花村萬月のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
最高!何が最高って上手く説明ができないけれど、とにかく良い小説だった。
内容はそんなことあり得るか?ってくらい陳腐なのだが、人物描写が上手く、登場人物がイキイキしている。特にアキラ。最初は厄介な存在だなぁと思っていたのだが(その時点で物語に入り込み、主人公の視点になっていた)、途中からは、ヤクザでさえ手に余るアキラの凶暴さながらにも徳雄に心を許していく様や、実は物事をよく考えていて、突飛な行動の裏にある優しさとかがたまらなく良い。物語が終わりに近づくにつれ、アキラとはもう会えないのかと寂しくなったほどだ。
さて、物語は実直なおっさんである徳雄が『みんな、月でした。がまんの限界です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ初めて読んだ花村萬月でした。
ものすごく好き。時々思い出しては何度も読みなおす再生の物語。
オッサン、アキラ、由美。
この3人はそれぞれが全く不完全で、どちらかというとかなり残念な部類の人たちなのかもしれない。でもお互いを必要とし、必要とされ、まるで真円を描くかの様に見える。
どうやったらこんな人間関係を築けるんだろう。3人の、微妙なバランスの上に保たれてるその完全すぎる絆がうらやまし過ぎて、眩し過ぎて、憧れることすら不遜に感じる。
それと、由美のキャラクターが素晴らし過ぎ。
こんないい女になりたかった。
「哀れんで、許す」
負けるでもなく、媚びるでもなく、あきらめるでもなく。
自分と反するも -
Posted by ブクログ
良い意味でクレイジー。宗教的な題材ゆえ、うまく説明できないが、聖性と暴力という、対極に位置する要素を結節している点が巧みである。本作の舞台「王国」は宗教施設=聖域なのであるが、そこに漂うのは聖性ではなく暴力性である。また、主人公・瓏はタブーを犯し、神父にも神を愚弄するような質問をぶつけている。あきらかに「反宗教的」な人物ではあるが、しかし不思議なことに、どこか宗教的・哲学的な匂いもしている。暴力で宗教を描き、宗教で暴力を描いているのである。このようなアンビヴァレンツにうんと唸らされてしまった。また、巻末の対談も非常に興味深い。本文は人を選ぶ内容だと思うので、受けつけない場合はこちらだけでも読む
-
Posted by ブクログ
ネタバレ「エロス」と「バイオレンス」と言うところでしょうか。
ほかに花村萬月作品を読んだのが1つしかないのですが、それも同様に「エロス」と「バイオレンス」でした。
出てくる人物にまともな人がほとんどいないっていうのも面白いです。
ヤクザや芸能プロダクションのボス、近親相姦しているその妹、巨人症のオカマ、指を失ったギタリスト、ボスを篭絡しようとしてその妹にぼろぼろにされたシンガーソングライターと、比較的一般的なマネージャーの男っていうのが登場人物です。
脇でチンピラとか出てきますが、そもそも名前も出てこないのでモブです。
読み始めたところで主人公は沢村(ギタリスト)なのかなと思ったけど、芦原(