つないでいく
一巻のころから応援していました。まさかここまで人気になるとは!
面白さは徐々に加速して、最後まで怒涛の展開で飽きることなく楽しめました。
遅ればせながらためて読み直し読み終えたのでレビューをば。
広げようと思えばもっといろいろ風呂敷は広げられたでしょう。
個人的には炭治郎と禰豆子の共闘する姿をもっと見たかったですし(笑)
それでもこれは、一貫して鬼との闘いでぶれることなく、広げすぎず、ひとつの物語として進んでいったんだと思います。
群像劇としてもいろんな人たちのいろんな部分に感情移入できました。
これは読み手によっていろんな方向から楽しめるのではと思います。
好きなキャ...続きを読むラ、感性によって感じ入る部分は違ってきて、そこもまた深く楽しめる一因ではないでしょうか。
読み終えて思い出したのは、子供のころ学校の先生に「命はなぜ大切だと思いますか」と問われたこと。
「たった一つしかないから」と答える人が多い世界のなかでも、日本は昔から「繋いでいくものだから」というような答えが多かったと聞きました。他者から受け継がれた命だから、それを次に繋いでいくために、だから大切なのだと。
確かに日本は御家とか血縁とか大事にしてたよなあと当初は思っていましたが、鬼滅を読み終わってふと、この「繋いでいく」「受け継いでいく」のはなにも血縁のみにならずではとハッとしたのです。
たとえ血のつながりでなくとも、だれかのふとしたやさしさが、言葉が、行動が、誰かの心に残って次へ伝えられたのだとしたら…それはだれかの血肉となって続いていくのと同義ではないだろうか。
作中で主人公は言っています。人にしてあげたことは巡り巡って自分へと――この物語のラストの展開はまさに、炭治郎がしてきたことへのめぐりあわせで紡がれています。
ぜひ手に取って読んでみて、ははあ、と唸ってみてください(笑)
きれいに最後までまとめられており、読了感もよかったです。心にじんわりと染み渡って残っている、そんな作品になりました。
ありがとうございました!