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「美しき町」は、その後二人が平凡に、でも幸せに老いていくのであろうということを感じさせる素敵な一編。何度でも読みたい。というか何度も読んでる。
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高野さんの作品は何度も何度も読むうちに、少しずつ、しみこんでゆくように思う。登場人物たちのちょっとした仕草や動作、受け答えのときに使う言葉などが、全部借りものじゃなく、その人からにじみ出ているかんじ。この人たちの住む場所はやさしいだろうな、となりで暮らしたいな、と思う。
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分かりやすい作品もあれば分かりにくい作品もある。分かりにくい作品も分かろうとしながら読む体験がとても心地よい。
カメラで撮影していることを意識しているような構図がよいのかな。読んでいると何となくふわふわと宙に浮いているような気分になる。
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るきさんで高野文子デビューし、先日の古本まつりでこちらを見つけたので購入。
とても繊細な部分を描いている漫画。
ちょっとファンタジー香る女性らしいやわらかい空気感と、女性らしい潔さと大胆さ。
でもありきたり感がなくって、ここを切り取って漫画にしているのかぁ、と感服。
病気になったトモコさんは、視点とリズムが独特で面白いし、
私の知ってるあの子のことは、いい子で育った子供の葛藤がものすごく自分と重なるし、
東京コロボックルは、大好きな借りぐらしのアリエッティと重なる部分が多くてキュンとする。
奥村さんのお茄子は、世界観がとにかく独特で、掘り下げるエピソードの進み方も斬新で面白かった。
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凄い作品でした。
なんでもない日常のひとこまが切り取られているようで、じつはSF設定だったりするところが、絶妙な表現力。
ン十年ぶりに読みましたが、学生時代に難解か、無意味に思えたシーンが、しみじみ身に染みて。
日常をホンワカとして過ごしながら、今後なにか予想できないようなことが起こりそうな怖さも感じられて、それは登場人物達の表情や、間からなのか、不穏な不安定な、さみしいようなたのしいような微妙なっ空気が感じられる。
それは自分の人生経験からにじみ出てくるような感覚なのかも知れません。
なんど読んでも、新たな発見ができそうな、おいしいお食事を食べているような作品だと思います。
短編集だけど、それぞれの作品の力が強いです。
特に印象に残ったのは以下
・美しい町
戦後の団地に住む夫婦のつつましくも若い力が感じられる、現在からの視点で考えると、その後の2人の老後まで、どうなったのかなと行間へのイメージが広がる作品。
・東京コロボックル
ちいさなコロボックル達が、排気口やテレビに住んでいる。
主人公の若い恋人たちが、人間とパラレルに生活をしている。
自分たちの家に、こんなコロボックルが住んでいると思うと、とても豊かな気分になれる。
・奥村さんのお茄子
宇宙からきた女性が、奥村さんの一九六八年六月六日のお昼に何を食べたかを調べに来る。
ミステリアスで、突飛な設定でいて、超日常的で、郷愁を帯びている。コマ割り、絵も活き活きしていて。
こんな世界を描ける高野さんは、やはり天才です。
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一生読める一冊。
『美しき町』を読書灯のあかり一つ、寝床で読んでいたら静かに胸をつかまれた。
妻が風呂に入っている。
その湯桶がカランとぶつかる音を聞きながら、奥歯を噛みしめる。
特になにが起こるわけでもないのに、熱いものがこみ上げてきた。
八月一日。
地元の大規模な花火大会がある日。
同じアパートに住むご近所の奥さんがこの漫画を貸してくれた。
出産予定日を間近に控えた大きなおなかを抱えながら、それでも昨日まで働いていたそうだ。
パワフルでアクティブな奥さんは、産休に入るも嬉々として古本屋巡りをして、この『棒がいっぽん』を購入。
以前、僕が高野文子に興味があるといったのを覚えていてくれて、ビニールコーティングされた未開封のそれを手渡してくれた。
ひとくちに漫画と言っても、高野文子はそのメソッドが違う。
どちらが優れているというわけではないが、例えば『ジャンプ』漫画をハリウッド超大作映画とするならば、『美しき町』は日本映画のマスターピースだ。
一組の男女がお見合いで出会って結婚する。その平凡な日常。
ふたりで赤い鳥居のお稲荷さんにいって、お社の裏に回る。
そこから広がる景色に、読者も「うわぁ」と声が出るはず。
『病気になったトモコさん』のオブラートが風に舞うシーンにも、『バスで四時』のバスのなかでぼうっとして意識が宙に浮いている描写にも「うわぁ」となる。
現実と意識の狭間のあいまいな部分を、ふわっと飛んで一瞬だけ止まったトンボを「今だ!」とつかまえるみたいに、紙の上に定着させる感性が素晴らしい。
『私の知ってるあの子のこと』では自分の子供時代を思い出すと共に、隣で大胆な寝相で眠っている我が娘を見ながら、愛おしさで胸が苦しくなった。
かと思えば『東京コロボックル』の奇想。
東京で暮らす小人たちの都会的な佇まいと優雅な生活におもわず吹き出してしまう。
そして白眉は『奥村さんのお茄子』
お茶の間でサイバーパンクSF!!
なにがなんだかわからないうちに引きこまれ、時間と空間と人生の不思議の一端に触れるような感動のラスト。
この作者は天才だと思った。
八月一日の夜は、漫画を貸してくれたF田さんの御宅にご近所六世帯が集まり、みんなで花火を観た。
古くからの高級住宅街の狭間にある格安物件の我がアパート。
高台にある絶好のロケーションで、この一日だけで充分家賃の元は取っている。
カメラマンやミュージシャンやDJ、メイクアップアーティストにサーファー。さまざまな人達が集うなかで僕ら平凡な一家族も一緒になって楽しむ。
高野文子の漫画を貸し借りできるご近所付き合いなんて本当にありがたい。
借りたお皿を返すついでに、この漫画も返しにいこう。
親戚から箱で送ってきた新鮮な桃をそえて。
そして自分用に一冊『棒がいっぽん』を買おうと思う。
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あちこちでこれが好きという人をよく聞く「美しき町」。ガリ版刷りのビラを部屋一面に敷いて乾かしているのを踏まないように歩くっていうようなシーンになぜこんなに強く心を揺さぶられるのだろう。
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これは短編集です。
たまに出して一つだけ読もうとするのですが,気がつくと、いつの間にか最後まで全部読んでしまっています。
こういう視点の漫画を書く人って、他にあまりいないのではと思います。
何回読んでも、すごく新鮮に楽しめます。
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美しき町
言葉に出さずに、ふたりが同時に同じことを思う。
さらに言えば遥かを思う。この茫洋とした幸せよ。
病気になったトモコさん
強烈な映画だ。
バスで四時に
これが一番好きかも。
私の知ってるあの子のこと
この作品はちと難しい。
表層はわかるのだが、深層が。
東京コロボックル
奥村さんのお茄子
大変奇妙。コミカルだがぞぞぞとするところもあり。
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表情が全てを語る、静かな小説のよう。想像力をかきたてられ、ものすごく考えさせられます。音楽でも小説でも絵画でも、じっくり味わうのが好きな人におすすめ。
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不思議な味わいの短編漫画集。
「美しき町」「バスで四時に」はどこにでもある日常風景を切り取って見せた感じで、これと言った事件のない平凡な時間の中にある豊かなドラマに気づかせてくれます。
「東京コロボックル」は小人世界のるきさん。些細な出来事が楽しい冒険のように描かれています。
「奥村さんのお茄子」は先輩の無実を証明するために25年前の昼に何を食べたか思い出してほしいと突然お願いされた男性の話。シュールなシチュエーションですが、読んでいると自分の過去の記憶をも掘り起こしているようでなんとも言えない感慨があります。
いずれも一筋縄で行かない作品ながら、読後感は鮮烈で心に残ります。この感覚は高野文子の漫画でしか味わえません。
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なんでもない日常をいろいろな角度から描写した短編集。
高野さんってボク知らなかったんですけど、
音楽家でいうところの「ミュージシャンズミュージシャン」といわれるような、
詳しい人にとってははずせない人物だったようです。
なんでもない日常が、
いかにハラハラするようなバランスで成り立っていて、
いかに奇跡的なものかを、なんとなく感じさせてくれる。
画がすごくて、っていっても描きこみがすごいんじゃなくて、
切り取りかた、目線の持ち方がすんごいの。
これをテーマにして話にしちゃうかっていう、
感動がある一冊。すばらしかった。
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すごいなぁ…。
なんだろうこの空気感。手触りや匂いさえ感じるような表現の凄さに驚愕。
「美しい町」と「奥村さんのお茄子」のラストシーンがとても印象的。
「バスで4時に」と「私の知ってるあの子のこと」も。
何でもない一瞬がこんなに輝いているのかと思い知らされる。
あと視点のめまぐるしい変化についていけず、初読の時は頭がクラクラした。
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東京コロボックル面白い!
全部面白い!!
とうとう高野文子の既刊全て読んでしまい嬉しくも
切ない気持ち。
雑誌に載ったきりのやつ集めて短編集でないかなー。
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静的なコマから、生活の力強さが伝わってくる「美しきまち」は
何か快い後味が残り、『棒がいっぽん』の中でも一番好きな作品です。
個人的に小津監督作品に通ずるものを感じます。
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見たことない切り口。ああ、読んでてすごく気持ちよい。スゥーっとする。
「私の知ってるあの子のこと」がけっこう好き。あとのはね、まだわかんないや、あたしには。
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■美しき町■
今の、こうしたことを思い出したりするのかしら
■私の知ってるあの子のこと■
今日も、あたしのことを好きでいてくれたかしら
・美しき町
・病気になったトモコさん
・バスで四時に
・私の知ってるあの子のこと
・東京コロボックル
・奥村さんのお茄子
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イラストが特徴的
今まで見た漫画のイラストとは違う良さが有る
一読だけじゃわからない、筋書きとか物語もあったから、また読んでみたい
コロボックルが可愛くてお気に入り
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奥村さんのお茄子読んで、鳥肌立ったのは私だけ??
高野文子の本は『るきさん』や『黄色い本』も含めて三冊目なんですが、何度も噛み締めて、独特の視点描写のイラストから物語に入り込むこの感じ、高野ワールドは本当に好き嫌いが分かれると思います。一回読んだだけではなかなか理解出来ない所も多いし、共感出来ない所も(時代背景もあるけど)あるけど、不思議と何度も読み返してしまうのが、高野文子の漫画の良さなのかなとも思います。
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日常なんだけど日常ではない。
不思議なわかりそうでわからない。
掴み所のない。
美しく慎み深い。
始まる前に終わってしまうような。
余韻が残る。
美しき町の夫婦が好き。
バスで四時にも好き。
奥村さんのお茄子はちょっと不思議だな〜という受け止め方で大丈夫ですかね…(^^;;
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『私の知ってるあの子のこと』の1ページをたまたまみせてもらって衝撃を受け購入。こんな表現力を持つひとが世にはいるのか、とただ圧倒された。この短編が1番好きだったな。他のは世界観が独特で理解が追いつかないものもあった。
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日常の出来事や微妙な感情を、独特の感性と表現力で描く漫画家、と言えばよいのでしょうか、この高野文子という人は。この作品集の中では、「私の知ってるあの子のこと」、「おくむらさんのお茄子」が最も読み応えがあります。ストーリー展開の巧みさと、様々な映画的な技法を取り込んだ画像構成も見事なものだと思います。
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「東京コロボックル」が一番すきです。
それにしても、高野さんの描く女性がすきです。おしとやかで上品なようでいて、意外と荒っぽかったり・がさつだったり…。きっと誰しもがこっそり隠しているところもしっかり出していて、そこがいやらしく表現されないところが良いです。
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長嶋有さんの「電化文学列伝(講談社文庫)」で紹介されていたので、購入。
この人の絵、どこかで見たなあ、と思ったら、叔母の本棚にあった北村薫の本の表紙を手掛けている人なのだった。そんなこともあって、なんとなくノスタルジックな絵。
コマの視点(テレビとか映画でいえば、カメラの位置)が独特。
「バスで四時に」とか、好き
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どれもこれもかわいらしいお話なんだけど、「おともだち」の方が好きかな。
つくづく私は子どものお話が好きなんだと感じた。
完全に個人的な感想。
東京コロボックルは借り暮らしのアリエッティを思い出すね。
Posted by ブクログ
高野文子の短編集。漫画でこんな表現ができるんだと驚きました。こまの中を人や物がこんなにダイナミックに動きだすなんて。お話としては東京コロボックルが好きです。
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長嶋有「電気製品列伝」で絶賛されていたので、読んでみた。いや、すごかった。この人の頭の中をのぞいてみたい。頭の中もすごいが、それがそのまま漫画本になっているのがすごいと思った。