感情タグBEST3
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詰め込み過ぎではないかというくらいの濃密な内容。
吉原の子細な描写はもとから興味があることもあり夢中になった。
家康のくだりがちょっと長過ぎてバランスを壊しているように感じた。
自由闊達な着想とエログロが最高。
著者の作品は初めて手に取ったが、ぜひ読破したい。
総じて最高。
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何度 読み直しても
素晴らしい
沖浦和光さん、網野善彦さん
たちを あまり知らなかったころにも
むろん 面白かったのですが
ほんとうの 面白さは
やはり かの先人たちの著作を
しっかり 読み込んだ上で
今一度 じっくり味わうと
もう たまりませんね
そして
隆慶一郎さんの場合は
そこまで調べ尽くして
昇華して
物語に俎上させているのだ
と 今さらながら 感嘆させられます
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宮本武蔵に育てられた青年剣士・松永誠一郎は、師の遺言に従い江戸・吉原に赴く。だが、その地に着くや否や、八方からの夥しい殺気が彼を取り囲んだ。吉原には裏柳生の忍びの群れが跳梁していたのだ。
彼らの狙う「神君御免状」とは何か。武蔵はなぜ彼を、この色里へ送ったのか。
-吉原成立の秘話、徳川家康影武者説をも織り込んで縦横無尽に展開する、大型剣豪作家初の長編小説。
登場人物の豊かさもさながら、人々の思惑、思いがしっかり伝わってきます。
吉原をめぐる陰と陽。
歴史の悲しい裏の面をさりげなく取り上げており、華やかなだけではない吉原の一面を、「神君御免状」のもとに描き出している傑作です。
主人公、松永誠一郎の魅力と、それに魅かれた人々の思い。
これが実話であったなら、どんなに悲しく、かつ魅力的だろうかと、ついつい引き込まれてしまいました。
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まさに書名の通り、吉原に対して、
神君家康が残した御免状をめぐる物語。
設定は斬新だし、吉原の仕組みや歴史を学ぶ、
ある種の歴史書にもなっていると思う。
これがデビュー作とのことだけれども、
主人公・松永誠一郎はともかくとして、
登場する男たちはみんな格好いい。
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古本で購入。
師の宮本武蔵の遺言に従い江戸の色里、吉原に赴いた松永誠一郎。
彼を襲う裏柳生の忍、「自治都市」吉原の本当の姿、そして神君御免状。
ただただ一言、傑作。
謎が謎を呼ぶ物語の巧妙なつくりと、それが徐々に解き明かされていく過程が、すごく心地いい。
「道々の輩」などと呼ばれた傀儡子ら中世以来の遊行者たちがつくりあげた、無縁・公界としての都市、吉原がまた魅力的。
沖浦和光が「豊饒な闇」と表現した彼ら被差別民の世界が活写されていて、「やるなぁ」と感心してしまう。
一気読み推奨。オススメ。
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これからどんどん書いて欲しかったのに急逝されてとっても残念。
この『吉原御免状』が処女作で、かつ直木賞候補作となった作品。時代小説の傑作中の傑作ですね。
時代劇やドラマでよく出てくる吉原ですが、こういう遊郭が出来た歴史や幕府との関係など関心しきり。
これ以降、時代劇を見る目が変わった。
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面白かったどころではない。驚いた。
吉原について、何を知っているわけではないが、それでもこれまで知っていた吉原を根底から覆すような作品だった。吉原と出てくるが、物語は吉原を中心にはしているが、もっと壮大。
隆さんはこの後も、この作品に出てくる人物を小説にされているらしいので、読み勧めたくなる。
こういう時代小説はもっと世間の人たちに読まれてもいいように思う。
読んでよかったと思える作品だった。
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脚本家をやっていた人の小説は、やっぱり一味違う。
設定、ストーリー、構成の素養というものがあって、それに時代考証だとか研究内容だとかが裏打ちされると本当に凄い。
そして、底辺に流れている思想というものに共感できれば、これほど楽しい文章体験はない。
戦国時代の知識が増えるほど、楽しく読める素晴らしい作品です。
そうです、男泣きっていうのは、こういう事なんです。
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天皇の子孫「松永誠一郎」の話。
宮本武蔵を師にもち
師が亡くなって吉原へ。
誠一郎さん、すんごい強い
さすが山育ち。。
んで、御免状をめぐっていろんなことあります。
大好きな隆先生の作品の中で
非常に色っぽいというか
艶っぽいといいますか。
花魁の切ない一面とか、なんか誠一郎さんのピュアなとことか。
すごくすごくイイです。
「主さんに、惚れんした…」
しびれます。
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そこそこ 傀儡師とかの道々の輩が出てくるのであった。
そんで以て、ノモス(仕切りとか国とか)がさういふ、前は好き放題やらせてくれたのを飲み込むほど強力になった頃、どうサーヴァイヴするか、みたいななんかで面白いと思ふのだが、うーん。
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花街吉原がくぐつ氏族の「無縁の徒」の「公界」として歴史的に形成されてきたという設定は非情に新鮮である。道々の輩、くぐつ・山伏・陰陽師・猿楽子・遊女・巫女・・・等の公界往来人の存在から構想した一種の歴史劇画である。徳川家康の影武者と秀忠・表柳生と裏柳生・天皇家と幕府そして、階級社会とそこに組み込まれまいとする自由人、様々な立場の登場人物の対立と思惑が錯綜して、面白くはあるが現実を超えたストーリーである。単なる時代劇アクション活劇とは違う歴史観の匂いを漂わす。
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さすが隆慶一郎の作品は面白い。
宮本武蔵に育てられた青年剣士・松永誠一郎は、師の遺言に従い江戸・吉原に赴く。
吉原では裏柳生の忍びの群れが跳梁し吉原成立の鍵である「神君御免状」を狙う。
吉原成立の謎とは何か?
吉原に住まう人々とは何者なのか?
松永誠一郎に課せられる使命とは何か?
隆慶一郎のデビュー作‼
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めちゃめちゃ面白かった。正月に読むには最適だったわ。
便所に立ったまま帰ってこなかったからといって、吉原一の花魁が天然なチェリーボーイに初会で惚れるかなと思うが、まぁ、そんなことは瑣末だ。
ところで、柳生義仙は後年拝一刀と闘ってたな
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時代小説は発行時期や読者の年代とかで評価がそれほど変わらないと思う。若い頃は柴錬や司馬遼を愛読したけど、娯楽時代小説として劣らない。題名はちょっと引いたけど、設定、展開、キャラともしっかりしている。まぁ、歴史というより伝奇、剣豪物になるかなぁ、考えてみると超能力とか自由の民とか執筆時期の背景は絡むかな。ともあれ、面白ければ良しと。しかし、パターン的で一番魅力に欠けるのが主人公だったりする・・
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エロい!!高校時代にフランス書院文庫を愛読していた僕だが、まさかいい大人になって活字のエロスに再び興奮するとは!
ジャンルは剣豪小説。別にエロスが前面に押し出されている訳ではないが、僕の印象にはエロスしかない。
主人公は宮本武蔵の弟子で二天一流の剣豪、武蔵の死後、自分が何者か知るべく吉原へという設定があるのだが僕の印象にはエロスしかない。
展開上、別に詳細な性描写は必要ないように思うのだが、やたら親切に描かれている。ちょっと目を離すとすぐ主人公が羨ましい事になっている。
とは言っても痛快な剣豪小説を読みたいと軽い気持ちで手に取り、不意打ち的にエロスの洗礼を受けたが故の印象である。油断した僕も悪いのである。
この作品に中学時代に出会っていればさぞ素晴らしい朝の読書の時間がおくれたことだろう!つまり僕の印象にはエロスしかない。
と、こんな事ばかり書くとファンの方に怒られてしまいそうなので客観的なレビューもしときます。
別に作者や作品が際立ってエロい訳ではなく剣豪小説や時代小説での詳細な性交描写はそこまで珍しいことではない。一つの演出、または読者サービスなのだろう。現に僕はしっかりそのサービスを享受した。
作品自体はいたって真面目で、剣豪小説として実に面白い。
また作者の知識の深さは、小説の時代背景、世界観を精緻に表していて素晴らしい。
登場人物も魅力的で主人公も格好良く、剣豪小説、時代小説に慣れてない方も苦なく楽しめる作品だと思う。興味がある方は是非!!
ファンの皆様、こんな感じでいかがでしょうか?
Posted by ブクログ
長年の積ん読本。片付けものをしていて、ふと手にとって2,3ページ読んだら、止められなくなった。
吉原で剣豪で、となれば、色恋にチャンバラに、基本、男性向け娯楽本なのか?とどこかで思っていたのだが、一筋縄では行かぬ、力技の怪作だった。
こういうジャンルの本を数多く読んでいるわけではないので、感想がどれだけ的を射ているかちょっと自信がないけれど。
フルコースでメインに魚か肉か選ぶはずが、魚も肉も二皿ずつ出てきたような、てんこ盛り感満載の作品だ。史実が巧みに織り込まれた伝奇小説である。
冒頭からして、貴人の胤にして武蔵の秘蔵っ子の登場。ここで摑まれてしまった。だが、裏柳生・表柳生、討死したはずの戦国武将が実は生きていたと畳みかけるような展開に、「いや、いくらなんでもそりゃありえませんから!!」と途中でちょっと食傷した。そこでぐずぐずになるかと思いきや、傀儡子、吉原者の正体、そして御免状とは何だったのかと話が進むにつれ、多数の伏線が思いの外きれいにつながり、大きな力強い流れに心地よく流されてしまった。このフルコースには、やはりメイン料理が複数必要だったようだ。
但し、女性が襲撃されるシーンは必要以上に凄惨でちょっと辟易した。そういう意味では一般的に女性読者に諸手を挙げてお薦めはしません。私が一番引っかかったのは女御のシーン。残虐なのも嫌だったが、手籠めにされて我が子の居場所を白状する母はいないと思う。作戦が理に適っていないことに苛々した。残虐シーンが書きたかったからそうしたとしか、ここは思えなかった。
ストーリーにしろ登場人物にしろ、おおむね、人間愛に満ちているように感じられただけに残念。
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理由もなく歴史物を敬遠していた私が勧められて初めて手にとった「歴史モノ」。結果から言うとものすごく面白かったです。夢中になって読んで、次の日には財布を握り締めて本屋のはしごをしていました。
この人の作品はどれも、大胆な切り口と暖かいものの見方で、史実ではないにしろ、ここに真実があると思わせてくれるロマンがあります。そう、歴史にはロマンがあるんだなと、目からウロコをポロポロ落とした私。
その中でも特に吉原モノであるこの話が大好きです。人物の描写が素晴らしい。情景が目に浮かぶよう。賑やかさと物悲しさと雅やかさと血なまぐささが絶妙のバランスで同居しています。
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宮本武蔵に預けられ、武蔵の死後も遺言を守り26歳になるまで修行を続け、遺言を守り江戸に出てきた主人公。
武蔵直伝なので、剣の達人。
吉原遊郭で起こる柳生との争い。
そして世良二郎三郎(家康の影武者)との密約。
デビュー作だが、すでに作者の中では「影武者 徳川家康」の構想ができていたと思うと小説家ってすごいと思う。
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隆慶一郎さんはわずか5年の作家生活でなくなられた方。その短すぎた活躍期間が、多くの時代小説ファンのHPで惜しまれている。それを読んで、この本を買ってみることにした。
私も時代小説は好きですが、ちょっと系列が違うみたいです。私の好きなのは藤沢周平や山本周五郎、つまり人情物主体。この本は柴田練三郎や五味さんの譜系ですかね。伝奇・剣豪小説系。
最初はちょっと入り込めなかったのですが、最後には引き込まれるような感じもありました。
私にとっては傑作とも思えませんが、それなりに良く出来た作品だとは思います
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他の彼の作品と比較して、性的虐待の描写が生々しくて、若干不愉快をもよおす。
生まれに謎を抱えた剣豪が一人、師匠である宮本武蔵の25歳まで山を出るなと言う遺言を守り、今日山から下りてきた。向かう処は吉原。
ここで、花魁、吉原の店主などとの交際、そして狙い迫ってくる柳生家との対立を通して、彼の成長を描く。
吉原は実は。。。という仮定で描いているが、女性としてもやっとくる。吉原は誰にとっても、地獄でしょう。
流れ者をすばらしく書いたりする傾向が彼にはあるので、人によって好き嫌いは分かれると思う。ただ、出生の謎が明るみに出てくるまでのドキドキ感はある。
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徳川家康影武者説をバックボーンに「神君御免状」というモノを巡る吉原を舞台にした話。作者の歴史に対するスタンスや考えが判り、司馬史観とは異なる捉え方が斬新です。
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隆慶一郎の3作目。
時代小説(歴史小説?)のハードボイルド、といった感。
後作「影武者徳川家康」と通じる部分が多く、“道々の輩”なる生き方をした人々への筆者の強い想いが感じられらた。
戦闘描写や色事の描写には、手に汗握り、生唾を飲まされた(笑)。
☆3つ、7ポイント半。
2014.02.18.図。
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この人の作品は2作目。
1作目は「影武者」
この人の歴史物って現実の歴史と上手くリンクさせて話が進んでいくから、フィクションであっても「実際はそうだったかもしれない。」と思わせてしまうものがある。
そこがこの人の作品の魅力かな?
ちょっと生々しい所もあるけれど、読みだしたら(文字小さくて言葉づかいとか難しい言葉が度々でてくるけど)割と嵌まって読んでしまうのであった。
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最初の100ページから200ページくらいまでぐいぐい惹きつけられ、どうなるかと期待していたが、伝奇性が色濃く表れ始めてから途端に印象が散漫となった。
後半もパーツパーツでは興味深いのだが、物語としての一貫性に欠けている感あり。
前半の期待感からすると少々歯痒い結末。
Posted by ブクログ
全1巻。
隆先生デビュー作。
デビューからすでに、
隆先生ぽさが濃厚にただよう。
歴史の裏側を伝奇的手法で書き上げる感じ。
そして自由ってテーマ。
すでに確立されてる感じ。
ただ、やや伝奇っぽさが強い。
話としては、
影武者徳川家康の元ネタ的な部分が根っこにある感じ。
影武者読んでたので特に驚きはなく、
むしろそこらへんの描写が長くてやや回り道な感じ。
まあ。
こっちのせいだけど。
こないだ柴錬武蔵を読んでたので、
冒頭に出てくる武蔵の感じが楽しかった。
対比が。
柴錬版との。
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著者のデビュー作。それなりに興味深く読んだのではあるが、その前に「影武者・徳川家康」を読んでいたせいか、肝心の『神君御免状』の正体が先に読めてしまったかも。しかしながら、この作品があってこそ、あの「影武者~」があるのね、と思えばこのデビュー作の存在は大きいと思う。吉原のイメージも見事に覆された。史実にもきちんと基づいており、フィクションをフィクションとは思えぬほど文章に説得力があるのが見事。