花村萬月のレビュー一覧

  • 皆月

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    花村萬月の本は、暴走している。アウトサイダーの視点で、社会を破壊するような迫力がある。
    この皆月は、物語として妙な雰囲気が漂っている。この主人公の諏訪徳雄は橋の建築設計士で、コンピュータ・オタクである。いわゆる真っ当なかたぎの人だ。その妻沙夜子は妙に影が薄い。沙夜子がコツコツ貯めた1千万円の貯金とともに蒸発してしまった。
     主婦がつまらなくなったのか。お金に目がくらんだのか。よくわからないが離れていく。
    理由がわからないというのは、作者自身が意図したものだろう。しかし、なぜ追いかけねばならないのだろう。
     花村萬月は、セックスの場面の描写がうまいのである。官能小説の描写ではなく文学的なのだ。

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    2018年03月10日
  • 皆月

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    ネタバレ

    リズムが良く最後まで一気に読み切れた。
    終盤のテンポは特に秀逸で一気に読み進めた。
    少し話は反れるが213ページ、我孫子の発言は本当に頷かされた。

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    2012年07月18日
  • ブエナ・ビスタ 王国記 II

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    宗教を否定しながら哲学的に生きる2人の主人公。

    極端に性や労働におぼれるように耽溺し、自分の思うままに暴力も受け入れる。

    そんな姿が極端に人間的で逆に宗教的だったりします。。

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    2012年07月07日
  • 皆月

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    先に『ゲルマニウムの夜』を読んでいたので、アブノーマルなイメージが強かったが、『皆月』は爽やかな青春小説のような一面があった。

    読後も依然として登場人物が頭の中で生きている。他者を思い浮かべる上で、その人が今現在、生きているか/いないかで相当な違いがあり、その人が生きているということは、その人の未来を想像できるということ。
    『皆月』の主要三人物は未来に生きている。

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    2012年06月12日
  • 武蔵(二)

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    ネタバレ

    花村版、宮本武蔵の第二巻目。

    定番の吉川版やバガボンドとはまた違う面白さが出てきました。
    エロ妄想には時間が割かれなくなり、中盤以降は道林坊との問答、小次郎の描写が物語として面白くさせています。
    まだまだ、13歳の弁之助ですが、かなり熟成しかけています。
    これは続巻もかなり期待できそうです。

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    2012年06月03日
  • ゴッド・ブレイス物語

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    刹那的ながらも、しっかり成長していく登場人物たちの姿が格好いいです。

    今を必死に生きてる感じがキラキラしていて応援したい気分になります。

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    2012年05月04日
  • 私の庭 蝦夷地篇(上)

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    やはり男臭くて大好き。

    完全にごん様の魅力にやられしまっている。

    そして…
    どうなるんだ?と期待大!

    ストレートに入ってくる。
    下巻も期待だ。

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    2012年03月28日
  • 少年曲馬団(上)

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    少年の成長の過程を描いた小説だが、主人公の少年がイキイキとかかれていてかなり、微笑ましかった。

    現代の少年からは想像もできないタフな少年です。

    ネットもゲームもない時代に逞しく生きる少年の姿に惚れ惚れしました。

    続きが、楽しみです!

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    2012年02月26日
  • 私の庭 浅草篇(上)

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    無骨な文。

    ただ単純に好きです。
    文字からのエネルギーを感じる。

    だからいいんだ。


    どう展開されるのか気になる。

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    2011年12月16日
  • 皆月

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    先に、映画を観ていた。映画がかなり印象的だった。

    小説は、映画とは多少異なっていた。最後のシーンとか。

    花村萬月の作品は、好みはわかれると思われるけど、面白い。

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    2011年11月18日
  • 裂

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    ネタバレ

    随分、久し振りの更新--;

    ある方から、
    仮にもモノカキを目指す者であれば読んでおいてきっと損はない、
    との勧めを受けて一気読みした。

    端的なあらすじとしては、才能のある作家未満の物書き志望者が、編集者とねんごろになった末に、めでたく作家としてデビューするまでを、その女性編集者の視点から描いた、虚実併せ持った物語である。

    実際今月末に応募〆切を迎える「群像新人文学賞」の選考過程、新人賞の舞台裏、出版業界の空気、編集者の仕事ぶりや思い、作家の生態、プロとアマチュアを隔てるものの正体、表現という行為及び才能についての考察等々、少々耳の痛い話も含め、示唆に富む内容が目白押し。

    これまでに散々

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    2011年10月17日
  • ワルツ(中)

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    終戦直後の東京、ヤクザの世界を描きながらも、壮大な人間模様を現した現実味のある作品。花村萬月の世界を又も感じさせ、引きずりこまれてしまった。

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    2011年10月16日
  • 皆月

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    『だが、納得したい。できうることなら、心の底からあきらめたい…だから…』

    『高価な物など求めてはいなかったと思う。欲しいのは気持ちだ。それが夫婦というものではないか。』

    『セックスは、終わる。私が射精をすることによって完結してしまう。しかし、こうしてふたりで支えあって歩いているぶんには、当分持続するだろう。』

    『私を必要としている人間がいる。これほどの幸福が他にあるだろうか。』

    『法律とかは関係ないの。なにをやろうとあたしの勝手よ。基本的にそう思ってるもん。』

    『人間の性は、性欲を発散するためでもなく、子孫を残すためのものでもない。性の根元にあるのは、孤独だ。この世界にたった独りでい

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    2011年09月20日
  • 自由に至る旅 ――オートバイの魅力・野宿の愉しみ

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    作者の花村さんはすこしやんちゃすぎるバイク乗りなので、おばさんライダーの私にはあまり参考にはならなかったが、バイクで旅をするのは、いろいろなしがらみから離れ、自由になれるというところには共感できた。
    時刻表や宿泊地に縛られることなく、道があれば進み、興味があれば立ち止まり、夜になれば野宿する。
    そこには新しい自分の発見や出会いがあり、また、一生忘れられない景色を見ることができる。
    雨で体が半分地面にのめり込んだまま眠り続けるなんてことは私には到底できないしやりたくもないのだが、人間はどんな環境にでも慣れることができるそうである。
    これからの人生で、もう駄目だ、というような状況に会ったときに、こ

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    2011年10月21日
  • ゴッド・ブレイス物語

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    『ベッシー・スミス。自動車事故だ。血がどんどん流れてるけど、医者は誰も彼女を診ようとしなかった ー 色が黒いからさ。ベッシーは、出血多量で死んだんだ。格好いいことを言わせてもらえば、ベッシーの血の色は、何色だったんだろうな?』

    『感じるってさ、いいことか、わるいことかわからないね』

    『体は立ち直ってるんだ。いいかげん、心もな』

    『そォ。おまえ、最近、香水つけすぎじゃない?』
    『欲求不満なのよ』
    『やらせもしねえくせして、そんなセリフを吐くなよ』

    『文句を言いたいなら、ヨシタケくんに直接言いなよ。あたしからヨシタケくんに伝わることを期待してるんじゃ迷惑だよ』

    『どォ? 京都は』
    『ひか

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    2011年07月03日
  • 俺のロック・ステディ

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    音楽への愛情が感じられる。
    文章にリズムがあって読みやすい。

    マイルスデイビスは3枚組のベスト版を借りただけになっていたけど、これを読んでちゃんと聴いてみたいと思った。あと今までほぼノータッチだったジャズやブルースとかにも興味が沸いた。

    レ二ークラビッツとかについても書かれてたりしたのが、ちょっと意外。(自分は30代にして最近の音楽はあまり受け付けなくなっているので)


    まだまだネタはありそうなので、続編とか書いて欲しいと思ってしまう。

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    2011年06月29日
  • 幸荘物語

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    冴えない小説家志望の童貞が、女性を知り、女性にはまって、精神的に突き抜ける様を描いた小説です。
    著者の作品の多くは、性と暴力に満ち溢れていて、非情に刺激的です。
    が、この作品ではその描写が大人しめで、著者の作品にはまった人間にはやや物足りません。
    花村萬月の衝撃を感じるために、「ゲルマニウムの夜」や「鬱」を読むことをオススメします。
    衝撃的過ぎてついていけない場合には戻って本書から入ってみてください。

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    2011年04月17日
  • 裂

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    「文芸出版界の内実を曝す問題作」と帯のコピーにあり、興味を惹かれ、購入して即読んだ。
    「群像」編集部の女性編集者を主人公に、作家志望の男達や作者花村萬月自身が登場し、文芸誌の新人賞の裏事情などが語られる。その点は興味深かったが、実際に作品を貫くモチーフのほとんどは「セックス」「ドラッグ」「暴力」で、女の読者であるわたしには耐え難いものがあった。
    だが、それだけ嫌悪感を感じさせながらも、この小説は途中で読むのをやめさせない力がある。
    文中、花村萬月が、「感性的に嫌悪を抱いても、なおかつ惹きよせられてしまうもの」、その「センス」を持つものが小説であり小説家であると語る。確かにこの作品にはその「セン

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    2011年03月26日
  • 二進法の犬

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    1か0、白か黒、上か下、右か左、両極端な所で交わす物語。ヤクザと家庭教師が織り成す、分厚いストーリーです

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    2010年12月31日
  • 真夜中の犬

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    萬月の世界に出てくる人物像は、リアルな世界だと決して交わらないであろう(出来れば避けて通りたいぐらい)はずなのに、何故だろう?最後には完全に感情移入されてしまう。主人公の痛みがまるで自分の事の様につらくなってしまうのです。

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    2010年11月06日