高野文子のレビュー一覧
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アニメ平家物語のキャラクターや演出がとても良かったので、こちらのメイキング本も購入。赤と黒が鮮烈な表紙。
プロジェクトがスタートしてからの監督日記や、キャラクターの原案や絵コンテなどを通して、制作の舞台裏を見ることができる。時代モノという制約はありつつ、「以前、以後。になるような作品にしたい」という監督の熱意が、暑苦しくはなく、しなやかに伝わってくる内容。
登場するキャラクターはどれも魅力的なのだけど、私はびわと重盛の関係性と、重盛の3人の子たちの成長が好きだったので、キャラ設定がこんな風にできあがったのだなぁと興味深く読んだ。
表紙カバーを外すとキャラクター一覧表が出てきたり、ページのあいまにアニメの印象的なシーンのカットが入っていたりと、ブックデザイン自体も愉しくて美しい。ずっと手元に置いておきたい1冊。 -
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るきさんで高野文子デビューし、先日の古本まつりでこちらを見つけたので購入。
とても繊細な部分を描いている漫画。
ちょっとファンタジー香る女性らしいやわらかい空気感と、女性らしい潔さと大胆さ。
でもありきたり感がなくって、ここを切り取って漫画にしているのかぁ、と感服。
病気になったトモコさんは、視点とリズムが独特で面白いし、
私の知ってるあの子のことは、いい子で育った子供の葛藤がものすごく自分と重なるし、
東京コロボックルは、大好きな借りぐらしのアリエッティと重なる部分が多くてキュンとする。
奥村さんのお茄子は、世界観がとにかく独特で、掘り下げるエピソードの進み方も斬新で面白かった。 -
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谷崎潤一郎の小説を様々な漫画家がコミカライズした作品を集めたアンソロジー。「変態アンソロジー」という副題が期待値を下げさせるが、読んでみるとこれが思いのほか面白かった。古屋兎丸としりあがり寿が飛び抜けてつまらない以外どれも良い。特に画家の山口晃が漫画に挑んだ「台所太平記」と、近藤聡乃の「夢の浮橋」が素晴らしい。「台所太平記」は未読なので原作の方も読みたくなった。「夢の浮橋」はかなりアレンジが加えられていてほとんどオリジナルに近い感じだがなんとも怖い。あと、榎本俊二の「青塚氏の話」、高野文子「陰翳礼讃」も良い。高野文子は如何にも高野文子という感じ。
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成人式の後、親友と行ったスナックの名前が "青い鳥" だった。
ザ・タイガースが歌った幸福を運ぶ鳥が "青い鳥" だった。
"青い鳥"ってどんな話か覚えていなかったので、青い鳥文庫で読んでみた。
チルチルとミチルが青い鳥を探しに行く。
幸せとは何かを巡る、大いなる秘密をあばきたてるのが "青い鳥"。
色が青い鳥は沢山いるけど、本物の "青い鳥" は一匹しかいない。
いろんな所を探し回ったが見つけられない。
なぜなら、いつもいるのにさっぱり見えていなかった家の中にいたから。
青い鳥って、物事の本質がわからない人には見つけられない。
多くの人達は「贅沢」が「幸福」だと勘違いしてしまう。
幸福の館で贅沢三昧の人達の描写が出てくる場面では「贅沢」に酔いしれている人達が「不幸」に見えた。
この本を読んで、私も小さな "青い鳥" を見つけました。 -
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凄い作品でした。
なんでもない日常のひとこまが切り取られているようで、じつはSF設定だったりするところが、絶妙な表現力。
ン十年ぶりに読みましたが、学生時代に難解か、無意味に思えたシーンが、しみじみ身に染みて。
日常をホンワカとして過ごしながら、今後なにか予想できないようなことが起こりそうな怖さも感じられて、それは登場人物達の表情や、間からなのか、不穏な不安定な、さみしいようなたのしいような微妙なっ空気が感じられる。
それは自分の人生経験からにじみ出てくるような感覚なのかも知れません。
なんど読んでも、新たな発見ができそうな、おいしいお食事を食べているような作品だと思います。
短編集だけど、それぞれの作品の力が強いです。
特に印象に残ったのは以下
・美しい町
戦後の団地に住む夫婦のつつましくも若い力が感じられる、現在からの視点で考えると、その後の2人の老後まで、どうなったのかなと行間へのイメージが広がる作品。
・東京コロボックル
ちいさなコロボックル達が、排気口やテレビに住んでいる。
主人公の若い恋人たちが、人間とパラレルに生活をしている。
自分たちの家に、こんなコロボックルが住んでいると思うと、とても豊かな気分になれる。
・奥村さんのお茄子
宇宙からきた女性が、奥村さんの一九六八年六月六日のお昼に何を食べたかを調べに来る。
ミステリアスで、突飛な設定でいて、超日常的で、郷愁を帯びている。コマ割り、絵も活き活きしていて。
こんな世界を描ける高野さんは、やはり天才です。 -
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4話収録の短編集。
田家実地子(実ッコちゃん)は、図書室で借りた「チボー家の人々」を、テスト勉強そっちのけ、寝食を忘れるほどに読みふけている。
本の中の登場人物と心が通じ合っていく過程を鮮やかに描く『黄色い本』
ママとルリちゃんとエリちゃん、そしてパパ。
幸せのひとときが愛おしい
『CLOUDY WEDNESDAY』
とあるオフィス。
のんびり屋さんと見せかけて結構しっかり者のたきちゃんと、周りの同僚との暖かい距離感を描いた『マヨネーズ』
ヘルパーの里山まり子が、訪問先で偶然出会った利用者の息子と過ごした奇妙な2時間半の記録『二の二の六』
『黄色い本』は、実ッコちゃんの読書の仕方が本当に理想的。
バスの中で、縁側で、机の上で、そして寝る前。
顔の影で、ページのとこ暗くなってんじゃないの?と思うくらい顔を本に近づけて読みふける実ッコちゃん。
大好きな本を読み終わってしまうときの悲しみと、奥付までしっかり目に焼き付けるところも、めちゃくちゃ気持ちがわかったから嬉しかった。
実ッコちゃんのトーチャンが発する、娘への暖かい眼差しとセリフもすべて心に響いた。
10代で、ここまで没頭できる本を見つけられるって本当に幸せなことだ。
『CLOUDY WEDNESDAY』は、パパが藤岡弘、みたいな風貌でちょっと意外だった笑
そんなパパが久しぶりにお家に帰って来たときにママがふと「かっこいい」と呟くシーンが好き。
『マヨネーズ』は、とにかくラストシーンのたきちゃんがかわいくて大好き。
しあわせはやつは、無敵。
無敵なやつは、やさしい。
この境地に、自分もいけたらなぁ。
『二の二の六』は、仕事とか家事をしながら歌う(しかも懐メロ)人を他人とは思えないので、まり子さんには自信持って幸せになってほしいな…と思った。まり子さんは自分が不幸だなんてあまり思ってないかもしれないけれどね。
そして1冊読み終わったとき、自分も何かに没頭したくなっていたのだった。
没頭=幸せ、なんだな。