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家庭教師・鷲津兵輔が、生徒として引き受けることになった女子高生の倫子(りんこ)。彼女の父は、武闘派乾組(いぬいぐみ)組長・乾十郎だった。鷲津は、乾組という組織、十郎の「白か黒か」を徹底する生き様、そして倫子の凛とした存在に、次第に自分の所在を見いだしていく。博打、抗争、性愛……激流のなか、鷲津が手にしたものは──! 全てのひとが心に抱える深い闇を重厚に切なく描く傑作巨編!
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Posted by ブクログ
文庫本で1000ページを超えるボリュームだが、あっという間とは言えないが、じっくりとその世界観に浸りながら読んだ。読んでいる時は本当に面白く、終わりに近づくと、まだこのまま読んでいたい。この登場人物たちを見ていたいと願うようになった。 皆月もそうだが、この頃の花村萬月は本当に凄い。花村萬月とい...続きを読むうと、その物語を性と暴力と簡単に表現する人もいるが、決してそんな安直なものではないと、読めば絶対にわかるはず。確かにそういった描写はかなり多いが、それは、この登場人物がこの行動の後はこうなるだろうと、必然であると思えてくる。 それにしても、この作者は人間の根底にある狡さであったり、弱さであったりの心理描写が実に上手い。そして本当に魅力的な人物を描く。この物語の主人公は、おそらくは京都大を卒業し、大手出版社を退職した家庭教師の鷲津。おそらくというのは、このタイトルが表すのは鷲津の恋人の父親であるヤクザの乾ではないかと思うからだ。鷲津は乾や、乾の娘の倫子と出会い、今まで過ごしてきた道を大きく踏み外した人生を送っていくのだが、全然カッコつけたところがない。実に人間の脆さや狡さを素直に表現するというか、自分は狡く、情けない人間であると認めている。それはある意味潔い。まあ、私は鷲津ではなく乾の部下の中嶋であったり倫子の人間性に惚れたのだが。 こんなに長いレビューを書くつもりはなかったが、文句なしの作品だった。
えぐいシーンが強烈すぎて辛いんだけど、結局、泣かされた。小説で泣かされるのは滅多にないから、ものすっごい揺さぶられたんだなと思う。が、辛すぎる……。シーンごとに読み返したくなるところも沢山あるけど。中嶋、中嶋愛しいよーー!!!
かなり面白い ヤクザがよく出てくる話。 男の仁義がよく書かれていて、賭博のシーンも男なら熱くなって読んでしまう。 そして、中盤にかけてのヌルい恋愛小説が入ったと思ったら.... 終盤は衝撃の連続 全体的に生臭い。そこが痺れる
いやー凄い本でした 俺はこの人の事確かに読まず嫌いでした 途中ある人を想い出して涙が止まらなくなりました。
エロと暴力を織り交ぜながら、人間の虚無を描く花村萬月の真骨頂。これでもか、というくらいに人間の暗部をえぐってくる。
一冊の文庫なのにその分量は1000頁超。なんだこの厚さは、てな具合に外形からまず読者を引き込む。で、そんなヴォリュームなのに休日一日で一息に読ませてしまうようなエンターテイメント性。初期花村作品の良さが存分に味わえるお腹いっぱいな作品。
約1100ページ。 上下に分けろよとも思ったけど、 すごくおもしろくて読みやすくて、 一気に読んでしまった。 あいかわらず、 花村萬月さんの小説では、 あっさり人が死んだりする。 それもけっこう重要な人が。 最後の、 奈落の底に、ぱったぱった とスキップで落ちていく。 というところがなんかすごい...続きを読む好きです。
花村萬月は人間の本能と欲望のドロドロした部分を描かせるとピカ一の作家だと思っている。そんな中でも「ヤクザ」対「家庭教師」という図式を使ったこの作品は、その「ヤクザ」という小道具を非常に上手く使いより主張性の高い作品になっている。一つの高みに達した作品であると思っている。
1か0、白か黒、上か下、右か左、両極端な所で交わす物語。ヤクザと家庭教師が織り成す、分厚いストーリーです
いや~、長いっ!! 文庫本タイプで1000ページを超える厚さ。 本を持つ手が筋肉痛(笑)。 前半は花村萬月特有の様々な薀蓄話が飽きるぐらい続くんだけど、中盤から後半にかけてはスピード感たっぷりに様々な伏線が絡み合ってくる。 一気に読み進めた。 倫子を失って涙も出ないとつぶやいた鷲津のシーンは泣け...続きを読むた。 ~2009年12月~
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