高野文子のレビュー一覧
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いずみさんやわかばさんより下の世代ですが、自分の思い出と地続きの一冊です。メリーちゃんとマリーちゃんと同じ人形を妹が持っていました。自分は男ですが、友達がG.I.ジョーがうらやましくておねだりしたら、もちろん我が家では買えず、その代わりに母親が小さなぬいぐるみをつくってくれたこと、突然、思い出しました。それに探検隊みたいな洋服着せたり、忍者の衣装にしたりして、ボール箱で秘密基地つくって友達のリアルG.I.ジョーと一緒に遊んだこと、そして買ってもらえなかったこと全然引け目に感じなかったこと、なんか胸がいっぱいになります。まさに、おかあさん、ありがとうです。指人形も作ってもらったな。昭和30年代、40年代の母親のクリエイティブ能力、クラフト能力ってメチャ高かったんですね。でも、いずみさんの母親は「いずみさん、とっておいてはどうですか」ですが、引っ越しが多く、さらに断捨離に目覚めた自分の母親は「とっておいてどうするの」でどんどん消えてしまっています。紙と木の国の子どもの思い出遺産、一度、昭和のくらし博物館に行ってみないとな、と思いました。
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高野文子さんの美しい線のイラストと共に、博物館に寄贈された、1950年代生まれのいずみさんの遊び道具や、日記を紐解く内容。
昭和の遊び一般について広く網羅するのではなく、一個人の思い出の品をじっくり見ていくことで、より詳細に鮮明に当時の子供の遊ぶ姿や、生活が想像できました。
お祖母さんと一緒に着せ替え人形用のお洋服を作ったり、人形遊びをしたり、雪だるま作りや、自作の劇など、日記と道具に残る遊びの内容の豊かさに驚かされます。
そして、その当時の道具がいずみさんの母によって本当に大事に残されていたことがわかる素晴らしい保存状態…!
まさにとっておいてくれたからこそ見られる、素敵な遊び道具と記録の数々に当時の子供たちと同じくらいワクワクしてしまうこと請け合いです! -
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「本屋になりたい」宇田智子。
ジュンク堂書店の社員だった著者が、那覇支店に勤めて、そのまま沖縄で退社して小さな古本屋を始める。
そんな著者の日常、愚痴、考えること、古本屋の仕組み、新刊本屋の仕組み、などなどが綴られます。宇田さんという方が徹底して非常に謙虚で文章にもそれが現れ、僕は好感を持ちました。
「ドーダ」感や、「結局自慢かよ」感が、ほぼありません。(この自意識コントロールはなかなかなものです。意外と難しい)
ご自分で本を出したときの感慨や、イラストを高野文子さんにダメ元で依頼した気持ちなど、謙虚なのに文章は活き活きしています。素敵な作家さんだな、と。その後どうされてるのか分かりませんが。 -
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ネタバレ沖縄でやる古本屋さんを始めた女性の話。
もともと大型書店にいたという彼女。どこでも同じ本が買えることに対して思うところがあって、沖縄の本の多様さに魅せられたという。沖縄県産、という本の産地の考え方や地産地消の本、などの考えが目新しく感じて、おもしろかった。「読者の見える本づくり」が、なうい。
古本屋さんや本屋さんなど、本に関わる仕事をこれからやってみたいと思っていたときだったので、ちょうどよかった。本のスポットをつくるときは、どのように本がまわっていくか、というようなことも視野に入れながらその場所や人にあった店を作りたいなあと思う。また、古本屋という存在自体が、本の価値を高めたり、本の寿命を伸ばしたりしているのだと感じた。
具体的にどんなことがあったか、どのように古本屋業界というのは成り立っているのか、本の仕入れや売り方について、たんたんと丁寧に教えてくれる本。文章がわかりやすく、著者が若い女性ということもあり、イメージがしやすかった。本屋さんなどのやり方を知りたい人、沖縄のことが好きな人にはぴったりの一冊だと思う。
また、沖縄に行ったことがないのに、沖縄の気分を味わえた。沖縄の得意なのは、文化的なところも、歴史的なところも、自然のことも、人のこともたくさんあって、テーマに事欠かない、貴重な日本の一部なのだと感じた。
この本屋さんにも行きたいし、この本に出ていた沖縄の本も読んでみたい。
(ちなみに、この本は古本で買いました!) -
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先月、沖縄に行った時に立ち寄った市場の古本屋ウララさん。私の同居人と知り合いということで、せっかくなのでと何の気なしに購入した店主の宇田智子さんが書いた本。『本屋になりたい』というタイトルの本で、まさか自分が涙を流すとは微塵も思っていなかった。人の心を動かすのは、声高に何かを訴えるよりも、淡々と自分の思いを持って行動してそれを誠実なことばで綴ることなのだと実感する。辺野古の問題が取り沙汰される今、静かに沖縄県産本を市場の小さな本屋で売る彼女こそ、私の目のまえの世界を変える存在だった。
沖縄県産本。私は、その存在すら知らなかった。沖縄は文化や歴史が多く、沖縄県内の出版社による本が沢山ある。しかし、本土から離れていることによる輸送量などがハードルとなり、県内でのみ出回ることがほとんどだそうだ。地産地消の県産本は、それでも成り立つほど需要がある。その県産本を、大きな本屋ではなく牧志公設市場のすぐわき、水上店舗と呼ばれる古い建物の軒先の、人が4名やっと入れるスペースで売っているのが神奈川出身の宇田さんだ。ジュンク堂という大型書店で働いていた宇田さんが、那覇店オープンを機に異動し、ついには古本屋を営むようになった経緯が丁寧に書かれている。
出張買取も行う宇田さんは、コミュニティナースならぬコミュニティ古本屋さんだ。家に伺って、その方の本を通してそれにまつわる家や町の話を伺う。誠実な積み重ね。めちゃくちゃかっこいい女性。彼女に会いに、また沖縄に行こうと思う。
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私には、そこに張りあえるような知識も在庫もありません。店も狭すぎます。でも、人通りだけはあります。それを活かして、沖縄本の入口になる店をつくりたいのです。
もちろん私だって一人前の古本屋になりたいし、沖縄本に詳しくなりたいです。でも、たとえ店が広くても、ほかの専門店のように作家や大学の先生を相手にする自信はありません。そのかわりに、ふだん本を読まない人や沖縄本を知らない人に本を売るのも楽しそうだし、それならできるかもしれないと思いました。ほかの店と同じようにはなれないので、この店ならではのかたちを見つけようとしたのです。
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自分の世界、目のまえの人の世界。小さな小さな世界ですが、確かに一冊の本が変えました。本を読むことで、借りることで、売ることで、風景や行動や関係が変わりました。積み重ねるうちに、もう少し大きな世界も変わっていったかもしれません。
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