豊島ミホのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
幼馴染との友達以上恋人未満の関係を紡いだ短編集。
甘酸っぱくて胸きゅんな青春活劇で終始することなく、ちょっとダークで大人な関係性まで描き出している。様々な形で幼馴染との距離感が展開しているけど、一貫して幸せ純度1000%のハッピーエンドには至らない。80%~60%ぐらいの割合で揺れ動き、物語以後の余韻が残る。
読者の経験や年齢層で一番刺さる物語が異なる気がする。私のベストは表題作「夏が僕を抱く」。
少し年上の幼馴染との叶わない恋愛。この設定だけで、切なさに胸が張り裂ける。互いに相手を利用しているエゴを内心では認め合いながらの卑怯な関係性が根幹にはある。けれども、主人公は抑えることができない -
匿名
購入済み意外な引き出し
この作者には内向的な若者の青春をみずみずしく描いた作品が多いので、こんな引き出しもあるのかと驚いた。あとがきで語られるように、作者の凄まじいコンプレックスと、それでも捨て去ることはできない美への憧憬が人形に強く息を吹き込んで、執念すら感じられる濃密な物語を形作っている。
ここに出てくる主人公たちは、生きた時代から容姿のレベルに至るまで、いつもの短編集以上にバリエーション豊か。また、人形の性質や姿かたち、物語の起承転結にも想像力が炸裂している。人形や「美」というものが、いかに深いインスピレーションを作者に与えているのかが伝わってくるようだ。 -
匿名
購入済み地味だけど、ドラマは濃い
出だしがあまりにむさ苦しい雰囲気なので、なかなか入り込みづらかった。でも何とか前に進んでみたら、嘘みたいに「読んでよかった」という感想に変化した。
この短編集に書かれているのは、どれも「あるある」「ありそう」と思えることばかり。と同時に、「こんな物語は見たことがない!」「よくこんな状況をすくい取って物語にすることができるなあ…」という感想も抱かされた。
ここに描かれているようなことは、あまりに繊細な揺れであるために、大抵の人間には感知するのが難しく、それゆえに今まで物語化されてこなかった風景なんじゃないかと思う。
だから、「ありそう」なのに「見たことがない」のだ。
私はこの本に -
Posted by ブクログ
学校という場所にいる、傍若無人に振舞う「あいつら」が嫌い。人を侮る「イケてる組」を呪う(呪ってないか?)地味女子だった作者のエッセイ。
美形やお笑いでテレビや雑誌に出ている人達は、人口比率からするとわずかなので99%の普通の人は見る側になる。
なのに、高校というところは、ミニ世界なので、そこで謎のスター枠、お笑い枠、スポーツヒーローの役割が割り振られるのだ。
その枠に入らない大部分の学生は、何故か劣等感を感じさせられるのだと思う。
中学や前のクラスでは、そのスター枠にたまたま入っていたりすると、二軍落ちした時の落胆は並では無い。ただし、ほとんどのスター枠の子達は卒業したらただの人に