高野文子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
全国で本屋の縮小、廃業が相次いでいる。先日は取次大手の栗田出版販売も潰れた。こんなご時世に「おれ、自分で本屋をやろうと思うんだ」なんて言ったら、「おまえ、気は確かか?」と言われるだろう。
著者がやろうとしているのはもちろん新刊書店ではなく、古書店だ(新刊書店を個人で開業しようなんて無理!) しかし 本屋の廃業の波は新刊書店だけでなく、ネット販売の普及で値崩れを起こしている古書店にも及んでいる。実店舗での経営は相当厳しい。
この「本屋になりたい」という平凡そうに見えるタイトルは、実は相当な破壊力を持っている。
しかしまあ、この著者の日常のなんとさばさばしたことか。あえて厳しい面に触れてないのか、それともほんとに順調なのかはちょっとわからないが、楽しそうだ。
沖縄の市場の近くで、地元の人も観光客も比較的多い恵まれた立地にあるし、もともとあった古本屋を譲り受けたかたちなので、初期投資も抑えられたという好条件もあるが、店の大きさはわずか三畳。店先にワゴンを出して増やした売り場も三畳。それでも生活が成り立っているらしい。独り身のようだが、なんだかうらやましい境遇にも思える。
著者が若い女性ということもあるだろうが、同業者のおじさんたちも親切に仕事を教えているので、良い関係を築いている。順調にスキルアップしている。もちろんそこには著者の人柄や沖縄の県民性もあるだろう。
これ、都会で開業するときの参考にはならないだろうな…
開業以前に地方に飛び出す勇気がいるな…
と、いろいろ考えたりはする。でも憧れる。
好きなことをして、食べられるだけの収入があって、それ以上何を望むの? と問いかけられているような気がして、なかなか面白い本だった。 -
Posted by ブクログ
表題作「黄色い本」を筆頭に、4つの短編漫画が収録された本作。ここでは表題作「黄色い本」について。
女学生である主人公・実地子が、『チボー家の人々』という作品を読み終えるまでを描いた、言ってしまえばそれだけの作品です。
とは言え、周りのことや周りの音が気にならなくなるほど夢中に本を読みふけったり、夢中になりすぎて自分が本の世界に入り込んだり、残りページが無くなる間際の一種の寂しさだったり。本好きとしては「なんか、分かる」としみじみ共感できる部分も。
現実と本の世界を行ったり来たりする展開に最初は戸惑いがありましたが、繰り返し読むことで不思議とクセになる1冊です。