豊島ミホのレビュー一覧
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「手を出すべきか?」と、悩んだ本です。女子小学生が主人公ですからね。50を過ぎたオヤジが読む本か・・・。
ふと気づけば、豊島さんは9冊目。文庫化された小説はほぼ網羅しているようです。若い女性が主人公の作品が多いのですが、その溌剌さより、どこか屈折した思いがあるのが、私の好みにあっているようです。
「誰にとっても小学校時代のアルバムになるように・・・」とあとがきに書かれていますが、まさしくその通りの作品です。主人公センの小学校1年から6年までの小さいけれど不思議と心の底に眠り続けているような出来事を描いた7つの短編。小品ですが豊島さんらしい(ちょっと鬱屈したような)感性が随所に現れて良いですね -
Posted by ブクログ
中学から始めたラッパを吹奏楽以外で試してみたいというのと、毎日昼休みにお姉さん達から勧誘されたこともあり、ジャズバンドクラブに入部、これが3年間の高校生活の思い出の大部分かもしれない。演奏もさることながら、良い意味でもそうでない意味でも高校生らしい人間関係が思い出される。
「底辺女子高生」では、想像していた高校生活と実際に過ごしていった高校生活を比較したり、振り返ったり、恨んだり、逃げ出したりした著者の人生の切り取りだ。なんとなくよくあるような気もするが、意外となめらかな文章の中に著者自身の想いが込められている。この滑らかさが本書を「面白い」と思わせているのではないか。
こんな女の子 -
Posted by ブクログ
豊島ミホに出会ったのは『檸檬のころ』。
なんて素敵な小説を書くんだろう、と、私にはど真ん中の本だった。
高校編だった『檸檬のころ』。
この『初恋素描帖』は、その中学編とも言える。
タイトル通り、初恋が集まった短編集。
中学校の生活よりも、初恋に重きを置いた作品。
一冊の本としては良く考えられていて、一つ一つのお話が短いので、もしかしたら、雑誌の連載になっていたのかもしれない。
“だから”なのか、『檸檬のころ』ほどの思い入れはない。
切なさも楽しさも何もかも、踏み込むほど書かれてはいないからだ。
そもそも、中学の頃なんてそんなものだったのかもしれない。
しかし、悪い作品ではない。
ただ -
Posted by ブクログ
豊島ミホは、なんというか…とにかく味があって良い。
読んだ後に切なさとか虚しさとか可笑しさが入り混じった感情が押し寄せてくる。
現代と戦争をテーマにした「ハニィ、空が灼けているよ。」は大変なことがが起きているのにその影響を何も考えずに暮らす人々や、急に後になって大勢の市民を巻き込んで重大な事実を発表する報道などが現在の状況と重なってすごくリアルな物語のように感じた。収録作品の中ではダントツで面白かった。
中学時代に好きだった人を思い続ける「誓いじゃないけど僕は思った」は、主人公のひねくれ具合やサークルのリア充っぷりへの「どーでもいい」感じが素敵。私も何人か恋人を作りつつ今もなお、中学時代に