あらすじ
剣に生きる一族として、将軍家指南役となった柳生。連也斎、友矩、宗冬、十兵衛、新次郎、五郎右衛門。尋常でない修行による技、将軍家と関わることによって起こる惨憺たる一族の相克、死を見据えてなお剣の道に生きざるを得ない激烈な生きざまを、乾いた筆で描き切る。作者が生前に世に問うた唯一の短編集。
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Posted by ブクログ
すごく好きな隆慶一郎先生の
柳生家の人々を描いたと言っても過言ではない、柳生一族の短編集。
それぞれのちょっとした感想とか。
柳生御前試合…新陰流を継ぐ兵助(柳生連也斎)の表柳生vs裏柳生の争い。鯉が泣いていると言うお了、鯉を1日中見ている父の如雲斎。その意味がわかるのは後々。
体の損傷を隠し尚も御前試合に命をかける!といった感じでしょうか、ね。
柳枝の剣…徳川家光から愛された柳生友矩。柔らかい柳の様な剣を使う友矩と兄である柳生十兵衛との戦い。この関係をよく思わない柳生家の方々もいるわけで。そんな話。BLか!と思うような。。
ぼうふらの剣…柳生宗冬の剣より能を舞うのが好き!という話。ザックリ。この話好き。家柄の柳生としての生き方と自分が好きな道である能。どちらも大切だけど、どちらも捨てれない!実は能と剣術は繋がっていた!という成長話。
柳生の鬼…誰もが名前だけは知ってるであろう柳生十兵衛の話。徳川家に認められ、その後柳生の里に帰って意気揚々としていたけど。まさかの里の人々の冷たい視線。そしてやや痴呆?のアホの太平からものすごい一撃を食らう。あぁこれじゃいかんな!と。十兵衛の強さはここから始まるのですね、納得。
跛行の剣…戦で足を悪くした柳生厳勝は自らに鞭打って見事、次の戦に参加。が、腰に銃弾を受け寝たきりになるもののそこはまた鞭打って杖をついて歩くそして走る。しかもその強靭な体力で戦う始末。実にあっぱれ。この話も好き。
逆風の太刀…柳生宗章の生き様。小早川秀秋を守りに守って。この話で、小早川秀秋の見方が変わりました。ありがとう、隆先生。自分の死に場所を探しているようで、そして最後も男らしいというか。そしてすごく強い。
Posted by ブクログ
将軍家剣術指南役である柳生宗矩や隻眼の十兵衛といった剣術家として後世に名を残す柳生家、柳生新陰流のイメージを覆す、柳生一族の陰の部分を描いた短編集とでも言いましょうか、家光の男色の相手になったことが不幸を招く左門友矩や、関ヶ原が人生を変えた五郎右衛門宗章など、数奇な運命をたどる面々の物語が短編にして独特の魅力を持つ唯一無二の作品です。