高野文子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本屋になりたい私が「本屋になりたい」を読む。頷けるところばかり。違うところといえば、私はやっぱり新刊を主に扱いたいなというところ。著者の宇田さんはウララを開く前は大手の新刊書店で働いていたから、両方の立場から「本を売ること」について書けるのが強み。本州から距離を隔てているおかげで独自に発展した沖縄の「県産本」、沖縄の出版文化についての話も面白い。
このウララみたいに、新刊書も扱う古書店がもっと増えてほしい。新刊書店は品切れ重版未定の本や絶版になってしまった本は扱えないけれど、古書店なら仕入れることができる。新刊書籍の直取引の卸値を今よりも下げてくれればもっと色々なところで本を売ることができる -
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Posted by ブクログ
一生読める一冊。
『美しき町』を読書灯のあかり一つ、寝床で読んでいたら静かに胸をつかまれた。
妻が風呂に入っている。
その湯桶がカランとぶつかる音を聞きながら、奥歯を噛みしめる。
特になにが起こるわけでもないのに、熱いものがこみ上げてきた。
八月一日。
地元の大規模な花火大会がある日。
同じアパートに住むご近所の奥さんがこの漫画を貸してくれた。
出産予定日を間近に控えた大きなおなかを抱えながら、それでも昨日まで働いていたそうだ。
パワフルでアクティブな奥さんは、産休に入るも嬉々として古本屋巡りをして、この『棒がいっぽん』を購入。
以前、僕が高野文子に興味があるといったのを覚えていてくれて、ビ -
Posted by ブクログ
不思議な味わいの短編漫画集。
「美しき町」「バスで四時に」はどこにでもある日常風景を切り取って見せた感じで、これと言った事件のない平凡な時間の中にある豊かなドラマに気づかせてくれます。
「東京コロボックル」は小人世界のるきさん。些細な出来事が楽しい冒険のように描かれています。
「奥村さんのお茄子」は先輩の無実を証明するために25年前の昼に何を食べたか思い出してほしいと突然お願いされた男性の話。シュールなシチュエーションですが、読んでいると自分の過去の記憶をも掘り起こしているようでなんとも言えない感慨があります。
いずれも一筋縄で行かない作品ながら、読後感は鮮烈で心に残ります。この感覚は高野文子
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