あらすじ
世界は自分のために回ってるんじゃない、ことが、じんわりと身に滲みてきた大学時代……それでも、あたしたちは生きてゆく。凹み、泣き、ときに笑い、うっかり恋したりしながら。
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匿名
地味だけど、ドラマは濃い
出だしがあまりにむさ苦しい雰囲気なので、なかなか入り込みづらかった。でも何とか前に進んでみたら、嘘みたいに「読んでよかった」という感想に変化した。
この短編集に書かれているのは、どれも「あるある」「ありそう」と思えることばかり。と同時に、「こんな物語は見たことがない!」「よくこんな状況をすくい取って物語にすることができるなあ…」という感想も抱かされた。
ここに描かれているようなことは、あまりに繊細な揺れであるために、大抵の人間には感知するのが難しく、それゆえに今まで物語化されてこなかった風景なんじゃないかと思う。
だから、「ありそう」なのに「見たことがない」のだ。
私はこの本に救われた部分もあるし、痛いところを突かれた部分もあったし、反省しなきゃとか、もっと人を大切にしようとか、青春にまつわるあらゆる感情を動かされた。
地味な物語だと感じる人もいるかもしれないけど、私としては、充実した悲喜こもごもを味わえた。地味であることとドラマチックでないことはイコールではないのだと思った。
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帯は
『ダメダメの日常から、
彼方の光に向かって
手を伸ばす。
痛くてかっこ悪くて愛しい
「若さ」の物語。
世界は
あたしのために
回ってる
わけじゃない。
でも…』
本当に久しぶりに豊島さん読みました。
この本も積ん読で、10年ぐらい前に買った本。苦笑
当時は読むのがもったいなくて、そこから気づけば10年。
20代前半から気づけば30代になっていて、
当時の自分に会いに行くような気持ちで読み進めました。
最初は自分も遠くまで来ちゃった感じだと思って読んでましたが、読み進めていくうちに、今でも自分には大学時代に感じていた悶々が残ってるんだと気づかされました。
と言うか、実は変わってなくて、10年前も今も、私は私だったんだなあ、と。
みんな、承認欲求も変身願望も自意識も、自己否定も、自己肯定も、全部あって良い。
私の大学生活は、華やかなパリピでもなんでもなく、日陰で一人で本読んでるような時代を過ごしたので、豊島さんの表現とか言葉がいちいち刺さります。
豊島さん、また、本書いてほしいです。
好きです、豊島さんの本。
Posted by ブクログ
短編連作。
大学コンプレックスのせいか、登場人物にイマイチ感情移入できず。「でも、早稲田でしょ」って感じで。
ピンク映画は、監督が女優になったということ?
Posted by ブクログ
著者の出身、早稲田が舞台の作品
描写される場所がほぼ全部実在している
毎日すれ違うだけの、何万人もの他人の中で
自分が素になれる場所を見つけるってきっと誰しも難しい
何か見つけたいなぁって思って大学に来て
その理想と現実はまた別だけど
みんなそれぞれに何か考えながら生活してるのかなぁって
自分は上京組じゃないけれど、
それでも共感することいっぱいありました
Posted by ブクログ
この人は私だといつも思わせてくれる「豊島ミホ」
思春期な自意識過剰っぷり。
卑屈。
基本的に劣等感の塊。
社交性のなさ。
ただ鬱々と毎日は過ごせる。だって時は過ぎていくのだから。
どの主人公にも私の要素を感じて
そして惹かれつつも嫌悪する。
オムニバス形式の大学生の物語。
豊島ミホ素晴らしい。
大絶賛です。いや、素晴らしい。
Posted by ブクログ
「もやもや大学生に贈る」っちゅうかんじでした。短編。だけど、ひとつの大きな大学のなかでの話ですな。だからどっかしら繋がっている。
どれもこれも共感しながらよみすすめました。
飾っていない感じが生っぽくていいなあと思った。
いろんなタイプの人間がどっさりでてきて、こういう人大学にいるよなあ、と度々思えた。
すらすら読める本ですな。
所々にでてくる、おっと思えることばえらびもちょいちょいあって素敵。
それから作者のあとがきを読んで、また読もうと思える作品。「選ばれる」と「選ぶ」ね。なるほどなあ、と。
とにかく大学生のうちに読めて良かったと思えた。でも大学出てからのほうが案外、グッとくるものがあるかもね、な作品。
Posted by ブクログ
初めて手に取った作家さんだったけど、なんだろうか、意外と好き。
若干哀愁漂いつつも底の方に力強さみたいなものを感じた。
他の作品もぜひ読みたい。
Posted by ブクログ
6つの章にそれぞれ主人公的な学生を置いて、それぞれのキャラが微妙にかかわり合いながら、作者の言うところの「めくるめかない」学生生活を切々と描くちょっと風変わりな青春もの。
なんちゅうか、それぞれの章の主人公をつとめるキャラクターがまさに文字通り「青春のどん詰まり」で、周りのクラスメートと馴染めず疎外感を感じ、どうにもならないコンプレックスを強く抱いているという一癖も二癖もある連中で、なんとも自分の学生時代を思い出して切なくなるほど愛おしくなるような人物たちなんだなぁ。
あの、なんかみんな仲良さそうで、本当に楽しそうに見えて、楽しくないのは自分だけ?面白くなさそうな顔しているのは自分だけ?という恐怖感とも思えるような4年間のキャンパスライフを思い出すと、ぞくぞくするほど恐怖感と共にいろんな思い出が甦るねぇ。
作者の豊島ミホさん、現在は創作活動されていないようで、それはすごく残念。とりあえず既刊を全部読もうっと。
Posted by ブクログ
大学生活・・・本当はこんなんじゃなかった!と思ってる彼・彼女。抜け出すきっかけ見つけた人、まだ見つからない人、空回りの人、いろんな大学生活、人生。連作短編な感じ。
初めて読む作家さん。
それぞれ、もう少し物語を読みたかったので、★4つ
Posted by ブクログ
やっぱり豊島ミホ好き。日常の中にある絶望、自己嫌悪、投げやりな気持ちがぷんぷんで、もういやんなっちゃうよって感じなのに、やっぱりなんかがんばろ、私だって捨てたもんじゃない…かな…?って登場人物皆が希望を見つける。それぞれ自分らしく前を向き直す姿がなんだかやたらと清々しくて青春だなと感じてしまう。読んでてすごい早稲田を思い出した。スロープとか懐かしいな。
Posted by ブクログ
おもしろかった。
みんな、表面では悩みなんて無さそうに、楽しそうに繕ってるけどその実、必死に自分に言い聞かせりしている。
淡々としてるのにがむしゃらに出来たり、若いっていいー
Posted by ブクログ
やっぱり良かった!!
「センチメンタル病」になるほど共感…
裏に隠れている感情の描写に、自分の心まで
見透かされているような気分になった。
けど、どうにもできない無気力な時に読むとすごく
背中を押される感じがあるし、支えられる感じがする。
Posted by ブクログ
神田川デイズは都内のとある大学を舞台にした、主人公が次から次へと変わっていく、長編とも短編ともいいきれない「連作(あとがきの著者のコメントより)」です。
しかも、登場人物のほとんどが何かしらの「コンプレックス」を持っていて、それが絶妙で全体として「妙なリアリティがある青春小説」に仕上がっています。
例えば、最初の「見ろ、空は白む」に登場するいけてない3人組は、大学の明るい雰囲気に馴染めず、同類相憐れむのごとく、半分引篭もり生活を送っていますが、それではいけないと一念発起して「お笑いコンビ」を結成します。
また、「雨に飛び込め」に登場する準は、本当の自分と少し違う『クレバーな俺』を演じようとするも、そんなにうまく行かず自分の中で葛藤を繰り返していく。。。
などなど大学という枠を外したとしても自分の事として経験があったり、同じよな悩みを抱えた友人がいたりと柄にもなく「10代のころ」を思い出してしまいました(笑
設定面での上手さ、そしてネガティブな感情の読み取り方は素晴らしいと思いますが、それ以上に上手いなと感じたのはある人が憧れている人も内容は違っていても同じよな悩みを持っていることをしっかりと描いているところですね。
物語(連作ですが)を通じて、誰が一番ということを強調するのではなく、誰もがみな悩みながら成長している過程描かれているのが、リアリティをより強くさせていると思います。
この例えがいいかちょっと微妙ですけど、人間関係が縦関係の序列じゃなく、円(リング)のようになっている感じですね。
Posted by ブクログ
東京に出るだけで何かが変わると思い込み、その勘違いに気付いても自ら何かを始めるには臆病で、さらに鬱屈して行く若者。そうした青春の挫折をテーマにした短編集です。
まあ、豊島さんらしいテーマというか、こういう所は豊島さんの真骨頂なんでしょうね。
ごく普通の若者が感じる鬱屈や焦燥が見事に描かれます。年を経て読む身としては、そこに何とも言えない懐かしさ、甘酸っぱさのようなものを感じる物語です。
等身大の鬱屈や焦燥の物語ですが、将来に向けての(本当に小さな)一歩のようなものがあって、それがどちらかと言えば明るさを感じさせる物語にしています。
Posted by ブクログ
1話目読んだ時、「暗っ」って思った。大学生ってこんなだったかって。でも次々と読み進める内に(ちょっとオムニバス的に主人公が変わりながらも脇役で前の話の人が登場したりする)「そうだよな、現実ってこんなだよな」って思った。私は体育会系の部活やってたし彼氏も居たから試合に勝つこととか恋愛のこととか(当時にすれば最大の悩みごとだったけど)毎日どうでもいいことで悩んだり笑ったりして過ごしてきたけど、実際大学生活が華々しいかと言えばそんなことは全くなく、本当は地味で鬱屈したものなのである。そういうのって周りにはわからないものだろうけど。
この話に出てくる1人1人がどこにでも居てそうで同じようでありながらそれぞれなりにいろいろ考えている。みんな愛しい分身のようだ。
Posted by ブクログ
同じ大学に通う学生たちの連作短編集。
あるお話では天真爛漫に見えた彼女も別の章では悩みをかかえていたりする。そういうのもひっくるめて大学生っていいなと思える一冊。
Posted by ブクログ
一つの大学を舞台にさまざまな大学生の心情や日常を描いた作品を六編収録した連作短編集
ここで主人公となる大学生たちは、無気力だったり内気だったり、何かしたいことはあっても具体的にどうしていいかわからずその気持ちを持て余していたりと、いけてない大学生たち、というところがミソです。現役のいけてない方の大学生の自分が読むには、少々リアルすぎて切なくなってしまいましたが(苦笑)
でもこういう輝いてない大学生たちを取り上げてくれたことがまたうれしくもあります。なんだか自分のことを書かれているようで目をそらしたくなる箇所もあるのですが、そういう個所を読んで自分の傷に塩を塗られる感覚がまた楽しいというか……。自虐ネタを見て笑ってしまう、という感覚に近いものだと思います。
Posted by ブクログ
素人が上から目線であえて言いますが、
巧くなったなー 豊島ミホ。
と、そうゆう感じです。
純情エレジーをよんだあたりから感じてたけど、
一皮むけましたねこのお方。
今後が楽しみな作家さんです。
作品自体は、大学生活をおもいっきし謳歌した人にとっては
『あぁ、こんな人もいたんだー』という驚き、
大学生活、なーんもしなかったなーあぁ青春の無駄遣い、な人にとっては、
まざまざと当時の卑屈さとか窮屈さとか孤独とかその他もろもろ、
ありありと手に取るように舞い戻ってくるような作品です。
もちろん、わたしは後者だったので(笑)、
とても懐かしいような、不思議な気持ちになりました。
てかこの人の作品は最初は同族嫌悪的な感じで読むたびにちょっと嫌な気持ちになったけど、
最近は外側から自分を見ているようで面白い。
この人がうまくなったからだろうか、それともわたしが成長したのか。
作家と自分が似てるとか、なんぼのもんやねん、というかんじですが(笑)、
それでもこの人とは考え方とか価値観とかがとてつもなく似ている気がしてならない。
Posted by ブクログ
若いころ特有の閉塞感を打ち破りたい若者たちの物語。主人公たちは、全体の中では冴えない人間と見られ、また自らもそう思い込んでいるが、何かを変えたいと常に思う気持ちが、未来への可能性を感じる。
若いときってのは、それだけで特権だね。
Posted by ブクログ
学生時代、それは期限付きで、そこでやってきたこは卒業と同時にほぼリセットされ、そこから新入社員とか新社会人とかとして、また新しい時代を迎える。だからこそ、湧いてくるエネルギーがあったんじゃないかなと、社会人になった今、突拍子もないこと、自分の枠を越えてしまうことがなかなかできない状況で、この本を読みながら考えた。
印象に残ったのは
「生ぬるいフィルター」、「シラフで酔う」、「頑張ってる間は意外と楽」、「選ばれることより選ぶことが大事」etc
こういう短編ものは、それぞれの話につながりがあって、登場人物を違う角度から見られることが楽しいな、と思った。こういうのは好き。
入れ込まなかったからか、入れ込むことができなかったからなのか、評価は星三つ。もっと早く読んでいたら違っていたのかもしれない。最近は、心が少し堅くなってきたように感じる。冷めた心じゃなくて、醒めたこころを。