あらすじ
山中に捨てられ、長じて名刀工・源清麿に師事した巨躯の野人・鬼麿は、亡き師が心ならずも遺した数打ちの駄刀を諸国に捜し、切り捨てる旅に出た。様(ためし)剣術独特の構えから繰り出されるその長刀は、人も刀も石をも鉄も瞬時に切り裂く。中山道、野麦街道、丹波路、山陰道と、師の足跡を追い、女を惹きつけ、伊賀者に追われつつ、異色のヒーローが繰り広げる斬人剣八番勝負。
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やっぱり隆慶一郎は素晴らしい。
電子版で読み直しです。
やっぱり隆慶一郎は素晴らしい。
全ての場面が美しい映像を見ているかのように浮かび上がるその表現。
知らない方たちにも是非読んでいただきたい傑作です。
Posted by ブクログ
主人公と同じリズムで、ザックザクと文章が進む。
時代劇のドラマみたいにカッキンカッキンという戦闘シーンはない。
真剣勝負はいつも一瞬、ぶった斬るか、ぶった斬られるか。
それを見逃したら、手遅れだ。
手を下す瞬間というものがあって、そこに命を賭けるという生き様。
残酷でエロチックで、真剣な爽快感がいい。
Posted by ブクログ
映像化したらさぞかし面白いだろうと思いつつ、主人公の設定を考えるだに「原作に忠実で完全な映像化は、 ゼッタイ無理だろうな…」と思うw
面白くてたまらない、が ただ、過去は過去として、試し切りの達人というのはそれはそれとして、刀鍛冶が何でそんなにもめちゃめちゃ強いねん?!というツッコミが終始頭の中を駆け巡ることは確実♪
Posted by ブクログ
師匠の遺した出来損ないの刀をぶち折る旅モノ。江戸も後半に入った頃のお話なので忍者は出てくるが柳生一族や秀忠などは登場しない。主人公はやはりアウトロー。前田慶次とまではいかないが山の民としての誇りと強さが堪能できる。師匠である清麿の足跡を辿るのだがそこでの師匠の生き様が鬼麿とは別ベクトルの漢というのが面白かった。
作品の出来は自分には伺いしれないがバイオレンス&エロティズムがハードな為お茶の間で観るような映像化は難しいと思われる。
Posted by ブクログ
末國善己 編『歴史時代小説名作アンソロジー 刀剣』(中公文庫)にて本作の「一番勝負 氷柱折り」が収録されていたことから、読んでみた。
自殺した刀工 源清麿の遺言に従い、生前に鍛った数打ち(粗製濫造品)を折る弟子 鬼麿の旅路。良くも悪くも人世に囚われぬ彼の生き様と剣技は鮮烈で獰悪。黒船来航に揺れる幕末期諸藩の抗争も、生前の師に絡む遺恨も物ともしない無双ぶりに興奮しぱなしだった。
第1章からほぼ全篇にわたりセックスの場面があり、強姦をやや肯定的に描いている点だけはいただけなかった。
Posted by ブクログ
久々の再読。やはり隆慶一郎は面白い。
実在した名刀匠山浦環源清麿の弟子で、試し斬り剣術の達人という設定。
刀鍛冶の思いも描かれていて、隆さんの描写する漢は素晴らしい。
Posted by ブクログ
主人公鬼麻呂が剣術を学んでいない点が、他の時代小説と違っていて異彩を放っている気がします。
構えからして非常に不恰好。ですが、繰り出される剣閃は示現流にも似た一撃必殺!
読後に爽快感を感じさせてくれる良い作品だと思います。
Posted by ブクログ
言い回しや言葉尻は真面目ですが、内容は悪ふざけかと思うほどの完全懲悪のシンプルな小説です。
師と弟子の受け継がれていく流れがもまたシンプルでわかりやすかった。
分かりやすくて面白かったです。
Posted by ブクログ
めずらしく伝奇要素が低く、プロットは藤沢周平みたいだ。しかし弟子が師匠の剣を折るという設定はサスペンスフルで秀逸。死者を追う旅を通じて、清麿という師匠の姿を浮かび上がらせる手法は見事である。
Posted by ブクログ
鬼麿強い。松永誠一郎に次ぐ厨キャラ。
隠れた名工山浦清麿の弟子鬼麿が、若い頃の師匠が金に困って作ってしまった数打ち(量産品)の刀を折る旅に出る。意地を張って頑として刀を渡さない老武士、戦いの中でなら折ってもいいという剣客、露骨に値をふっかける悪党など、様々な持ち主達を自作の大太刀「古釣瓶」でバッサバッサと斬ったり宥めたり賺したり。
珍しく柳生が出てこないけどやっぱりライバルは忍者だった。
リベリオンで使われてた「面取り」って試し技だったのねぇ
Posted by ブクログ
ロードムービーテイストの時代劇エンタテイメント。
超人的に強い主人公は、隆ワールドではお約束だね。そこに違和感を感じさえしなければ、十二分に楽しめる。
また、女の強さとサガとを魅力的に描くのも、隆作品の見ドコロの一つなのかも知れない。
★3つ、7ポイント。
2017.03.24.図。
Posted by ブクログ
全1巻。
死んだ師匠に頼まれて、
過去に打ってしまった
駄作な刀を打ち壊す旅に出る
刀鍛冶の超人な弟子の旅って話。
めずらしく舞台が幕末。
源清麿(死んだ師匠)を書きたかったらしく、
必然的にその時代になっただけだけど。
超人的な主人公がチャンバラってく
スタンダードなつくり。
ただ、上記のように死んだ師匠を書きたかったらしく、
若干主人公の影がうすい気がする。
著者の他作品と比べて。
超人なんだけど。
そのせいか、
それなりに上手くまとまってたけど、
なんとなくそれなりな印象。
ただ、たまたまこの前に読んでたのが
同じく刀鍛冶、虎徹の話だったので、
ちょいちょいかぶってて興味深かった。
個人的に。