豊島ミホのレビュー一覧
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1話目読んだ時、「暗っ」って思った。大学生ってこんなだったかって。でも次々と読み進める内に(ちょっとオムニバス的に主人公が変わりながらも脇役で前の話の人が登場したりする)「そうだよな、現実ってこんなだよな」って思った。私は体育会系の部活やってたし彼氏も居たから試合に勝つこととか恋愛のこととか(当時にすれば最大の悩みごとだったけど)毎日どうでもいいことで悩んだり笑ったりして過ごしてきたけど、実際大学生活が華々しいかと言えばそんなことは全くなく、本当は地味で鬱屈したものなのである。そういうのって周りにはわからないものだろうけど。
この話に出てくる1人1人がどこにでも居てそうで同じようでありながらそれぞれなりにいろいろ考えている。みんな愛しい分身のようだ。 -
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秋田の高校時代のことを書いたエッセイなのですが、これがすんごく良かった。地味女子だった自分と通じるところがあって、底辺女子高生の気持ちに何度もうなづいていた。家出、保健室通い、赤点とネガティブだった当時の気持ちがが赤裸裸に描かれる。あの頃もがいていた自分を思い出す。並の高校生のこころをリアルにきめ細かく書いていて主人公が好きになる。球技大会や下宿の話は面白い。なにひとつ大きな事件は起こらなかった美術部の話もいい。その自由な時間と空間が高校時代にしか得られない宝物のように思える。思い出と重なりそうで感傷的になった。この作者はやはり美しい文章を書きます。卒業前、作者が階段を上りながらふっと思った場面、友達と見上げたこわいくらい美しい星空をみた場面。「檸檬のころ」しか読んでいなかったけれど、この作者の作品を次も読んでみようと思わされた。後半は、じたばたしていた底辺女子高生の成長に青春を感じきゅんとした。
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短編集
若者、中高生の生き生きした、行動、ワルが好きな表現が素晴らしい。作家はとても田舎育ちみたい、上京して、又田舎に戻って、幼馴染の時代と、大人になった、変化と、幼い恋心を、女の感性で上手に、独特の表現は、姫野カオル子氏を感じて、親しみやすい。姫野女史は、性表現はぼかしでたけど、言いたい事は、伝わっていたが、ミホ女史は、直接に表紙する所か、時代のちがいか?
ミーちゃんに再会したのは、夕立に降られて駆け込んだ渋谷のレコ屋の入口だった。昔一緒に田舎で虫を捕ったり木に登ったりしていたミーちゃんは俄然大人になっていて、俺は彼女に夢中になった。しかし…。(「夏が僕を抱く」)あんなに近くにいたのに、いつの間にか離れてしまった幼なじみ。それぞれの思い出の中にある、大事な時間と相手。せつない記憶を描く傑作短編集。 -
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◼️ 豊島ミホ「夏が僕を抱く」
いかにもなタイトルとカバー写真。豊島ミホの青春もののリアルな面映さファンです。
2000年ひとケタ台に小説家として活躍した豊島ミホ。「女による女のためのR-18文学賞」受賞の「青空チェリー」、映画化もされた「檸檬のころ」ほか「エバーグリーン」「リテイクシックスティーン」など、主にグリーンエイジの青春ものを描きつつ、さらっとセックスのことも混ぜたりする、青くて生な空気感に惹かれてしまう。
今作は「おさななじみ」の男女がテーマですべての作品の軸となっている。
中学生になり、不良っぽくかつカッコよくなって取り巻きも増えた毱男を追い、自分も髪を染めスカートを短くする菊南の「変身少女」、巨乳で男をとっかえひっかえしている矢部っちやメガネ男子が好きなすみれと合コンに行っているいるかが、団地のすぐ上の階にいるらくだの部屋からベッドが軋む音と女の名を呼ぶ声が聞こえてきて焦る「らくだとモノレール」。それぞれに可愛らしく、エロで、環境の描写も現実的。
小学生で姉とキスした研吾とお見合いする妹の園子にはホテルでコスプレをするセフレがいた。姉はセレブ婚をしていて、設定が凝っている「あさなぎ」。浪人中の岬と女子大生の有里。有里は大学の遊びサークルの美形の彼氏と付き合いクリスマスに処女を失う予定。遠慮ないぶっちゃけの会話と微妙な距離、岬のがさつで不器用な行動が描かれるこの「遠回りもまだ途中」は、アダルトさも混在する中で若さ幼さが見え隠れしてお気に入り。
表題作「夏が僕を抱く」は、アダルトの方面だが、大人の虚無感が漂い、少し雰囲気を異にしている。フラフラしていて練習もろくにしないバンドマン、ハネは昔青森の祖父の家で遊んだミーちゃんと渋谷で偶然再会し、身体を重ねる。改めて新しい何かを見つけたというよりは懐旧、刹那的な逃避感も漂う。
農協に勤める十和、優秀で一流大学をやめて故郷へ帰った護はそれぞれ陰の事情を抱えていた。ラストの「ストロベリー・ホープ」は少しエグい波を経て、甘酸っぱい香りの中終わる。
いずれもおさななじみの男女は、ある種理想的な関係で、主人公はもう片方が好きで安心できる存在と思っている。かき混ぜて価値を捨てるのも物語の一様相ではあるし、それぞれの篇にはもちろん変化もつけてある。しかし、おさななじみ2人の存在で、読者は好ましく安心して読めるところがある。
著者が大ファンであるという綿谷りさの解説によれば、色っぽくて生々しく、綿矢りさには伏せ字でしか書けない言葉もさらっと出してしまう。多少婉曲に書いてあるけども、豊島ミホにはオス目線なのか、女性表現者として潜んでいる感じ方の発露なのか、と思われるところがある。先に書いた矢部っちの巨乳の表現なんかもさりげなさそうで、おっさん的笑。
面映さと小憎らしい大胆さ、著者の東北のローカル性豊かなところで育ったベースがにじむのも良い。お気に入りの豊島ミホは小説休業中だという。小さい声だけど、ぜひまた新作を書いてほしい。 -
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保健室通いで授業をサボりがちな同級生と唯一の友達である、周りからは釣り合わないと言われるほど美形な少女。周囲の同級生からはあまり良く思われていないし、サボりがちな同級生は同級生たちと反りが合わない。教師からはサボっている友達への伝言役となり、同級生からは関係を斬れと言われる間で揺れる思い。
とある地方の小さな都市の、高校を中心とした短編集。長編だと思っていたので、2本目で全く違う人が出てきて、バラバラの話かと思いきや、金子商店が出てきたところで同じ地域の同じ時系列の中の短編集。
1本目が結構心理的に難しい話だったので、その後もかと思ったら、その後はかなりあっさりとした話が続いていた。
中学から思いを寄せていた女の子が、野球部の自分のために選んでくれた応援曲『ルパン』を、あっさりと恋敵に取られてしまう。音楽が好きで文章もうまいと思い込んでいた少女が、同級生にお株を奪われてしまうなど、いろいろと思うようにならない話が続くが、どれも軽く嫌な気分になることはないだろう。
自分でもこういう話を書いていることもあり、展開を予想することができたり、なるほどねと頷く部分も多く、シンプルに楽しめる作品群であるが、一方で学生たちの名前が覚えられないのがなんだかなという感じ。加代子って誰だっけ?
まあ、軽く読めるし、幻冬舎にしては固有名詞がごまかされている部分は気にはならなかった。バンド名などはOKなのね。