隆慶一郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
隆慶一郎の『死ぬことと見つけたり』(新潮文庫 上下)を
読み終えました。
このタイトルからもお察しの通り、
あの『葉隠』を下敷きにした痛快時代活劇です。
たとえ両腕を切り落とされようとも、
相手に体当りし首筋の血管を噛み切ろうとする。
彼等は既に「死人」同様であるから、
死ぬことに対して何のためらいもない。
従って、敵の動きが冷静に見て取れる。
こんな侍たちの物語です。
尚、主人公の3人の武士は架空に人物で、
長年読み続けた『葉隠』から
その人物像を作り上げたようです。
同じ作家の『影武者徳川家康』よりははるかに面白い。
隆慶一郎氏が最後の力を振り絞って書き続けたそうですが、
残念ながら -
Posted by ブクログ
ネタバレ上巻は2年前に。しばらく放置していた下巻は今、読むべくして読んだのかも。
苦手な時代物だったけど、これは夢中で読破!
ただし作者の死によって未完に。そういえば…と。最後まで忘れてた。泣いた。
編集部に遺されたシノプシスがせめてもの救い。でもやっぱり完成品を読みたかったなぁ。
杢之助、萬右衛門、求馬。
潔すぎる三人の死人がかっこいい。
あと、ここにきて静香が武士で乙女なのがとても可愛くて癒し要員キターと思いきや、いきなり男と果たし合い殺人切腹フラグ立ててしまったので全然癒されずハラハラした(笑)
数馬や熊之助との話ももっと見たかったな~。二世組は可愛い。 -
Posted by ブクログ
詳しくは下巻に書く。
相変わらずの秀忠のこざかしさ…! そして着実に家康(二郎三郎)の老いを感じさせる描写に、少しはらはらさせられた。平和を望む家康(二郎三郎)と徳川家――いや自分自身を頂点へ押し上げたい秀忠、そこで重要な位置を占める豊臣秀頼。この緊迫感が、秀忠の数々の策によってうまく書かれているんだなあ。
誰かちゃんと説明してあげる人っていなかったのかな、なんて思ってしまった(笑)。あれだけ何度も挫折を味わえばそりゃいやしくもなると思うのよ。圧倒的な人材不足の秀忠と、自分の才覚や「いくさ人」としての感覚、人柄によって人を惹きつける二郎三郎とさらに新たな集団。もうね、鮮やかに書かれていて、普段 -
Posted by ブクログ
主人公斎藤杢之助は常時坐臥死人である訓練をし佐賀武士道である「武士道というは死ぬことと見つけたり」を実践している。精神修養と自己鍛錬を怠らない冷静に自らを見つめることができるまさに死人だ。
杢之助を中心に鍋島勝茂、中野求馬、牛島萬右衛門らが戦に出、御家騒動を静め、宿敵松平信綱と渡り合っていく。
全く嫌味がない。登場人物も背景も実に味わい深く人間味にあふれている。
(内容のことは書きません。知りたければ買って読んでね~損はしません。)
ここから何を学び取ろうとしたのか?
明日をも知れぬ命を生きる潔さだろうか。
下げ針金作との決闘、老中松平信綱との駆け引き、難破した舟での殿を守る姿、主人 -
Posted by ブクログ
高校生の頃に初めて隆慶一郎に出会い何作目かで呼んだ記憶がある。確か大学時代だったろうか。そしてこの本が自分のオールタイムベストになった。
正直なところ未完だったので最後の方で読んだのだろうと思う。10代、20代、30代と読でいるがその時の状況によって味わいが変わっている。5回以上は読んでいる。
10代・・・主人公に圧倒されその世界に魅了された。
20代・・・社会人になり組織で働くことを知り駆け引きや人間性に感じ入った。
30代・・・勤めて10年近くになり物語の背景や作者の人間性から小説から何かを得よう(具体的には元気)と考えた。
今回は30代なわけだが気分転換と自分らしさを取り戻すた