少年・青年マンガ のおすすめレビュー
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ある日、主人公・宇佐美 九(うさみ きゅう)の家にロボットの少女・いちこがやってきます。
いちこは見た目は人間そっくりですが、心はまだ未完成。そのためホストファミリーと一緒に暮らしながら勉強をするというのです。
同い年くらいな少女な見た目のいちこに戸惑う九。
いちこの“心のプログラム”の完成は彼が高校卒業する頃。それまでいちこと一緒に過ごすことになるのですが…。
物語は九が小学生時点からスタートします。
いちこが現れたことで、九と九に思いを寄せる幼なじみ・愛の関係に変化が起きます。
愛はそれまで九の一番近くにいる存在であったのに、いちこにその場を奪われてしまったことで心が揺れるようになるのです。
中学生編では、それぞれが思春期に向かい自分の気持ちの変化に戸惑う姿が描かれるのですが…。
いちこはロボット。そのため心もプログラムでしかない…と周りは思っています。
もちろん九も最初はそう思っているのですが、いちこの天真爛漫さや優しさに次第に思いが変化していきます。
それを間近で見ている愛は気が気ではありません。
九といちこと愛の三角関係がどうなっていくのか…。
自分に素直になれない感じや、あえて気持ちと反対の行動をとってしまう…など、思春期特有の行動にエモさが溢れています。
描くのは中村ひなた先生。
繊細な線にふんわりとした絵柄で画面から優しさが溢れ出ています。
そして…いちこと愛がとにかく可愛いのです!!
いちこのはにかむ笑顔や愛の複雑な気持ちが表れた表情など…あまりの可愛さにジタバタしてしまいます。
1コマ1コマじっくりと味わいながら読みたくなる今作。
少しずつ育っていく各キャラクターの心を感じてください。2022年07月20日 -
『東京喰種トーキョーグール』の石田スイ先生最新作!!才能はギフトか呪いか…。
1998年、「超人」と呼ばれる特殊能力を持った人間の増加により混乱をきわめた 世界国家が「自治県」に分断されてからはや50年がすぎた世界。
高校生の黒原トキオと東アヅマは困っている人を助けるヒーローのような活動をしていました。
ある日、二人は以前退治した不良に報復を受けますが、なんとその不良は謎の注射によって超人となっていたのです。
追いつめられたアヅマとトキオは、拾った謎の注射をお互いに投与します。
薬の効果で超人となったトキオは不良を撃退しますが…アヅマは変化せず人間のままでした。
鳥の超人になってしまったトキオは超人達の戦いに巻き込まれていきますが…
前作『東京喰種トーキョーグール』から3年の期間を経て、石田スイ先生待望の新作です!
物語全体にただようダークさが今後激化する戦いを予感させますが、端々にコミカルさが散りばめられてあり、先へ先へと読み進めたくなります。
またバトルシーンやキャラクターの心情が大きなコマで表現されており、とにかく迫力が凄いところにも注目していただきたいです。
物語の中核となる超人の才能。
才能が開花するのは素晴らしいことで、超人的能力を得ることでプラスになることがあるかもしれません。
ですが、物語の中には才能が開花したことで夢を諦めることになったキャラクターが登場したり、必ずしも喜ばしいことではないと描かれます。
超人の才能は天からのギフトなのか、それとも呪いなのか…。
(今のところ)超人にはなっていないアヅマが今後どう関わってくるのか気になるところですが、今まで自分の人生に無責任に生きてきたトキオが今後どう変化していくのか…注目です!!
2022年07月20日 -
サスペンスマンガ好きにオススメしたいノワールサスペンス、開幕!!
物語は自称エリート刑事・冴木仁(さえき じん)が窃盗の通報を受け訪れた豪邸で、地下室に監禁され餓死した子供たちの遺体13体をみつけることから始まります。
屋敷の中にあるのは贋作の絵に造花など、偽物だけ。
そんな豪邸の持ち主は灰川十三(はいかわ じゅうぞう)という男ですが、現在は行方不明。
警察は灰川が犯人とみて全国指名手配します。
すると、そのニュースを見て灰川の娘と名乗る女性が現れます。
彼女の話では、灰川は育児放棄や虐待を受けている子供たちに生きる術を教え、一緒に生活をしてくれる良き父代わりであったので犯人なはずがないと言うのです。
彼女以外にも灰川が育てていた19人の子供たちの内5人が生きていることがわかり、(収監されている1人を除き)各々に事情聴取するもその子供たち全員「灰川十三は犯人ではありません」と言います。
事件を調べていく内に発覚する様々な事象に、冴木は子供たちを殺したのは本当に灰川なのか解らなくなっていきます。
描くのは『親愛なる僕へ殺意をこめて』の井龍一先生と伊藤翔太先生のコンビ!!
前作に続き、今回も極上のサスペンスとなっております。
マンガでありながら、まるで映画を見ているかのようなシーン展開になっており、物語を俯瞰の視点で見せつつも登場キャラクターの視点を織り交ぜることで、グイグイと物語に惹きこまれます。
屋敷にあった調度品も偽物、住人達も偽物の家族ということで、今のところ全て“偽物”で成り立っている第一容疑者の灰川。一体何が“本物”なのか…。
物語が進むほど謎が謎を呼ぶノワールサスペンスとなっており、今後の展開が気になって仕方ありません。2022年07月20日 -
毎日淡々とした作業をこなすことを至福の喜びとしている柳(やなぎ)。
ある日、高校時代からあこがれの同級生いちかと再会します。
いちかは今放送中のリアリティーショーに出演している若手女優。
柳はいちかの性格的に向いていないからあの番組に出るのはやめたほうがいいと言いますが、いちかはそんな柳に対し寂しげな笑顔を向け去っていきます。
数日後、いちかが自殺したというニュースが流れ、柳は自分が助けられたのではないかという思いに駆られます。
柳はショックで目の前が真っ暗になり…次に気が付いた時には、死んだはずのいちかの姿に!!
なんと半年前に戻っており、いちかと柳の身体と中身が入れ替わっていたのです。
眩しいくらいに憧れの存在だったいちかと、冴えない人生を歩んでいた柳との人生が交差したのでした。
柳はいちかとしてリアリティーショーに参加し彼女が死なずに済む世界を目指しますが、一方何も知らないいちかは柳の体で予想外の展開に巻き込まれていきます…。
描くのは『ぼくらのへんたい』『愛と呪い』などの、性や毒親といった重いテーマを可愛らしい絵柄で描いてきた、ふみふみこ先生。
今作では今までのふわっとした絵柄とは違うタッチで描かれており、ふみ先生の表現の幅広さに驚かされます。
タイムリープのタイミングから事件のあった半年の間にいちかの身に何があったのかを柳が追体験していくのですが、彼がどのように状況を乗り越えていくのか…。
柳といちかが入れ替わったことで、どのような変化が起きるのか…。
先の展開が全く読めません!!
何故いちかは自殺をしてしまったのか?という謎を中心に社会問題にもなったリアリティーショーの闇を描きつつ、入れ替わった柳といちか二人が送る人生自体も“リアリティーショー”となっている、入れ子構造にも注目していただきたいです。2022年07月20日 -
格差が広がる一方の社会で、“CEOと一般従業員の年収格差が千倍以上の世界的企業に対し、3年間の内に差を200倍未満にせよ”と声を挙げる謎のテロ集団が現れます。
3年後、彼らは世界トップ企業のCEOを次々と襲っていきます。
彼らは一体何者なのか…?
テロ集団が掲げるスローガンに思わず、格差が少しでもなくなるなら…と共感しそうになる冒頭でがっちり心を掴まれました。
主人公の石井大良(いしい たいら)は、幼少の頃何者かによって父親を目の前で殺されるという過去を持つ刑事です。
彼は一度見ただけで人の顔と名前を覚えられるという特技がありました。
そんな彼がたまたま見ていた東京のロケット発表会で発生した爆発事件中継に、父親を殺害した犯人の姿が映っていたのです。
男の正体を探るべく調査に乗り出す大良ですが、その男がイベント会社に勤める佐藤と名乗る人物であるとわかったものの、名前も住所も全てが嘘であったことを知ります。
更に証拠として押収していた動画の一部が消されていたことが発覚し…。
なんとか跡を掴んだと思った途端するりと真実が指の間をすり抜けていく。そんな感覚になります。
誰が敵で誰を信用してよいのか…読む側も大良同様に先が読めないまま振り回されてゆきます。
大良はわずかな手掛かりをかき集め、少しずつ繋がっている部分を辿り男の正体を見つけ出すことができるのでしょうか。
今作は『リウーを待ちながら』や『インハンド』で医療サスペンスを描いた朱戸アオ先生の新作です。
朱戸先生は、「現実に起こり得そう、でも実際に起きたらとても絶望的…!!」というクライムサスペンスマンガの第一人者です。
今回も“何かが起きている!でも何が起きているのかは解らない。”そんな漠然とした状況に、空恐ろしくなります。
今はまだ気付いていないかもしれませんが、同じような危険がすぐ傍で蠢いているかも…。
実際に起こり得るかもしれないという恐怖心がべっとりと張り付いて離れません。2022年07月20日 -
好きな男性のタイプは俳優 高倉健な幽霊肯定派の女子校生・綾瀬桃と、同級生の怪奇現象オタク・オカルン(本名 高倉健)。
互いに否定するUFOと怪異を信じさせるため、桃はUFOスポットの病院廃墟へ、オカルンは心霊スポットのトンネルへ行くことに。
なんとそこで桃は宇宙人と、オカルンは心霊のターボばばあと遭遇!!
宇宙人に襲われ必死になった桃は超能力を開花!そして、オカルンは…ターボばばあに呪われてしまい…。
ジャンプ+で連載が開始されてすぐに注目された今作ですが、注目すべき3つのポイントがあります。
1つ目は、画力と物語の勢いです!
キャラの生き生きとした表情や迫力のあるアクションシーンなど絵の勢いが凄く、物語のテンポもよく、とにかく“マンガ力”が高くてびっくりしました。
描いているのは龍幸伸先生。
なんと『チェンソーマン』の藤本タツキ先生や『地獄楽』の賀来ゆうじ先生の下でアシスタントをされていたそうなので、納得の実力です。
2つ目は、名作へのリスペクトです。
セルポ星人の真の姿が『ウルトラマン』に登場するダダを彷彿としたり、ターボババアに呪われたオカルンが壁に激突するシーンでは大友克洋先生の『童夢』の名シーンを感じさせたりと、色々な作品のオマージュが散りばめられており、龍幸伸先生のリスペクト心が窺えます。
3つ目は、桃とオカルンの人間性に注目いただきたいです。
自分のことを育ててくれたお婆ちゃんの事が大好きな桃ですが、素直になれずに反発してしまった事を悔いていたり、友達ができないからこそ宇宙人となら友達になれるのでは…と思ったオカルンなど、思春期に抱く悩みや思いにまっすぐ向かっていく姿は等身大の少年・少女感があります。
人間性から外れてしまいますが、太眉女子好きは必見です。桃の可愛さにハマること間違いなしです!
1話目を読んだ時にアダルト要素が強いのかな?と思ったのですが、ご安心ください。
少年マンガらしい展開でバランスのよいラブコメになっております。
幽霊、都市伝説、UFO、超能力、バトルアクション…様々な要素を織り込み、化物VS化物という究極バトルを繰り広げながらも、しっかりとしたラブコメを描いている今作。
今一番アツい『ダンダダン』の勢いに振り落とされないようにご注意ください!
2022年07月20日 -
スピンオフマンガが増えている昨今、新たなスピンオフの金字塔マンガが登場しました!!
主人公はバットマンシリーズで大人気ヴィラン・ジョーカー。
「悪」の権化であるジョーカーがまさかの子育てに奔走します。
育てるのは、ひょんなことから赤ちゃんになってしまったバットマン!!
しかもワンオペ育児に追われ次第に“ヴィラン”としてのジョーカーではなく、“育児者・ジョーカー”に変化していく様は、育児の大変さをコミカルに描きながらも哀愁を感じます。
ジョーカーといえば、映画「バットマン」「ダークナイト」「スーサイド・スクワッド」「ジョーカー」などで様々な俳優さんが演じられているキャラクターです。
今作のジョーカーはそれらの作品の要素を織り交ぜた独自のジョーカーとなっております。
映画のパロディシーンもふんだんに盛り込まれておりますので、映画を見たことがある方はどの作品のシーンかを考えながら読むのも面白いのではないでしょうか。
(もちろん今作を読んだ後に、バットマンシリーズの映画を見ても楽しいと思います!)
バットマンシリーズを見たことがない方も、普段は白塗りピエロの格好をした悪役が育児に追われ悪役メイクをする時間がない…など、子育てに奔走する姿には思わず笑ってしまうことでしょう。
仕事(銀行強盗)をするためには赤ちゃんを保育園に預けないといけないのに、保育園の申し込みが全落ちしたシーンなど思わず笑ってしまうものの、現代の保育園事情のリアルさに真顔に戻ってしまうのは私だけではないはず!
ギャグでありながら社会派要素の織り込まれ方は秀逸です!
新たな育児マンガとして楽しむもよし、
新たなバットマンスピンオフマンガとして楽しむもよし、
新たなギャグマンガとして楽しむもよし。
色々な楽しみ方ができる作品です!
未だかつてないジョーカーを堪能してください。
2022年07月20日 -
舞台は「アミガサ」という世界政府によって人類が支配・管理されている、ジョージ・オーウェルの小説『一九八四年』を彷彿とさせるディストピアな世界。
人々は限られたエリアで決められた食事を与えられ、行動や思想を制限され、感情すらも制御される中、主人公のダンテだけが異質でした。
失読症なこともあってか、彼は周りのように同一の行動・同一の思想に染まることがありませんでした。
「危険思想」とみなされるダンテの行動でしたが、身体的能力の高さと失読症であるが故に見逃され処刑されることはなく厳罰で済んだのです。
D-18という領域でしか生きたことのないダンテは、ある日領域外に出て反乱組織「エーテル」を撃滅するという極秘任務に配属されます。
初めてエリア外に出るのでワクワクするダンテですが、待ち受けていたのは菌類に覆われた世界でした。
ほぼ部隊が全滅する中、ひとりだけ生き延びたダンテは女性区から来た「エーテル」一派の少女アオイと出会います。
彼女の
「自由な考えも会話も許されないなんてどう考えてもおかしいじゃない!」
という一言でダンテは自分の今までの違和感の理由を知ります。
彼女との再会を誓いエリアに戻るダンテでしたが、彼の帰還はアミガサにとっては予定外の出来事でした。
拷問を受けるダンテを待ち受けていたのは、「脳菌糸」を寄生させるというものでした。
なんとアミガサタケを脳に寄生させることで自由を奪い、思考を奪い、菌類は徹底した管理社会を築き上げていたのです。
通常なら思考を奪われるハズのダンテでしたが、奇跡的に支配を免れることに成功します。
更に脳のアミガサと金属を合成させるメタルカプセルを取り込むことで「エーテル」の戦士となったダンテ。
予定調和の世界で、異分子として覚醒します。
彼はこの世界で誰にも支配されることなく、世界を変えることができるのでしょうか。
作品内容紹介に
『進撃の巨人』諫山創が惚れ込んだ、新たなる"絶望"と"抵抗"の物語。
とありますが、先が見通せない物語設定に、少々粗さがある絵柄とコマ展開など、確かに『進撃の巨人』がはじまった当初を彷彿とさせます。
菌類がどうして人間を支配するに至ったのか、アミガサの目的とは?
更に菌類に対して鉄の力でどう人間は立ち向かうのか。
まだまだ謎が多い今作、今後それらの謎が徐々に紐解かれていくのではないかと期待しています。
“絶望”からはじまる物語は未だに注目度が高いジャンルです。
絶望からはじまるからこそ、そこからの成長が引き立ち、生きる意味・立ち向かう尊さを感じられるのだと思います。
この作品が新たな“絶望スタートの物語”の柱となってくれるのではないでしょうか。
2022年07月20日 -
強迫性障害による潔癖症のため5年間引きこもり生活をしていた主人公の黒田公正。
そんな彼の前に車椅子姿のピアカウンセラー足立歩が訪れます。
※ピアカウンセラーとは、似たような境遇にある者同士が対等な立場で行われるカウンセリングと、その実践者(作中より)
足立は黒田にゲームをしようと誘いますが、車椅子に乗り手指も不自由な足立を見て「出来ないクセに」と思い断ります。
足立はそんな黒田の思いを笑い飛ばし、見事に口でコントローラーを操作しゲームをプレイしてみせるのです。
足立はプロのゲーマーであり、ゲームの中は自由であることを伝えるのです。
肉体の接触がある現実世界は潔癖症である黒田にとって不快でしかありませんが、肉体を介さないコミュニケーションができるゲームの世界は快適な環境に思えたのです。
ですが、黒田は思考がとにかくネガティブかつ極端。中々自分自身の現状を受け入れることができません。
それでも障害者である足立と一緒にいることで、自分自身の考えの至らなさを実感し、更には足立のポジティブさに影響を受け、少しずつですが変化していくのです…。
黒田のように、どうしても前向きになれず自分を卑下してしまう事は誰しも経験があるのではないでしょうか?
そんな自分の姿を思い出してしまい、負のスパイラルに陥り身動きができなくなってしまう黒田の姿に苛立ちを感じつつも、なんとか脱して欲しいと願いながら読み進めてしまいました。
編集者の方からのコメントで
実際に障害を持ちながらゲームをする方にお話を聞いたり、障害者施設での、eスポーツを取り入れたリハビリなどを取材するなど、リアリティには拘っている。
とありましたが、eスポーツについての解説もあり、ゲームを全くやったことがない方でも楽しめる熱いヒューマンドラマです!
黒田が今後どんな成長を遂げるのか注目です!!2022年07月20日 -
舞台は「竜神戦隊ドラゴンキーパー」と「悪の怪人軍団」が毎週日曜日に戦いを繰り広げている世界。
その戦いは高い志を持って行われるものではなく、ヒーロー側と戦闘員「ダスター」との間で交わされた協定によって行われる「やらせ」の戦闘だったのです。
主人公である戦闘員Dは惰性のように行われる戦闘に懐疑的。
「自分たちの使命は世界征服だ!」と熱く夢を語る戦闘員Dに対し、他の仲間たちは「意識高い」と笑いものにします。
割り切れと諭されるも納得できないDは
「黙ってやられる役はもう ごめんだ」
と、立ち向かうことを決意するのです。
戦闘員は、「死なない」「自分の姿を思い描いた姿に再構築できる」といった特殊能力があります。
戦闘員Dはその能力を活かし、人間に擬態しドラゴンキーパーの本拠地で大戦隊の戦隊員として潜り込み、ドラゴンキーパーを倒すことを目論みますが…。
この作品の中で描かれているヒーロー・ドラゴンキーパー達はお世辞にも正義感が強い、みんなが憧れるようなヒーローではありません。
そのため、ヒーローがカッコよく活躍する物語ではありません。
かといってアンチヒーローものでもありません。
では一体何なのか…。
役割をこなすことの大切さや難しさを描きつつも、ひとりのモブがモブであることを辞めて自分の人生を歩もうと足掻く物語ではないでしょうか。
春場ねぎ先生といえば、『五等分の花嫁』のラブコメを思い浮かべる方も多いのでは?
ですが『戦隊大失格』で描かれる世界はラブコメとは大きく異なります。
それに戸惑われる方も多いのではないでしょうか。
ですが、強者であるドラゴンキーパーに役割を強制される戦闘員達の姿には、自分を投影できる方も多いのでは?
現実世界で納得いかなくてもなんとなくこなしている役割があったりしませんか?
その役割、ちゃんとこなせていますか?
日常で「しょうがない」と割り切っていることが多い方、役割をこなせているか不安に思う方に是非読んでいただきたいです。
モブでしかなかった戦闘員Dが今後どうなるのか?
悪役である戦闘員Dは真の悪役になれるのか!?
春場ねぎ先生の描く新しい物語に注目してください!2022年07月20日 -
本編とどう違うの!?と思った方…私も同じ思いで読み始めました。
が、期待以上のギャグマンガでした…。
原作が怖くて読んでいない方も、原作ファンの方も楽しめる作品になっています!!
松本光司先生が描く「彼岸島シリーズ」は
『彼岸島』
『彼岸島 兄貴編』
『彼岸島 最後の47日間』
『彼岸島 48日後…』
と、今も続く人気作品。
主人公の宮本明は行方不明になった兄・篤を探すため彼岸島に渡りますが、そこは雅という鬼によって吸血鬼にされた人間が跋扈する島でした。
明たち「人間軍」と、雅率いる「吸血鬼軍」、人類滅亡をかけた戦いを行う。というのが本編のストーリーですが、今回の『彼、岸島』は、そのシリーズに登場するモブキャラが主人公というスピンオフ作品です。
今回の主人公は、吸血鬼に対抗する対抗組織に所属している岸島(きしじま)。
戦いの現場で岸島の目がたまたま充血していたため吸血鬼と間違われ(吸血鬼は目が赤黒いという設定です)殺されそうになったところ、逃げた先で出会った吸血鬼にも仲間と思われてしまい、吸血鬼の一員として戦いを見守ることに…。
この『彼、岸島』は本編『彼岸島』でいうところの18巻に収録されている教会のシーンから始まりますが、本編のあの謎のシーンにはこんな経緯があったのか!!と、衝撃を受けました。
『彼、岸島』の特徴として、本編のどの巻にまつわるシーンに繋がるのかが記載されており、本編を読んでいる方は楽しさ倍増!という仕掛けがされているのです。
本編だと当たり前のように進んでいく物語ですが、主人公の明や雅の行動、周りのキャラにツッコミたくなった方は多いはず。
心の中で入れていたツッコミを岸島が言ってくれるので、「そうそう!そこ可笑しいよね!」と素直に笑うことができるのです!!
また、人間でありながら吸血鬼に勘違いされてしまう岸島の不遇さも、可愛そうですが思わず笑ってしまいます。
スピンオフを描いているのは佐世保太郎先生ですが、松本光司先生の独特な絵のタッチを見事に再現しています。
是非『彼岸島』本編と照らし合わせて読んでみてください!!2022年07月20日 -
『闇金ウシジマくん』の真鍋昌平最新作は、ワケアリ者を弁護する悪徳弁護士の物語!!
「ウシジマくん」は闇金を通じて半グレやヤクザなどアウトローを描いた物語でしたが、今作もアウトローな人間が多数出てくる物語です。
主人公・九条間人(くじょう たいざ)は、腕利きの弁護士。
ですが作中の「いい弁護士は性格が悪い。」という言葉とおり、弁護士の姿勢としては受け入れがたい部分があります。
何故なら、思想信条がなく、法律と道徳は分けて考えることをポリシーとしており、道徳上許しがたいことでも依頼者を擁護するのです。
最初のエピソードは、飲酒運転に加えスマホゲームによるよそ見運転で父親と5歳の子供を車で跳ねてしまった事件。
父親は死亡、息子は片足切断という事態に…。
それに対し九条は犯人の男にアルコールを抜いてから出頭し何もしゃべるなと指示を出します。
犯人は指示通り20日間黙秘を貫き証拠不十分で釈放され、裁判でも執行猶予付きで実刑なしという判決を勝ち取るのです。
被害者の立場を考えると胸糞悪いと言える結末です。
弁護士としては加害者よりも被害者を擁護した方がお金になるのに、悪評が付いて回るのも気にせず加害者側を擁護する九条。
お金のためではなく別の信条があることが窺えます。
九条はある意味ダークヒーローと言えるのではないでしょうか。
世の中の話題性のあるテーマを取り上げたり、後味がザリっとするような物語はさすがの一言。
九条の淡々と話しを進める様は、ウシジマくんに通じるところがあります。
連載当初ウシジマくんは客観的視点を持ったキャラクターで事件の中心ではなかったですが、次第に物語の中心となっていきました。
九条も現在は客観的なポジションで事件と関わっていますが、今後その立場がどう変化していくのか気になるところです。
個人的に注目しているのが、烏丸真司(からすま しんじ)という九条の下で働くイソベンと呼ばれる「居候弁護士」です。
烏丸はエリートであり、もっと好条件な環境で働けるにも関わらず、面白いからという理由で九条の下にいるのです。
九条は代わりものですが、烏丸も相当変わり者と言えます。
今後、九条と烏丸がどう物語の主軸になっていくのか楽しみです。
また昨今起きている事件が、この物語で取り扱われるかもしれない…!!という部分でも注目です。
2022年07月20日 -
夢を諦めてしまった人、夢を諦めきれない人へ、心をアツくする物語!!
怪獣発生率が世界屈指の日本。
怪獣を討伐するために組織された防衛隊は、憧れの的でした。
害獣専門清掃業として働く日比野カフカも、かつては防衛隊員を目指していたひとり。
ですが、厳しい現実を前にいつの日か夢を諦めてしまったのでした。
そんな時カフカの仕事先に新しく入ったバイト・市川レノもまた防衛隊員を目指していたのです。
夢を諦めてしまったカフカに対し冷たい言葉をかけるレノ。
しかしそんなカフカはめげずに、目の前の仕事を一生懸命に挑みます。
そんな男気あるカフカの姿を見て、レノは心を動かされ防衛隊の募集年齢が引き上げられカフカも受験資格がある事を教えてあげるのです。
そんな矢先に、怪獣に襲われる二人。
なんとか助かるものの、謎の生物によってカフカは怪獣となってしまったのです!!
怪獣を倒す防衛隊員を目指していたはずが、駆除される側になってしまったカフカ…。
このまま彼は防衛隊員になれるのでしょうか…!?
夢破れた男が新たな力を手に入れ、再度夢を掴もうとする。ある種王道の少年マンガ展開ですが、主人公が32歳のおじさんという所が斬新です。
若者だけが夢や希望、可能性に溢れているわけではないという部分が、新しい少年マンガの道を切り開いたと言えます。
何歳になっても夢を見ることは大切であると思わせてくれ、子供だけではなく大人も心を掴まれるのではないでしょうか。
「怪獣8号」と命名されたカフカの見た目は、かなりダークなフォルムになっています。
物語も怪獣によって町が破壊され犠牲が出たりと重い展開ですが、カフカのおちゃらけた性格のおかげで全体的にコミカルになっています。
悲しい物語や重い展開は読むのが辛い…という方でもスイスイ読めるのではないでしょうか。
怪獣と言えば「ゴジラ」や「ウルトラ怪獣」など、日本には怪獣文化が根付いていると言えます。
この物語はそんな怪獣大国日本の新たな怪獣マンガと言えるのではないでしょうか。2022年07月20日 -
些細な事でむしゃくしゃする事ってありませんが?
そんな時にも読めば人に優しくしたくなるマンガです。
深夜のコンビニバイトのベテラン店員の島さん。
彼はどこにでもいそうな、ちょっと頼りなさもある白髪頭のおじさんです。
ですが、実はワケあり…。
その背中一面には昇り龍の入れ墨が刻まれていたのです。
恐らくは何かしらの過去があり、ヤクザ業から足を洗いカタギの世界に戻ってきたのではないでしょうか。
でも、島さんはそんなことを周りに匂わせたりはしません。
1話目からとても印象的でした。
深夜にタバコを買いに来た若者に対し年齢確認をした若手の後輩バイト君が因縁をつけられた際、島さんは一瞬でボスポジションの人間を見抜きました。
彼は過去の経験から、一番静かにしていた人間をボスだと見抜いたのです。
そして言葉を荒げることもなく、「お願い」をすることでその場を治めました。
彼は「元ヤクザ」ではなく、あくまで普通のおじさんとして実直に、誠実に人と仕事に向き合っているのです。
その姿に、思わず状況に流されそうになったりする自分が恥かしくなります。
島さんの優しさは恩着せがましくなく、とても些細なことだったりします。
しかし、その些細な優しさに救われるのです。
島さんの過去に一体何があったのか…非常に気になるところです。
元ヤクザである事を活かした物語や、島さんの過去も今後描かれるのか…!?
続きが気になります!!
ギスギスした世の中に疲れたら是非、『島さん』を読んで優しい気持ちになってください。
2022年07月20日 -
動物実験などに対し過激な手段をとるテロ組織「動物解放同盟(ALA)」がカリフォルニア州の生物科学研究所を襲撃。
そこにいた動物を解放している中で見つけたのが、出産間近のチンパンジーでした。
運び出されたチンパンジーは無事出産をするのですが、驚くべきことに生まれた嬰児は人間とチンパンジーの交雑種「ヒューマンジー」だったのです。
ヒューマンジーはチャーリーと名付けられ、チンパンジー研究の権威スタイン博士夫婦に引き取られます。
成長したチャーリーは服を着て二足歩行をし言葉を話し、見た目はチンパンジーっぽさがありますが人間と変わらない生活を送っています。
高校に通うことになったチャーリーですが、学校では注目の的で…。
読み始めた最初は、人間を超えた生命体が生まれ人間を脅かす存在になる…といったSFかと思いました。
しかしこの物語はそんな簡単な構造ではありませんでした。
それを最初に感じたシーンが、チャーリーが学校で仲良くなった陰キャの優等生ルーシーとの会話です。
「ヒューマンジーなのってどんな感じ?」
というルーシーからの質問に対し、チャーリーは
「人間なのってどんな感じ?」
と聞き返すのです。
ルーシーは無意識にチャーリーを人間ではない異物と考えて質問をしてしまったのです。
正に「潜在的の差別意識」を比喩したシーンだと思います
また、チャーリーと両親がヴィーガン(動物への搾取と残酷さを排除しようとする考え)である事に対し、スクールメイトがヴィーガンの平等性を揶揄しました。
その際、チャーリーが平等について考えを述べるのですが、人間の考える「平等」とは異なる「平等」でした。
それは人間第一主義からするとゾっとする考えだったのです。
このように、この物語は随所で「差別」と「平等」を考えさせられます。
そんなある日、町で爆発テロが起きます。
犯人はチャーリーの産みの親のチンパンジーを解放したALAでした。
彼らは人間だけを特別視せず、すべての動物の平等を目指し、反する人間に鉄槌をくだすことを知らしめるため、更に過激な手段を選んだのです。
そんなALAは彼らの戦いにチャーリーを巻き込むことを画策します。
「人間だけを特別にする理由はあるの?」と問うチャーリーの平等はALAの目指す平等と近しいような気がします。
しかし、今まで両親としか接してきていなかったチャーリーが色々な人と出会い、多くの人間を観察することでどう変化していくのか…。
最初はSFかと思いきや、中盤はヒューマンドラマ、後半に至ってはサスペンス要素があり、1巻だけでも充実感が凄いです!!
序盤でこんなに面白くて、続きはどうなってしまうのか…。
チャーリーが生まれた意味とは?
ALAの戦争に巻き込まれてしまうのか?
気になることがいっぱいです!
2022年07月20日 -
葬儀屋の「通夜オプション」としてお通夜の間に話を聴く「聴き屋」として働く「夜」こと槙柊夜。
彼は目覚めると夜の記憶を忘れてしまうのです。
葬儀屋の物語と言えば、死者の声を聴く『ようこそ亡霊葬儀屋さん』がありますが、
こちらは霊ではなく残された生者の声を聴き、その人の気持ちの整理をするキッカケを作ってくれます.
『覆面系ノイズ』や『悩殺ジャンキー』の福山リョウコ先生が少女マンガ誌から飛び出し、ヤングアニマルZEROで連載をしている今作。
ご本人曰く「生まれて初めて、進むために描いた漫画」ということですが、物語に出てくるどの依頼者も死者との間にあった後悔や未練を自分が先に進むために昇華しており、読んでいる側も前向きになることができます。
死んだ父と残された娘の思い、
友人の突然の死に言えなかった思いを抱く青年など。
どの物語も、切ないながらも前向きになれます。
依頼者ごとにオムニバス形式で物語が進んでいきますが、1巻の後半から柊夜が何故「夜」として「聴き屋」を営むことになったかが描かれます。
キッカケは、葬儀がない日に依頼をしてくる「常連」神さんとの夜でした。
神さんは「きみが全部忘れてくれるから話しやすい」と言います。
確かに見知った人には言えなくても、赤の他人、しかも朝には忘れてしまう人が相手なら話しやすいでしょう。
自分ひとりで抱えられない思いを、吐き出せたのならどれだけ楽になるか。
きっと神さんも初回はそれで救われたのかもしれません。
しかし、彼はリピーター。自分の話を聴いてもらうのではなく「きみの話を聴かせてくれ」と頼むのです。
そして最後にこう言うのです。
「自分より凄惨な別れを聴くと救われるから」
全体的に摩訶不思議でほろりと泣ける心温まる物語かと思いきや、自分の隠している確信をついてくるこのセリフにハっとしました。
残酷な一言ですが、世の中には自分より不幸な話を聴く事で自分はまだマシだ。と思うことはあります。
とてもエゴイスティックなことですが、それで救われる人がいるのも事実です。
柊夜に一体何が起きたのか。
彼が夜を思い出せる日は来るのか!?
不定期連載なのでスローペースでの刊行になるとのことですが、楽しみに次巻を待ちます!!2022年07月20日 -
父一人子一人で、大切に育ててきた娘を殺された父親。
「犯人が捕まったとしても、娘はもう戻らない。」
そう悲しみに暮れる男の前に改変者と名乗る少女が現れます。
突然現れた少女は何故かロリっ娘で…。
しかもテンション高めで、「え、ここで突然のギャグパート!?」と戸惑うくらい。
状況にそぐわないハイテンションが不気味に感じます。
改変者はいわゆる「この世界」を俯瞰で見るような存在なのだと思います。
言い換えれば世界の異物と言えるかもしれません。
それを表現するために、ハイテンションなロリっ娘というアンバランスな存在にしたのではないでしょうか。
死んだ人間は戻らない。それが世界の法則です。
ですが改変者が、死んだ娘が戻る法則に改変してしまうのです。
罪を犯した人間を罰すれば、失われた人を取りもどすことができる。
つまり、娘を殺めた人間を殺せば娘が生き返る。
そういう世界に変わったのです。
(ただし犯人が自殺や自然死してしまった場合は戻りません。)
男は半信半疑ながらも犯人を捜し襲いかかります。
殺されそうになった犯人が
「犯人の心の闇とか生い立ちとか知りたくないですか?本を出版するから生きさせてください」と命乞いをするのですが、
男は
「それが何の役に立つんだ!?犯罪予防ができたり被害者が救われるのか!?」
と冷めきった顔でとどめをさすのです…。
そして、そこには生き返った娘の姿が…!!
現代の犯罪と無関係な人の好奇心を皮肉った印象的なシーンです。
しかし、ここでまた改変者から告げられるのです。
「この法則は他者にも適用されます」
つまり、この父親が誰かに殺されれば、娘を殺した犯人が生き返る。
それを防ぐには、父親が自然死するか自殺するしかありません。
娘を救った存在でありながらも、殺人者でもあるのです…。
この事をキッカケに世界は大きく変化し、司法も改正され「蘇柱執行法」が制定されるのです。
物語は、薬物中毒者に娘を殺された父親や、死刑反対派の家族、過去に殺人を犯した男など、様々な登場人物を中心にオムニバス形式で展開していきます。
それぞれ状況や抱く思いが異なり、様々な視点を思い知らされます。
この作品は、鬱マンガを描かせたら右に出るものがいない『なるたる』『ぼくらの』の鬼頭莫宏先生が原案を担当され、鬼頭イズムを継承したかのような繊細かつ丁寧(さらには萌えも!)な絵柄のカエデミノル先生が描いています。
一見難解で重く思える物語を、先に述べた改変者や物語のテンポの良さでスルっと読ませる手腕はさすがのひと言に尽きます。
私、この作品を読み終わった後、思わず小躍りしました。
あまりに面白くて。
私の大好きな鬼頭ワールドが読めて最高に嬉しいです。
どの物語も、読んだあと心にズシンと残るものがあります。
それはハッピーなのか、アンハッピーなのか…
どちらとも言えない複雑な思いでした。
読んだ後、みなさんの心に残る思いはどういったものでしょうか?
是非その思いをじっくり味わってみてください。2022年07月20日 -
時は昭和12年。
舞台は、人の命が軽く扱われるような国「満州」。
関東軍の兵士として母親や妹弟とともに満州にやってきた日方勇は、戦地で助けようとした子供から銃で撃たれて右目を怪我し、前線離脱を余儀なくされます。
その後、農業義勇軍に配属され、虐げられる日々を送りますが、片目を失って以来利くようになった鼻を生かし、食べられる草花を嗅ぎ分けて貧しい生活の支えとしていました。
しかし、母が肺ペストに感染してしまうのです。
母を救うには高額な薬が必要ですが、そんなお金は持っていません。
何とかして稼がなければ…と思った矢先、古い土や堆肥を捨てているはずの処分場からかぐわしく甘美な芳香がすることに気付きます。
扉を開けるとそこには、無能兵と虐げられていた陣内茂が金を稼ぐためにこっそり育てていた阿片芥子が咲き誇っていたのです。
当時の満州は「一番軽いものは人の命」と言われるほどで、生きるためには金が必要でした。
しかし、金を稼ぐには子供を売るか阿片を売るか…といった手段しかありません。
一花咲かせるために必死の茂は、勇に芥子を横取りされまいと襲い掛かりますが、逆に勇の妹達に殺されてしまいます。
それをキッカケに、勇は母のために阿片製造で金を稼ぐ決意をするのです。
彼は中華民国最大の秘密結社へ自作の阿片を売りつけに行きますが、危うく殺されかけたところを、ボスの娘である麗華に救われます。
彼女は自分が自由になるため、勇と組んで阿片を支配することで、満州国の支配を企んだのです…!!
阿片中毒者などのハードな描写がありますが、画力の上手さと丁寧な物語運びによりグイグイ読み進められます。
製造した阿片の顧客を得るためにかなり強引な手段を取る麗華にハラハラさせられますが、彼女の逞しさに清々しさを感じてしまいます。
一方、そんな麗華の姿に戸惑いを隠せない勇ですが、彼の度胸と賢さは今後大物になる予感がビンビンします!!
個人的希望ですが、家族のために"真阿片"という悪魔の発明をしてしまった勇の苦悩などが描かれてほしいです…。
阿片によって利益を得ている日本軍との対立など、陰謀渦巻く満州で勇がどうのし上がっていくのか…物語はまだまだ始まったばかりです。2022年07月20日 -
田舎の閉鎖的な町で暮らす少年・黒瀬令児。
彼は、家族に縛られ、町から出ることを許されません…。
一体彼の人生は誰のものなのか。
閉塞感やノスタルジーが漂う作品です。
令児には、認知症の祖母とそれを介護する母、引きこもりの兄がいます。
母は現在の状況に疲れ果て、自分が楽になるため、令児に大学進学ではなく地元に就職することを強います。
しかも就職先は、令児をパシりとして使ってくる幼なじみの会社でした。
令児の人生は令児のものであるはずなのに、家族や町に縛られ、自分の人生を生きることがままなりません。
そんなとき出会ったコンビニ店員の女性が、令児が好きなアイドルグループのメンバー・ナギであることに気付きます。
舞い上がる令児ですが、ナギもワケアリのようで…。
「この町からいなくなる人」だからと自分の置かれた状況を話す令児に対し、ナギは「心中しようか」と提案するのです。
戸惑う令児となし崩し的に肉体関係をもつナギですが、なんと彼女には夫がいることが発覚します!!
令児が住む町は「春の棺」という劇中小説に登場する情死ヶ淵伝説の舞台となった町。
情死ヶ淵伝説とは、その小説の中で書かれている江戸時代に起きたとされる心中の話です。
この物語は、その情死ヶ淵伝説をキーに展開していきます。
登場するのはそれぞれワケアリで深い闇を抱えている人たちばかりです。
しかし、描かれている地方特有の閉塞感やしがらみに縛られた状況への諦め、自分の将来への絶望は、物語の中だけではなく、現実に生きる我々にも身近なことではないでしょうか。
それらを『ヒメゴトー十九歳の制服ー』の作者である峰浪りょう先生が圧倒的な描写力で描くため、読んでいるこちらも息が詰まるような閉塞感を感じるのです。
終盤、狭い世界で生きる令児に対しナギは
「全部捨てて町を出ていけば?」
という言葉をかけます。
そこではじめて令児は逃げても良いということに気付くのですが…。
明るい展開は今のところ見えませんが、彼らに今後救いは訪れるのか、複雑に絡み合った人間関係が「心中」というテーマからどう進んでいくのか…。
ハッピーな物語に飽きた方、是非この閉塞感に浸ってみてはいかがでしょうか。2022年07月20日 -
夫婦間の不満が山積み。
でもお互いにお互いの事を解ってあげられていないだけ!?
もし夫婦の中身が入れ替わったらお互いを理解しあえるようになるのでしょうか…。
倉木ちとせは、夫の堅、2歳の娘と暮らすワーキングマザー。
同じマンションの階違いに暮らすちとせの母に助けられながら、仕事と育児をこなしていました。
しかし、ちとせがインフルエンザになってしまっても堅はスマホゲームばかり。
ちとせは具合の悪さと夫への苛立ちで、思わずフライパンを投げてしまうのです!!
見事命中し倒れる堅。ちとせも高熱で倒れてしまい…次に目が覚めると、ちとせと堅の中身が入れ替わっていたのです!
戸惑いながらも二人は入れ替わり生活を送ることに。
入れ替わって生活することによって、はじめて相手の生活や置かれている立場を知ることになった二人。
お互いが相手のことを理解できていなかったことに気づいてゆくのです…。
自分の不満をぶつけて相手をこらしめ、スカっとさせる話は多くありますが、この物語はそれだけでは終わりません。
スカっとさせつつも、相手への思いやりに気づかせてくれるのです。
中でも印象的なのが2話です。
娘のななせの成長が他の子供よりも遅れていることを気にしていたちとせ。
ママ友から「ななせちゃんはおままごともできない」と指摘され、ショックを受けます。
なんとか娘がお友達とおままごとができるようになって欲しいと、夫婦でおままごとをやってみせることを提案します。
その時に今までの自分の生活がどんなであったかとイメージしてもらおうと、ちとせは以前の堅の態度を再現してみせるのです。
娘のいたずらに翻弄され、助けを求める母役の堅。
しかし父役のちとせは「お父さんはまだ仕事中だから無理」と助けません。
そこで初めて堅は自分の態度がいかに悪かったかと気づくのです。
しかし、ちとせも堅に対して怒りを隠さず対応していた事に気づかされ、普段のお互いの態度を反省し笑い合うのでした。
生活する中で相手に対する不満は多くあると思います。
ですが不満を抱いているのは必ずしも自分だけではなく、相手への思いやり次第でいくらでも変化していけるのですよね。
ママ友や、子供の成長、夫婦関係や仕事…数々の問題を盛り込んだ今作。
二人が入れ替わったままどう生活していくのか、今後どんな波乱が待ち受けているのか、今後の展開が気になります!!2022年07月20日
