講談社文庫作品一覧

非表示の作品があります

  • 本田宗一郎 思うままに生きろ
    3.0
    堂々たる人生――本田宗一郎の花と嵐を克明に追う。びっくりするほど痛快で、とてつもなく人間味にあふれ、好きな道を突っ走った男の生涯が、ここに輝いている。ハングリーな鍛冶屋の伜が、エンジン開発に情熱を燃やし、クルマに夢を託した秘密とは何か。実業に徹し世界にアピールした軌跡を明かす。
  • 同行百歳
    -
    安穏で平凡な道を望みつつ、しかし、妻と歩いてきた道は、けっこう波風が立ち、危険に満ちていた。今、よくやったじゃないかと、自分に拍手を送ってやりたいような気がしている――という表題作はじめ、来し方を思いながら、生きることの辛さに涙し、楽しさに心を暖め、人生の意味を探る、味わい深い名品11篇。男の涙の履歴書!
  • 団塊サラリーマンの生き方
    -
    出向・配転に襲われる40代後半のサラリーマン諸君! トップと新人類にはさまれて悩みが深い。家庭と仕事をいかに両立させるか、会社処世もままならぬ。だが負けるな。いまこそ、自分のために生きよ。右顧左眄するな。かけがえのない人生を無駄におくるな。時には会社と対峙せよ。勇気の出る提言に学ぼう。
  • 小樽地獄坂の殺人
    5.0
    遺言状に残された、見知らぬ3人の男女の名前。しかも父は、そのうちの一人を結婚相手に指名していた。23年前の小樽で、父に何があったのか? 3人の消息をたずねて北海道に渡った、一人娘・由紀子の周囲に起こる殺人事件。小樽と京都を結ぶ連続殺人が、せつなく哀しい愛の悲劇を浮かびあがらせてくる。本格長編推理。
  • 十二秒の誤算
    5.0
    ニューヒロイン登場! 不倫調査員・片山由美・27歳。不倫に疲れて会社を辞め、興信所に勤めた由美の初仕事は、主婦の浮気調査だった。夫の依頼で尾行を始めて10日目、妻は愛人と彼のマンションで毒死していた。心中かそれとも……。事件の真相に迫る由美に危険が──。鮮やかな推理で謎を解く、新シリーズ傑作短編集。
  • 婚約
    -
    「弱っちゃった。焦っちゃうの。最後の最後に来てこうですから」とっくに相手と同棲してしまっている息子の結婚を控えて、微妙に揺れ動く父親の心理を、哀歓をこめてユーモラスに描く表題作。筆者の青春に色濃く影響を与えたおでん屋について書かれた「たにし亭ありき」、他にイタリアの画家ボッカッチの絵にまつわる「一枚の絵」など、人生の味わい深い、哀歓と滋味にあふれた傑作短編集。全12編収録。
  • 京都清水坂殺人事件
    -
    古都の陶器店主が絞殺され、現場に砕けた抹茶茶碗が残されていた。失踪した長男、若き後妻と先妻の娘、そして不倫。事件の背景に、様々な愛憎のドラマが浮びあがる。人の心を癒す千年の都で起きた哀しい殺人に、第2の犠牲者が加えられた……。検視官・江夏冬子が事件の謎を鮮やかに解き明かす、本格長篇ミステリ。古都の陶器店主の死の謎、砕けた抹茶茶碗の謎とは?
  • 記憶のなかに
    -
    靖国神社に近い坂道のそばにあった母の美容院。皿の底を頭に叩きつけられて泣く病弱の姉。出征の演説を小さな声で三言しか喋らなかった兄。――戦中から戦後へと、成長する童女の犀利な感性がとらえた、生活の微妙な陰影と心の動きを、詩的な散文に凝結させた表題作のほか、3篇を収録。芥川賞作家の第一創作集。
  • 雨はいつまで降り続く(上)
    -
    元M新聞サイゴン特派員の矢沢建彦のもとへ、シェーというベトナム人から一通の手紙が届いた。ベトナム戦争当時、戦闘中に死んだはずの友人でジャーナリストの叶吾郎が生きているというのだ。叶の行方を探すため、矢沢は急遽バンコクへ向かうが、ベトナムに潜入した矢沢に暗殺者の手が迫る……。ベトナムに生き、愛し、闘った男たちへのレクイエム。<上下巻>
  • バラガキ 土方歳三青春譜
    3.9
    「どんなことをしても勝ちゃいいのさ」と、うそぶく男は、その名も土方歳三。茨のような鋭い棘を持った悪童、さわると棘で怪我をする危ないヤツ、だからバラガキ、と呼ばれている。攘夷が叫ばれる江戸を舞台に喧嘩三昧、そして京の街でもひと旗あげようと勢い込む。ナカバ的解釈の痛快新選組・青春グラフィティ。江戸で大暴れの新選組、京でもひと旗あげてやる!
  • 頼朝勘定
    -
    伊豆・蛭ケ小島に流罪の身の源頼朝は、伊東祐親の娘・八重との間に子をなしたが、祐親の怒りに触れ恋は破れた。失恋に懲りた頼朝が、北条政子との新たな恋でとった策は? 作者は言う、小説の醍醐味は読者の予想の裏をかくことだ、と。大長編の名手・山岡荘八が、その力量・技量を濃密に約集して贈る名短編11編。秀抜で独得な史観でせまる珠玉の歴史短編集。
  • 葉煙草の罠
    4.0
    森麻子は、京都の外国人観光客用ガイドである。フィリピンの貿易商・ベルナスを案内して清水寺にきたとき、英文パンフレットの購入を頼まれた。だが戻って来た彼女が目にしたものは、ベルナスの惨殺体だった。そしてベルナスの右手には、1個の10円玉が握られていた。彼は何を告げようとしたのか? 貿易と政争をからめた、意欲的推理長篇。
  • 復活祭のためのレクイエム
    -
    <言語>と<笑い>にあふれる、群像新人賞受賞作。――窮極のキャッチフレーズ「買って」! これをオカマのセーラちゃんに教えられた、コピーライターの僕。あらゆる言葉になることができたし、あらゆる物になることができ、メタモルフォ-スをくり返す、W1―ダブルワン。そしてオカマに変身してしまった「彼」の、愛と笑いにあふれた物語。一分ごとの笑いの激流におぼれないで、最後まで「読んで」!?
  • 東京ディズニーランド 驚異の経営マジック
    -
    千葉・浦安の海に生まれた「夢と魔法の王国」は、オープンしてから毎年1000万人以上の来園者を集める、超人気の遊園地だ。なぜ魅力があるのか? 王国の生い立ちからアトラクション戦略まで、徹底取材する。ファミリーエンタテインメントが成功する秘密と経営ノウハウを解明し、文化装置産業の未来像に迫る。
  • 少年魂
    5.0
    大切なのは、できごとの数々でなく、そのときどきの状況のなかで、どれだけ自分を伸ばしたか、ということである。それが、明日への活力の基礎になるからである(「まえがき」より)。最高検察庁検事を辞めてボランティアの普及に尽力する道を選んだ著者が、自信の「原点」であると語る「少年時代」を振り返る。
  • 住友銀行経営会議
    -
    熾烈な「金融大戦争」へ万全の臨戦態勢を整えたいま、世界のベストバンクをめざしてフル稼働。その巨大な戦略を具体化するのが、経営会議。すばやい意思決定のもとに、あらゆる舞台に打って出る、大躍進するおそるべきパワー集団のエネルギーは、どこから生まれるのか。人と組織を生かし、躍進するすばやい意志決定の秘密を解く、経営学教科書。
  • 花の寺殺人事件
    -
    宇治平等院の藤棚の下で出会った男との結婚を夢みたハイミス。だが、彼女の前途は決してたやすくはなかった。藤、芙蓉、彼岸花、桜、菊、石楠花、月下美人、桔梗などで知られる京都の古刹を舞台にして、トリックの女王がはなやかに展開させる、本格ミステリーの出色連作集。
  • 一万分の一ミリの殺人
    -
    致命率70パーセント、エイズよりも恐ろしいという、国際伝染病「エボラ出血熱」。その男性の真性患者が、東京で発見された。さらに、疑似患者も次々に出た。第一次感染者と思われる女は、行方不明。国立微生物医学研究所内部の人間による、ウイルス漏出説を探る新聞記者は、殺されてしまう。綿密な取材と完璧なデータに裏打ちされた、俊英の都会派ミステリー。国際伝染病パニックの元凶は、だれなのか? 首都にまき散らしたのは研究者か、赤毛の女か?
  • マラッカの海に消えた
    5.0
    石油会社のOLだった亜木子は、上司・田岡との愛を清算して、社内結婚する。しかし、夫婦間は冷たい。ある日、夫はマレーシアに出張した。孤独をいやそうと夜の盛り場に出た彼女は、なんと異国にいるはずの夫を見かけた。そして翌日には、田岡の死体がホテルの一室で発見され……。東京とペナンを結ぶ、雄大な推理秀作。
  • となりの韓国人 傾向と対策
    4.0
    仕事よりメシが大事な韓国人、完璧なんて望まない韓国人、はっきり言わなきゃわからない韓国人。似てるようでもちょっと違うし、違うところはずいぶん違う。そんな違いに、日本人と韓国人は、いつもつまずく……。20年以上韓国と関わってきた人気女優が解き明かす、ドラマではわからない「隣人」の真相。愛するなら、知ってほしい! 「礼」と「情」にあふれる「隣人」は、お節介で少しワガママ?
  • ソウル マイハート
    -
    私の人生を変えたソウル。ソウル、マイライフ! 韓国の、あるバレーボール選手をひと目見たとたん、むくむくと今まで知らなかった隣国に興味を覚えた。必至にハングルを勉強し、ソウルの街に飛びこんだ。熱くて激しくて陽気なコリアンたちとの出会い。つかの間の旅の出会いも、自分の意志で永遠の出会いに変えることができるんだ。みずみずしい感性でつづる、異文化体験記!
  • ソウル マイデイズ
    -
    「私は本来何者であったのか」……昔の記憶を取り戻しながら、苦しくも楽しかったこの2年を振り返り、またそれ以前の生活へ帰還しようとしている――。アジア初のサッカーW杯を目前に控えたソウル。その地でキャンパスライフを始めながら、東京との二重生活を送った韓国通の女優が、熱き鼓動をリポート。一挙公開! ソウル「ドキドキ生活」。
  • 悪道 最後の密命
    -
    伊賀忍者の末裔・流英次郎とその一統は、影将軍に隠密の護衛役として仕え、幕府の危機を幾度も救ってきた。その影将軍が正統の血筋に返すため、後代家宣に将軍職を譲ることを決意する。だが、幕閣、大奥、御三家と思惑と野心が交錯し、すさまじい抗争が勃発する。闇の世界で刺客と刃を交える英次郎一統は、影将軍の治世を護るため、最後の戦いに向かう。そして英次郎を慕うものの、生き方を異にする天才女医おそでとの結末は!?
  • 恋盗人
    5.0
    美人アナウンサー・細川知子が不倫相手の杉正彦とデート中、杉の妻が何者かに殺される。あわてた二人は、死体をひそかに琵琶湖畔に埋めるが、まもなく、「犯行を目撃した。500万用意せよ!」の脅迫状が……。甘い生活から一転、苛酷な運命に翻弄される知子。衝撃のドンデン返しを秘めた、魅惑的長編推理。美人アナウンサーを翻弄する愛の迷路。愛しあう男女を引き裂き、殺人にまで駆り立てるものは何?
  • 踊る腹のムシ グルメブームの落とし穴
    4.0
    顔にコブのできた有名プロレスラーが、寄生虫博士の研究室にやってきた! 原因は海外で食べた刺身から感染した有棘顎口虫(ゆうきょくがくこうちゅう)。生の食べ物にはキケンがいっぱい! ブタ肉から有鉤条虫(ゆうこうじょうちゅう)、地鶏のレバ刺しからイヌ回虫……。グルメブームの日本人に警鐘を鳴らす、面白コワイ、メディカル・エッセイ。その刺身、食べるのチョット待って! カイチュウ博士の仰天エッセイ。<『獅子身中のサナダ虫』改題作品>
  • 葉桜の季節
    3.0
    季節の移ろいとともに、大地の色やにおいが変化するように、いつの日も心のままに生きてきた。……瀬戸内海の光を抱いて過ごした幼い日から今日まで、さまざまな出会いと別れを繰り返した自らの生を、四季の情景に重ねてたどる自伝的エッセイ集。性愛文学の極限を求めつづける著者の愛と生の原点が、ここにある。
  • 夢探偵 SF&ミステリー百科
    -
    日本のSF創始期から活動を続け、さらに推理小説にも精通した、著者ならではの、貴重なSF&ミステリー・ガイドブック。古今東西の傑作をベースに、バラエティーに富む、興味深いテーマや内容をしゃれた文章でエッセイ風に展望する。巻末に「ミニ推理・SF史」「読書ガイド」収録。<『SF・ミステリおもろ大百科』改題作品>
  • 彼の故郷
    5.0
    幼年の頃、青年の頃の忘れがたい光景……それは「故郷」という地獄である。「浩」と呼ぶ少年の成長の過程を、夢と現実の巧みな交錯の中に描き、硬質な抒情の世界を創る半自伝的短編連作集。「いわゆる生い立ちの時期に自然と注意が集まって行った。で、特に意識させられたことは、自分の奇妙な姿勢であった。幼年期から青年期の始めにかけての記憶と現在との間には遠い距離がある。私は、普通に眺めれば広い視界の、ごく限られた一劃に望遠鏡のピントを合わせ、陽炎のかなたを見ようとして呼吸を整えるといった具合だった。」(後記より)
  • 白い椅子
    -
    誠実な院主として、檀家に好感を持たれている曜(よう)は、二人の年上の未亡人と関係を続ける一方、拒絶された年下の未亡人に対する想いを断ち切れずにいる。そんなとき、曜は親鸞のいう「宿業」を考える。愛欲と闘った親鸞の苦悩があるか。親鸞の教える生き方をしているか。情欲に溺れる己の非力を痛感し、それを超えようとする青年僧の煩悶を描く、長篇大作。
  • 日本のこころ
    -
    情緒・学問・信仰・教育など、日本人の原点的な精神生活に深い洞察の眼をむけて、〈春宵十話・すみれの言葉・私の人生観〉など、全21編の多彩な思想を集大成した、異色の随想集。碩学・岡潔博士の、現代におくる生きた思索の書。不朽の名作!
  • 道化の宇宙
    -
    祝祭的な宇宙=世界を司る道化とは何者か? 「道化は、日常語に属する等身大の思想に対しては、その本来の姿を現さない。……彼は真昼間の世界では錯乱を装い、黒い仮面を通して闇の世界から出現する何者かであったのだ」……近代社会の単一価値的で現実的・合理主義的な世界に、異端として現れる豊饒な存在者を、実例的に分析する、不朽の名著。道化こそが、この一義的で硬直した世界を、哄笑によって救済する!
  • 天の橋立殺人事件
    5.0
    天の橋立に向かう急行の車内で、東京の会社員が殺された。彼は不動産を処分して大金を得て、しかも再婚したばかりだった。新妻や昔の恋人たちが容疑者として浮かぶうち、今度は針供養で賑わう京都法輪寺で新しい殺人事件発生! 連続殺人の謎と時刻表トリック崩しに令嬢キャサリンが挑む、豪華絢爛推理。
  • 地鳴りの家
    -
    瀬戸内海沿岸の浅川村で200年続いた旧家=加納本家の莫大な財産を、二軒の分家の男たちが虎視眈々と狙っていた。莫大な財産をめぐる血塗られた骨肉の争いだ。子宝に恵まれぬ本家の夫婦は、折しも玄関先に捨てられていた女の赤ん坊をりんと名づけ、養女にして財産を継がせようとした。夫婦があいついで世を去り、成長したりんが当主となった時、血の惨劇がはじまった。零落する一方の北加納家の男たちは、その財産を狙うのだが……。――明治の瀬戸内地方を舞台にした野心的長編。
  • 体にいい寄生虫 ダイエットから花粉症まで
    3.8
    寄生虫を愛するあまり、自分の体で飼い始めてしまった、カイチュウ博士。ヒロミちゃんにサトミちゃんと名前も付けて、大まじめに人体実験を試みた結果は? 寄生虫でダイエットに成功した世界的有名人のエピソード、花粉症やアトピーも寄生虫で克服できるという医学的根拠など、ビックリ仰天の面白エッセイ。寄生虫と人間のとってもいい関係……カイチュウ博士がおなかでサナダ虫を飼って人体実験!
  • メロドラマ
    -
    港町・神戸に流れ着き、男ゆえの傷をかくしキザに生きる、謎の男・名倉。その彼を敬愛・崇拝しながらも、やがては追い越そうと狙う、チンピラの若者たち。そして、誘蛾灯のような名倉の魅力にひかれて寄ってくる女たち……。名倉をめぐる人物の相関図が次第に暴いてゆく、彼の謎の過去とは何なのか? 美しい神戸を舞台に、人生を踊る男女を洗練された手法で描く都会のサスペンス・ロマン。
  • 素直な容疑者
    3.0
    目覚めたとき、明の横で、女は息絶えていた。赤くよごれたシーツと、ベッド脇の血をたたえた水槽。逮捕された明が、自ら推理したのちに選んだ運命は? 少女の愛の渇きを見事に捉えたミステリーの表題作のほかに、女性心理の微妙な揺れ、また翳りを描く「窓辺の娘」「犬を飼う男」「街の神秘と憂愁」など全7編。
  • 戦略的「鎖国」論
    -
    無差別に国を鎖せというのではない。無差別に外国に自分を合わせることへの警告である。自己主張を忘れ、ムードや外圧に流された安易な「国際化」に走ることなく、今こそ独自の戦略を選びとるときである。そのためには自分自身を知ることであり、自国の強さと弱さ、本質と枝葉の区別を弁えることである。自己主張を忘れた戦略なき日本への、冷徹な提言。
  • 雪嵐
    -
    北海道・大雪山麓。苛烈な自然と貧困に怯えつつ暮らす、両親と6人の子供。生活の辛さ、女教師への憧れ、淡い性の目覚め、そして何より、自然と人情の美しさの中で、少年は成長していき、人生に目覚めていく。その目は、重い真実と胸底の暗い澱みを見据えながら、爽やかな明るさを失なわない。少年の目に映じた自然と人情の素晴らしさ。まさに、著者が「ぼくの原風景」「文学の原風景」と呼ぶにふさわしい、感動的な長編小説である。
  • 西鶴人情橋
    4.0
    俳諧師から草本作家への転身をはかる井原西鶴。亡父ゆずりの豪剣をふるう磯部信十郎。二人の奇妙な友情を軸に織り成される人間模様の数々。米相場を左右する大阪商人たちの葛藤と幕閣中枢の暗闘には、謎の美剣士がからむ。――剣あり、恋あり、友情ありの、浪花元禄時代絵巻。第3回時代小説大賞受賞作。剣と恋がからむ西鶴と青年剣客の熱い友情を描いた、手に汗にぎる活劇ロマン!
  • 生のさ中に
    -
    先生、世界に夕焼ってものがなくって、或る日急に夕焼が見えたら、みんなよく見るでしょうね。地球が出来てから無くなるまでに、夕焼が一回しかなかったら、その晩には気が狂う人が出るでしょうね。……終末の色に深く彩られた世界を背景に、陰翳に富んだ若く多感な日々の心のゆらめき、血のざわめきを妖しく描く。
  • 森林がサルを生んだ 原罪の自然誌
    3.0
    霊長類は、食物が豊富な森林という楽園で、進化してきた。この生態的背景が、元来は植物食であった霊長類に、肉食獣的性質をも内包するという、二面性を持たせた。この傾向を強くおし進めたのが人類で、草食獣的性質が善の範疇に入る徳性を生み出し、肉食獣的性質が悪の範疇に入る行動を創造することになった。森林を舞台に進化した霊長類ゆえ、人間がサルから背負ってきた悪の原罪とは? 人間、この不思議な生物の進化の源流!
  • 心ひだひだ
    4.0
    気になる動物を3匹挙げて、各々についての印象を3つずつ述べよ。……そうすればあなたの真の姿が分かります。というように、心理テストとともに読み進める、新タイプのエッセイ集。秘めた恋心から子供時代のささやかなトラウマまで。女優がチラリ垣間見た、人の心のひだひだの奥底。ムロイとあなたの本音を比べてみませんか? ムロイと一緒に自分を知る旅へ!
  • 乗ったで降りたで完乗列車
    -
    国鉄全線をはじめ、私鉄も含めて日本の鉄道全線区をついに完乗。汽車旅が好きでたまらず、フリーのレイルウェイ・ライターになった著者が、全線区の乗りつぶしから、鈍行乗り継ぎ、気まぐれ列車の旅、「ORITADEごっこ」、「汽車旅おにごっこ」など、新しい汽車旅の魅力を見つけ出しては楽しんでいる。旅行記の傑作!
  • 小説の如く奇なり
    -
    事実が小説よりも面白い、というのは間違いだ。小説のように面白い、と考えるのが正当ではないか。作家の自負心から、小説という虫メガネで事実をとらえてみたいと志した著者が、札幌の屋台、元横綱の断髪式、温泉場の芸者さん、能古島の愉しい漁師、シンガポールのラッフルズ・ホテルなどをたずね歩いた、出色の読みもの12編。奇なる事実の背後にある小説的なおもしろさを、作家の自負をこめ作家の目で捉え、ユニークな題材に挑んだルポルタージュ!
  • 寂寥郊野
    3.5
    朝鮮戦争で来日したリチャードと結婚して、幸恵がルイジアナ州バトンルージュに暮らしはじめて30年。その幸恵の言動崩壊が始まり、症状は目に見えて進んでいく。夫は妻の鬱病に心あたりがないでもない。国際結婚と老いと孤立を描く、現代文学の秀作。芥川賞受賞作。1997年、「ユキエ」として、脚本・新藤兼人、監督・松井久子で映画化された、名作。
  • 黒い森林
    -
    スターリンの死後から12年たった、1965年のモスクワ。彼の死後も根深く残る、個人の自由を圧迫するスターリン主義は、批判されても、なお厳然、恐怖感とともに残っている。強制収容所帰りの元作家を軸に、社会主義社会・ソ連における非合法の地下出版を描き、人間の原存在を脅かす凌辱を烈しく告発した、井上光晴の異色作。秘密地下出版と強制収容所に焦点をあて、人間性の剥奪を烈しく追究する!
  • 高級官僚 “霞が関帝国”の舞台裏
    -
    官僚再編時代を迎えた今、「霞が関帝国」をめぐる覇権争いは、ますます激しさをましている。水面下で展開される高級官僚の新しい動きと狙いは何か? 許認可権と補助金行政をテコに、日本を裏から操りつつ、天下りと利権の蜜に群がる、新エリート集団の実態をえぐる。背広の下の発想、政官民で築く覇権と利権の動きを、綿密な調査で明かす力作。
  • 個性の時代 ミーイズムのすすめ
    -
    集団の時代から、個性の時代へ。――日本でも、他人に委ねる生活から、自分の足の上に立つ時代がきている。個から生まれるバイタリティが強く求められている。「私」がないところに知的リーダーは育たたない。しかし、個人としての能力は、結局は個人的な生活から生まれてくるものだ。コンセンス社会に身を委ね、主体性を喪失してきた日本人には難しい。自分を持つことは生活のなかから変えてゆかなければなるまい――。「集団」から「個」の確立をいかにはかるかを明晰に述べた名著。「個性的生活」創造のための発想が必要だ!
  • 京都再婚旅行殺人事件
    5.0
    親友ユミの結婚式に出席したのが縁で、麻矢はユミの義兄・杉原太郎と結ばれる。豪華な挙式、京都に1泊して外国へのハネムーン。麻矢は幸せだった。ところが初夜が明けると、太郎がベッドで毒死していた。初めに疑われた麻矢だが、嫌疑が晴れると、自ら探偵役に! だが、夫の過去を探っていくと、連続殺人が……。愛をテーマにした、本格長編推理。
  • 京都愛人旅行殺人事件
    5.0
    独身実業家・沖邦彦の花嫁公募に殺到した若い女性の群れから、最後に4人が選ばれた。平凡なOLの中山美佳もそのうちのひとり。4人は沖と京都へ旅する。第1夜に美佳は沖と結ばれ、幸せにひたるが、他の花嫁候補の身に惨事が起きていた。そしてまた次の犠牲者が……。華麗なトリックをちりばめた秀作集。
  • 灰左様なら
    -
    怪談咄を手に入れるためには、人間の奥深さや恐さを知らねばならない。怪談咄の祖・林屋正蔵のそんな気持ちが、「東海道中膝栗毛」の作者・十返舎一九への好奇心をより強いものにさせていった。一九には、想像もできない奥行きと恐さがある、その正体を暴く必要がある……林屋正蔵の執念を描く、時代小説の傑作。
  • 花嫁は容疑者
    4.0
    秋野夕雨子は推理作家だが、TV「ナイト9」のニュースキャスターとしても活躍している。番組スタッフとバカンスに出かけたグアムのホテルで、新婚旅行中の新郎の墜落死に出会う。事故か事件か? 夕雨子の華麗な推理が真相を解きあすか表題作を始め、トリックと謎解きの醍醐味溢れる本格ミステリ連作集。
  • 暗夜行路
    -
    不義の子として生まれ、父に冷遇され、祖父の家で育てられた主人公・時任謙作が、暗い運命に創作をもって立ち向かう自我発展の経過を、美しい自然描写とともに、明晰な文体で表現。祖父の妾で20も年上の女に恋する謙作の出生の秘密とは? 現代日本文学の記念碑とも称すべき名作長編。17年間を要した著者唯一の長編小説である。
  • シャーロック・ホームズの冒険
    -
    不可思議な謎、卓抜な推理、ユーモア等のあふれる古典的傑作の第一短篇集。詩人鮎川信夫による新訳。霧深いロンドンを舞台に不可思議な事件と対決する、名探偵シャーロック・ホームズ。その卓抜な推理、クールな人間味、脇役ワトソンとのユーモアに富む友情と、推理小説の原型的なトリックを提示して尽きせぬ魅力を有する、傑作処女短篇集。「赤毛クラブ」「まだらの紐」などの名作を収録。詩人・鮎川信夫による名訳。文豪ポオに始まる近代推理小説は、名探偵シャーロック・ホームズの出現によって確立した!
  • 愛の立待岬
    5.0
    京都府警・捜査一課の橋口警部補は、妹・舞子の結婚式のため、北海道・札幌へ向かった。しかし、式の翌朝、花嫁の舞子は突然失踪し、やがて函館の立待岬で死体となって発見される。哀しみに耐え、犯人捜査にのりだす橋口の前に、さらに第2の殺人事件が……。哀愁の立待岬を舞台に、愛と欲望が交錯する、本格長編推理。函館から京都へ……兄の執念が犯人を追い詰める!
  • ヘアデザイナー殺人事件
    -
    京都のホテルで、ディナーショウのために東京からきていた、食品会社の社長夫人が殺された。京都府警・狩矢警部は、遺留品から東京・六本木の有名ヘアデザイナーとの関連を悟る。1週間前にもこのヘアサロンの常連客が殺されていたという……。華やかな美容界の虚飾と愛憎の果ては? おなじみの名探偵キャサリン嬢が活躍する、卓抜の密室トリックの傑作!
  • ぺ

    3.2
    「ペ」は「ペ」であり、「ペ」いがいのなにものでもない。が、それにしても「ペ」とはなにか? 液体、気分? 女、男? 哲学、心象? 食べ物、道具? 天使、野兎? 「ペ」と遭遇したことはありますか? 「ペ」と話したことはありますか? ……卓抜なアイディアと詩人の言葉が拓く小宇宙。「花の掟」「墜ちた男」「エデンの園」「緑色の蝶」など、意外な展開と絶妙の結末がしかけられた、23編のショートショート集。
  • はまなす物語
    3.0
    北の浜辺にひっそりと咲く、はまなすの花。傷つき、こわれやすい生への愛惜をこめた、北国に開いた、静かで、透明な美しさをたたえる、愛の物語。北国の若い獣医、東京に嫁いだ姉、都会に憧れる妹の兄妹三様のひたむきで真摯な人生を、はまなすの花に寄せて、砂地に染み透るようにしみじみと描く。三浦文学の円熟の境地を示す長編恋愛小説。
  • テレビ式 ヒットを生む発想と行動
    -
    時代は嫌われ者が創る! ネアカ人間に時代は創れない! アウトサイダーが集団を生かすのだ! 『笑っていいとも!』『オレたちひょうきん族』で笑いの世界を独占する名プロデューサーが公開する、テレビ式発想のヒント。流れをどうつかむか、才能を引き出す秘訣は? もちろん興味津々のスタジオ裏話もぎっしり。笑いの仕掛人が明かすタモリ、たけしの素顔からヒットのからくりまで。あなたのテレビ中毒をますます重くしてしまう、罪つくりな一冊。オジサンは怒ってる!?
  • キューポラのある街 1 ジュン
    -
    鈴木ジュンは、キューポラのある街、埼玉県川口市の中学3年生。一家は貧乏な鋳物職人の父・辰五郎、いつも生活費の工面でイライラしている母・トミと、ひねくれ者の弟・タカユキ。そんな生活の中で自我に目ざめ、進学か就職かに悩むジュンの姿を、心とからだの両面から鮮烈に描いた、異色大河小説の第1巻。吉永小百合の主演で映画化もされた、日本児童文学者協会賞受賞、不朽の名作。<全5巻>
  • アリバイ特急+-の交叉
    -
    寝台特急「富士」に乗っている男が、同時刻に他の場所で殺人を犯すことができるだろうか? 日向・札幌・東京で起こった殺人事件の真犯人を追って、黒江壮と笹谷美緒の探偵コンビが、犯人のめぐらした鉄壁のアリバイ崩しに挑む。宮崎→北海道→東京を結ぶ、傑作トラベル・ミステリー長編。
  • 彗星伝説
    -
    30回目のハレー彗星が近づいている! 人の一生に一度やってくるこの彗星は、はたして吉か凶か? 宇宙創造の謎を秘めたこの彗星を巡る、恐ろしくも美しく、そして哀しい「彗星伝説」をメインに、今はやりの遺伝子に組み込まれた転生の神秘を語る「頭ごっつんこ」や、結末の冴えたみごとなショートショート群の「幻想カレンダー」など、ロマンに満ちた8編を収録。奇想卓抜、抒情横溢、珠玉多彩……神秘の星や人生をめぐる、楽しく華麗なメルヘン集。
  • 湾岸線に陽は昇る
    -
    僕が僕であることを見つけるために、ずいぶん遠回りをしてきた。演劇への夢破れ、無為の日々を過ごした青春時代。やがて一念発起、放送作家になって、がしがし働いた。アマゾンへ、インドへ、東欧へ、カンボジアへ……地球の果てまで歩きまわった放浪と再生の日々。〈絶叫詩人〉ドリアン助川の魂の叫びを聴け! 挫折、放浪、再生……ガムシャラに走ってきた「金髪先生」の青春記。僕が僕であること、君が君であること……骨に響くメッセージ!
  • 目こぼし歌こぼし
    -
    下級武士の息子・足柄七十郎は、ふとしたことから、城下の居酒屋「とろろ」で起きた、不可解で恐ろしい殺人事件にまきこまれた。事件の渦中におかれ、謎の古地図をふところに、仇討ちに出た七十郎は、藩の非人間的な搾取のからくりを知る――人間が真に人間らしく生きる自由と平等の問題を追求した、意欲的な長編時代小説。
  • 道づれは好奇心
    5.0
    「やりたいことはかならずやるという厄介な習性。その中心に位置しているのが『好奇心さま』なのだ」という著者が、来(こ)し方を振り返りつつも、若い学生とともに学ぶ沖縄の日々を綴る。そしてその中で気づいた「伝えるべき『知恵』と経験がわたしにもある」という事実。愛に満ちた人生の指針となるエッセイ集。今日も学びながら想う……いま、伝えたいこと!
  • 女性の歴史(上)
    -
    「火の国」の詩人・高群逸枝が、大正昭和の激動期に、「われらいかに生くべきか」……と、女性解放の学問的寄与を決意して、武蔵野の一隅「森の家」に20年あまり。「母系制の研究」「招婿婚の研究」を基底に、一貫して「母性我」に視点を据え、自然なる原始の「母性我的母権社会」への復権を願い、新しい女の権利獲得運動、戦後現憲法下での男女同権の一応の実現など、婦人の諸問題を分析し、自身の遺書として自らを燃焼し尽した、女性全史。著者の願いが永遠であるごとく、本書の価値も永遠である。〈上下全2巻 上巻〉
  • 女王卑弥呼
    3.0
    血みどろの戦乱をくぐりぬけ、卑弥呼は邪馬台国の王となる。視覚にハンディを持ちながら気品と美しさを備えた女王に対して、周辺の国は並々ならぬ関心を寄せる。危い女王を全力で補佐する老将・伊支馬の奮闘と異相の愛。そして卑弥呼の決断のときが来た! 謎の王国と女王のありようを新しい視点で描き上げた、問題の秀作。九州・吉野ヶ里の海と山野に展開する古代人の争闘とロマンを大胆に描く!
  • 幸福に生きる知恵
    -
    「私は一人の男が好きになると、朝から晩までその男のことばかり考え、何から何まで世話をやかずにいられない」「いくつになっても人間の考えることは、その人の行動から出てくるものと思う」と語る宇野千代さん。いつでもどこでも自分流の愉しみを見つけて生きてきた、彼女の生き方の秘訣、魅力の源泉を探る。――今を愉しんで生きる、それが幸福。幸福のかけらは、いくつでもある。ただ、それを見つけ出すことが、上手な人と下手な人がいる。幸福さがしの達人になる!
  • 現代悪妻伝
    -
    浮気封じにと、飼育しているつもりの夫の精液を、文字通り吸い取る「しごき妻」。嘘で固めた経歴でエリート銀行員の妻の座におさまり、夫や夫の周辺に大小さまざまの虚偽を撤き散らす「虚言妻」。燃えさかる焔を見るごとに、妖しく下肢を濡らす美貌の「異常妻」。内助の功をカンちがいした妻、金がすべてとケチ生活を夫に迫る妻……などなど、現代の悪妻を描き尽くす、ブラック・ユーモアの連作12編。こんな悪妻がいるなんて! 12人の悪妻をコミカルに描いた傑作。
  • 空白の五分間 三河島事故 ある運転士の受難
    -
    三河島事故の真の責任者は誰か? そのとき電車運転士は、意識がないまま刺戟に応じて行動する「自動人間」ではなかったのか? 160人もの犠牲者を生んだ二重衝突事故をつなぐ五分間の空白に、何が起こったか? 有罪にされた運転士の行動の謎に、そして事故の真相に、脳神経外科医が医学のメスを入れ解明する、ドキュメント力作。
  • 気まぐれ列車で出発進行
    -
    時刻表を片手に、その日の気分であちらに寄ったり、こちらに降りたりする、気まぐれ汽車旅の楽しみ。日本縦断鈍行乗り継ぎ気まぐれ列車、日本列島外周気まぐれ列車から、はたまた韓国、香港気まぐれ列車まで、乗りに乗りまくる。レイルウェイ・ライターによる、ユーモアあふれる汽車旅エッセイの会心作!
  • 企業犯罪
    -
    「KKニッポン」の裏側に発生した諸事件……ことに、眼に見えない企業犯罪の、代表的な25例を徹底究明する。戦後の日本経済が醸成した「政経癒着」による汚職は、きわめて構造的なものといわれる。なにゆえにそうなのか。もはや等閑視してはいられない。日本の特異な企業風土の病理を解明し、その脱出口を探る! なぜ「企業汚職」が発生するのか?
  • 海へ、ボブスレー
    -
    港で、行き場を失った怪物――二度と素晴らしいスピードでアイスバーンを滑降することも出来なくなった、1台のボブスレーが港に放置されているのを見つけた歯科医の青年は、医院の開業資金をつぎ込み、そこにカフェ・レストラン〈ボブスレー〉を開店する……。青春への郷愁をドラマチックに描いた秀作4編を収録。郷愁を語るには若すぎる。現代の青春を定着する瑞々しい奇妙な味の都会小説集。
  • 炎まつり殺人事件
    -
    「お前の俳句は盗作だ!」出版記念パーティの会場で、人気評論家を痛罵した男が、ホテルの一室で殺された! 現場に残された白地の扇子、そして事件直後にロビーから姿を消した謎の女……。秘められた過去の怨念が、いま復讐の炎となって赤く燃える。京都・松江・東京を舞台に描く、著者会心のトラベル・ミステリー。鞍馬が燃え、殺意も赤い炎となる!
  • ねむの木の子どもたち
    -
    就学猶予……障害児へのこの冷たい言葉に怒りを覚えた女優・宮城まり子。悪戦苦闘の連続で育てた「ねむの木学園」園長、そして障害児たちの「おかあさん」宮城まり子。……「なぜ、ねむの木を作ったのか? 理屈をつくっても、どれも本当で、どれも後から考えること。ただ、言えることは、私が彼と彼女を知ってしまったこと。そして就学猶予という悲しい言葉があったことです」……心身に障害をもつ子らと、裸の心とからだを寄せ合って育てた「ねむの木」の、愛と誇りにみちた闘いの軌跡。一人一人の子どもに宛てた愛のメッセージや、子どもたちの美しい詩も、多く収める。障害児たちとのヒューマンな触合いの記録。園児たちの背負うハンディの重さと、彼らとのやさしい心の交流をつづる、感動の書!<正続 全2巻>
  • サイゴン・ティをもう一杯
    -
    行きずりの恋から同棲し、奇妙な花屋をはじめたイサムとアンナは、演劇で挫折した者同士でもあった。彼らのあやふやで頼りなげな日常と、二人を取り巻く人間関係の濃淡。それはバラのブラック・ティや戦時下のサイゴンの酒場にあったサイゴン・ティの、妖しさや虚飾ぶりにも似ていた。やがてアンナは妊娠して……。時の流れに身をまかせる男女を通して、日常の側面に光をあてた都会小説。ベトナム戦争世代の心情をデリケートに描く野心的作品。
  • コンピュータ犯罪戦争
    -
    情報化社会の裏側で激増している、コンピュータ犯罪の怖るべき実態を、克明にレポートする。ハッカー、ウイルス、ソフト泥棒など、巧妙な〈見えざる手〉が仕組む犯罪に、あなたはどう対処するのか? 身近なカード操作から、中枢のシンクタンクにまで忍びよる手口を洗い出し、頭脳を駆使しての見えざる犯罪の手口と防止にむけて安全対策を考える、必読の処方箋!
  • 風の辻
    -
    風が辻を曲がるように、人生の辻をもうひとつ強引に曲がり、刑場へと消えていった男がいた。昭和50年8月23日午前5時過ぎ、台風6号が近づく嵐のとき、大阪・寝屋川の団地で、新婚の夫婦を斧で惨殺。その後、警察の目を逃れて豪遊をつづけていた神山隆は、12月7日、ついに刑事の来訪を受ける……。ほかに中編「風の塵」を収録。凄まじい迫力で殺人者の肖像を描き、殺人者の内部を通して人間の暗黒に迫る、犯罪小説の力作。
  • 海からの光
    -
    海のある風景を背に、ひそやかにはじまる光と闇の物語。海からのあふれんばかりの光は、心の闇に忍びこむ……。光みなぎる海。死の予兆をはらんだ海。さまざまな海からの光が、心の奥にわだかまる暗い淵に射し込むとき、浮かび上がるひとつの青春、そして生のかたち。彫琢された透明な文章が奏でる水晶の響き、背後の沈黙の深さは、まさに現代の神話。小川文学の全体を示す作品集。「青年司祭」「地中海の漁港」「鞭打苦行者」「父と子」「海からの光」を収録。
  • いのちある限り ある脳神経外科医の記録
    -
    車に撥ねられ、頭部を強打するという、一瞬の事故。「死んだ方がましだ」と叫ぶ患者を励まし、献身的努力を傾けつづける医師と、絶望的な苦しみに耐えて生きつづけようとする一人の人間をめぐる、愛と悲しみの記録。生命の尊厳、安楽死への疑問、医療と社会とのひずみ、植物人間や後遺症の問題を考える。著者の執刀でかろうじて一命をとりとめた人とその家族との苦闘の日々を描く。増え続ける植物人間、医療のこころを訴える、感動の力作!
  • IFの世界
    -
    IF、もしも、万一……と考えたときから、想像力の翼が大きく広がる。SFはこの「イフ」を前提に、あまりにもうっとうしい日常生活から、時間や空間や異次元を軽々と自由に飛び越えて、人間の未来を示してくれます。さあ、本書で、架空の巨人・阪神戦から、クローン人間や大宇宙の神秘の問題まで、未知の世界を心ゆくまで遊んでみよう!
  • 「政治」の原理「運動」の原理 小田実評論集2
    -
    「人間の重み」を主張し、状況の変革を志す著者が、ベトナム戦争反対運動の中で、形骸化した戦後民主主義を「人民」の民主主義につくり変える運動の過程で、歩き、話し、考えた成果を率直に訴える評論集・第二弾。「原理としての民主主義の復権」「投票者の拒否権」「私のなかの日本人」「福沢諭吉」「折れ目のない歴史」など、1960年代から70年にかけての、「政治」「運動」「文学」にわたる24編。人間の復権をめざして、政治と文学を語る論集。
  • 和泉式部日記
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 弾正宮を喪い、人の世を「夢よりもはかなき」ものと観じ、頼りない式部の心に、四月(うづき)青葉の頃、弟宮帥(そち)宮との恋が始まる。「あやしかりける身のありさま」と嘆く身も、五月雨、七夕、紅葉やがて雪の頃と季節が移り、交わす心持も深まる。南院に迎えられるまで十ヵ月余の恋の哀歓を、贈答歌を骨子につづる。黒川家旧蔵の寛元本を底本に、「和泉式部日記は藤原俊成の作」とする川瀬一馬氏の校注になる「日記」。
  • 武蔵野殺人ルート4の密室
    -
    数百億円の遺産と会社の実権を残したまま、女主人は密室で殺された! 容疑者は相続人全員。遺産と実権を狙い愛憎・陰謀が渦巻くなか、武蔵野の風情を残す三千坪の豪邸「土筆庵」で、次々とおこる4つの密室殺人。美貌の女刑事・鮎川阿加子も犯人の誘いに乗せられて……。4つの密室が複雑に絡み合いながら、二転三転、事件は意外な戦慄の結末へ向かう。4つの殺人、4つの密室、空前の謎!
  • 父のようにはなりたくない
    4.4
    中2の息子が「高校に行かない」と言い出した。その原因が自分にあるなんて……。表題作をはじめ、どこの家にも起こりうる、ささやかだけど重要な「事件」たち。泣き虫の息子と、息子を叱ってばかりの夫。娘が見せた家とは違う顔。息子のヌード雑誌にうろたえる妻。子育ての悩みがほぐれていく、8つの短編集。子育てに正解なんてない。でも、少し見方を変えるだけで前向きになれるとしたら……? 読めば気持ちが軽くなる!(収録作品=泣き虫のままでいい/ずる休みをしようぜ/久しぶりの食卓/みんな頭がついている/引き出しの奥にあるもの/捨てることのできないもの/勝とうとするから意味がある/父のようにはなりたくない)
  • 超人類生誕秘録(1)紅孔雀の巻
    -
    現存世界の背後に潜む幽冥な魔窟・シャンバラに、謎の女・紅孔雀を捜しに、火雷厳道が現われた。この地で春をひさぐ女たちの魂を救う火雷厳道の底知れぬ熱力に、地下空洞・シャンバラの支配者や魑魅魍魎は怯えた。妖しい美女との淫楽、羅刹の座をめぐる凄惨な戦い! 官能とバイオレンスが噴出する傑作シリーズ第一弾!
  • 酔いがさめたら、うちに帰ろう。
    4.2
    生きてて良かった! そう思える、幸せ……。アルコール依存症で離婚、10回の吐血、再飲酒(スリップ)、そして、ついにアルコール病棟に入院することになった、元戦場カメラマンの「僕」。そこで出会った個性的な面々との生活が、僕を変えた。うちに帰りたい――。依存症を克服し、愛する元妻、子供たちとの時間を取り戻したが、そこには悲しい現実が……。笑って泣ける私小説。浅野忠信・主演で映画にもなった名作――「不器用でも抱きしめようとする生き方に、心、動かされました」(浅野忠信)
  • 紫の火花(上)
    -
    1~2巻660円 (税込)
    祗園の名妓とイギリス人との間に生まれた魔子は、成長するにつれ、凄艶な美貌と悪魔のような心をそなえ、男たちの注目をあつめる。古い習慣に反逆した彼女は、祗園のボスを手玉にとり、大金をせしめて東京へ。花の銀座でホステスをしながら、魔子が考え出したアイデア商法とは? 悪女の魅力を描き出す、傑作長篇小説。
  • 雑種文化―日本の小さな希望―
    3.0
    英仏の文化を純粋種の文化と考えるのに対して、日本の文化を、雑種の文化の典型として考え、しかも、善悪の価値観から分離したことに特色をもち、それゆえに希望もあると説く「日本文化の雑種性」のほか、「雑種的日本文化の希望」「日本人の外国観」「日本人の世界像」など10編を収録。当代第一級の国際的文化人・加藤周一が精緻に腑分けした、鋭利な洞察による個性的日本文化論。
  • 花ならアザミ
    4.0
    湯原直子がある邸から持ち帰った稀覯本(きこうぼん)は、直子の勤める古書店の客・磯部の蔵書から消えた品だった。驚いた直子がその邸を再訪すると、もぬけの殻。住人も家具も花壇もすべて、1日だけのトリックだった。誰が、何のために? 1冊の古書の謎が、やがて過去の惨劇を明るみに出す。練達の筆で描く出色サスペンス。
  • クリスタル殺人事件
    -
    人気爆発で有頂天の若手評論家・榛名洋一郎の美人妻に、AV出演の過去が? ビデオ映像という「動かぬ証拠」ならぬ「動く証拠」を突きつけられ、絶体絶命。殺人まで犯して守ろうとした秘密に、驚愕のドンデン返し! 世界最短?の400字小説、本邦初の衝撃の「あとがき」小説など、吉村達也の多彩な大逆転ワールドが展開。意外性満点の逆転連発、予想外の結末ばかり!
  • オフィス・ゲーム オフィス空間の生理と心理
    -
    人間は、空間に支配される。サラリーマンには、オフィスが、仕事の場所であると同時に、生命現象の運動場である。会社本位には能率であっても、社員本位には生甲斐にからんで、人間の生理を考えなければならない。入れ物は立派でも、はたして生き生きとしたサラリーマンの生理空間になっているだろうか? オフィス空間は人間をどのように支配するのか、空間に支配される人間の生理と心理を解く。
  • 日本近代美術史論
    -
    秀抜な眼識が捉えた日本近代美術の創生・発展の軌跡……高橋由一・黒田清輝・青木繁・狩野芳崖・フェノロサ・岡倉天心・横山大観・菱田春草・富岡鉄斎・藤島武二・山本芳翠……個々人の内包する諸問題を分析しつつ、近代日本における洋画・日本画の進化・展開の様相を克明に追究した、高階秀爾の力作評論。
  • 田園の微風
    4.0
    景色にも気候にも恵まれた牧畜とワインの地、南フランスの田舎をのんびりと周遊する、旅のエッセイ。旧知を訪ね、点在する古城に中世をしのび、澄み切った大気をこころゆくまで吸い込む田園の中の散歩は、何だか寿命がのびるような思いがする……。著者の手になる、物語豊かなスケッチと写真を多数収録。
  • 大国・日本の「正体」
    -
    繁栄のさきに行きつく日本の未来はあるか? いま日本は、政治も経済もそして社会も、歪みが極限に達している。その歪みの正体を捉えることが、日本の未来像を描くために、最も重要である。現代は否応なく、個人が国家の命運に縛られざるを得ない。いや、世界がわれわれを直撃する。碩学が時代を喝破し、処方箋を提示する! 「精神的鎖国の民」に未来はあるのか……海図なき日本の真の姿が見えてくる!
  • 課長島耕作の男と女の成功方程式
    4.0
    仕事や恋がいまひとつうまくいかないのは、あなたが女性を分かっていないから? 女性の感性、生理、そして論理の立て方を充分に理解することなくして、ビジネスの成功はあり得ない。女が分かり、人生に成功する60の基本型を満載。ヤング・ビジネスマンから圧倒的共感を呼んでいる「成功方程式」、待望の第3弾。女心のわからぬ男は、必ず仕事も失敗する!
  • 花渦
    -
    夫はなぜ消えたのか? 突然の失踪を契機に、前妻、娘、老母、再婚した妻、孤立していた4人の女の心は、微妙に波立つ。男を失うことで呼び醒まされる、女としての官能。体の内奥に潜むエロスが、しだいに女たちの心を結びつけ、不思議な絆と連帯感を生んでゆく。女の生と性、愛のかたちを精緻に描く、髙樹文学の真髄。
  • 遠い日の海
    -
    米軍の機銃掃射で両親を失い、孤独に生きる27歳の下嶽安芸子、家主の息子で新制高校生の槇枝静吾、その級友でラグビー部の花形・久慈史郎。3人の青春には、それぞれ戦争の傷痕が微妙に刻みこまれている。青春の友情、愛、絶望感に、社会の移ろいが濃密に投影していた昭和20年代を、精錬された手法文体で描く文芸作品。
  • エフェソス白恋
    3.0
    ミステリアスな雰囲気の人妻・舞由子と、大学教授・峰の恋は、古代遺跡・エフェソスで燃えあがった。だが、遠く離れた異国の地でも、舞由子の夫の思惑が見え隠れする。いったい、夫は何を企んでいるのか? ある夜、峰の身に重大な事故が発生し、舞由子は意外な行動に出た。そして、あまりに過酷な運命が、二人を襲う――。切なすぎる不倫の結末、時空を超えた恋が古代遺跡で燃えあがる!
  • 「初恋の湯」殺人事件
    3.0
    初恋の思い出をつづるイベントに参加したのを機に、島崎藤村ゆかりの小諸の温泉に出かけた志垣警部が、謎めいた殺人に遭遇! 多数のりんごを浮かべた風呂に青年が沈み、嫌疑はふたごの姉妹にかけられた。謎の「りんご殺人」は、ふたごの姉妹が犯人なのか? 事件を担当する杉山優花刑事は、出産退職まであと6日。奮闘する彼女を助けるため、志垣が全力で立ち上がる!

最近チェックした作品からのおすすめ