隆慶一郎のレビュー一覧
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少年ジャンプの『花の慶次』の原作。掲載されていたのは90年代らしい。パチンコのシリーズにもなっている。それらで目にしたことはあったが、私はジャンプでも読まずパチンコもしない上に、正直あのリアルな画風が好みではなかった。
だが、そうした経緯とは関係なく、漫画になるだけあって漫画みたいに面白い。実在した武将で、前田利益(とします)。戦国時代末期に前田利家、上杉景勝に仕えた。性格が超然としていて、本書の中でも「万能タイプ」に描かれる。いわゆる、強くてカッコ良くて奇抜、何でもできる系主人公で、そこにカタルシスを感じるタイプのスカっと小説だ。ファッションも変わっていたらしく、その内容は小説でも漫画でも -
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ネタバレ●影武者
テレビドラマを見たことがあり、面白かったので、読んでみた。徳川家康が影武者だったらという仮定ですべての物語が進んでいく。それが、矛盾のないように書かれており、本当なのではないかと思ってしまう。 バラしてもいいのか、と脅そうとするが、逆にバラしたら大変だぞという逆の脅しの構図が傑作である。都市伝説を、そのまま物語にしてみたというふうに感じるが、想像力を掻き立てられ、興味深い。 歴史物語としても、しっかりと作られており、それによってさらに物語に厚みが出て、面白くなっている。「貧が裕になると弱くなる」一番響いた言葉である。
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未完の書、という事を解説で知る。佐賀藩士、いや、浪人斎藤杢之助の痛快劇。
潔き葉隠の魂が次第に、丁度良い描写における何をやっても上手くいく、ご都合主義的万能型主人公による勧善懲悪ストーリーに転換した気がして、思考が散る。実在せぬものを描くのだから、土台エンタメ的要素が盛られるのは仕方ない事。純粋に楽しめない自分を恥じつつ、自らのバイアスを殺して読む。葉隠ならぬ。
さて、葉隠。葉蔭に奉公を隠す、縁の下の力持ち的な生き様。佐賀藩士の心構えや歴史、習慣に関する知識を集めたものと聞く。ビジネスでは企業理念のほか、少し前にウェイマネジメントとして、ミッションや行動指針のような、先輩たちの言葉とか会社 -
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隆慶一郎さんにハマったきっかけとなる作品が、「死ぬこととみつけたり」だった。分厚い単行本2冊を読むのには、文庫本のように逐一ルビは振られておらず、また内容も「葉隠」に近いということもあり、史実との照らし合わせが含まれ、総じて難解な作品であった。ただその難解さ、読み進めなさがその物語自体の面白さを一層引き立たせていると感じ、私はそこに惹かれた。
そして次に読んだ隆氏の作品がこの「一夢庵風流記」である。一読した感想としては、漫画を読んでいるような気分になった。というのは、「死ぬこととみつけたり」と比べ、日本語も読み易く、人間関係・相関関係共に至ってシンプル。ストーリーもバトルやロマンスなど、複 -
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ネタバレゲームか何かのキャラクターとしては知っていましたが、本人については何も知らずに読み始めました。
長身で長槍を振り回すと言えば前田利家。
同じ前田の血筋なのだろうとは思いましたが、まさかそこまでそりが合わないとは…。
これまでに読んできた前田利家は温厚で、篤実で、愛されキャラだったように思いますが、この作品においては器が小さくてで執念深くて、まつにすらちょっと軽んじられているところがあるくらいです。(まつは慶次郎が好きなのです。で、両想い!)
風流記というほど風流に傾いてはいませんが、漢籍を読み、歌や詩を作り、茶を嗜む慶次郎は確かにただの暴れん坊ではありません。
だからこそ、直江兼続とは莫逆