辻堂魁のレビュー一覧
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購入済み
作者の著作の中で出色
作者の著作の殆どを読んでいるが このシリーズは出色の出来ではないか。
この本と続巻のニ巻だけで その後がないのは 実に惜しい。
他のシリーズもの同様 今後 おくれ髮 の続巻の発行を おおいに期待するものである。 -
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内容(ブックデータベースより)
十二年前の無念を晴らす。
アイヌの心を持つ武士、江戸へ!
歳月と大海を隔ててなお拭えぬ、一族の悔恨とは。
北の尋ね人を求めて、市兵衛は海をわたる。
西蝦夷地アイヌの集落に、江戸の武士がいるという。元船手組同心の瀬田宗右衛門は、その蝦夷の武士が十二年前の刃傷事件で義絶した、長男の徹だと確信する。この夏、跡を継いだ次男の明が成敗され、瀬田家は改易の危機にある。二つの事件に過去の因縁を疑う宗右衛門は、唐木市兵衛に徹の捜索を頼む。だが海路をゆく市兵衛らを、鉄砲を構える〝おろしゃ〟の賊が阻む。
令和7年12月5日~10日 -
Posted by ブクログ
夜叉萬シリーズのファンで、その他の辻堂魁の本『吟味方与力人情控』なども好きなので、この新装版を読んでみた。
正直なところ導入部からしばらくは、これを選んで失敗だったかと思った。
かつては隠密仕事をしていた九十九九十郎は理由あって今は世間の揉め事をおさめることを生業としている。
最初は皿を割ったの割らないのといった揉め事が中心で、このまま話が終わったらどうしようかと思った。
ところが九十九の家に、突然女の子が働かせてくださいと出てくるあたりから面白くなる。
もう、ここからは一気に読みたくなった。 この七という女の子が家の事はなんでもこなし、子供なのに機転が利く。
もちろん、同時進行で起こる事 -
Posted by ブクログ
ネタバレ前巻の感想で「大きな陰謀や事件と、市兵衛の緊迫した剣の場面が好きな読者には、ちょっと物足りないかも」と言うコメントをしたのだが、今回は、いつもの展開や剣の場面が戻ってきたような。
それにしても、早菜と市兵衛の間には、微妙な空気が流れている。これはもしや、と思ってしまいつつ、読み進めていくと、終盤、市兵衛が≪空蝉≫に気づく場面がある。
『市兵衛は自分の心が何かに躓いたような気がして~(略)自分の心の奥を探るかのように見入ったのだった。だが、市兵衛はすぐにそれを止めた。それが何かはわからなかったが、わからぬならわからぬままでよいのだと~』
なんだか、自分の淡い気持ちに気づきかけたというよりは、寂