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Posted by ブクログ
るきさんで高野文子デビューし、先日の古本まつりでこちらを見つけたので購入。
とても繊細な部分を描いている漫画。
ちょっとファンタジー香る女性らしいやわらかい空気感と、女性らしい潔さと大胆さ。
でもありきたり感がなくって、ここを切り取って漫画にしているのかぁ、と感服。
病気になったトモコさんは、視点とリズムが独特で面白いし、
私の知ってるあの子のことは、いい子で育った子供の葛藤がものすごく自分と重なるし、
東京コロボックルは、大好きな借りぐらしのアリエッティと重なる部分が多くてキュンとする。
奥村さんのお茄子は、世界観がとにかく独特で、掘り下げるエピソードの進み方も斬新で面白かった。
Posted by ブクログ
凄い作品でした。
なんでもない日常のひとこまが切り取られているようで、じつはSF設定だったりするところが、絶妙な表現力。
ン十年ぶりに読みましたが、学生時代に難解か、無意味に思えたシーンが、しみじみ身に染みて。
日常をホンワカとして過ごしながら、今後なにか予想できないようなことが起こりそうな怖さも感じられて、それは登場人物達の表情や、間からなのか、不穏な不安定な、さみしいようなたのしいような微妙なっ空気が感じられる。
それは自分の人生経験からにじみ出てくるような感覚なのかも知れません。
なんど読んでも、新たな発見ができそうな、おいしいお食事を食べているような作品だと思います。
短編集だけど、それぞれの作品の力が強いです。
特に印象に残ったのは以下
・美しい町
戦後の団地に住む夫婦のつつましくも若い力が感じられる、現在からの視点で考えると、その後の2人の老後まで、どうなったのかなと行間へのイメージが広がる作品。
・東京コロボックル
ちいさなコロボックル達が、排気口やテレビに住んでいる。
主人公の若い恋人たちが、人間とパラレルに生活をしている。
自分たちの家に、こんなコロボックルが住んでいると思うと、とても豊かな気分になれる。
・奥村さんのお茄子
宇宙からきた女性が、奥村さんの一九六八年六月六日のお昼に何を食べたかを調べに来る。
ミステリアスで、突飛な設定でいて、超日常的で、郷愁を帯びている。コマ割り、絵も活き活きしていて。
こんな世界を描ける高野さんは、やはり天才です。
Posted by ブクログ
一生読める一冊。
『美しき町』を読書灯のあかり一つ、寝床で読んでいたら静かに胸をつかまれた。
妻が風呂に入っている。
その湯桶がカランとぶつかる音を聞きながら、奥歯を噛みしめる。
特になにが起こるわけでもないのに、熱いものがこみ上げてきた。
八月一日。
地元の大規模な花火大会がある日。
同じアパートに住むご近所の奥さんがこの漫画を貸してくれた。
出産予定日を間近に控えた大きなおなかを抱えながら、それでも昨日まで働いていたそうだ。
パワフルでアクティブな奥さんは、産休に入るも嬉々として古本屋巡りをして、この『棒がいっぽん』を購入。
以前、僕が高野文子に興味があるといったのを覚えていてくれて、ビニールコーティングされた未開封のそれを手渡してくれた。
ひとくちに漫画と言っても、高野文子はそのメソッドが違う。
どちらが優れているというわけではないが、例えば『ジャンプ』漫画をハリウッド超大作映画とするならば、『美しき町』は日本映画のマスターピースだ。
一組の男女がお見合いで出会って結婚する。その平凡な日常。
ふたりで赤い鳥居のお稲荷さんにいって、お社の裏に回る。
そこから広がる景色に、読者も「うわぁ」と声が出るはず。
『病気になったトモコさん』のオブラートが風に舞うシーンにも、『バスで四時』のバスのなかでぼうっとして意識が宙に浮いている描写にも「うわぁ」となる。
現実と意識の狭間のあいまいな部分を、ふわっと飛んで一瞬だけ止まったトンボを「今だ!」とつかまえるみたいに、紙の上に定着させる感性が素晴らしい。
『私の知ってるあの子のこと』では自分の子供時代を思い出すと共に、隣で大胆な寝相で眠っている我が娘を見ながら、愛おしさで胸が苦しくなった。
かと思えば『東京コロボックル』の奇想。
東京で暮らす小人たちの都会的な佇まいと優雅な生活におもわず吹き出してしまう。
そして白眉は『奥村さんのお茄子』
お茶の間でサイバーパンクSF!!
なにがなんだかわからないうちに引きこまれ、時間と空間と人生の不思議の一端に触れるような感動のラスト。
この作者は天才だと思った。
八月一日の夜は、漫画を貸してくれたF田さんの御宅にご近所六世帯が集まり、みんなで花火を観た。
古くからの高級住宅街の狭間にある格安物件の我がアパート。
高台にある絶好のロケーションで、この一日だけで充分家賃の元は取っている。
カメラマンやミュージシャンやDJ、メイクアップアーティストにサーファー。さまざまな人達が集うなかで僕ら平凡な一家族も一緒になって楽しむ。
高野文子の漫画を貸し借りできるご近所付き合いなんて本当にありがたい。
借りたお皿を返すついでに、この漫画も返しにいこう。
親戚から箱で送ってきた新鮮な桃をそえて。
そして自分用に一冊『棒がいっぽん』を買おうと思う。
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