ハーレクイン・ロマンス小説 - ハーレクイン作品一覧

  • 後見人に愛のソネットを
    3.0
    新たにウェストボーン伯爵となったガブリエル・フォークナーは、ヴェネチアから8年ぶりにイギリスに戻ってきた。帰国したばかりの彼を待っていたのは、屈辱的とも言える知らせ。父親を亡くしたコープランド家の3姉妹の後見人として、寛大にも彼女たちの誰かと結婚しようと申し出たところ、3人とも拒絶して姿を消してしまったというのだ。ガブリエルは怒りをたぎらせながら、いまや自分の所有となったロンドンの屋敷に足を踏み入れた。すると、そこには3姉妹の長女ダイアナがすでに暮らしており、あっけなく彼に告げてきた。「あなたの求婚をお受けします」と。■父親の急逝で、世間の荒波に翻弄されるコープランド家の3姉妹。『伯爵に捧げるセレナーデ』に続き、3姉妹の熱い恋を描く連作の第2話をお届けします。責任感の強い長女ダイアナの運命は……?
  • 伯爵に買われた花嫁
    3.0
    社交界にデビューして4年目になるマリーナは結婚をあきらめていた。男爵の家柄でありながら持参金も準備できない状況では、しかるべき縁談など調うはずもない。ところが、そんなマリーナの前にある日、魅力的な人物が現れた。モーテンホー伯爵ジャスティン・ランサム――花婿候補としてロンドンでも指折りの裕福な独身男性だ。信じられないことに、マリーナは伯爵からプロポーズされ、知り合って3カ月もたたないうちに華麗な結婚式を挙げた。積年の野望をかなえるための手段として、伯爵が彼女との結婚をやむなく選択したとは知らずに。■フランセスカ・ショーとしても活躍する、リージェンシーに造詣の深いルイーズ・アレンの作品をお届けします。思いがけず伯爵夫人となったヒロインの揺れる心を繊細な筆致で描きます。
  • あなたに片思い
    -
    「ライリーにはもう会った?」妹が結婚するため14年ぶりに帰郷したグレイシーは、そうきかれるたびに戻ってきたことを後悔した。町の人々はグレイシーの“ストーカー伝説”をいまだに覚えていたのだ。当時、ハンサムなライリーに夢中だった彼女はあらゆる手段で想いをぶつけ、その様子は新聞記事にまでなった。あんなに迷惑をかけてしまった彼に、合わせる顔なんてないわ……。今や銀行頭取になったライリーも偶然帰郷しているらしく、グレイシーは必死に彼を避けつづけた。だが、運命は皮肉すぎる再会の舞台を用意していた!
  • 微笑むまでそばにいて
    -
    まさか私があの大財閥シュトース一族の血を引いているなんて! サヴァンナは亡父の遺言状から自身の生い立ちを知り、衝撃を受けた。彼女の実の父親はシュトース家の御曹司で、余命わずかな恋人との間にできたサヴァンナを引き取ろうとした矢先に事故死したというのだ。亡き実両親の面影を求めマイアミへと赴いたサヴァンナは、突如何者かに命を狙われる。抵抗もむなしく意識が遠のきかけた瞬間、彼女の脳裏に男性の姿が浮かんだ。故郷で帰りを待つ最愛の人ジャッド──死ぬわけにはいかない。彼のプロポーズに返事をするまでは。
  • 夢からさめて
    3.0
    おとぎばなしが好きで夢見がちなルーシーは、姉の屋敷で開かれた宴の喧噪から逃れ、庭の木に登って休んでいた。ところが、そこへ突然犬が現れて吠えはじめ、宴に訪れたハーコート卿に見つかってしまう。3年前からひそかに憧れていた彼に、こんな形で再会するなんて!18歳になり、まもなく社交界へもデビューするというのに、おてんばな子供のように扱われてルーシーは泣きそうになった。望ましい花婿候補のハーコート卿は絶えず美女に取り巻かれ、ルーシーに親切なものの見向きもしない。どうしたら彼に大人の女性として見てもらえるの?■清らかで疑うことを知らないルーシーは、知らぬ間にハーコート卿に見守られて社交界にお目見えします。ルーシーはどのように成長していくのでしょうか。アン・ヘリスらしい心温まる物語です。
  • 砦に立つ貴婦人
    -
    夫亡きあと、モイラ・フィッツジェラルドは女主人として、敵対するマッカーシー一族から城を守っていた。もうこれ以上、籠城生活も限界だという矢先に、援軍がジェラルド城に到着した。率いてきたのは、騎士コナー・フィッツクリフォード。モイラはひと目で、彼が信頼するに足る人物と見込んだ。だが、マッカーシー一族とわたしの間の複雑な事情や、わたしの犯した罪が知れたなら、彼はどう思うだろう。コナーに城にとどまってもらうためには、真実を隠しとおさなければ。★『憂いの騎士』に登場したコナー。双子の兄ラナルフの陰に隠れていた彼が、ヒーローとなって雄姿を披露します。ゴールデン・ハート賞受賞のシャロン・シュルツェの手にかかれば、コナーと美しく勇敢なモイラとのロマンスがまるで目の前で繰り広げられているかのように感じられることでしょう。★
  • 地味秘書ジェーンの願いごと
    4.0
    チェイスは取引先の建築事務所でジェーン・モーガンに出会った。社長秘書の彼女はいかにも真面目な女性。対するチェイスはいかつく、服装もラフなため、一見すると会社経営者には見えない男だ。ちらりとも笑わぬジェーンの澄ました態度にそそられ食事に誘ってみるも、あえなく撃沈。やはり僕みたいにがさつな男はタイプではないんだろう、と諦めたチェイスだったが、その夜、意外にもジェーンから“会いたい”と電話がかかってきた! 期待と混乱が渦巻くなか駆けつけたチェイスに、彼女は潤んだ瞳でとんでもない頼みごとをする。
  • 華麗なる密航 リージェンシー・ブライド V
    1.0
    イタリアのジェノバに寄港した大尉ペリーは、路上に倒れている男性を助け、その娘エリザベスと出会う。16歳にして男を惑わす美貌を持つ彼女は生意気そのもので、ペリーは柄にもなく腹立ちを抑えきれなかった。その数日後、快復した父親が信じられないことを提案してきた。戦火から逃れるため、娘を安全なイギリスへ連れていってほしい。そのために必要ならば、娘と結婚してくれ、と。どうにか断ったペリーはジェノバを発ち、ようやく安堵する。だがそれも、彼の船室に届けられた大きな箱の底に、静かに眠る魅惑の美女を見つけるまでのことだった。■悪印象を抱いて反発し合うふたりは、皮肉なことに協力を強いられます。狭い船室の中でエリザベスをかくまう秘密の生活は、否応なくふたりを接近させて……。激しい愛の情熱をお楽しみください。
  • 憂鬱なシンデレラ
    -
    粗末な家でつましく暮らすクリスティは、たった1人の弟に家を売り払われ、住む場所を失いかけていた。そんなとき、一分の隙もない完璧な装いの紳士、ブレイブルック子爵が蔑みを目に浮かべて訪ねてきた。彼女の弟が身分不相応にも子爵の妹に近づき、令嬢をすっかり夢中にさせてしまったらしい。釣り合うはずのない相手に、弟はなんてことをしたの?青ざめたクリスティに、彼は意外な頼み事をする。高額な報酬の代わりに子爵家で働き、妹を説得してほしいと言うのだ。戸惑いながらも、彼女は申し出を受け入れるしかなくて……。■寛大な処置にも氷のように冷たい態度を崩さないクリスティに子爵は苛立ちますが、秘められた情熱を垣間見て、惹かれていきます。不幸な境遇に耐えて生きてきたヒロインに涙する感動作です。
  • 盗まれた口づけ
    3.0
    伯爵の子息ニックが教区司祭の娘エミリーにキスしたことは、その日のうちに村の一大スキャンダルになった。息子の不始末に激怒した伯爵は無理やり2人を引き離し、ニックは遠くインドの地へ追いやられた。7年後、父の死をきっかけに帰国した彼は、いまだエミリーが独り身だと知って驚く。聞けば、あのときのキスが原因で誰も寄りつかないのだという。ニックは責任を感じて、ただちに求婚するが、身分の低い花嫁に対する貴族社会の反応は冷淡だった。再びエミリーの受難が始まった。★北米で権威のあるRT賞に二度推奨されるなど、実力は折り紙付きのリン・ストーン。彼女がヒロインに選んだのは、身分違いの恋に人生を翻弄されるエミリーです。これでもかとばかりに不運に見舞われるエミリー……彼女に明るい明日はやってくるのでしょうか?
  • 無口な求愛
    -
    華やかな社交界に憧れる男爵令嬢のアマンダは、高名な侯爵の親戚を屋敷に滞在させることになり、期待に胸をときめかせて客を待っていた。だがそこへ現れたのは、薄汚れたごろつきのような男。アマンダは思わず言葉を失うが、数日後、朝食の席ででくわした彼を見てさらに驚いた。そこには、ハンサムな顔立ちの颯爽とした紳士がいたのだ。彼――グレヴィルに魅力たっぷりの笑みを投げかけられ、アマンダの心臓は早鐘のように打ち始める。でも謎めいた彼に惹かれてはならない。私の夢見てきた社交界デビューはもう目の前なのだから。■理想の花婿、理想の結婚を思い描いて生きてきたアマンダ。ところがデビュー前の巡り合いが彼女の心を迷わせます。人気作家ジュリア・ジャスティスの約2年ぶりとなる、貴重な新作です。
  • マリアの決断
    5.0
    「遺言には、所領はマリア・エリザベスに与えるとあります」客の言葉を小耳に挟んだマリアは驚いた。伯母に引き取られて以来、召使い同然に扱われてきたが、実は自分は公爵の娘で、亡き母の所領をもらえるらしいのだ。マリアは伯母の家を飛び出し、馬を駆って所領を目指した。所領まであと少し。そう思ったとき、突然近づいてきた別の馬のせいで、彼女は鞍から振り落とされた。もうろうとしつつ目を開けると、放蕩貴族然とした男が立っている。一分一秒も惜しいのに、彼が漂わす魅力的な雰囲気に行く手を邪魔されることになりそうだ……。
  • 幸せな誤解 リージェンシー・ブライド III
    -
    フランセスカは母亡きあと、祖父の屋敷に引きとられ、独身の伯母ともども3人で暮らしていた。伯母は未婚で出産したフランセスカの母をことあるごとになじり、フランセスカを忌み嫌って折檻しつづけた。黙ってその苦しみに耐え、幸せになることなどあきらめていたが、ある日、彼女はマーカスと名乗る青年と出会い、恋に落ちる。甘い口づけ、熱い抱擁――初めて知る、生きる喜び。しかし残酷にも、彼とその仲間たちに笑い物にされていたと知り、フランセスカの一途な思いは粉々に砕かれた。9年後、マーカスと再会したときも苦い思いは残っていて……。■皮肉な運命のめぐりあわせで再会したフランセスカとマーカス。そんなとき伯母が亡くなり、彼女が路頭に迷うと知ったマーカスはある申し出をします。誤解から生まれる愛と感動の物語です。
  • 伯爵に捧げるセレナーデ
    3.3
    ブラックストーン伯爵ドミニク・ヴォーンは、最近賭で手に入れたばかりの賭博クラブに顔を出して目を疑った。雇った覚えのない仮面の歌姫が舞台で甘い歌声を響かせていたのだ。女などトラブルの元になるだけだと心得ているドミニクは、彼女を追い出すつもりで控え室を訪れた。そこにいたのは息をのむほど美しい、金髪の可憐な乙女。しかもその洗練された所作はあきらかに良家の子女のものだ。取り巻く男たちの好色な視線にも気づかずに、危険に身をさらしている彼女をなぜか放っておけず、ドミニクは忠告を与えた。無防備な唇を口づけで封じて。■父親の急逝により、突如現れた後見人に“誰かひとりと結婚する”という言語道断な申し出をされた伯爵家の3姉妹。次女カロラインは家を飛び出しますが……。3姉妹の情熱的な恋の幕開けです。
  • 泣きやむまで抱きしめて
    4.0
    亡き父の遺言状はマリアにとってあまりに衝撃的なものだった。父ともほかの姉妹とも血のつながりはなく、それぞれの複雑な生い立ちが明らかになったのだ。マリアは動揺しつつも、過去と向き合う決意をする。実の母が何者かに殺されていたなんて──マリアは故郷に戻り、地元の刑事ボディの協力を仰いで母の軌跡をたどった。次々と現れる真実にマリアが打ちのめされるたび、ボディは彼女を励まし、ときには情熱的に癒やした。だが、2人の間に強い絆が生まれかけたとき、運命はまたもマリアに残酷な試練を与えようとしていた……。
  • 美しい悲劇
    -
    故郷テキサスに戻ってきたキャサリンは、亡き父の牧場がすっかり様変わりしていることに驚いた。牧場監督のルールが我が物顔で采配を振り、競走馬の飼育まで手がけている。長く牧場を離れていたとはいえ、オーナーの私には報告すら来ていない。怒りが頭をもたげる一方、ほろ苦い思い出が胸によみがえった。ルール――彼はいつだって特別な存在だった。今も忘れられない17歳のあの日、彼に抱かれたまま、時間が止まればいいと思っていた……。■ファン待望、リンダ・ハワードの1984年の名作をお届けします。強引な初恋の男性との再会物語です。
  • 待ちわびた伯爵の求婚
    -
    5年前、冷酷な兄に、結婚を誓ったジェラードとの恋を引き裂かれて以来、アメリアは断ち切れぬ彼への想いを胸に秘め、生きてきた。ある日、友人の屋敷で開かれたパーティで今は伯爵となったジェラードに思いがけず再会する。アメリアのもとを去ったのち、戦地スペインで結婚した彼は、妻を亡くして途方に暮れ、幼い娘を連れてイギリスに帰国したのだった。娘がアメリアになついたのを喜んだ伯爵に、やがて彼女は求婚される。自分の良き伴侶、娘の良き母親になってほしい、と。愛の言葉はひと言もない――これが、待ち焦がれた彼からの求婚なの?絶望を押し隠し、アメリアは求婚を受け入れたが……。■「王子様を夢見て」、「身分違いの花嫁」で友人たちの恋の成就に奮闘したアメリア。5年ぶりにかつて愛した男性と再会し、やっと幸せをつかめると思いきや、2人の前に予期せぬ試練と黒い企みが立ちはだかります。
  • 天才富豪とローリの真夏の約束
    3.3
    10年前、父が頭に大怪我を負ったあの日がローリの人生を変えた。以来、意識が戻らない父の看病に明け暮れ、大学進学も、恋も諦めたのだ。その父がついに亡くなり、抜け殻になったローリも、ようやく自分の人生を歩き出そうと思い始める。まだ恋をする気にはなれないけれど、割り切った甘美な関係を誰かと楽しめたら――そんな秘めやかな願いを偶然知り、相手に立候補したのがクイン。親友の兄で建築家として成功した、今や住む世界の違うエリートだ。昔なじみで憧れていたクインからの突然の申し出に、ローリは目を丸くした。
  • 子爵に片想い
    4.7
    名付け親の伯爵の死に疑念を抱いた令嬢ジョージアナは、真相を探るため、大胆にも少年に扮してロンドンに向かっていた。その途中、偶然ジョージアナは放蕩者として名高い子爵――ベネディクト・フィンチャムの危ないところを救う。■窮地を救われた子爵は、すみれ色の美しい瞳の少年に心動かされ、自分の馬車に乗せてやることにした。そして少年の正体が卑しからぬ身分の若い女性だと見抜くや、子爵は好奇心を抑えきれず、ある提案を口にしていた。自分の従者としてロンドンの邸宅で働く気はないかと。■ジョージアナは首尾よくロンドンでの足がかりを手に入れましたが、魅力的な子爵が何かと送ってくる熱い視線に胸騒ぎを覚えて……。リージェンシーの名手アン・アシュリーの作品をご堪能ください。
  • 眠りし姫のとまどい
    -
    領主の父亡きあと、古城でひっそりと暮らすジリアンのもとにある日、サー・ベイアードと名乗る眉目秀麗な男が訪ねてきた。ベイアードは宮廷に仕えるジリアンの姉が彼の兄と結婚したことを知らせ、ひとり領地を守るジリアンの警護に来たと告げる。歓迎されるのが当然で、誰もが彼に従うべきだという態度に彼女はたちまち反感を抱いた。親戚の厚意を装っても騙されないわ。どうせここに来たのも、この豊かな土地を狙ってのことに違いない。彼に心を許すものですか――圧倒的な魅力に気づかぬふりをして、ジリアンは胸に固く誓った。
  • 魅惑の修道女
    5.0
    ロビンは、ディ・バラ家に蔓延する“結婚”という呪いに脅えていた。一生ひとりの女に枷をはめられるなど、とても受け入れがたい。呪いを解いてくれるという人物を求めて旅立った彼は、立ち寄った修道院で殺人事件に遭遇してしまう。「わたしたちを殺すつもりで、戻ってきたのね!」突然言葉を投げつけてきたのは、透き通るような白い額に果実のような唇を持つ、美しい修道女だった。彼女の姿を前に、金縛りに遭ったかのように体が動かなくなって、ロビンはめまいすら感じた。彼女こそ、わたしを翻弄し、破滅させる女に違いない!
  • 捧げられた乙女
    3.0
    領主の娘ながら家族を失い、財産をなくした16歳のマディは、途方に暮れていたところを助けられ、きらびやかな宮廷の片隅でひっそりと生きていた。そんなあるとき、突然彼女は王の忠臣と結婚するよう命じられる。王の慈悲により、マディは亡き父の土地を継ぐことになり、彼女の夫が新たな領主としてその地を治めるというのだ。わたしは領地を手に入れるための道具にすぎないのだろう……。だがほかになすすべはなく、マディは結婚を承諾した。そして婚約式の日、冷徹な表情の花婿と対面してマディはおののいた。サー・ジャレイント――初めて胸をときめかせた相手がそこにいた。■偶然の出会いからマディのことをふしだらな娘と思い込むジャレイント。一方マディは彼の誘惑は計算ずくだったと考えて……。愛すればこそ生まれる誤解の波を描く、読み応えたっぷりの物語です。
  • プレシャス・スカイ
    -
    運命はかくも残酷なのかと、アマリーは涙に潤む目で天を仰いだ。最愛の祖母を亡くしたのは先日のこと。天涯孤独になった彼女は祖母が遺した屋敷に住むため帰郷したのだが、そこに現れたのが4人の男たちだった。彼らは追われる身らしく、たちまち屋敷を占拠すると、怯えるアマリーを軟禁したのだ。そんな彼らの中に異彩を放つ男がいた。その男ニックは風貌も他の荒くれ者と違って洗練され、絶対に君を守ると真摯な表情でアマリーに誓った。ばかげている……頭ではそうわかっていても、今のアマリーには彼の言葉だけが支えだった。
  • 侯爵のひたむきな愛
    3.0
    目を覚ましたマリーナは見知らぬ家のベッドに横たわっていた。下着は身につけておらず、隣には裸のタナートン侯爵が眠っている。驚いて悲鳴をあげかけたとき、マリーナはすべてを思い出した。昨夜、嵐で船が難破し、侯爵と一緒に海に投げ出されたのだ。彼は見ず知らずのマリーナを命がけで助け、介抱してくれた……。タナートン侯爵は覚えていないようだが、マリーナは彼と一度だけ踊ったことがあり、以来ひそかに憧れていた。その彼の見せるやさしさに胸を熱くさせながらも、ある事情から姿を隠さなければならないマリーナが去ろうとすると、侯爵は決然と言った。わたしがあなたの力になります、と。■『歌姫に薔薇の花を』で活躍した稀代の放蕩者タナートン侯爵が登場。彼が見つけた運命の女性は謎に満ち、恋は一筋縄ではいきません。侯爵のひたむきな愛は彼女の心に届くのでしょうか?
  • 銀色に光る海で
    -
    ファンは海辺の屋敷で家政婦として暮らしていた。しかし実は、失踪した父の跡を継ぎ、密輸団の頭領を務めている。ある日、屋敷に新しい主人がやってきた。海軍で武功を立て、巨万の富を手に入れた公爵家の次男、ジョージ・クレアモントだ。彼の姿を前にして突然湧きおこったときめきを、ファンは胸の奥底に追いやった。こんな思いを知られれば、自分の本性を白日のもとにさらすうえ、部下たちをも危険に陥れることになるのだから。■海の上での女性のいない生活に慣れた彼は、屋敷で悪戦苦闘し……。
  • 忘れえぬ初恋
    3.0
    キャスリンは風の吹きすさぶ崖の上で水平線に目を凝らした。10年前のあの日、わたしがあんなことを言い出さなければ、愛しいディコンが海賊にさらわれることはなかったのに……。わが家に戻ると、思いがけない知らせがキャスリンを待っていた。ディコンの行方をさがすため、彼の父親とおばとともに、ヴェネチアに向かうことになったのだ。長い船旅の末にヴェネチアにたどり着いたあと、一行は大商人ロレンツォ・サントリーニに協力を求めるべく、運河に面してそびえ立つ壮麗な館を訪ねた。莫大な富を持つ館の主の冷酷な顔を見て、キャスリンは愕然とする。彼がディコンとまったく同じ珍しい瞳の色をしていたからだ。■読者に絶大な人気を誇るアン・ヘリスの待望の新作を、1年ぶりにみなさまにお届けいたします。地中海を舞台に繰り広げられる純愛の物語をお楽しみください。
  • 泥棒は恋の始まり
    3.7
    ★夜のロンドンを闊歩する怪盗の正体とは……?★亡くなった父の遺志を継ぐため、はるか東方から故郷イギリスに戻ってきたキットは、父の愛人とおぼしきローズ・シングルトンのもとに身を寄せ、彼女の姪という触れ込みでロンドン社交界にデビューした。ひっそりとパーティに顔を出し、情報を集めるつもりだったのがダイヤモンド鉱山の持ち主と噂され、人気の花嫁候補に!さらに困ったことに、求婚者の叔父ヒューゴー・デヴニッシュが彼女の身元を疑っているようなのだ。折しもロンドンの街では、貴族の館からお宝を盗む泥棒が出没し、たまたまヒューゴーの目の前で消えたことから、彼はぜひとも犯人を捕まえたいと考えていた。けれどもなぜかキットがその怪盗に思え、必要以上に気にかかる。それならいっそキットを手に入れて真相を暴いたらどうだろう……。■誰にも頼らず一人で生きていくすべを学んだキット。実力だけで社会にのしあがった貴族の次男ヒューゴー。よく似た二人は見えない糸に導かれ、惹かれ合いますが……。英米であっという間に人気作家となったアン・グレイシー。ついに日本にも登場です
  • ハロウィーンの奇跡
    3.0
    ★今宵は万聖節前夜、死者の魂が眠りから目覚めるとき……。★七年間アイルランドで戦い、先ごろ帰国したマークのもとに、かつての主人サー・ブランドンから、緊急の呼び出しがかかった。落馬して腰骨を折った彼に代わって、苦境に陥ったかわいい娘ベルを救ってほしいというのだ。ベルはまさにマークの天敵とも言える存在だった。彼は昔、木の上で少女だったベルにキスをせがんで突き落とされ、利き腕を骨折した。あれ以来、彼女の姿は見ていない。聞けば、亡夫の兄の手で塔に幽閉されているというではないか。あの気の強いベルがそんな目に? まったく信じられない!頼みを引き受けたのも、領地を分け与えると言われたからだが、ボディアム城で痩せ細ったベルを目にした瞬間、マークの頭から褒美のことは消えた。かよわいベルを救い出そう――万聖節の前夜に!■テューダー朝のイギリスを描く壮大なキャヴェンディッシュ年代記も、いよいよ十六世紀半ば、ブランドンの子供たちの世代に突入。新たな顔ぶれも登場して、ますます見逃せない!
  • 令嬢と傲慢なプロポーズ
    3.3
    兄の結婚披露宴で、アラベラはワルツを踊っていた。パートナーはカーライン公爵ダリウス・ウィンター――1年半前に初めて見かけたときから、心惹かれていた美貌の放蕩貴族だ。しかしダリウスは、ダンスをしながらきわどい言葉で挑発してくる。そのうえ、彼にひとけのない暗がりへ連れだされたアラベラが、売り言葉に買い言葉でキスに身をゆだねたところ、その場面を社交界でも有名なうるさ型に見られてしまった。すると彼は断られるのを期待するように、尊大な口調で求婚してきた。翌朝、アラベラは周囲の反対をものともせずに申し出を受けいれる。ダリウスが苦々しい表情を浮かべたわけを知るよしもなく。■3人の兄ほど魅力的な男性が現れるはずはない、と恋を諦めていたアラベラ。彼女が唯一魅力を感じた相手は、悪名高い放蕩公爵で……。セントクレア家の華やかな恋物語、史上最高のフィナーレ!
  • モリーの言えない秘密
    3.4
    モリーが10年ぶりに故郷に帰ってきたのには訳がある。亡きおばが遺した家に住むため、というのは表向きの理由で、本当は兄の親友ベンに会うためだ。寡黙ながらハンサムで頼もしいベンに、モリーは昔から憧れていた。ほのかな想いが情熱的なものへと形を変えたのは、モリーが故郷を出る直前のこと。あの日、偶然見てしまったのだ──快感に浸るベンの淫らな姿を。以来、彼に抱かれる日を密かに夢見てきたモリーは、今こそその夢を叶えようとするが、ベンは相変わらずモリーのことなど妹扱い。そこでモリーは、大胆な作戦に出た。
  • 籠の中の貴婦人
    4.0
    宮廷一の美女と評されるアデレイドは軽薄な男たちに言い寄られる毎日に辟易していた。そんなある日、戦地から帰ってきたばかりらしい精悍な騎士アルマン卿に鉢合わせして目を奪われる。初めて胸のときめきをおぼえながらも、アデレイドは彼に近寄るまいと決意した。暴君の父と奴隷のような母を見て育った彼女は結婚しないと固く誓っているのだ。だがその矢先、二人は王ヘの謀反の企てを偶然耳にしてしまう。声の主を突き止めるには、いったいどうすればいいの? 戸惑うアデレイドに、アルマン卿はふとひらめいたように口づけた。
  • 塔の上の花嫁
    2.5
    エロイーズは伯爵のもとに押しかけたことを早くも後悔していた。イギリスの有力者であるウォルトン伯爵がこのパリで恋に落ち、指輪を贈って求婚したのは、美人の妹であって私ではない。でも、妹は別の男性と駆け落ちし、彼の評判は危機に直面している。そして私は、大嫌いな男と結婚させられそうになっているのだ。互いの問題を解決するには、きっとこの方法が最善のはず……。「マドモアゼル、さっさと用件に入ってくれないか?」いらだたしげな伯爵の冷たく光る瞳にひるみながらも、エロイーズは意志の力を振り絞って言い切った。「とても簡単なことなんです。私と結婚してください」■冷酷と名高い伯爵と心優しきパリジェンヌの“愛なき結婚”の行方は……? 華やかな英国摂政期のロンドン社交界に花開く、甘くせつないシンデレラストーリーです。
  • 貴婦人と背徳のワルツ
    4.0
    友人の邸宅で開かれるハウスパーティーに招かれ、1年半ぶりに社交界に復帰したジュリエットは、周囲の冷たい視線を浴び、さっそく後悔し始めていた。そこへ、見目麗しいがやけになれなれしい紳士が、厚かましくもエスコートを名乗り出てきた。セバスチャン・セントクレア卿――公爵家の稀代の放蕩者。きっと女主人に説得されたか賭でもしているに違いない。黒い噂のつきまとうわたしと、かかわりたいはずがないのだから。不躾な誘惑を冷たくあしらったその夜遅く、寝室のバルコニーでたたずんでいると、彼が物陰から現れた!■公爵家の三男坊として自由気ままに生きてきた道楽者のセバスチャン。ところが遊びのはずの逢瀬は思いがけない愛と苦悩を導くことになります。セントクレア家の苦くて切ない恋物語です。
  • 幕開けは子爵のキスで
    -
    雇主に関係を迫られて逃げ出したコンパニオンのネルは、乗り込んだ馬車が横転して席から放り出され、気づくと見知らぬ男性の腕の中にいた。偶然乗り合わせた裕福な身なりのそのハンサムな紳士は、魅入られたようにネルを見つめ、いきなり唇を奪った。そして我に返るなり、あわてて彼女を解放して恥じ入った。ネルはそんな実直そうな姿にときめくが、彼が社交界で噂の的のブロムウェル子爵だとわかり青ざめる。追われる身となった今、目立つわけにはいかないのに……。自己紹介を迫られ、困ったネルはとっさに偽りの名を口にした。★ネルが告げた名前は偶然にも公爵令嬢のもの。女はその場をやり過ごそうとしますが、誤算は子爵が窮地にいる女性を放っておけないほど親切なことでした。M・ムーアの魅惑のリージェンシーです。
  • アイアンハート
    -
    「ぼくはきみの永遠の騎士になる」まだほんの子供のブレンナがダイナス・ブラン城の胸壁で出会った少年は、年端もいかない未熟な従者でしかなかった。それでも、彼女はそこに類まれな勇気と気高さを見て、いつか彼が立派な騎士になって迎えに来てくれることを願った。ふたりがつたない結婚の約束をしてから、十四年の歳月が流れ、今、ブレンナはあのときと同じ胸壁に立ち、かつての初恋の相手とは違う、見も知らぬ許婚の姿を待っている。いつまでも夢を追っている場合ではない。争いの絶えないこの辺境の地では、結婚は政治以外の何物でもないのだから。そう嘆いたとき現れたのが、彼――子供のころ結婚を誓ったあの人!ブレンナは運命を喜び、求め求められるまま我が身を捧げた。彼がイングランドでも有数の騎士“アイアンハート”とも知らずに。
  • 可憐な射手
    5.0
    女でありながら男の服を着て弓と剣を操るモードは、その卓越した技能ゆえに、幼なじみのガンツに兄を人質にとられ、無理な要求を突きつけられた。ガンツは最近領地を没収され、取り戻そうと躍起になっていた。女のモードなら疑われずに、新しい領主の動静をうかがえる。そう思った彼は卑劣にも兄思いのモードを脅して、城の内部に侵入させようと考えたのだ。そしてモードはガンツに命じられるまま新領主の護衛に名乗り出た。新領主ウィリアム・ド・ローアンはどうやら王にうとまれ、この北イングランドまで飛ばされたらしい。噂では見映えのよさと愛の技巧で宮廷の女たちを骨抜きにしたというから、きっと格好ばかりの伊達男なのだろう。確かに伊達男には違いなかったが、ウィリアムの目は節穴ではなかった。彼は見抜いていた――モードの計画ばかりか、彼女の美しさまでも。
  • 海を渡る鷹
    -
    一七七九年大西洋の海上では、民間の戦闘用帆船が行き来していた。ニック・スパーホーク所有のリバティー号もその例にもれず、敵と見れば攻撃を仕掛けて、金品、人員のみならず、船までも強奪する民有武装船だ。アメリカ政府公認の“海賊”としてブラック・ニックと呼ばれ、恐れられた彼は、その日敵船の砲撃を受けて絶体絶命の危機を迎えていた。しかし、リバティー号とともに海に沈むかと思ったそのとき、なんと、若い美女の姿をした天使に命を助けられた。一年半前に風邪をこじらせて死に、天使になったという彼女は、妹のローズを政略結婚から救ってほしいとニックに訴える。豪放で享楽的、非情で傲慢な伊達男ニックに、そんな小娘ひとりにかかずらう暇はない。つきまとって離れないリリーをあきらめさせるために、それならいっそローズを誘惑し、傷つけようかと思ったのだが……。
  • 翡翠の涙
    3.0
    サンフランシスコ一の娯楽の殿堂〈ゴールデン・ドラゴン〉の後継者であるジェイドは、父オニキス・ジュエルの訃報を受けてテキサスにやってきた。そこで三人の異母姉妹に会ったことから、ハンギング・ツリーの町に根を下ろして生きていこうと決意する。ところが、故郷と同じ遊興施設を建てるという彼女の計画に町中が猛反対し、若き牧師ウェイド・ウェストンが両者の折衝役を買って出た。聖職者でありながら情熱的で、謎めいた魅力にあふれるウェイド。どこか危険な雰囲気を漂わせ、彼女を落ち着かない気分にさせる。しかも彼を見ると、ジェイドはなぜかある人物を思い出した――三年前、十六歳の誕生日に彼女にキスをした黒ずくめのガンマンを。
  • エンジェルズ・スカイ
    4.0
    瓦礫と化した町を、ケイティは必死に息子を捜して彷徨った。先ほど突如町を襲った竜巻は一瞬ですべてをなぎ払った。公園にいた子供たちは何とか教会に避難したが、息子の姿だけがどこにも見当たらないのだ。あの子の身に何かあったら……嗚咽を漏らすケイティの脳裏に浮かぶのは、幼い笑顔、そして遠く離れた夫J・Rの姿だった。彼と別居し始めたのは3カ月前。発端は些細な諍いだったのに、今では溝の埋め方がわからずにいる。ケイティは空を仰ぎ、愛する夫を想った。助けて、J・R――私たちを助けられるのはあなただけなの。
  • 花嫁は謎に満ちて
    3.7
    グレニス・シーモアは断じて“魔法”など信じていなかった。伯父や双子の伯母が引き起こす奇妙な言動にもきっと、正当な理由があるのだ。だが世間はそう見てくれない。浮世離れしたこのシーモア家の人々を守るのが彼女の務めだった。ある日、大事件が起こった。先祖伝来の指輪が盗まれたのだ。グレス・ストーンと呼ばれ、神秘の力を宿すと言われる指輪が。しかし、まさか敵が先に手を回してくるとは思いもよらなかった。「お嬢さん、お静かに。しゃべる時間はあとでいくらでもある」つきつけられるナイフ。誘拐されたらしい。走り出す馬車の中でグレニスは、目の前の悪党から目が離せないでいた。これほど整った容姿の男性は初めてだ。驚くほど青い目に、官能的な口元。じっと見つめられると、何だか落ち着かない……。
  • 薔薇のレディと醜聞
    3.0
    うら若きグレースは愛し合って結婚することを夢見て、後見人の公爵夫妻とともに社交シーズンのロンドンに向かっていた。道中の宿屋で居合わせたのは、ルシアン・セントクレア卿。あまたの浮き名を流す放蕩者にふさわしい美男子だ。そのルシアンが夜遅く、彼女の部屋に間違えて入ってきた。しかもあわてて逃げ出しもせず、寝乱れた彼女を熱っぽく眺めると、キスを求めてきたのだ。そして唇を奪われたまさにそのとき、公爵夫人が扉を開けた!夫人に誤解され青ざめたグレースにルシアンは告げた。こうなった以上、結婚するしかない、と。■スキャンダルを防ぐために、愛なき結婚を迫られるグレース。前作で新たな魅力を披露したC・モーティマーが贈る、セントクレア家の恋物語、第2話は涙と笑いがあふれる珠玉の一作です。
  • 罪深き婚礼
    4.0
    十二世紀、王位継承の争いを避けて修道院で暮らすセシリーは、四人の兄弟を内戦で失い、突然誰もが欲しがる花嫁候補となった。彼女を娶れば、広大なブランサムの所領は夫のものになる。それを見越して、かねてからの求婚者フルクが実家に戻ったセシリーを無理やり奪いに兵を引き連れてきた。死ぬほど嫌いなフルクの妻になるなら、女王に命じられたとおり、会ったこともないローアン・ドゥコートニーに嫁ぐほうがいい。彼の城に行って、この身の純潔とひきかえに助けを求めよう。セシリーは隙を見て城を抜け出し、格好の旅の相手を見つけた。修道院の菜園で出会い、生まれて初めて惹かれた男性に再会したのだ。彼こそローアンその人だったが、ローアンは偽りの名をかたった。ひと目見て忘れられなくなった女性が彼の許嫁だとは知らずに……。
  • 子爵と恋の迷宮へ
    4.0
    短気で気まぐれ、放蕩者と評判の子爵が帰ってきた。隣の領地に暮らすとはいえ、貧しい医師の娘にすぎないイザベルには関係のないことだ。だが、当のブラックウッド子爵にとっては違うらしい。ある容疑をかけられた彼が9年ぶりに帰還できたのは、イザベルが発見した手記によって無実を証明できたからだと感謝し、ことあるごとに彼女の前に現れ、手を貸そうとするのだ。彼の厚意にとまどいながらも、子爵が時折見せるやわらかな笑みにイザベルの胸は高鳴った。でも勘違いしてはだめ。彼はただ恩返ししたいだけなのだから。■イザベルは、困っている人を放っておけない心優しい女性。彼女にとって子爵を助けるのは当然のことでしたが、その気高さに彼は惹かれ……。ユーモアに溢れるふたりの会話が魅力の作品です。
  • 炎のダイアモンド
    3.0
    テキサスの大牧場主オニキス・ジュエルは、一人娘ダイアモンドにとって理想の男だった。その父が、突然死んでしまった――何者かに背中を撃たれて。犯人はすぐに逮捕された。ジュエル牧場の隣に小さな牧場を持つアダム・ウィンターだ。知らせを受けて、ダイアモンドは燃えるような赤毛をなびかせ、彼が留置されている保安官事務所へと愛馬を走らせた。銃を突きつけたダイアモンドに、アダム・ウィンターは息をのむほど澄みきった瞳を向けた。男性も恋の駆け引きも知らないダイアモンドだったが、そのとき確かにときめきを覚えた。彼女の中で、間違いなく何かが目覚めたのだ。
  • 灼熱のルビー
    -
    父の死がきっかけで三人の異母姉と、テキサスで新しい生活を始めた南部育ちのルビー・ジュエルは、奔放な性格と人目を引く美しさのせいでいわれなき中傷を受け、傷ついていた。そんな過去から心機一転、町のために婦人服の仕立て屋を開こうとした矢先、ルビーはクウェント・リーガン保安官に捕まり、留置場に入れられてしまった。詐欺師まがいの行商人に腹を立て、万引きしたことが知れたからだ。弱者をだます卑怯者をこらしめるつもりだったのに……。しかも法の番人クウェントは、彼女を留置場に入れただけではない。息も止まるほどの激しいキスをしたのだ!
  • テキサスの真珠
    5.0
    アメリカ一の牧場主と言われる父オニキスの死を知り、パール・ジュエルは、テキサスのハンギングツリーにやってきた。そこで会った、母親の異なる姉妹がパールにとって新たな家族となった。この地に根を下ろすためになにか仕事をしたい。かつて父と約束したように、パールは自分が受けた教育を、子供たちに授けようと決意した。ところが、問題がひとつ――ジュエル牧場の一切を取り仕切るカウボーイ、カル・マッケイブの存在だ。どこか孤独な影を背負う無口なカルは、パールが提案した学校の設立にまっこうから反対した。パールとカルは生まれも育ちも、考え方も違う。けれども確かにふたりのあいだには、くすぶる情熱の炎が見え隠れしていた。
  • エターナル・スカイ
    -
    「君は誰だ?」病室で目覚めたキャリーは見知らぬ男にそう尋ねられた。彼はキャリーのいとこが秘書を務める会社の社長で、秘書が怪我を負って担ぎこまれたと聞き飛んできたらしい。凄惨な記憶が甦り、キャリーは嗚咽を漏らした。いとこと愛する両親は、つい数時間前に竜巻に命を奪われてしまった。しかもその直前に目撃したある事件のせいで、いとこを装って逃げてこなければならなかったのだ。こんな話、きっと誰も信じてくれないわ……。だが彼の真摯な目を見てキャリーは思い直した。この人なら力になってくれるかもしれないと。
  • 鷹の公爵とシンデレラ
    3.0
    幼いころに親を亡くしたジェーンは、後見人の母娘に疎まれ、使用人同然の生活を送ってきた。みじめな将来を思って悲嘆に暮れていたとき、屋敷に公爵を招いてハウスパーティーが開かれることになる。現れたスタワーブリッジ公爵はこのうえなく優雅で、ジェーンは遠くから眺めるだけで満足をおぼえるが、なぜか公爵は彼女に興味を示してきた。それが後見人の不興を招き、ジェーンは屋敷を追われてしまう。頼る人もいないのに、どうやって生きていけばいいの……?困り果てた彼女は、ある計画を胸に秘めて公爵を訪ねた。■華麗なるセントクレア家の4兄妹の恋を描く第1話は、堅物の長男ホークの傲慢な恋模様。10/20刊のハーレクイン・ロマンスでは、現代の同一族の物語を3カ月連続刊行でお届けします。
  • ひそやかな誓い
    4.0
    ★朽ちかけた礼拝堂の中、メアリーはニックの指から滴る血で署名した。★「わが魂より大事な人」そう言い残して彼は戦場へと発った。メアリーは牧師の娘、ニックはかのヴェイル公爵の息子。ほんの一瞬でも彼が結婚を望み、たとえ正式でなくとも書類に署名してくれただけでメアリーは幸せだった―――その一度だけの逢瀬で新たな生命が宿るまでは。いや、その子のおかげで、この七年を生きてきたのだと言える。あのあと無事帰還したニックからは、なんの連絡もない。家庭教師として付き添うことを条件に息子リチャードをトレーウィック家に養子に出したのも、選択の余地がなかったからだ。しかしトレーウィックの妻の死後、平穏な日々は一変した。メアリーは結婚を迫られたばかりか、彼に寝込みを襲われた。そして捨て身の反撃に出た結果、裁判沙汰になったのだ。法廷に立つ彼女を救ったのは、公爵の称号を継いだニックだった。彼は古い書類を手にメアリーを指してこう呼んだ―――“公爵夫人”と。
  • 禁じられた人
    -
    ★二人は住む世界がまったく違う。どんなに惹かれあっても、禁じられた恋なのだ。★サラ・ヨーダーはアーミッシュ。厳格な掟のもとに、今も信仰と独特な暮らし方を守る共同体の一員だ。五年前に若くして夫を亡くしたサラは、父と弟と三人で、慎ましく平和なアーミッシュの生活を営んできた。ところが二ヵ月前、彼女は卑劣なレイプ犯に襲われた。屈辱と苦悩から救ってくれたのは、家族と仲間たちだった。しかし、一人の検事ブレント・マッケイドが訪ねてきたその日から、サラの中で、何もかもが揺らぎ始めた。心の一番深いところにあるプライド、勇気、自立心……。事件の証人として法廷に立つことを強く求めるブレントによって、サラは新しい自分が目覚めつつあるのを知る。だが、アーミッシュの掟では法廷に立って犯人を告発することは許されない。さらに、苦しい状況の中、まったく住む世界が違う二人のあいだに、止めて止まらない禁じられた恋の炎が燃え上がった。
  • 竜の秘宝を抱く乙女
    4.0
    キャンピオン伯爵家の息子レイノルド・ディ・バラは、次々に結婚する兄たちから逃げるように城を出ていく決意をした。だが、結婚を“呪い”のように恐れているわけではない。どれほど望んでも、足の悪い自分には叶わぬ望みなのだから。密かに旅立つ朝、レイノルドは親類の老姉妹から妙な予言をされる。あなたはドラゴンを退治し、窮地に陥った乙女を救う運命だ、と。一笑に付したものの、人けのない不気味な村に辿り着いたとき、金色の髪の美しい女性に声をかけられ、レイノルドは耳を疑った。彼女は窮地に陥った乙女で、ドラゴンを倒してほしい、と告げたのだ。そんな話はあるはずもない。だが騎士として放ってはおけず……。■デボラ・シモンズの代名詞ともいえる〈ディ・バラ家の物語〉がついに帰ってきました!主役を務めるのは、兄弟中、最も苦しい人生を歩んできた六男レイノルド。珠玉の感動作をお届けします。
  • 夜は甘く妖しく
    3.0
    ★婚姻無効は認めぬぞ。婚礼の翌朝、証拠を確認するからな!★父亡きあと領地アノシーを女手ひとつで守ってきたメリサンド。そして、仲違いしていた父の訃報を聞き、荒れ果てたサイェルヌの地に戻ってきたクイン。どちらも正式な領主となるには、地域を統轄支配する大領主に認められなければならない。その大領主に呼びつけられたふたりは、ある命令を下された。今夜すぐにも、婚礼の儀式を執り行うこと---契りを結び、名実ともに夫婦になることを強制されたのだ。従わなければ、ふたりの領地はただちに没収される。メリサンドはクインの素姓を知って青ざめた。近隣で名を馳せた極悪非道のジェローム・ド・サイェルヌの息子。クインは残忍なあの男の血を引いている。彼女はクインに宣言した。決して指一本触れさせない、と。とはいえ、クインは女性なら誰しも惹かれる容姿の持ち主で、愛の手管にも長けている。しかも、ふたりで過ごす夜は長く、危険に満ちていた。
  • サンタフェめざして
    3.0
    ★現代女性はやわだ。それは認めろよ。彼のひと言が、すべての始まりだった。★同じ大学で教鞭をとる妹のシェリーから届いた一枚のパンフレット----その名も”幌馬車体験ツアー”開拓時代そのままに、幌馬車隊を組んでサンタフェまで行く旅だ。大学教授のキャンプは、ツアーの費用は自分が持つという条件で、独自のメンバーを募り参加者にレポートを出させることを思いついた。現代と開拓時代の女性を比較対照して論文をまとめるのだ。現代女性は文明の利器なしでは生きられないという持論が証明できる。一方妹シェリーは兄にひと泡吹かせようと魂胆をもって工作していた。シェリーに誘われて参加した未亡人のエミリー・ベントンは、このツアーをきっかけに、反抗期の子供たちを鍛え直すつもりだ。こうしてそれぞれに思惑を抱えて出発した幌馬車隊の旅だったが、始まってみると誰にとっても大変な極限状況の日々。そんななかで、キャンプはエミリーの真摯な人柄に強く惹かれていく自分に気がついた。
  • 逃げた相続人 愛と称号と財産と II
    3.8
    ★あの土地はわたしのもの。叔父だろうが誰だろうが渡しはしない。★リュートの奏でる柔らかな旋律、明るい日差し・・・・・・。体を這うやさしい手と唇の感触・・・・・・あれは誰だろう?それに、ここはどこ?そのとき、ロザリンは目を覚ました。すぐ間近に微笑む男の顔が---見知らぬ美しい男の顔があった。驚いて悲鳴をあげると同時に、昨夜のことを思い出した。彼女を鞭打つ残酷で凶暴な叔父から領地を取り戻すため、そして獣のような男との結婚から逃れるため、城を抜け出したことを。だが、現実は甘くはなかった。宿屋で酔客に絡まれたところをこの男に助けられたのだ。でもまさか・・・・・・こんなことになるなんて!ロザリンは一糸まとわぬ自分の姿に動転していた。そこへヒュー・コルドウエルと名乗る男が追い討ちをかけた。「君は覚えていないのかい、僕たちが共に過ごした熱い夜を?」
  • 花嫁の持参金 愛と称号と財産と I
    4.5
    ★リリスは大勢の立会人のもと、運命と夫を受け入れ・・・・・・結婚の契りを交わした。★リリスは十年を過ごした修道院に別れを告げ、故郷に向かっていた。ところが途中、石弓を携えた双子の少年に拉致され、見知らぬ城へと連れていかれた。そのうえ物置部屋に押し込まれて、一日じゅう放っておかれたのだ。おなかはすくし、喉も渇く。それに、囚われの理由もわからない。なぜ私をここに?そもそも、なんという場所なの?翌日すべてが明らかになった。ここはガイア---彼女の故郷ウェルウィンの南、イール川の下流にある広大な所領だ。領主アレクサンダーの話では、リリスの持参金となる上流の土地で川がせき止められ、ガイアの農地が干からびたという。いくら大柄で美丈夫の立派な騎士でも、この問題は解決できなかった。だが、偶然リリスを手中に収めたおかげで彼は名案を考えついた。彼女を花嫁にする。そうすれば持参金が手に入るではないか!
  • 紳士と乙女の密約
    5.0
    高貴な生まれながら機織りで生計を立てるマルグリットは、生地の見本を積んでパリを発とうとしていたとき、逃げるように駆けてきた二人連れの男にぶつかりかけた。一人は撃たれて意識を失い、それを支えるもう一人は――昨夜、宿屋で襲われかけたマルグリットを助けてくれた紳士だ!動揺のあまり礼も言えず、名前も聞きそびれてしまったけれど、ならず者と格闘する勇敢な姿は目に焼きついている。彼女に向けられた、めまいをおぼえるような熱いまなざしも……。マルグリットはとっさに二人を馬車にかくまい、急いで出発させた。彼との旅路がどれほどの誘惑に満ちているかも知らずに。 PHS-10「仮面舞踏会は公爵と」、PHS-12「放蕩貴族を愛したら」の関連作。エイキンヘッド家の末弟ジャックがいよいよヒーローとして登場します。茶目っけたっぷりの彼の活躍をお楽しみください。
  • 夜が明けるまで
    3.0
    ★その過去に何があろうと、彼女こそ運命の女---運命の伯爵夫人。★デア伯爵がエリザベス・カーステアズに初めて会ったのは、フランス人アンリ・ボネが経営するロンドンでも有名な賭博場の貴賓専用サロンだった。一目見た瞬間から、デア伯爵の視線は彼女に釘付けになった。それほどエリザベスは美しく、賭博場のディーラーとは思えぬ気品が感じられた。彼女は間違いなくボネの情婦で、明らかに虐待を受けている。育ちもよさそうな彼女がいったいどうして身を落としたのか?そんなことを考えるうちに、ボネと一対一の勝負になっていた。そして相手の持ち金が底をついたと知ったとき、彼は貴族にあるまじき言葉を口にした---その女を賭けろ、と。
  • 夜ごとの誘惑
    -
    ★おまえは一生を狼として過ごすがよい!秘密を打ち明けしそのときは・・・・・・・★すべては、ほんの一瞬の出来事から始まった。十字軍遠征からの帰路、不思議な瓶の封を開けたロルフは、魔女の怒りにふれ、昼間は狼として生きることを余儀なくされる。折しも、オオカミの群れに襲われた貴婦人がロルフの夜だけのすみか、魔女の宮殿に助けを求めてきた。魔女は”愛の恵みによりて呪いが打ち砕けん”と言っていた。夫婦の契りを結べば、呪いも解けるはず。さて、どうしたものか・・・・・・。一方、気に染まない結婚を拒否したアンリーズは、城を追い出され、死ぬほど嫌いな修道院へ送られる運命にあった。だから、見知らぬ男に妻になれと言われても、拒否はできなかった。ここは何もかもが素晴らしく、女王のような暮らしが楽しめる。そして、夜ごと夫と過ごす、めくるめくような愛のひととき。けれども、彼は自分の素姓どころか、顔さえも隠そうとする。ああ、この喜びを教えてくれた夫の姿をしっかりと見たい!愛を知ったアンリーズに、もはや怖いものはなかった。
  • 秘密と嘘
    -
    ★これ以上何もきかないで。あなたが私の秘密を知れば、すべてが終わる。★リッキーは祖父の莫大な遺産をもとに世界中に援助を行う慈善団体の若き女性責任者だ。ある日、兄と従兄がそれって突然訪ねてきた。イギリスの貴族とばかり聞かされていた祖父が、実は”アルザスの吸血鬼”と異名を取るナチの戦犯だったという。南米パラグアイの奥地に、まだ生きているらしい。それを聞きリッキーは地獄に突き落とされ、苦悩の日々が始まった。そんな時、聖職者ジョーダンが援助を求めて現れた。組織的に抹殺されようとしている南米の原住民を救出するためだ。場所がパラグアイだと知って、リッキーは資金援助をし、秘密裏に祖父の捜索も依頼した。直感的にわかったのだ---こんなに強く、しかも信頼できる人間は彼をおいてほかにいない。初めて会ったその時から、彼女はジョーダンに激しく惹かれた。だが秘密は決して明かせない。知られたら、何もかもおしまいだ。
  • 禁じられた花嫁
    3.7
    ★私が花嫁になる日は永遠にこない。だから、せつない恋心は胸に秘めて……。★“マロリーの古文書”を捜しにオークフィールド館へ向かう途中馬車が故障し、ヒーロウが立ち往生を余儀なくされていると、黒馬を駆ってハンサムな男性が現れた。彼は館の主クリストファー。古文書は館のいわくつきの蔵書だったが、火事で焼失したと言う。興味を持ったキットとともに、彼女はもう一冊存在するらしい“マロリーの古文書”を捜しに行くことになった。道中、何度も謎の男たちに襲われ、命を奪われそうになる。いったい誰が、なんのために? 不安を胸に旅を続けるうち、二人は強く惹かれ合い、やがてヒーロウは求婚される。だが彼女は、それを拒むしかない悲しい宿命を背負っていた。
  • 身分違いの花嫁
    -
    ヘレンは父の死後、母の親友の援助で社交界デビューした。清らかで美しいヘレンは注目の的。そして、マックスというハンサムで親切な貴族に心を奪われた。ところが、母の猛反対に遭う。公爵の息子と身分違いの結婚をして冷遇された過去を思うと、賛成できないというのだ。私の恋は報われないの?ヘレンは悩み、マックスへの想いを封じようとした。そんな折、劇場でヘレンは自分を見つめる上品な老紳士に気づいた。すると、なぜか母が動揺し……。■本作はPHS-11「王子様を夢見て」の関連作。前作と同じ婦人の援助で社交界デビューし、理想の男性に巡り会ったヒロインでしたが、相手が貴族だという理由で結婚は許されず……。
  • 孔雀の貴婦人
    5.0
    次期侯爵のニックは悪名高いいとこの不品行を抑えるためにある仮装パーティにまぎれこみ、仮面の女性モリーと出会う。彼女のたぐいまれな瞳の色に魅了されるが、いとこが姿を現すと、二人は知りあいなのか連れだって外へ出ていってしまった。だが後を追うニックが見たのは、殺されたいとこの姿だった……。真相をつかむべく、彼は証拠品を頼りにある屋敷にたどりつき、そこにいた貴婦人の瞳を見て直感した――モリーにちがいない!ニックのなかで、あらゆる好奇心が頭をもたげた。さて、そしらぬ顔の彼女を、誘惑してじりじり追いつめてやろう。
  • 騎士への贈り物
    -
    ★もう騎士には近づかない。彼を呪いの犠牲者にしないために。★エロイーズに近づく騎士は呪われる。そう噂されていた。彼女はこれまで二度婚約したが、二度とも婚約者が亡くなり、義兄に強いられて結婚すると、その夫までが馬上槍試合で命を落とした。彼女は夫の死に、騎士のサー・オーウェンが関係しているのではないかと疑っていた。かつてエロイーズに求婚しながら、何も言わずに姿を消した男性だ。城で再会した彼には、相変わらず魅惑的な雰囲気があった。でも、呪いをこれ以上広めないため、わたしはもう、騎士に近づいてはいけないわ。
  • 放蕩貴族を愛したら
    -
    ウィーンを舞台に活躍する美貌のオペラ歌手ソフィーは十三歳で父の借金のかたに売られて以来、歌を支えに生きてきた。彼女にご執心のロシア皇帝らの誘惑も、どうにかかわしている。スパイ活動のためウィーンにやってきたレオ卿も彼女のすばらしい歌声と魅力の虜になった一人だった。放蕩者で鳴らすハンサムな彼にソフィーはたちまち心惹かれたものの、愛人契約を持ちかけられると、弄ばれるのが怖くてはねつけた。諦めきれないレオは、彼女を仲間のスパイにできないものかと考える。そんな折、ソフィーはロシア皇帝に歌を披露するため部屋に呼ばれ、もはや誘惑に屈するほかない状況に陥ってしまい……。■本作は「仮面舞踏会は公爵と」の関連作品で、ヒーローは前作ヒーロー、コールダー公爵の弟。同じくスパイで放蕩者のレオ卿と麗しき歌姫との波瀾に満ちたスリリングな恋の行方は……?
  • 嫉妬と傷心
    -
    ★これは恐ろしい夢……突然現れた男を見て、彼女は蒼白になった。★マリッサは十九歳。十七歳で親子ほども年の離れた伯爵に嫁ぎ、奥歯を噛みしめて二年あまり冷えきった結婚生活をおくったのち、夫があっけなくこの世を去った。葬儀をすませ、屋敷のなかがにわかに騒然となったのは執事が遠来の客の到着を告げたときだ。ジャマイカから亡き伯爵のいとこが訪ねてきたという。弔問客の応対をしていたマリッサも、そちらの方を向いた。なんと、夫に生き写しではないか。あの人が生きかえったんだわ! マリッサは気絶した。
  • 王子様を夢見て
    -
    父の死後、田舎暮らしをせざるを得なくなったスザンナはある日、ハンサムだが短気な貴族の乗った馬車にひかれそうになる。ぷりぷりしながら家に帰ると、夢のような知らせが待っていた。援助するのでロンドンで社交シーズンを楽しまないかという手紙が、母の友人から届いたのだ。母は私の結婚による経済的安定を願っている。母を喜ばせたい。でも……狂おしいほど情熱的な恋に身も心も捧げてみたい――そんな夢を捨てきれないままスザンナは馬車に乗って、ロンドンへ。待っていたのは社交シーズンに集う大勢の煌びやかな装いの貴族たち。その中には、あの短気な貴族の男性の姿もあった。■幸運にも社交界デビューを果たしたヒロイン。豪華なドレスに身を包み舞踏会へ夜会へと繰り出します。夢の王子様は見つかるのでしょうか。
  • 仮面舞踏会は公爵と
    5.0
    父と継母に望まぬ結婚を迫られ家出して以来、アレックスは男性のふりをして生きてきた。コールダー公爵と出会って、初めて抱いた恋心。けれど、公爵はアレックスが女性だとは夢にも思わない。そんなある日、仮面舞踏会が開かれることになり、同僚が小柄なアレックスに女装するようけしかける。そうだわ、もしたった一度でも、公爵に女として見てもらえたら?真っ白い長手袋、豪華なドレス――ああ、どんなにすてきかしら!そして舞踏会当日、ひときわ華やかなレディをアレックスとも知らずコールダー公爵はたちまち熱いまなざしで彼女を見つめてきたが……。
  • 待ちわびた求婚
    3.0
    父が亡くなり、弟はまだ大学に通っているとなれば、所有地を管理するのはジェインの仕事だった。おまけに母の親友の遺言で、十八歳にも満たないアマンダの後見人役を託された。わたしはこのままきっと、恋をすることもなく婚期を逃すのだろう。ある日、ジェインが荒野で乗馬をしていると、銃声が響き、男性が傷を負って倒れていた。マックスというその男性の澄みきった瞳に、ジェインは心を奪われた。しかし、傷の手当てをするために家に連れ帰ると、アマンダを見た彼は恋に落ちたような表情を浮かべた。
  • 男爵の花嫁
    4.0
    住み込みの家庭教師ジョアナは、好色な屋敷の主に襲われかけ、それを見とがめた夫人に屋敷を追い出されてしまった。お金がなく宿には泊まれず、娼婦に間違われ、さんざんな扱いを受ける。兄が管理人補佐をしている地所を訪ねたが、兄は解雇され姿はなかった。代わりに現れたのは、ネッドという紳士的な物腰のハンサムな男性。ジョアナに同情したらしく、彼女を村の学校教師として雇うと言う。ありがたい申し出だ。彼女はまず家を借りるため給料の前借りを頼んだ。「いや、それには及ばない。ここに住めばいいだろう」ここに住む――彼とひとつ屋根の下に?不意にふたりがキスする姿が目に浮かび、ジョアナは頬を赤くした。■貴族にひどい目に遭わされショックを受けたジョアナが出会った男性。じつは、彼はただの“ネッド”ではなかったのですが……。人気作家ジュリア・ジャスティスが描く、極上のロマンスをご堪能ください。
  • 歌姫に薔薇の花を
    3.0
    オペラ歌手を夢見るローズは、ロンドンで初舞台を踏んで喝采を浴びた。早速さる高名な侯爵の秘書が家を訪れ、主が後援者になりたがっているとの知らせをもたらした。その瞬間、キューピッドの矢は間違った相手の心臓を射抜いた。ローズは侯爵の秘書フリンとひと目で恋におちてしまったのだ。けれど、舞台に立つ女性が後援者を得るとは、愛人契約を結ぶこと。強欲な後妻にたきつけられ、父は今にも契約書にサインしそうだ。歌は大好き。でも……真実の愛だって見つけたい。そこへ、サド侯爵の信望者と囁かれる放埒な伯爵が現れ、ローズの運命は思いもよらない方向へむかう。■お待たせいたしました。胸を打つクリスマス短編作で日本デビューを果たしたダイアン・ガストン、初の長編をお贈りします。スリリングかつシェイクスピア作品を彷彿させる独特の作風をご堪能ください。
  • 寂しき婚礼
    3.0
    ★結婚が苦しみしかもたらさないのなら、一生夫を拒み続ければいいのだ。★エレナは親が決めた結婚相手から逃れるため、出会った当初から惹かれていたキットの元を訪ね、駆け落ち同然で結ばれた。ところが式を挙げた直後、夫が忽然と姿を消してしまう。おかげで、ひとり屋敷にとり残されたエレナには捨てられた花嫁という、ありがたくない呼び名がついた。口さがない人々の中傷は無視すればいい……そう思っていたエレナだが、夫が大陸でオペラ歌手と恋仲になっているという噂が耳に入る。もういつまでもめそめそと泣き暮らすわけにはいかなかった。
  • 夜明けまでの魔法 キャバノー家の真実 III
    -
    ~堕落したルシファーは大天使のなかで最も美しい~パトリックを見たとき、マギーの脳裏をよぎったのはその言葉だった。警察一家に育った彼は、彼女が務めるオーロラ市警でも一流の刑事だ。だが魅力的な外見と有能さを持ち合わせているため、汚職を働いているのでは、というやっかみ半分の噂があとをたたない。だからこそ、マギーは彼の身辺調査を上司に命じられたのだ。少しずつ心を通わせよう。そう誓った日から苦難は始まった。「きみとは相性が悪い」「きみが嫌いなんだ」けんもほろろな態度に、マギーは怒りではなくうずきを覚えて驚いた。まさかわたし、捜査対象(ターゲット)に恋してしまったの?★M.フェラレーラの連作『キャバノー家の真実』第三話は、通常よりページ数が多く、読みごたえ充分です。太陽のように明るいマギーはパトリックの凍った心を溶かせるのでしょうか。★
  • 臆病な女神
    3.0
    アイアンサは心の扉を閉ざして生きている。彼女の唯一のやすらぎは絵を描くこと――絵筆を取って風景画を描いているときだけ、忌まわしい過去の記憶を忘れられるからだ。今日も雪が降りしきるなか、彼女は外へ出かけていった。だが突風にあおられ、足を滑らせて、斜面を転がり落ちた。気がつくと、大柄な紳士が馬上からアイアンサを眺めている。「断じて危険な者ではありません」紳士は穏やかに言い、雪まみれのアイアンサに手を貸そうとした。次の瞬間、彼女はピストルに手を伸ばし、紳士の心臓に狙いを定めた。彼の眉が上がり、二人の間の空気がぴんと張りつめた。★独特の流麗な筆致でスリリングな世界を描くパトリシア・F・ローエル。RITA賞ファイナリストの彼女が今回送り出すのは、自分の中の闇と闘うヒロインが再生していく物語。彼女を見守るヒーローの辛抱強さに乾杯です。★
  • 干し草をかぶった乙女
    -
    家具職人の娘アナリースは夜の森で瀕死の若者を見つけ、放っておけずに家へ連れ帰った。きっとならず者に襲われた犠牲者に違いない。なぜなら、わたしの母も同じように襲われ、殺された……。心やさしいアナリースは若者がかわいそうでならず、必死で看病を続けた。その甲斐あって、若者は日ましによくなっていったが、決して素性を明かそうとしない。体を動かせるまでに快復すると、なにを思ったか、彼はアナリースの父に家具作りの手ほどきを受けたいと言いだした。どこか奇妙なこの申し出に、彼女は首をかしげるばかりだった。★本作の舞台は西暦1472年、イングランド王家がランカスター家とヨーク家の二派に分かれて争っていた時代にあたります。ランカスター家が赤ばら、ヨーク家が白ばらのバッジを使用したことから、ばら戦争とも言われ、1455年から三十年あまりも続きました。★
  • 公爵のためらい
    3.0
    「ママ、こちらはデイトン公爵よ」娘にそう言われて、ヴェリティは激しく動揺した。まさか彼と再び顔を合わせる日が来るなんて!十年前の夜、放蕩者の名をほしいままにしていた彼と、招かれた屋敷で寝室をともにした。だが、それは喜びとはほど遠く、ヴェリティは恥ずかしさに身悶えしながら自宅へ逃げ帰ったのだった。脳裏をよぎる場面を振りはらい、彼女はひとり娘の手を取った。この秘密だけは絶対に知られたくないと思いながら。
  • 勇者は死なず
    -
    ドミニ・ド・モントフォードはハーウッドの女君主である。彼女の領地は“湿地帯の狼”という盗賊団の脅威にさらされていた。家臣と領民を救うために、ドミニは修道院へ向かう。かつてハーウッドの君主であり、勇猛果敢な戦士だったアーマンドを連れ戻すためだ。アーマンドは政治的な裏切りにあったことがきっかけで厭世的な気分に陥り、修道院に入ったのだった。俗世に戻ることをかたくなに拒むアーマンドに、困りはてるドミニ。二人の言い分を聞いた大修道院長は意外にも彼に修道院を去るよう促す。こうしてアーマンドは再び剣を手に取ることになったが……。★ゴールデン・ハート賞受賞作家デボラ・ヘイルの作品をお届けします。物語の舞台は1143年のイングランドで、ヘンリーI世亡きあと、王位継承争いが勃発し、国内が二分した時代です。作品中に登場する女帝モードはヘンリーI世の長女に、スティーブン王は甥にあたります。★
  • 婚約のゆくえ
    3.0
    温泉保養地バースを訪れたアビーはあるパーティーで、祖父の名付け子のバートと再会した。数年前、アビーは彼にプロポーズされたが、断った過去がある。バートが祖父を喜ばせるためだけに求婚したとわかっていたからだ。お祖父さまはバートがここに滞在しているのを知って、私に温泉を勧めたにちがいない。まだ諦めてなかったんだわ!その手には乗らないとばかり、アビーはつとめて冷ややかにバートに接した。ところが、彼に同行していた妹がアビーになつき、どうしても一緒にピクニックに行きたいと言いだして……。★英国貴族たちの地方での過ごしかたはたいへん優雅なものでした。紳士は野外へ狩猟や魚釣りに出かけ、淑女はおおいに寝坊して遅い朝食をとり、庭園をぶらぶら散歩して過ごします。彼らにとって、馬車で遠出するピクニックは、ロマンチックな出会いを提供する貴重な場でもありました。★
  • ダイアナの秘密
    4.0
    外務省に勤める夫が何者かに刺殺され、残されたダイアナは恐怖のどん底に突き落とされた。事情を知る夫の友人ヴィンセントが不憫に思い、援助の手を差し伸べてくれた。ダイアナの身辺に異変が起こり始めたのは、その直後だ。いつも誰かにつけ狙われているような気がする。それだけではない、闇から薄気味悪い声が語りかける。誰が?いったい何のために?ダイアナは見えない影におびえ、ヴィンセントにすがるほかなかった……。★RITA賞ファイナリストのパトリシア・ローエルの作品をお送りします。サスペンスタッチのじりじりするような展開が独特の世界を生みだしています。★
  • 貴婦人の素顔 リージェンシー・ブライド II
    -
    アッシュ家の末娘メグはいつも美しい姉たちと比較され、母親にもないがしろにされて窮屈な日々を送っていた。だから幼なじみのサイモンが求婚しにやってきたとき、メグはロマンチックな告白を期待して胸をときめかせた。ところが――「わたしたちの友情がより親密なものになることを望んでいます」それは、とある国の王子と恋に落ち、お姫様になる夢を見ていた少女にとって、あまりに味気ないプロポーズだった。メグはがっかりして申し出を断り、パリに渡った。一方、サイモンも自堕落な放蕩者に変貌し、ついに二人が再会する時がやってきた!
  • レディ・サラの冒険
    5.0
    サラ・ハンターは理想の花嫁候補として社交界でもてはやされている。しかし彼女には別の顔があった。今夜も寝室の窓から抜け出し、男装姿でロンドンの裏通りをひた走る。ある筋からの依頼により失踪した子どもたちの行方を捜しているのだ。ついに手がかりとなる人物の尾行を始めたとき、イーサンという男にじゃまをされた。それ以来、行く先々で彼とでくわす。不審に思ったサラは、逆にイーサンの周辺を探ろうと思いつく。霧雨の中、“夜のレディ”の追跡が始まった。★本作のヒロイン、サラは仲間のレディ三人で水曜同盟というクラブを作り、活動の拠点にしています。一方、イーサンは“アルセーシアの悪魔”の異名をもつ謎の多い男。二人の道が交錯し、魂が呼応しあって……。本作で日本デビューの作家がヒストリカル仕立てのミステリーをお届けします。★
  • いたずらな運命 リージェンシー・ブライド I
    4.0
    運命とは皮肉なものだ、とジェームズは思った。イギリスに戻って最初に会ったのが、よりによっていちばん会いたくない女性だとは。二台の馬車がすれ違い、あやうく衝突しそうになった。その相手の馬車に乗っていたのが、誰あろう、七年前に婚約しておきながら、彼を捨てて、父親ほども年の離れた金持ちと結婚したアリシアだったのだ。馬が暴れ、気絶した彼女は今も変わらず美しく、ジェームズはついときめいてしまった自分が許せなかった。彼は苦い思いを噛み殺し、そっと彼女を抱き起こした。★運命のいたずらで別れた恋人たちの麗しい再会を描きます。★
  • 婚礼の夜に
    4.0
    「ああいう娘をロンドンに連れてきては……」ティルダの耳に飛びこんできたのは自分への中傷だった。いったい誰がそんなことを?振り向いたティルダは目を疑った。たった今、楽しげに踊ったばかりの紳士だったからだ。それから七年。ある屋敷の車寄せにシャペロン付添人として従妹に付き添う彼女の姿があった。従妹に求婚した公爵からハウスパーティーに招かれたのだ。現れた公爵を見たとたん、ティルダの顔から血の気が失せた。忘れもしない、あのときの紳士だ!彼女は微笑を口元に貼りつけたまま丁重に挨拶した。★2003年にHolt Medallion賞を受賞し、じわじわと実力をつけてきたエリザベス・ロールズ。一見おすまし顔のヒロインが尊大な公爵とわたり合う、リージェンシーの恋の鞘当てをお楽しみください。★
  • 奪われた福音書
    -
    ノルマンの王に土地を取り上げられ、意にそまぬ結婚を強いられたローズ。すべてを失った彼女に残されたのは美しく貴重な福音書だけだった。一度はイングランドの地から奪われ、亡き父が苦労の末に捜し出したその書は、ノルマン人の夫に抱かれながら、なお冷たく心を閉ざす彼女にとって、わが身より大切なものだった。これだけは渡せない!ローズは自分の運命を呪いつつ、夫への復讐を誓うのだった。★時は11世紀、ノルマン・コンケストの嵐が吹き荒れるイングランドのヨーク地方が舞台です。女地主ローズは、ノルマン人の騎士ジュードに土地ごと売られてしまいます。復讐に燃える彼女が選んだ道とは……?ロマンティック・タイムズ誌で好評を博した作品です。★
  • 伯爵夫人の出自
    5.0
    余興のために結婚式に呼ばれた煙突掃除人の娘ジェマイマは、式場で居合わせた伯爵に幸せを運ぶキスを求められ、思わず胸がときめいた。数日後、驚いたことに彼が家に訪ねてきて便宜上の結婚をしてはもらえないかと申し出る。聞けば、亡父の遺言で、花嫁を迎えなければ遺産を手にすることができないという。「結婚しても、きみはきみ、ぼくはぼくで暮らそう」すてきな申し出だわ。もう煤(すす)だらけの生活をしなくてもすむ。ジェマイマはにっこり笑って承諾したのだが……。★一作ごとに大物感が増してきたニコラの最新刊をお届けします。今回のヒロインはなんと煙突掃除人の娘、ジェマイマ。結婚式に煙突掃除人とキスをすると幸せになれる――その言い伝えをヒントに、作者は寓話性の高い物語を書きあげました。さて、その結末は?★
  • 結ばれた真実
    3.5
    キャサリンは監禁状態から自分を救ってくれたクリスチャン・デュモンの城に身を寄せていた。城の練武場では騎士たちが剣の稽古に励んでいる。そして六人のうら若い令嬢が息をひそめてその様子を見守っている。令嬢たちは城主の弟であるジェフリーの花嫁候補に名乗りを上げようと、精いっぱい着飾っていた。だが、キャサリンは独り、気持ちが沈んでいた。大好きなジェフリーが結婚してしまう……。それだけではない、彼の顔を見るのもこれが最後かもしれない。そう思うと、寂しくてしかたなかったのだ。★12世紀末、イングランドは現在のノルマンディー地方の領地を巡ってフランスと激しく対立していました。本作のヒロイン、キャサリンもその時代の波にのまれた犠牲者でした。★
  • 奇妙な家庭教師
    4.0
    伯爵令嬢オクタヴィアは伯母からロンドン郊外の屋敷を相続した。初めて自分の家を手にした彼女はうかれた気分で早速、屋敷を見に出かけていった。しかしそこにはすでに先客がおり、オクタヴィアはけたたましい少女たちの声に迎えられた。声の主は富豪エドワード・バラクラフの二人の小さな姪だった。彼女たちの世話に手をやいていた彼は、オクタヴィアのことを職を求めてやってきた家庭教師だと思いこみ、せきたてるように彼女を家の中へ引き入れた。★昨年刊行のヒストリカル別冊<スティープウッド・スキャンダル>で人気に火がついたシルヴィア・アンドルーの新作をお届けします。どこか『メアリー・ポピンズ』を思わせる洒脱な作風は作者ならでは。午後のゆるやかな時間、ティータイムのお供にぴったりの作品です。★
  • 未熟な淑女 テンプル兄弟の旅 II
    -
    かつて、アフリカで内乱に巻き込まれたサミュエルは、人に触れられると激しい嫌悪と恐怖を感じるというトラウマ心の傷に今も深く悩まされていた。彼の望みはただ一つ、学者として研究に没頭することだった。女性に触れることもなく……。ある日、彼は幽霊が出るという噂の宿を訪れ、宿に着くなり、誰かの手が体に触れるのを感じた。だが、そばには誰もいない。幽霊にも、この不思議な感触にも、何かからくりがあるはずだ。サミュエルは探るようにあたりを見まわした。★4月刊『聖なる刻印』に続いて、<テンプル兄弟の旅>の二作目をお届けします。前作のヒーロー、ジャック・テンプルの弟サミュエルが本作の主人公です。博物学者の彼が旅路の果てに見つけたものは?★
  • 騎士と修道女
    -
    アシュトン城の城主サースタン卿は思い悩んでいた。娘のベアトリスが修道院に行くと言ってきかないのだ。少女の頃から人を愛することを怖れ、特に母親を亡くしてからはいっそう心を閉ざすようになった。卿はじきにウェールズとの戦争に出陣しなければならず、娘をひとり城に置いていくのも忍びない。そこで大勢の護衛をつけて修道院へ送り出すことにした。一行のなかに若き騎士レミー・セントレジャーが加わっていたのは運命だったのだろう、誰にとっても思いがけない旅になったのだから。★本作で日本デビューのキャサリン・マーチは、ロンドン編集部お薦めの作家です。物語の舞台は1277年のイングランド国境地方、ヒロインの父サースタン卿が戦う相手は、“プリンス・オブ・ウェールズ”と称したケルト族の首長ルウェリンです。★
  • 天使の休息
    -
    お酒って意外とおいしいのね……。エンジェルはワルツを踊りながら胸の内でつぶやいた。ここは仮面舞踏会の会場。ダンスの相手は知り合ったばかりの男性。本当ならレディが来るような場所ではないけれど、ちょっと夜の世界を覗いてみたくなったのだ。相手の男性に誘われるまま外へ出て、ほてった顔を冷ましているうち、気がつくとエンジェルは花が咲きこぼれる温室にいた。世間知らずの彼女はちっとも気づいていなかった――男性がその花のような唇にキスしたいと思っていることに。★『名誉の代償』(HS~226)で北米、イギリスともに高い評価を得たジョアンナ・メイトランドの最新作をお届けします。見事な筋立てはいつもどおり、入り組んだ糸が次々ほどけていく妙をお楽しみください。★
  • 愛の足かせ 三人の求婚者 III
    -
    アントニアは幼いころからフィリップとの結婚を夢みていた。それなのに、のほほんと年月を重ね、気がつくと二十四歳になっていた。大変!ぐずぐずしてはいられないわ。幸い、フィリップにはまだ結婚を約束した相手はいないらしい。ここで私が彼の花嫁にふさわしいレディで、男爵の妻としても立派にやっていけると証明できたなら、求婚してくれるかもしれない。かくして二人は八年ぶりに再会したのだが、彼はアントニアのことをなかなか思い出してくれず……。★ステファニー・ローレンスの三部作〈三人の求婚者〉の最終話をお届けします。放蕩者を気どっていたフィリップもついに年貢の納めどきのようです。ヒロインのアントニアが仕掛けた愛らしい罠とは? 恋人たちがついばむ協奏曲をお楽しみください。★
  • 恋に落ちた七日間
    -
    クレアのもとにある日、継母が訪ねてきた。娘のテッサが素性もわからない男に夢中になり、スキャンダルに巻き込まれそうだというのだ。異母妹とはいえ、駆け落ちでもされたら一大事。クレアは探偵を雇って男の身辺を探りつつ、自らその男とテッサが出席しているパーティーに乗り込んだ。そこで優雅に踊る紳士は、なんと昔クレアが思い焦がれた使用人のユアンではないか。十年前に突然、姿を消した彼が、今なぜここに?そして、どうして妹に近づいたりしたの?
  • 料理番の娘
    4.2
    高潔な聖職者だった父親の死後、エマ・リンに遺された財産はほとんどなかった。自活することを余儀なくされた彼女はかつて自分の子守をしてくれたマーサ・ラッジのもとへ身を寄せ、得意な料理の腕を生かしてラッジ夫妻の経営する小さな宿屋で働き、生計を立てていた。そんな折、ベネディクト・グラントリーという貴族が宿を訪れ、たちまち村人たちの耳目を集める。でも……あんなに都会的で洗練された人がいったい何をしにこんな田舎までやってきたの?エマの興味は尽きなかった。★お待ちかね、アン・アシュリーの新作をお届けします。彼女の持ち味であるミステリアスな作風が極上のワインのように効いて、格調高い物語に仕上がっています。この春、一押しのリージェンシーをどうぞ。★
  • 愛の円舞曲 三人の求婚者 II
    3.0
    ハリーは魔の手から逃げるようにロンドンをあとにした。都会に留まっているかぎり、なんとしても彼を結婚させようという縁結びが好きなご婦人方から逃れられないからだ。彼は愛馬の手綱を取り、郊外の道を飛ばしていた。その途中、道の真ん中に大型の馬車が横倒しになっている現場にでくわした。中に人が閉じこめられている。急いで助け出そうと扉を開けた瞬間、ハリーはくらくらした。極上の真珠を思わせるような女性がこちらを見ていたからだ。★先月から始まったステファニー・ローレンスの三部作〈三人の求婚者〉の二作目をお送りします。前作のヒロイン、レノーアの兄が今回の主人公です。レスター家をめぐる恋の鞘当てをお楽しみください。★
  • 塔を守る貴婦人
    3.0
    ジュリアナは今日も剣を携えて森へ出かけた。一年前、城主だった父を亡くし、それ以来、男装して領地を守っているのだ。森は血と陰謀の匂いに満ち、闇夜にまぎれて密偵たちが馬を駆る。ジュリアナはひづめの音に耳をすまし、さっと身がまえた。誰かいる。敵だろうか、味方だろうか?彼女は部下を引き連れ、人影に近づいた。月明かりが蒼白の騎士の顔を照らしだした。★お待ちかね、シャロン・シュルツェの作品をお届けします。本作のヒーローは『砦に立つ貴婦人』(HS~220)にも登場したラナルフ卿に仕える騎士、サー・ウィリアム・ボウマンです。★
  • 仕組まれた縁組
    4.0
    うるわしい春の宵、オールマックス舞踏会場はいつものようにきらびやかな上流階級の人々でにぎわっていた。宴もたけなわというとき、会場の入り口がざわめき、一人の紳士が現れた。第七代ダーレストン伯爵――社交界が注目する今年いちばんの花婿候補だ。上背があり、このうえなく優雅でハンサム、そのうえ男やもめとくれば、レディたちが放っておくはずがない。彼はたちまち踊りの輪の中に吸い込まれた。★舞踏会で踊った相手が気に入り、結婚を申し込んだダーレストン伯爵。つつがなく婚姻が整い、万事うまくいったはずでしたが、花嫁が入れ替わっていたとわかり……。HS~189『子爵の誘惑』の関連作品です。★
  • 天使のたくらみ
    -
    母を亡くして初めての十二月。ジュリーは悲しみに沈んでいた。せめて愛する男性でもいれば話は別だが、お世辞にも美しいとはいえない教師に恋の予感は訪れない。そもそも運命の出会いなど信じていなかった。クリスマスも近いある日、彼女は通勤中に高級車にはねられた。奇跡的に無傷だったものの、車を運転していた男性はあくまで高圧的だ。どうやら、彼こそが悪名高き億万長者ロイ・フレッチャーらしい。冷血漢ときいていたけれど、やっぱり評判どおりだわ!謝罪や気遣いもなく金ですべてを解決しようとするロイに怒りをつのらせ、ジュリーは再三の示談金を拒否する。するとロイがとった行動は……。彼女は我が目を疑った。★世界的な人気を誇るデビー・マッコーマーが、シアトルを舞台に心あたたまる奇跡のストーリーを描きます。発売わずか二週目でニューヨークタイムズのベストセラーリストに登場した秀作です!★
  • 遠い夢の秘宝 モアランド公爵家の秘密
    3.0
    ニューヨークの新聞記者ミーガンは、偽りの履歴書を手にイギリスへ渡り、ある公爵家の使用人の面接に臨んだ。目的はただひとつ――10年前に愛する兄を殺した次期公爵のテオ・モアランドに近づき、証拠を握って罪を償わせること。薔薇の咲き乱れる庭でミーガンが公爵夫人の質問に答えていると、不意にひとりの男性が現れた。豊かな黒髪、日に焼けた肌、官能的な曲線を描く唇。明るいブルーの瞳にとらえられ、ミーガンの心に不可思議な感覚が湧き起こった。だが公爵夫人が発した言葉に、彼女は衝撃を受けた。「これが長男のテオよ」
  • 月の光を抱いて
    -
    幼い頃から死んだと聞かされていた父がメキシコで生きていた。ずっと私に自分の存在を知らせたがっていた――急死した母の遺品から明らかになった事実に、ロレインは激しく動揺する。父に会わなければ。あれほど父を愛していた母が嘘をついた理由を知りたい。ロレインは周囲の反対を押し切り、一人旅立つ。その時の彼女は、まさか自分がマヤの秘宝を巡って生命の危機にさらされることになるとは夢にも思っていなかった。そして、その危機の向こうに運命の出会いが待ち受けているとは……。世界的ベストセラー作家の感動ロマンス。
  • 見つめる瞳 ジャッキー・カミンスキー II
    -
    ★人々の裏切りと欲望のすべてを、その瞳は見つめていた……全米で話題沸騰のジャッキー・カミンスキー・シリーズ、待望の第2弾!★一見なんの変哲もない家宅侵入事件を担当することになった女刑事ジャッキーは、事件の関係者に恐ろしくも淫らな脅迫状が届いていたことを知る。それは本人たちしか知り得ない過去の秘密を暴き、連続殺人を予言するおぞましいメッセージだった。悪質ないたずらと見られていたが、予告どおりに殺人は起こり、凶悪な事件は急展開を迎える。そしてついに、ジャッキーをも死へと誘う殺人予告状が届き……。タフで繊細な女刑事のスリリングなラブ・サスペンス。
  • 永遠の旋律
    4.3
    ある舞踏会で、シェフィールド公爵ラファエル・ソーンダースは思いがけない再会を果たした。ダニエル・デュバル――5年前、ラファエルと婚約中の身でありながら他の男とベッドをともにし、社交界を締めだされた罪深き女性。怒りを再燃させるラファエルに対して、ダニエルは身の潔白を主張しつづけた。だが調査によって無実が証明されたのは、彼女が新たな婚約者の待つアメリカへと旅立ったあとだった。この思いに決着をつけなければ、一生後悔することになる……。ラファエルは揺るぎない決意を胸に、ダニエルを捜す旅に出た。

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