あらすじ
保健室登校の女友達とのぎこちない友情。同級生と馴染めない、音楽ライター志望の偏屈な女子に突然訪れた恋。大好きな彼とさよならすることになっても、どうしても行きたかった、東京――。山と田んぼに囲まれた田舎の高校を舞台に、「あの頃」のかっこ悪くて、情けなくて、でもかけがえのない瞬間を切ないまでに瑞々しく綴る、傑作青春小説。
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北高を中心にした連作短編集。
主人公達は平凡などこにでもいる人たちだけど、
自分自身を底辺高校生という豊島ミホさんだからこそ、そんな人達のキラキラしてる場面を切り抜ける。
『タンポポのわたげみたいだね』から始まって
『雪の降る町、春に散る花』で終わる短編の順番も素敵だ。
痛いぐらい等身大の青春小説。
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高校生の卒業までを丁寧に描いた作品。忘れていた図書室の匂いや友達とのなんでもない会話、その中に生まれていた空気や感情までもが鮮明に思い出されました。
私の高校生活も、楽しかったと思い出すことができました。
友達との時間も楽しかったですが、受験勉強を必死でやった記憶も鮮明です。もう一度高校生活を送ることはできないですが、あの時勉強した事をもう一度することはできると思い、先日から高校数学を再勉強しています笑
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「痛いの」(ルパンとレモン)
どの文章を切り取ればいいのか分からないくらい、一文一文が刺さりすぎた「ルパンとレモン」。
西と秋元との甘酸っぱい日々は、いつしか過去のものとなり、今や互いにとって「痛い」ものに変わっていた。
この痛みと正面から向き合った西は、大好きな秋元が、既に両思いである友達の富蔵と、最高の形で付き合い始めるために、次の試合でホームランを打とうと心に決める。
うん、かっこいい。かっこいいぞ、西。
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久しぶりに大好きな短編集に出会えた感じ。
豊島ミホさんの描く何気ない田舎の風景、登場人物の心情、青春の1ページがキラキラと輝いていました。青春の思い出って、全てが全てハッピーエンドってわけじゃなく、どこかほろ苦かったりするまさに「檸檬のころ」。
でもだから青春っていいのよなあ
好きだったお話は「ルパンとレモン」、「ラブソング」。自分の青春時代と重ねて読んでしまって震えた…
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地方の高校が舞台の連作短編集。
高校生視点の話と大人視点の話があり、どちらも檸檬のようなほろ苦さがあって良いが、
個人的には圧倒的に高校生視点の話の方が好き。
というのも、時たま登場する楽曲が、自分がその時代に聴いてたり好きだったりしたものとがっちりハマっていて、
シーンによってはぐわんぐわんと響くものがあったから。
懐かしい曲を聴いて、少し懐かしい気持ちになりながら、
自分の輝かしくない青春時代を振り返りたくなるような気持ちにさせられた。
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普通で何気ない日常。そのきらきらとした部分を切り取っているからこそみずみずしく、かけがえのないあの頃をハッと思い出させてくれる。田舎の新学校が舞台であることも相まって、より一層甘酸っぱく切ない物語。
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2019/10/7
初めて豊島ミホさんの本を読みました。以前から気になってた本だったので読むことができて良かったです。
内容は青春小説ですが、なんだか絶妙なバランスがあってすごく読みやすいし話に引き込まれる感じです。短編ですが話が連動していて、それぞれの話の主人公的な人物が次の話の主人公となんらかの形で繋がっていたりするので、ストーリー仕立てにもなっているような気がします。
すごいバランスがいいという印象を受けたのはあとがきを読んだ時に納得したんですが、ストーリーが派手なことに極端になってなくて、学校だったり日常だったりで、いわゆる普通の人にスポットを当てた話になっているからだと書いてあって、まさにその通りだなあと思いました。
派手さはないけど、そこにはしっかりしたストーリーがあって普通の主人公たちがすごい輝いた青春を送っているような感じを受けます。
作者自身はそういうキラキラした青春はあまり好んでなかったようですが、細かい描写などすごく引き込まれました。もっと読んでみたいなと思います。
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切ない。 切なさと愛しさと。それがいっぱい詰まった連載短編集。
どこにでもある進学校。 そこにいる目だったところが少ないような普通の、普通の生徒達が繰り広げる、部活や恋愛や友情や嫉妬や別れや。
「ルパンとレモン」からの「雪の降る街、春に散る花」の切なさには心打たれた。違う視点から見る恋愛。 大きな何かがある訳じゃないのに、だからこそ自分が経験したように胸に響いて。
今を大切にしなきゃって、思った。
ルパンとレモン
笑顔きらきらサル系野球部男子と吹奏楽部美少女がいい感じになってる横にいるクール野球部男子目線。「好きだった」て切ないね。
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「青春」というワードで引っかかった小説。地味な高校生にも青春があるというコンセプトのもと書かれたものとのこと。想像以上に面白かった。完全に素晴らしい思い出でなくとも、少しくらいはきらりと光る瞬間はあったよなと思い返しました。もう戻らない青春が眩しいです。
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田舎の進学校を舞台に繰り広げられる普通の人々の普通の日常を鮮やかに青く酸っぱく美しく表現した短編集
各章の主人公たちがほぼ全員ラジオリスナーっぽい人種というか…思春期特有の不器用さと真っ直ぐさを持つ人物なのが凄く好感が持てる
各章の登場人物が他の章に顔を出すのも「学校」という閉鎖的で濃厚で複合的で、そこでしかありえない人間関係を表していると感じました
特に劇的な何かが起こるわけでもない、大きくなったら忘れてしまうような事が書かれていますが、あの日常時代っていわゆる「想い出」の他にも楽しいことって山ほどあったはずで、それでも日常の出来事だから時が経つとどんどん上書きされてしまって、「何となく楽しかった」と抽象化されてしまう
それはしょうがないことなんだけど、確かにあの瞬間楽しかった事ってどこかに残ってるんじゃないかと思うんですよね
この本を読んで、少しだけあの時の日常に触れた気がしました
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「成瀬は天下を取りに行く」の著者 宮島未奈さんが旧TwitterXで殿堂ゾーンとして本棚の一部を公開していました。豊島ミホさんの作品ばかりだったのでその中の1冊(20年程前の作品)を手に取ってみました。
短編か?と思いきや、意外な所で繋がっていて「おっ!」と思わず声が出てしまう連作短編集です。著者が「底辺」だったという高校時代。底辺でもそこには人が存在していて必ず物語があります。そしてそこでは誰もが主役です。
解説で「豊島ミホは、ふつうをかがやかせる達人」と称してましたが、この本を読みながら昔を思い出し、私も都合よく自分自身の記憶を改ざんして高校時代を輝いていた事にしておきました。
リアルタイムで読んでみたかったと思いはしますが、その時代、読書よりも楽しい事が沢山あったので、この本を手に取った「今」がリアルタイムなんだろうなぁとこの歳になると思います。
支離滅裂で申し訳ないですが、タイムスリップさせてくれる小説。またいつか再読する機会がありそうです。
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文自体は少し子供っぽく書かれていて読みやすかった。これも7個の短編が入っているけど、全部1つの「北高」というキーワードに関連している人たちで、先生だったり卒業生だったり生徒の視点で書かれていた。私は高校生になったらきっとこういう青春生活を送るものだと小学校の頃から思っていて、その思っていた理想にぴったりのようなお話。実際は全然そんなことなくてかけ離れてるけど、でも今の開智での高校生活は勿論すごく楽しい。特にお話についての感想は、1つ選ぶなら『レモンとルパン』が好き。
ずっと長年片思いしてきた相手に、やっとのやっとで想いを伝えた主人公に女の子が「痛いの。」の一言で片付けられてしまうとこが辛くてヒリヒリした。
本の中では複数の視点から同じ人のことを書いていて、同じ言動を見ても見る人によって思っていることや捉え方が違くて、当たり前なことだけれど現実世界ではやっぱり知ることができない域だから、本にされると分かりやすくて面白い。西くんから見た長年片想いしてきた大好きな人:秋元さんと、白田さんから見た憧れの人:秋元さんと、佐々木くんから見た彼女:秋元さん、そして本人視点の秋元さん はどれも別人かのように書かれていた。
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豊島ミホは自分でもあちこちに書いているように、決して幸せで楽しい充実した学生生活を送ったタイプの女子高生だったわけではなくて、どちらかというとその対極に位置するような、彼女自身の言い方をすれば「底辺」の女子高生だったわけだ。
その彼女が紡ぎ出す物語はどれもこれも繊細でナイーブな登場人物がキレイでまるできらきらと結晶化しそうなくらい美しい。
なんでこういう、高校時代にロクな思い出のない、友人の名もほとんど思い出せないような不遇な青春時代を送った者の琴線に触れるようなストーリを次から次へと作り出せるのかなぁ、と常々思っていたのだけれど、やはりそれは彼女自身の資質もさることながら、独特の「底辺」からあたりを見上げた高校時代の経験のたまものなのではないかなぁと最近思う。
「痛いの」
凄い!世界ってこんなにも熱いものだったんだ。
こういう台詞、シチュエーションも含めてなんかもう宝物のように感じるね。
彼女が創作活動をやめてしまっているのが本当に残念。
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甘酸っぱい。
短編集かと思ったらすべて繋がっていて、色々な人にスポットを当てているところが面白い。
田舎に住みたかったなあ
上京、とか
友人や恋人との別れ、とか
進路に悩む感じとか、
田舎の方がたくさんの葛藤や悩みを抱えて生きてるのかもしれないなあと思わされました。
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新しくできた友達の本棚を見て、本がたくさんあったから本を借りたいとお願いしたら快よく頷いて選んでくれた。「人に本を貸すのって、告白みたいで緊張するな〜」と悩みながら選んでくれて、「かわいい話だよ」とお墨付きで教えてくれた。私は保健室登校になった卑屈であぶれものの女子で、本を貸してくれた友達は容姿端麗の美人だと思った。容姿についてみんながバカにしてると思うことは、私の容姿では通過儀礼のようなもので絶対に起こることだった。容姿端麗の美人は、そんなこと気にしなけりゃいいじゃんと思う。書いてあったことに、作者側と同じ感想を美人に対して抱いてるんだな私は、と思った。
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当たり前の高校生活中にも、色々なドラマがある、と思わされた。恋愛経験がそんなにない頃の恋愛って、「この関係がずっと続く」と(高校生ならなおさらその可能性は低いのに)思ってしまうんだよなあ…。お互い一緒にいること、ただそれだけに価値がある、というような。野球部の子の話が二つとも切なかったですが、特に「ルパンとレモン」がよかったです。
あと、くるりの「東京」が話に出てきたのも良かった。
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最近短編オムニバス小説しか読んでないな、好きだからしゃーない
高校生の純粋な恋愛って強いのに弱くて尊い
自分の出身が田舎の自称進学校の北高だからちょっと親近感〜〜
最後の話、遠距離恋愛が始まるやつ、めちゃくちゃ切なかった、続かないだろうけど好きって気持ちとか、なんかいろいろ思い出してちょっと泣けた、よかった
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自分が高校生だったときのことを思い出しながら読んでいた。
クラスの中心で、いつもみんなの笑いを起こしていたような男の子、飽きることなくずっと話し続けた女友達、嫌なことがあって学校に行くことがめんどくさかった日も通った通勤電車、あの頃抱えてたたくさんの葛藤…。
今となっては全てが過去のことだけれど、この短編を読むと、いろいろあった私の青春時代もこんなふうにきらきら輝いていた日常だったんだなあと、過去が煌めいて見えた。
それはつまり、自分の今の生活もきらきら輝く日常だということ。あの頃があったから今の自分がある。今自分のまわりにいる人たち、日常を形作ってくれているものたちに感謝の気持ちがわいた。
今日も私の日常を大切に生きよう。
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取り立てて特別なこともない、高校生活の短編集。
短編ではあるけれど、すべての作品がつながっているので
それぞれの人物の日常を楽しめます。
んー…、あまずっぱーーーーーーーーい!!
まさしく檸檬の日々ですね。
個人的には「ルパンとレモン」にキュンときた。
最後の作品では思いがけず涙ぐんでしまいました。
淡い恋をしたくなる、そんな一冊です。
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檸檬のころ=酸っぱい=青春ということなのだろう。良いタイトル。また今となっては携帯がない少し不便がある時代の物語になってしまっている点は現代人が読むからこそのこの小説の良さになっている。
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保健室通いで授業をサボりがちな同級生と唯一の友達である、周りからは釣り合わないと言われるほど美形な少女。周囲の同級生からはあまり良く思われていないし、サボりがちな同級生は同級生たちと反りが合わない。教師からはサボっている友達への伝言役となり、同級生からは関係を斬れと言われる間で揺れる思い。
とある地方の小さな都市の、高校を中心とした短編集。長編だと思っていたので、2本目で全く違う人が出てきて、バラバラの話かと思いきや、金子商店が出てきたところで同じ地域の同じ時系列の中の短編集。
1本目が結構心理的に難しい話だったので、その後もかと思ったら、その後はかなりあっさりとした話が続いていた。
中学から思いを寄せていた女の子が、野球部の自分のために選んでくれた応援曲『ルパン』を、あっさりと恋敵に取られてしまう。音楽が好きで文章もうまいと思い込んでいた少女が、同級生にお株を奪われてしまうなど、いろいろと思うようにならない話が続くが、どれも軽く嫌な気分になることはないだろう。
自分でもこういう話を書いていることもあり、展開を予想することができたり、なるほどねと頷く部分も多く、シンプルに楽しめる作品群であるが、一方で学生たちの名前が覚えられないのがなんだかなという感じ。加代子って誰だっけ?
まあ、軽く読めるし、幻冬舎にしては固有名詞がごまかされている部分は気にはならなかった。バンド名などはOKなのね。
Posted by ブクログ
青春小説。ありふれた日常が切り取られていて、自分の高校生活を重ね合わせながら読みました。「雪の降る町、春に散る花」が特に好きでした。実家・地元を離れ上京し、大事な人と離れ離れになる実感が湧いたときの痛み、心許なさが改めて思い起こされました。
Posted by ブクログ
甘酸っぱい、!けどやっぱ「檸檬」の通り酸っぱいが強い。
キラキラ輝いているというより、「淡くくすみながらも、照っている」という感じの綺麗な青春。ばかは出てこないで基本的に頭いい人ばっか出てくるから、大人っぽい青年少女たちの決意がまっすぐ語られている。
高校戻りたい…
Posted by ブクログ
巻末解説にもあったが「ふつう」の人たちにフォーカスするのが上手い。高校生(ティーン)の繊細さが丁寧に描かれている。
高校生の、大人や自分とタイプの違うクラスメイトをやや馬鹿にしたがるというか、「自分は違う!」って思いたがる時期の青さに誰しもがハッとするはず。
彼らの「ムテキ」とそれが萎んでしまう瞬間のオムニバス
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うまくいかなかった青春物語
うまくいかなかったり恥ずかしかったり
いつか薄くなっていく痛みとあんまり思い出したくないほろ苦い思い出
中高生時代がいい思い出しかない人いないんじゃないかな
でもそれも含めて
あの時しか味わえなかった気持ちを思い出させてくれた
戻れるなら戻りたいなと思った