで異様な有機生命体を素材に商品を手作りする。雇用主である社長は“人間”と呼ばれる不定形の大型生物だ。甲板上と、それを取り巻く泥土の海だけが語り手の世界であり、そして日々の勤めは平穏ではない。はるか泥土の海を渡って襲い来る“外回り営業”との戦い、脳裏にフラッシュバックする、自分のものかどうか分からぬ記憶……。そしてこの惑星自体が、最終的に何かを生み出すために存在したのだった。奇怪な造語に構築された、誰も見たことのない世界を構築するSFセンス! 応募総数594作から大森望・日下三蔵・堀晃が選出した大型新人。作者自筆のイラストを付す。第2回創元SF短編賞受賞作。選評・電子書籍版特典画像をダウンロードできるID・パスワード付き。(本電子書籍は、『年刊日本SF傑作選 結晶銀河』(創元SF文庫版 2011年7月初版発行)に掲載の、受賞作短編である「皆勤の徒」を電子書籍化したものです。同名の書籍(『皆勤の徒』 創元日本SF叢書版 2013年8月初版発行)及び、『結晶銀河』全ての電子書籍版ではございませんので、ご注意ください。)
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3.6ベテランから日本SF界の未来を担う新鋭まで、現代SF界を牽引する書き手が集結。新時代を創る書き下ろしアンソロジーシリーズ第4巻。第12回創元SF短編賞正賞・優秀賞受賞作を掲載。/【目次】はじめに/小川一水「未明のシンビオシス」/川野芽生「いつか明ける夜を」/宮内悠介「1ヘクタールのフェイク・ファー」/宮澤伊織「ときときチャンネル#2【時間飼ってみた】」/小田雅久仁「ラムディアンズ・キューブ」/高山羽根子「ほんとうの旅」/鈴木力「SFの新時代へ」/溝渕久美子「神の豚」〔第12回創元SF短編賞優秀賞受賞作〕/松樹凛「射手座の香る夏」〔第12回創元SF短編賞正賞受賞作〕/第12回創元SF短編賞選考経過および選評/ちいさなあとがき/編集部より
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4.1巨大な九重塔・法勝寺は、仏教発祥の星・閻浮提を代表する星寺にして最新鋭航行機能を備えた飛塔である。三十九光年離れた星の大仏の御開帳に向かうため、七名の宇宙僧を乗せ、四十九日の旅に出るが……飛行中の法勝寺を怪異現象が襲う。日経「星新一賞」と「創元SF短編賞」を連続受賞した新鋭が放つ、驚天動地の仏教スペースオペラ! 加藤直之によるカラー挿絵2点を収録。*本電子書籍は、『年刊日本SF傑作選 プロジェクト:シャーロック』(創元SF文庫版 2018年6月29日初版発行)に掲載の「天駆せよ法勝寺」のみを電子書籍化したものです。『年刊日本SF傑作選 プロジェクト:シャーロック』全ての電子書籍版ではございませんのでご注意ください。
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3.8〈空間めくり(リーフ・スルー)〉と呼ばれる時空転移技術が開発され、宇宙交易が活発になった未来。紅葉は宇宙貨物船グルトップ号に搭載された人型戦闘兵器。〈空間めくり〉の際に生まれる、人間が認識できない七十四秒の“閉じられた時間”、貨物船を襲撃から守っている。しかし、運行開始から一度も襲撃を受けたことのないグルトップ号の乗組員たちは、紅葉のことを“空焚きのポット”と揶揄し、その存在をほとんど無視していた。自らの存在意義に疑問を持つ紅葉だったが、あるときグルトップ号が〈空間めくり〉中に海賊に襲われ……。応募総数417編から大森望・日下三蔵・長谷敏司が全員一致で選出した、リリカルな宇宙SF。第8回創元SF短編賞受賞作。/イラスト=加藤直之
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3.83年前、会社から帰宅する途中の吉田大輔氏(30代、家族は妻と男児一人)は、電車を降りて自宅に向かうあいだで一瞬にして19329人に増殖した――第7回創元SF短編賞を受賞した「吉田同名」をはじめ、ある日なんの前触れもなく縦半分になった家で、内部が丸見えのまま平然と暮らし続ける一家とその観察に夢中になるギャラリーを描く表題作、すべての住民が白と黒のチームに分かれ、300年にもわたりゲームを続ける奇妙な町を舞台にした「白黒ダービー小史」など全4編を収録。突飛なアイデアと語りの魔術が紡ぎ出す、まったく新しい小説世界。/【収録作】吉田同名/半分世界/白黒ダービー小史/バス停夜想曲、あるいはロッタリー999/解説=飛浩隆
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4.3インタープリタとは、顧客の心から抽出した記憶データを“翻訳”し、他者に理解可能なよう立体的に再構築する技能者である。今回、若き女性インタープリタ・珊瑚が受けた仕事は前例のないものだった。“潜行”する先は、彼女自身の会社の社長。しかも先立って送り込まれたインタープリタは、3人たてつづけに社長の記憶の中で正体不明の存在に襲撃され、病院送りとなっていた。社長の記憶世界で何が起こっているのか。豊かな情緒性と卓越した娯楽性を評価され、応募総数461作から大森望・日下三蔵・瀬名秀明が選出した期待の新人作品。第5回創元SF短編賞受賞作(高島雄哉「ランドスケープと夏の定理」と同時受賞)。*本電子書籍は、『さよならの儀式 年刊日本SF傑作選』(2014年6月初版発行)に掲載の「風牙」を電子書籍化したものです。同名の書籍(『風牙』 創元日本SF叢書版 2018年10月初版発行)の電子書籍版ではございませんので、ご注意ください。
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3.5「20XX年○月△日19時頃、夏の宵闇垂れ込めるS市K町4丁目の通りで多数の住民が暗色の奔流を目撃した」――3年前、会社から帰宅途中の吉田大輔氏(30代、妻と男子ひとり)は、降りた駅から自宅玄関までのあいだで一瞬にして19329人となった。全員が寸分違わぬ吉田大輔氏その人である。瞬く間に報道され様々な考察がなされるが、もちろん原因は分からず対処のしようもない。200~600人ずつに分けて吉田大輔氏が収容された先は計6県の人里離れた廃病院、廃旅館など。隔離された環境下で果たして吉田大輔氏たちは……。応募総数464作から大森望、日下三蔵、山本弘ら3選考委員全員が絶賛し選出した、稀代のスラップスティック思弁SF。第7回創元SF短編賞受賞作。/イラスト=藤原遼
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4.7史上最高の天才物理学者である気の強い姉に、なにかにつけて振りまわされるぼく。大学四年生だった夏に日本でおこなわれた“あの実験”以来、ぼくは三年ぶりに姉に呼び出された。彼女がいまいるのは遠い宇宙空間月をはるかに越えた先、ラグランジュポイントL2に浮かぶ国際研究施設だ。そこで姉は、同僚研究者とふたりきりで“別の宇宙”を探索する途轍もない実験にとりかかろうとしていた。第5回創元SF短編賞を受賞した表題作にはじまる全3話。巻末に文庫版ボーナストラックの掌編を収めた。星雲賞候補となった、新時代のハードSF。/イラスト=加藤直之、解説=堺三保
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5.0天才科学者である気の強い姉に、なにかにつけて振りまわされる「ぼく」。大学4年生だった夏に日本でおこなわれた「あの実験」から3年、「ぼく」はまたしても姉に呼び出された。向かった先は宇宙空間――ラグランジュポイントL2に浮かぶ国際研究施設。姉はそこで、宇宙論に関するある途轍もない実験を準備していた……。ゲスト選考委員・瀬名秀明が「(日本SFの歴史を)次の50年に受け渡す傑作」と驚嘆した、新時代の理論派ハードSF。応募総数461作から大森望・日下三蔵・瀬名秀明が選出した、第5回創元SF短編賞受賞作(門田充宏「風牙」と同時受賞)。イラスト=鷲尾直広*本電子書籍は、『ミステリーズ! vol.66』(2014年8月初版発行)に掲載の「ランドスケープと夏の定理」を電子書籍化したものです。同名の書籍(『ランドスケープと夏の定理』 創元日本SF叢書版 2018年8月初版発行)の電子書籍版ではございませんので、ご注意ください。