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  • ロシアあるいは対立の亡霊 「第二世界」のポストモダン
    値引きあり
    -
    1991年の崩壊以降、ロシアは歴史の表舞台から消えたが、今世紀その存在感を奇妙なかたちで取り戻した。ウクライナ危機では核兵器まで用意し、かつての冷戦構造を彷彿とさせた。本書では、一九六八年以後のロシア現代思想の歩みを渉猟し、「対立が終わった時代」の対立をめぐる想像力を追跡。ロシアのアイデンティティ構造(自らをつねに「xの他者」〔X=資本主義、権力……〕)を明らかにする。現代を読み解くための必読書。
  • ロシア正教の千年
    値引きあり
    4.8
    時に激しく弾圧され、また、時にロシア愛国主義を鼓吹し、人々の精神的支柱となってきたロシア正教の1000年の歴史を、政治と社会の流れの中でとらえた労作の文庫化。 西暦988年、キエフを中心にロシアの国家的統一を果たしたウラジーミル1世は、ビザンチン帝国に範を求めて東方キリスト教(ギリシア正教)を国教に採用した。以来、ロシアはビザンチン文明圏に属し、モスクワは「第三のローマ」としての存在感を高める一方、西欧文明の恩恵から隔絶されることになった。同じキリスト教を共有しながら、ローマ法、ルネッサンス、宗教改革を経験せずに近代への向かうのである。 ロシア革命による「無神論体制」の誕生と、ソヴィエト政権の熾烈な迫害は、宗教者たちを厳しく追い詰めたが、それゆえにこそ、ナチス・ドイツとの大祖国戦争では、スターリンに協力しソヴィエト愛国主義の先頭に立つが、戦後はふたたびフルシチョフの弾圧を受ける。ゴルバチョフ政権下でようやく「宗教ルネッサンス」を迎えるが、ソヴィエト体制の崩壊は、正教会にも深刻な分裂の危機をもたらしたのだった。 文庫化にあたり、「プーチン政権下の正教会」を大幅に加筆。 〔原本:『ロシア正教の千年――聖と俗のはざまで』日本放送出版協会刊、1993年〕
  • ロシアの源流 中心なき森と草原から第三のローマへ
    値引きあり
    5.0
    第三のローマ=モスクワはいかに生まれたか。東から西から、ルーシの地に歴史の圧力がかかる。モンゴル、十字軍、異教リトアニア、そしてビザンツの正教会。中世期、激動するユーラシアでルーシがロシアへと固まってゆくドラマを追う。(講談社選書メチエ)
  • ロシアのユ-モア 政治と生活を笑った三〇〇年
    値引きあり
    4.0
    「共産主義時代にも盗みはあるでしょうか」「ないでしょう。社会主義時代にぜんぶ盗まれていますから」体制にとって「危険な世論」でありつづけたアネクドートは、口から口へと広まる。辛辣に権力を嗤いつづけたロシア人の過激な「笑い」を通して、ピョートル大帝期から現代にいたる、激動のロシア300年を読む。(講談社選書メチエ)
  • 論語のこころ
    値引きあり
    4.3
    『論語』は、どうして時代を超えて読み継がれてきたのでしょうか。それは『論語』が封建的、教条的な道徳の教科書などではなく、人間をありのままに見とおし、人間にとっての幸福とは何かという視点にもとづいて道徳を論じることで、読む者の人生の指針となってきたことにあります。そしてその叡智は継承され、また未来へと伝えられてゆくべきものといえるでしょう。 中国哲学史研究の泰斗として知られる著者が、『論語』の精髄を紹介する一冊が本書です。『論語』から125の章段を選んで11の柱で体系化し、各章の冒頭に付した解説によってポイントを押さえ、学術文庫版『論語 全訳注』に準拠する各章段では「原文」「現代語訳」、解釈を助ける「参考」と読み進めることで理解を深めるような構成になっています。そして最終章では孔子の略伝と時代背景に言及し、『論語』を綜合的に把握できるように配慮されています。これは、『論語』に興味をもつ独習者にとっての格好な水先案内であると同時に、『論語』の魅力を誰か(とくに年少者)に伝えようとする際の理想的な手引きとなることを意図したものです。 儒教の本質は「生命の連続」と説く著者の思索が全面的に反映した本書は、現代を生きる多くの日本人にとって実践的な示唆に富んだ「『論語』入門」となるでしょう。 〔原本:『すらすら読める論語』(2005年、小社刊)をもとに増補再編集〕 ●主な内容 第一章 『論語』の名句 第二章 『論語』を読む楽しさ 第三章 自分の幸せだけでいいのか 第四章 他者の幸福を求めて 第五章 「学ぶ」とは何か 第六章 教養人と知識人 第七章 人間を磨く 第八章 若者との対話 第九章 人生用心ノート 第十章 孔子像 第十一章 愛と死と孝と 第十二章 孔子の生涯とその時代と
  • 論語物語
    値引きあり
    4.5
    このうえなくわかりやすい言葉で、『論語』のエッセンスを読める!孔子が伝えたかったことは、こんなことだった。『次郎物語』で名高い作家にして教育思想家であった下村湖人が、人生をかけて読んだ『論語』を、そこに残された言葉をもとに、ひとつの物語として書き紡いだ。ページをひらけば、孔子や弟子たちが直接語りかけてくる!【本書より―永杉喜輔「まえがき」】湖人は生涯をかけて『論語』に学んだ。二千年以上も経た『論語』の章句を自由自在に使って、『論語』で養われた自分の思想を物語に構成したものが本書で、『論語』の精神を後世に伝えたい一念が結晶している。孔子と弟子たちが古い衣をぬぎすて、現代に躍り出す。その光景がみずみずしい現代語でたんねんに描かれている。【本書より―「序文」】 論語は「天の書」であると共に「地の書」である。孔子は一生こつこつと地上を歩きながら、天の言葉を語るようになった人である。天の言葉は語ったが、彼には神秘もなければ、奇蹟もなかった。いわば、地の声をもって天の言葉を語った人なのである。 彼の門人達も、彼にならって天の言葉を語ろうとした。しかし彼等の多くは結局地の言葉しか語ることが出来なかった。中には天の響を以て地の言葉を語ろうとする虚偽をすら敢てする者があった。そこに彼等の弱さがある。そしてこの弱さは、人間が共通に持つ弱さである。吾々は孔子の天の言葉によって教えられると共に、彼等の地の言葉によって反省させられるところが非常に多い。 こうした論語の中の言葉を、読過の際の感激にまかせて、それぞれに小さな物語に仕立てて見たいというのが本書の意図である。無論、孔子の天の言葉の持つ意味を、誤りなく伝えることは、地臭の強い私にとっては不可能である。しかし、門人達の言葉を掘りかえして、そこに私自身の弱さや醜さを見出すことは、必ずしも不可能ではなかろうと思う。 この物語において、孔子の門人達は二千数百年前の中国人としてよりも、吾々の周囲にざらに見出しうる普通の人間として描かれている。そのために、史上の人物としての彼等の性格は、ひどく歪められ、傷つけられていることであろう。この点、私は過去の求道者達に対して、深く深くおわびをしなければならない。 しかし、論語が歴史でなくて、心の書であり、人類の胸に、時処を超越して生かさるべきものであるならば、吾々が、それを現代人の意識を以て読み、現代人の心理を以て解剖し、そして吾々自身の姿をその中に見出そうと努めることは、必ずしも論語そのものに対する冒涜ではなかろうと信ずる。
  • 論理学 考える技術の初歩
    値引きあり
    4.0
    「啓蒙」の18世紀フランスを代表する思想家が最晩年に残した著作、ついに本邦初訳! イギリスから経験論を導入し、感覚や記号に関する独自の体系を作り上げたコンディヤックが若者たちのために書いた教科書。本書は誰にとっても生きる上で役に立つ「正しく考える方法」を習得するための最良の書である。この本で学べば、「諸学問について適切に論じている本を、遅くはないスピードで読み進めることができる」ようになる!
  • ローマ建国伝説 ロムルスとレムスの物語
    値引きあり
    3.0
    ローマ建国をめぐる英雄 ロムルスとレムスの生と死 大叔父の謀略により、生後すぐ捨子とされた王家の正系、双子のロムルスとレムス。2人は狼と牧人に養われ、長じて大叔父を討つが、ロムルスとレムスが覇を競い、ロムルスが勝者となってローマを興す――ローマ建国伝説である。この物語を、古代の史書等に拠りつつ、ロムルスの生涯を柱に再話。併せて物語を構成する諸要素を分析し、その意味を探る。
  • ローマ五賢帝 「輝ける世紀」の虚像と実像
    値引きあり
    4.0
    ネルウァからマルクス・アウレリウスまで5人の「賢帝」が続いた約100年間は、ローマ帝国の最盛期とされ、「人類が最も幸福だった時代」と呼ばれる。しかし、たとえばハドリアヌス帝は、同時代の人々には非常に憎まれた暴君だった。また、賢帝を輩出した「養子皇帝制」も、かえってそのために水面下での激しい権力闘争を生じさせていたのである。繁栄の陰の部分を描きつつ、この時代が最盛期であった理由を解明する。(講談社学術文庫)
  • ローマの哲人 セネカの言葉
    値引きあり
    4.1
    パクス・ロマーナ期、ローマ帝国で弁護士、元老院議員、財務官、法務官、そして皇帝ネロの顧問官を歴任したセネカ(?~65年)は、思想家として人生、死、貧困、徳、欲望と快楽、真の自由という、誰の人生にも関わるテーマについて普遍的なメッセージを遺している。「どうしてこんな面白いものが今まで日本ではほとんど読まれなかったのだ」――特定の他者にあてた書簡の形で著した十数篇の文章を、『清貧の思想』『ハラスのいた日々』の作家・中野孝次が晩年自らの翻訳で読み解く。道徳的退廃に陥った21世紀の日本を憂え、人として生きる術を説くいきいきとした箴言として提示した、現代人のためのセネカ入門。(原本:2003年岩波書店刊)
  • 賄賂と民主政 古代ギリシアの美徳と犯罪
    値引きあり
    3.0
    参政権の平等と民衆の政治参加という理想を追い求めた古代ギリシアの人々。しかし、政治の暗黒面を避けて通ることはできなかった。それが賄賂である。では賄賂とは、いつから、なぜ、「犯罪」とされるようになったのだろうか――。 紀元前5世紀なかばに直接民主政の骨格を完成した都市国家アテナイを、国力の絶頂期に導いたペリクレスは、「賄賂になびかない政治家」として知られる。友人からの供応を嫌い、宴会の招きに応じることもなかったという。それが贈収賄の温床になることを知っていたのである。 しかし、賄賂と贈与はどう違うのか。古代ギリシアはもともと、贈与交換が重視される社会だった。贈与の機能は多様であり、現代ならば、それは謝礼、賃金、報償、あるいは賄賂となるが、それは総じて「贈り物」と呼ばれたのである。そのなかで、私的な利益を誘導する賄賂への態度は、民主政の始まりによって一変したわけではなかった。賄賂を断罪する姿勢があらわれるのは、ギリシア人がペルシア戦争という未曽有の困難に直面し、賄賂が公共性にとって破壊的な結果をもたらすことに気づいたときだった。アテナイのパルテノン神殿の建設という大公共事業に際しても、贈収賄事件を実証する記録は1件も見当たらないという。 〔原本:『賄賂とアテナイ民主政――美徳から犯罪へ』山川出版社、2008年刊〕 目次 1 賄賂と贈与 2 贈り物は神々をも説得する 3 ペルシア戦争という転機 4 さまざまな賄賂 5 罪と法 6 賄賂と民主政 あとがき 学術文庫版あとがき
  • ワイン法
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    4.7
    500円のワインより1万円のワインは、ほんとうに20倍もおいしいのか?ロマネコンティ グラン・クリュと格安ワインの差を生み出すのは、品種か? 製法か? 醸造家か? 歴史か? あるいは国家か?高級ワインを高級たらしめているのは、ただ「美味しさ」だけではない。特定の産地、特定の生産者のワインだからこそ高く売れるのである。産地名、生産者名、ヴィンテージ、ぶどうの品種名……これらの情報が、ブランドをブランドたらしめているとも言える。とりわけワイン王国フランスにて繰り広げられた、ブランドを守るための数百年にわたる戦いと、そこから生み出された法と制度すなわち「ワイン法」について、第一人者が語り尽くす!1855年格付け、1889年グリフ法、そしてEU法。苛烈な競争、疫病と害虫、税と規制などをめぐる生産者たちの戦いは、AOC(原産地呼称制度)などのブランドを守る法と制度へと結実した。そしてAOCは、GI(地理的表示)として世界に広がり、いまや日本でもヨーロッパのワイン法は大きな意味を持つ。本書で語られることは、わたしたちの生活、ビジネスにも直結する大きな問題となっている。ワインを愛する人のみならず、人々の生活が動かす歴史に興味のある人、世界の食を動かす制度はいかなるものかを知りたい人、いずれの読者にも、驚きと発見をもたらす、無二の解説書!【本書の内容】プロローグ―ワイン法はなぜ生まれ、何を守るのか/第1章 「本物」を守る戦い―原産地呼称制度の萌芽 1 フランス革命とワインの自由化 2 黄金時代の到来 3 「本物のワイン」を守る戦い/第2章 「産地」を守る戦い 1 不正ワインとの戦い 2 混迷する「産地」画定 3 原産地呼称制度の誕生 4 「コントロール」される原産地呼称へ/第3章 生き残りをかけた欧州の戦い 1 欧州統合下のワイン政策 2 ワイン共通市場制度の発足 3 本格化する生産管理/第4章 新たなプレーヤーとの戦い―畑=テロワールの思想と品種=セパージュの思想 1 新世界の「発見」 2 悩ましい新世界/第5章 「危機」から新時代へ―欧州産ワインの戦い 1 一九九九年のEUワイン改革 2 抜本的な改革をめざして―二〇〇八年の改革 3 二〇〇八年の改革は成功したか?  コラム 補糖禁止のねらい  コラム EUワイン法におけるラベル記載事項  コラム ボトルに関するEU法の規制 4 新時代のワイン法へ 5 ワイン法と日本
  • 倭国神話の謎 天津神・国津神の来歴
    値引きあり
    3.0
    復元される神々の物語! 4世紀神話の原像とは? 4世紀に成立した皇室の王権が改変した「それまでの倭国の歴史」。その痕跡は、今も膨大な神話群として残されている。別説・異説として顧みられなかったそれら神話を「すべて」読み尽くすことにより、神々の系譜を解明。戦後神話研究に新局面が拓かれる。(講談社選書メチエ)
  • 倭国伝 全訳注 中国正史に描かれた日本
    値引きあり
    3.9
    古来、日本は中国からどのように見られてきたのか。金印受賜、卑弥呼と邪馬台国、倭の五王、「日出ずる処」国書、「日本」国号、朝鮮半島と動乱の7世紀、遣唐使、僧侶や商人の活躍、蒙古襲来、勘合貿易、倭寇、秀吉の朝鮮出兵。そこに東アジアの中の日本が浮かび上がる――。中国歴代正史に描かれた1500年余の日本の姿を完訳する、中国から見た日本通史。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。

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  • 忘れられた黒船 アメリカ北太平洋戦略と日本開国
    値引きあり
    -
    アメリカ海軍はペリーの他にもうひとつの艦隊を派遣していた。司令長官は海軍大尉ジョン・ロジャーズ。「ペリーとハリスのあいだ」の「ロジャーズ来航」は黙殺され、まさに「忘れられた黒船」といっていい。それはいったいなぜなのか? 本書は、これまでほとんど本格的に検証されることのなかった測量艦隊の、具体的な来日の経緯と国際環境について明らかにし、日本開国の事情をこれまでとは異なる観点で描きなおすことをめざす。
  • 私の個人主義
    値引きあり
    4.3
    文豪漱石は、座談や講演の名手としても定評があった。身近の事がらを糸口に、深い識見や主張を盛り込み、やがて独創的な思想の高みへと導く。その語り口は機知と諧謔に富み、聴者を決してあきさせない。漱石の根本思想たる近代個人主義の考え方を論じた「私の個人主義」、先見に富む優れた文明批評の「現代日本の開化」、他に「道楽と職業」「中味と形式」「文芸と道徳」など魅力あふれる5つの講演を収録。
  • わたしの哲学入門
    値引きあり
    4.5
    第二次大戦敗戦後の混乱の渦中で青春期を生きた著者は、ハイデガーをどうしても読むという渇望から、東北大学哲学科に入学。『存在と時間』を何度も読み返しながら、その内容の理解には古代ギリシャ以来の西洋形而上学の展開を知ることが不可欠だと思いいたりました。「存在とは何か」というテーマを軸に、プラトン・アリストテレスからスコラ神学、そしてデカルト・カントに始まる近代哲学まで、わかりやすく解説します。(講談社学術文庫)
  • 「私」の秘密 私はなぜ〈いま・ここ〉にいないのか
    値引きあり
    -
    「私とは何か」と問う者こそが、「私というあり方」をする者である。過去と現在、両立しえない二つの時間をつなぐ能力こそが、「私」である。時間論と身体論の邂逅によって「私」という不可思議な存在の謎に迫り、「私というあり方」は解き明かされてゆく。既存の哲学の焼き直しでなく、自身のことばで考え抜かれたまったく新しい自我論が立ち上がる! (講談社学術文庫)
  • 「私」は脳ではない 21世紀のための精神の哲学
    値引きあり
    3.7
    今、世界で最も注目を浴びる哲学者マルクス・ガブリエル。大ヒット作『なぜ世界は存在しないのか』の続編にして、一般向け哲学書「三部作」の第2巻をなす注目の書が日本語で登場です。前作と同様に目を惹きつけられる書名が伝えているように、本書が取り上げるのは昨今ますます進歩を遂げる脳研究などの神経科学です。それは人間の思考や意識、そして精神は空間や時間の中に存在する物と同一視できると考え、その場所を特定しようと努めています。その結果は何かといえば、思考も意識も精神も、すべて脳という物に還元される、ということにほかなりません。でも、そんな考えは「イデオロギー」であり、「誤った空想の産物」にすぎない、というのがガブリエルの主張です。「神経中心主義」と呼ばれるこのイデオロギーは、次のように主張します。「「私」、「意識」、「自己」、「意志」、「自由」、あるいは「精神」などの概念を理解したいのなら、哲学や宗教、あるいは良識などに尋ねても無駄だ、脳を神経科学の手法で―─進化生物学の手法と組み合わせれば最高だが―─調べなければならないのだ」と。本書の目的は、この考えを否定し、「「私」は脳ではない」と宣言することにあります。その拠り所となるのは、人間は思い違いをしたり非合理的なことをしたりするという事実であり、しかもそれがどんな事態なのかを探究する力をもっているという事実です。これこそが「精神の自由」という概念が指し示すことであり、「神経中心主義」から完全に抜け落ちているものだとガブリエルは言います。したがって、人工知能が人間の脳を超える「シンギュラリティ」に到達すると説くAI研究も、科学技術を使って人間の能力を進化させることで人間がもつ限界を超えた知的生命を実現しようとする「トランスヒューマニズム」も、「神経中心主義」を奉じている点では変わりなく、どれだけ前進しても決して「精神の自由」には到達できない、と本書は力強く主張するのです。矢継ぎ早に新しい技術が登場してはメディアを席捲し、全体像が見えないまま、人間だけがもつ能力など存在しないのではないか、人間は何ら特権的な存在ではないのではないか……といった疑念を突きつけられる機会が増している今、哲学にのみ可能な思考こそが「精神の自由」を擁護できるのかもしれません。前作と同様、日常的な場面や、テレビ番組、映画作品など、分かりやすい具体例を豊富に織り交ぜながら展開される本書は、哲学者が私たちに贈ってくれた「希望」にほかならないでしょう。[本書の内容]序 論I 精神哲学では何をテーマにするのか?II 意 識III 自己意識IV 実のところ「私」とは誰あるいは何なのか?V 自 由
  • 和の文様辞典 きもの模様の歴史
    値引きあり
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 植物、動物、幾何学、自然風景、天体・・・・・・。 古くは縄文時代にはじまり、高麗文明と隋文明の影響を受け、日本独自の美意識から研ぎ澄まされていった和の文様。衣装、装飾品、装身具、器、仏具、神具に見られる中から、 江戸時代の小袖文化により、日常着として柄が圧倒的に増えた和装文様をとりあげ、786柄を収録。 読み方、名の由来、特徴ときものとしての用途を紹介する。 きもの研究家として活躍した、石崎忠司による『きものの文様―初心者から専門家までの解説書―』。1973年に刊行された名著を、きものプロデューサーである次男の石崎功による、丁寧な解説加筆、可能な限りの図版カラー化により、リニューアル復刊! 見て、読んで、和の文化が学べる、和文様大全、ついに完成。 *本書は、衣生活研究会より一九七三年に刊行された 『きものの文様-初心者から専門家までの解説書-』を改題し、大幅加筆修正の上、 写真や図版を撮り直し、文庫化したものです。
  • 笑いの哲学
    値引きあり
    3.8
    笑いについての考察は古来さまざまに試みられてきた。西洋哲学においては笑いの底に人間の「突然の得意=優越感」あるいは「小心さ」を見た。また「笑いの空間」と「差別の空間」が重なり合うところで起きていることも意識されてきた。 では、笑いという現象を解く一個の原理があるのだろうか。 笑いとは平穏な日常の破裂である。独特の状況や人間関係のなかから生まれる。また、笑いとは生ものである、刹那的である等々、笑いという現象はいろんな側面からその特徴を見出すことができる。 本書では西洋哲学の知見から現代日本における「お笑い」さらに広く芸術まで、笑いの現場を視野に入れつつ秩序、掟への揺さぶりとしての笑いの可能性を縦横に考察する。
  • 我と汝
    値引きあり
    5.0
    「まことに、〈われ〉は、〈なんじ〉と出会うことによってはじめて、真の〈われ〉になるのである。わたしが〈われ〉となるにしたがって、わたしは相手を〈なんじ〉と呼びかけることができるようになるのである」。 「すべての真実なる生とは、まさに出会いである」。 オーストリア生まれのユダヤ人哲学者マルティン・ブーバー(1878-1965年)は、ウィーン大学で哲学や美術史を学んだのち、神秘主義的なユダヤ教の一派であるハシディズムに傾倒しつつ、ユダヤ人のパレスチナ復帰を目指すシオニズム運動に参加する。1916年にはドイツ語圏ユダヤ人の指導的機関誌となる『ユダヤ人』を創刊してその編集にあたり、またフランツ・ローゼンツヴァイク(1886-1929年)とともにヘブライ語聖書(旧約聖書)のドイツ語訳を行う。その後フランクフルト大学で教鞭をとるも、1938年にドイツを脱してイスラエルに移住。以後はヘブライ大学に勤め、エルサレムで人生を終えている。 第一次世界大戦に志願兵として参加し、塹壕のなかで着想を得て執筆されたローゼンツヴァイクの『救済の星』(1921年)の刊行後ほどなく、本書は敗戦の爪痕も未だ深いドイツで1923年に刊行された。 ブーバーの主著でもあるこの本は、「ひとは世界にたいして二つのことなった態度をとる。それにもとづいて世界は二つとなる」という一文で始まる。二つの世界のうち、一つは〈われ〉‐〈なんじ〉の世界であり、もう一つが〈われ〉‐〈それ〉の世界である。世界は、単に人間の経験の対象となるときには〈われ〉‐〈それ〉という根源語に属し、これに反して関係の世界は、もうひとつの根源語、〈われ〉‐〈なんじ〉によって作り出されるという。 「対話の思想家」と称されるブーバーは、さらに「はじめに関係あり」と語る。「私」ではなく「あなた」でもなく、〈われ〉と〈なんじ〉、そして〈われ〉と〈それ〉の出会いから始まる世界とは、どのようなものなのか。そしてそれは私たちの生に何をもたらし、どのように変えていくのか。ユダヤ思想のエッセンスに満ちた普遍的名著が、いま〈あなた〉に語りかける! (原本:『孤独と愛――我と汝の問題』創文社、一九五八年) 【目 次】 第一篇 根源語 第二篇 人間の世界 第三篇 永遠の〈なんじ〉 資料 あとがき〔一九六二年〕(佐藤貴史訳) 訳者解説 学術文庫版解説(佐藤貴史)
  • 湾岸産油国 レンティア国家のゆくえ
    値引きあり
    4.0
    クウェイト、カタル、バハレーン、UAE、オマーン。湾岸産油国は、驚くべき特徴に満ちている。莫大な石油収入によって、所得税はなし、教育費は無料。1人あたりのGDPが日本の2倍の国もある。一方で、「経済発展が民主化を促進する」という定説はあてはまらず、君主制が維持されたままだ。2009年のドバイ・ショックで、世界経済における影響の大きさを知らしめた「石油王が統治する金満国家」を詳細に分析する。
  • ヴァレリー 芸術と身体の哲学
    値引きあり
    4.0
    習慣として早朝の数時間、一日のうちいちばん「非社会的」な時間に書き続けられたというヴァレリーの言葉。 膨大な量のそれは人間の生の実相へと肉迫する。作品が装置であるとはどういうことか。時間と行為の関係とは? 詩が身体を解剖するとは?  ヴァレリーのテクストを丹念に読み込み、そこから描き出された芸術と身体と生の関係。 著者の美学・身体論の出発点となった記念碑的力作。

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