村山早紀のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
空港を利用する人たちのそれぞれの思い出が、人や場所から蘇ってくる。
ひとりでいる空港は、誰かを待っているのか…ひとり旅なのか…いろんな思いを纏わせているのかもしれない。
何かのきっかけでふっと夢の世界にいるような空間に浸ってしまうまでを描いている。
「十二月の奇跡」ろくでもない人生を送ってきたと嗤う老人に顔の傷の原因を作った若かりし頃の思い出が蘇る。
「雪うさぎの夜」海外で気ままに過ごす画家兼ライターのあずさは、久しぶりに帰郷した後、空港のフラワーショップの前で、絵の上手だった亡き母のことを思う。
「竜が飛ぶ空」医師を目指して浪人中の翔太郎は、悪天候で欠航か決まった空港で、亡き父に似た -
Posted by ブクログ
最初の「風の港」が大好きで、待望の続編。
前作は1日の中の出来事に主軸をおいた連作集だったけど、今回は四季を中心にした連作集。
誰もが忘れない記憶や後悔を、羽田空港の不思議な空間で思い出す。
本人にとって、決していい思い出ばかりじゃないはずだったのに、主人公の目の前に現れた人たちは、皆主人公に対して優しい。
心温まる作品が持ち味の作者の醍醐味と言う感じだけど、今作はどの作品もファンタジー色が強く、ファンタジーが苦手な私はかなり苦手。
1作目の流れで2作目も描いて欲しかった。
個人的な見方だけど、「風の港」を読んでるって言うより、空港版のたそがれ堂を読んでる気がした。 -
Posted by ブクログ
四季折々、空港での多くの人の様々な思いが行き交うなかでの短編集五編。読み終えると優しい気持ちになれるものばかりでした。
「十二月の奇跡」
今までの自分を振り返る主人公への、奇跡のクリスマスプレゼントのような物語でした。
「雪うさぎの夜」
母親の生き方に想いを馳せる物語でした。〈誰の人生も間違っていない〉という言葉がとても印象的でした。
「竜が飛ぶ空」
亡き父を思う息子と亡き息子を思う父親とが、偶然出会い語り合ううちに···という感じの物語。この物語の考え方は、亡き人のことも自分のことも大切に思えて、前を向いていけると思いました。
「屋上の神様」
今まで頑張ってきた女性に、神様と狐が気づ