あらすじ
保健室登校の女友達とのぎこちない友情。同級生と馴染めない、音楽ライター志望の偏屈な女子に突然訪れた恋。大好きな彼とさよならすることになっても、どうしても行きたかった、東京――。山と田んぼに囲まれた田舎の高校を舞台に、「あの頃」のかっこ悪くて、情けなくて、でもかけがえのない瞬間を切ないまでに瑞々しく綴る、傑作青春小説。
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Posted by ブクログ
北高を中心にした連作短編集。
主人公達は平凡などこにでもいる人たちだけど、
自分自身を底辺高校生という豊島ミホさんだからこそ、そんな人達のキラキラしてる場面を切り抜ける。
『タンポポのわたげみたいだね』から始まって
『雪の降る町、春に散る花』で終わる短編の順番も素敵だ。
痛いぐらい等身大の青春小説。
Posted by ブクログ
「痛いの」(ルパンとレモン)
どの文章を切り取ればいいのか分からないくらい、一文一文が刺さりすぎた「ルパンとレモン」。
西と秋元との甘酸っぱい日々は、いつしか過去のものとなり、今や互いにとって「痛い」ものに変わっていた。
この痛みと正面から向き合った西は、大好きな秋元が、既に両思いである友達の富蔵と、最高の形で付き合い始めるために、次の試合でホームランを打とうと心に決める。
うん、かっこいい。かっこいいぞ、西。
Posted by ブクログ
文自体は少し子供っぽく書かれていて読みやすかった。これも7個の短編が入っているけど、全部1つの「北高」というキーワードに関連している人たちで、先生だったり卒業生だったり生徒の視点で書かれていた。私は高校生になったらきっとこういう青春生活を送るものだと小学校の頃から思っていて、その思っていた理想にぴったりのようなお話。実際は全然そんなことなくてかけ離れてるけど、でも今の開智での高校生活は勿論すごく楽しい。特にお話についての感想は、1つ選ぶなら『レモンとルパン』が好き。
ずっと長年片思いしてきた相手に、やっとのやっとで想いを伝えた主人公に女の子が「痛いの。」の一言で片付けられてしまうとこが辛くてヒリヒリした。
本の中では複数の視点から同じ人のことを書いていて、同じ言動を見ても見る人によって思っていることや捉え方が違くて、当たり前なことだけれど現実世界ではやっぱり知ることができない域だから、本にされると分かりやすくて面白い。西くんから見た長年片想いしてきた大好きな人:秋元さんと、白田さんから見た憧れの人:秋元さんと、佐々木くんから見た彼女:秋元さん、そして本人視点の秋元さん はどれも別人かのように書かれていた。
Posted by ブクログ
新しくできた友達の本棚を見て、本がたくさんあったから本を借りたいとお願いしたら快よく頷いて選んでくれた。「人に本を貸すのって、告白みたいで緊張するな〜」と悩みながら選んでくれて、「かわいい話だよ」とお墨付きで教えてくれた。私は保健室登校になった卑屈であぶれものの女子で、本を貸してくれた友達は容姿端麗の美人だと思った。容姿についてみんながバカにしてると思うことは、私の容姿では通過儀礼のようなもので絶対に起こることだった。容姿端麗の美人は、そんなこと気にしなけりゃいいじゃんと思う。書いてあったことに、作者側と同じ感想を美人に対して抱いてるんだな私は、と思った。