辻堂魁のレビュー一覧
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旗本の家柄ながら元服後すぐに出奔。大坂で商売と算術を、奈良の興福寺で剣術を学び、江戸に戻って臨時雇いの用人稼業で生計を立てる唐木市兵衛の活躍を描く、時代サスペンス。シリーズ27作目。第弐部7巻は市兵衛たちが大坂から江戸に戻ってまもなくのできごと。
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川越藩主・松平大和守が国替えを画策したことに端を発する御家騒動に絡み、市兵衛と矢藤太が活躍する話です。
本作は、松平大和守家の国替えという史実を扱ったことで、物語が窮屈になってしまったのか、全体的に地味な展開でした。特に、市兵衛の殺陣のシーンは、敵が大した腕前でないこともあって控えめです。
ただ、良一郎 -
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この夏、ゆるく沸かしたふろ水にハマっている。汗の噴出した熱い肌に気持ちいいから。
このシリーズもそんな風に読み進んでいる。
背景を江戸時代にとっての平同心龍平の家庭生活は穏やかで平和だ。そして現代でもよく起こるような事件を担当する。例えば、娘が無謀な結婚に走った困惑する親とか、家庭内暴力に悩む妻の悩みや、詐欺にあって老夫婦を自殺に追い込む事件。
そう、主人公の解決はクールではあるけれども、いったん家庭にかえればホッとするという仕掛け。ところが『父子の峠』は遂に自家に災難が、息子が誘拐されてしまうのだ。懊悩と憤怒は想像通り、解決するのだが。
主人公龍平が得意の剣劇で決着をつけるその情景は凄 -
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ネタバレ「風の市兵衛 弐」(第二期)第九弾。(通算・二十九作目)
越後津坂藩を探っていた、返弥陀ノ介が瀕死の重傷を負ってしまいます。弥陀ノ介の上司で己の兄でもある公儀十人目付筆頭・片岡信正から弥陀ノ介の探索の後を託された市兵衛さん。
10年まえに殺されたとされる、津坂藩主の世継ぎの男子が江戸のどこかに匿われているとの事ですが・・。
久々に登場した弥陀ノ介が、いきなり瀕死の大怪我を負ってしまい、心配しました。
そして、毎回ながら安心安定の働きぶりを見せてくれる市兵衛さん。今回は町方の下っ引き達とも連携が取れていましたね。
町方といえば、渋井さんの息子の良一郎の、頼れる好青年っぷりが清々しくて、是非小春 -
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「日暮し同心始末帖」を1~5巻と読み進んでいる。
「逃れ道」(5)のあらすじは
日暮龍平の愛息俊太郎が、茶店で無頼にいじめられているのを救ってくれたお篠には、秘密めいたものが漂っていた。お篠にお礼を親子でして近しくなったものの、平同心で雑用係の龍平が、押し付けられた事件捜査にもかかわりがありそうな気配。絵師の夫と幸せに暮らしたい彼女の行く先には何が待ち受けているのか・・・。
江戸情緒ならぬ現代にも通じる、ねじれにねじれた世の中の事情。そして、やがてスーパー龍平がばっさ、ばっさ(小野派一刀流)と悪退治。
というパターンが健在なシリーズだけど、
「天地の蛍」(4)の司馬中也と母の親子関係、 -
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旗本の家柄ながら元服後すぐに出奔。大坂で商売と算術を、奈良の興福寺で剣術を学び、江戸に戻って臨時雇いの用人稼業で生計を立てる唐木市兵衛の活躍を描く、時代サスペンス。大坂編第3部。
シリーズ26作目。第弐部6巻。
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大坂3部作のエピローグ的な位置づけだからか、表看板となる事件はちっぽけで市兵衛にとっては明らかに役不足でした。案の定すぐ片が付いてしまいました。
ただ秘する花のごとき剣戟シーンである「彦根の剣豪一族」との闘争は目を引く内容でした。
卑怯の誹りを受けようとも手勢を連れて市兵衛を取り囲み、矢の雨を降らせてでも討ち取らんという武門の執念を見せる -
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旗本の家柄ながら元服後すぐに出奔。大坂で商売と算術を、奈良の興福寺で剣術を学び、江戸に戻って臨時雇いの用人稼業で生計を立てる唐木市兵衛の活躍を描く、時代サスペンス。
シリーズ24作目。第弐部の4作目。
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壱部の終わりから市兵衛の武芸が神懸かり的になりすぎたので、しばらく読むのを控えていました。だから読むのはひさびさです。
本作の市兵衛は、武芸の腕が初期の頃ぐらいです。その代わり、算盤侍らしい推理力が際立つミステリー調で、読み応えがありました。
内容は大坂編の序章なのでやむを得ないところはあるでしょうが、少しトントン拍子に事が運び過ぎた感がある点が -
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優れた、読み継がれる時代小説は、その書かれた時代にシンクロ・フィットすると思っています。同時代に影響された思想や、ありたい世の中への希望や、そこはかとない懐かしみを盛り合わせて創造するのです。
山本周五郎の生真面目な剛直とまで言える精神(戦後復興期)、池波正太郎の洒脱さにくるまれた暖かい人間観察(高度経済成長期)、藤沢周平の哀愁こもった深い情緒(安定成長期)が今までのわたしをとらえました。
辻堂魁さんはまた、異なった方向から時代小説に切り取ってくれます。
北町奉行所平同心日暮さんの「事件簿」ではないのです。「始末帖」なのです。でてくる事件はありふれています、けれども事件を単に解決す -
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「風の市兵衛 弐」(第二期)第八弾。(通算・二十八作目)
江戸中を謎の流行風邪が襲います(何となくコロナを連想させます)。その流行風邪に罹って重篤になっている、金貸しを営む旗本からの依頼で、その旗本の息子と共に借金の取り立ての手伝いをすることになった市兵衛さん。
なかでも百両近い貸付があるのは、大身旗本・広川助右衛門。ギャンブル依存症の広川を利用しようとする悪党たちに例によって襲われる市兵衛さんですが、いつものように難なく撃退する安定っぷりを見せてくれます。
一方、“鬼しぶ”こと、同心の渋井鬼三次の息子・良一郎は見習いとして北町奉行所に出仕中ですが、面倒な同輩に無理矢理連れていかれた賭場での乱 -
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風の市兵衛シリーズは好きで、全作読んでいます。
分かりやすい勧善懲悪、と言う感じもしますが、
登場人物のキャラクターが魅力的で、読後感も良く、楽な気持ちで楽しめて良いです。
特に、市兵衛の強くて賢く、冷静でクールな感じがするけど実は温かくて優しい人柄に惹かれます。
今回は、少し物足りない印象。
江戸は流行り風邪が猛威を振るい、次々に人が亡くなっています。その対応に追われている柳井宗秀の紹介で、
密かに金貸しをしている旗本に雇われ、借金の回収をする市兵衛・北町奉行所に見習仲間として出仕し始めた、鬼しぶの息子良一郎が巻き込まれる賭場での揉め事で出会う龍喬・西国の盗品を扱う闇稼業を営む古物商の傳九 -
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読む本を決める動機はさまざま。これは家人のおすすめ。本文もさることながら、解説がいいと言う。
初、辻堂魁だが、なるほど人気TVドラマ『風の市兵衛』作者、その「人情物」もなかなかのよさです。
回し役は自身番に書き役で勤めている戯作作家の卵「可一」、江戸時代の花川戸町の人間模様オムニバスです。
帯の惹句「人の本心は誰にも分らない。だから思い遣る・・・。」が胸にささるのですが、解説の
「・・・いや、人は誰しも、他人にはわからない思いを抱えている。明るい人も穏やかな人も、大人も子どもも、身分のある人も庶民も、武士も町民も、悪人ですら、何かしらの思いを抱えて今日を生きている。そして互いに、 -
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赤穂浪士事件のもう一つ顛末
こんな「赤穂浪士討ち入り事件」の顛末があるのかと感じさせられた作品である。
主人公は一戸舞国包󠄃で、彼の縁筋から人の始末を依頼される。これは前作と同じ流れである。
討ち入り事件で犯した二人の不忠者がいる。一人は吉良方の家臣、山陰甚左。もう一人は赤穂浪士の河井太助である。彼を探して郷里赤穂から江戸に来た内儀の由良との悲しく切ない物語だ。
しかし、この物語を読んでいると、一見ありそうに無いと考えてしまうのだが、いや有るかもしれないと思わさせる不思議な物語である。そもそも主人公の国包󠄃は市中の刀鍛冶であり、その人がなぜ人の始末を依頼されなければならないのかが、どうしても腑に落ちない。赤穂浪士の