辻堂魁のレビュー一覧

  • 風立ちぬ(下)風の市兵衛[7]

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    あまり書くとネタバレになるので詳細は避けるが、古着屋の番頭、祈禱師一派だけでなく、市兵衛が修行した興福寺時代の兄弟子との因縁も最後に決着を見る。
    上下巻にわたる長い物語だが、展開が早く冗長になっていない。前作の天空の鷹が今までの一番と書いたが、本作はさらに上を行った。

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    2022年06月18日
  • 風立ちぬ(上)風の市兵衛[6]

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    シチュエーションの広がりもあり、円熟感も出てきたような。
    本作では、今の文京区音羽にあった色茶屋の一人息子が著名な算勘学校の入試に挑むにあたり市兵衛がやとわれ家庭教師をすることに。この息子、藤蔵には腹違いだが弟思い家族思いの姉、歌がおり芸子として店の座敷にも出ているが、あまりの美貌に桜井長太夫という御持筒組頭の旗本につきまとわれる。一方、桜井家に出入りする古着屋の番頭、祈祷師一味などが暗躍し大きな事件が起ころうとしていた。
    この作品の舞台となった江戸川橋あたりは、自分のジョギングコースでもあり、よく知る地名も出てきて余計に親しみがわいたかも。

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    2022年06月18日
  • 天空の鷹 風の市兵衛[5]

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    第5弾、ますます面白くなってきた。ここまで読んだ中の一番かも。本作では、藩政を正そうとした藩士が謀殺されるが老父には病死と報告が行く。納得がいかない老いた父は遺児である幼い娘を伴って江戸に出てきて息子が父に託した藩の勘定書にたどりつく。剣士であるは数字には明るくない老父は、市兵衛を雇い中身を解読していく。最後の剣戟は、命がいくつあっても足りないのではと思わせる過剰な派手さがあるが、話の筋とキャラクターがよい。

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    2022年06月18日
  • 月夜行 風の市兵衛[4]

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    ハマって第四弾。出石藩の跡目相続の渦中に巻き込まれた姫君が等々力村の寺に身を寄せるが、その身辺警護に市兵衛がやとわれる。若侍のなりをして身分を隠しているがその美貌は隠せない。この姫様の村人を想う正義感が逆に村人に迷惑をかける結果になったり対立派に所在を掴まれる結果になったりするが、姫様の人々を想う心は通じ皆に愛され支援を受ける。姫様とは知らず身辺の世話をする小坊主の存在もいい。本編でもほのかなロマンスの香りを残しつつ。

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    2022年06月18日
  • 帰り船 風の市兵衛[3]

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    雷神が面白かったので、すぐ本作を読んだ。引き続き面白い。時代劇そのもの、紆余曲折はあっても勧善懲悪で終わり読後感がいい。単純なのだけどこりゃあハマるかな。”akahira"さんのコメントの中に、「浅見光彦江戸編」と書かれていたが、まさに言い得て妙。
    酢醤油問屋の番頭一派が若旦那をないがしろにし、古川藩の側用人と結託し悪事を働く。若旦那の内儀は可愛い双子の姉妹を残し亡くなり、内儀の姉が代わりに面倒を見ながら若旦那に代わって帳簿の管理もしようとしているのだが腑に落ちないことが多く市兵衛がやとわれて登場する。果敢に問題に挑んでいく内儀の姉がとても美しく描かれており、まさに浅見光彦に登場する

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    2022年06月18日
  • 修羅の契り 風の市兵衛 弐[22]

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    大久保家で市兵衛が見せた渡り用人としてやるべきことは全うするものの、行き過ぎた行動は慎む加減が絶妙。
    また子供たちに対する優しさや、近所の人から普通のお侍とはどこか違うと言われている様子、多見蔵との信念を賭けた真剣勝負など、これぞ風の市兵衛といった内容でした。

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    2022年05月28日
  • 斬雪 風の市兵衛 弐[30]

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    久しぶりに市兵衛に会えて良かった。そうか、こういう風に話を持っていくんだったって思い出しながら楽しみながら読み進めました。
    満足しました。

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    2022年04月27日
  • 曉天の志 風の市兵衛 弐[21]

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    序盤は中途半端な用人仕事の話で、これがどう発展するのかと思っていたら、全く本筋に関係なくて拍子抜けした。喜楽亭のおやじもいきなり帰らぬ人になってしまっていたし。。
    本筋は市兵衛の血筋に関わる内容で、これは面白くなりそう。

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    2022年04月17日
  • 斬雪 風の市兵衛 弐[30]

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     旗本の家柄ながら元服後すぐに出奔。大坂で商売と算術を、奈良の興福寺で剣術を学び、江戸に戻って臨時雇いの用人稼業で生計を立てる唐木市兵衛の活躍を描く、時代サスペンス。越後津坂藩騒動後編。
     シリーズ29作目。第弐部10巻。
             ◇
     藩財政を操作し私服を肥やしていた江戸家老亡き後も、その不正システムの継続を図る津坂藩の賊臣たち。
     告発しようとして謀殺された老臣の田津民部は、藩政浄化を進める新江戸家老の戸田浅右衛門の親友だった。失踪したとされる民部の捜索を依頼された市兵衛にも敵の魔の手が伸びる。

          * * * * *

     前回に続き、大きな陰謀渦巻く設定。出だしからも

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    2022年04月02日
  • 架け橋 風の市兵衛[20]

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    シリーズ前半では仕事の度に素敵な女性から想いを寄せられてもつれない対応をしていた市兵衛が、こんな簡単に結婚の可能性を受け入れるとは驚いた。
    兄の立場を慮ってポーズだけだったのかな。
    一方で弥陀ノ介と青さんが遂に夫婦になったのはとても良かった。過去の因縁に囚われながらも少しずつ明るさを見せ始めた青さんの変化が可愛い。怖くて頼もしい奥さんになりそう。

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    2022年03月25日
  • うつけ者の値打ち 風の市兵衛[17]

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    今回は少し珍しい展開でした。
    市兵衛というより岡場所の用心棒である三十郎が主役であり、彼の目線での記述にこそ本作の重要な部分が含まれている。
    もちろん市兵衛も飯盛屋同士の揉め事を仲裁したり、兄の威光を積極的に利用して大名家に対して交渉事を押し通したりするなど、最久しく見ていない血生臭くない活躍振りも良かったです。
    そして何より喜楽亭の常連達の仲良し振りが素敵です。このメンバーの関係はどんどん深く温かいものになってきました。

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    2022年01月20日
  • 不義 刃鉄の人

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     『刃鉄の人』シリーズ2作目。
     元武士で刀鍛冶を営む一戸前国包の刺客仕事を描く。
              ◇
     赤穂浪士討ち入り事件に翻弄された2人の武士。浪士を脱盟する川井太助と、吉良邸警護から脱走する山陰甚左。正反対の立場で不義の行動を取った2人。
     その人生に区切りをつけさせる役割を敢えて引き受けた国包だったが……。

          * * * * *

     難しい筋立てだったけれど、無理なく見事に描けていたと思います。卓越した人間力を持つ国包という人物の魅力が十分に滲み出てきた2作目でした。

     また、プロローグで詳細に描かれる赤穂浪士討ち入り事件についても詳細に描かれていて、実に興味深く読

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    2021年12月05日
  • 秋しぐれ 風の市兵衛[16]

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    前半はようやく算盤侍の出番かと思ってワクワクしていたら、結局は最初だけだった。
    でも、鬼一の引退相撲から埋葬までは感動的だったし、久しぶりに血生臭くない作品だったので良しとするか。

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    2021年11月23日
  • 斬雪 風の市兵衛 弐[30]

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    前巻で決着がついたかと思った津坂藩。世継ぎ問題を中心になって解決した、戸田浅右衛門が江戸家老となり財政再建に力をそそぐ中で、浅右衛門の幼馴染でもある、勘定衆の田津民部の失踪事件が起こる。この失踪事件を探っていくと、またもや、聖願派が関わっていることが見えてくる。

    前巻で、どうなるのかな?と思わせた、市兵衛の結婚問題については、あまり進展がなく、今後の方向性もあまり示されない感じだった。市兵衛が結婚しない間は、これまで通り、市兵衛の活躍が見られるのだから、嬉しい反面、あれ?と言う。
    その代わり、今回は、若い良一郎、小春の関係に進展の兆しが。いいね、いいね。2人には早く幸せになってもらいたい。

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    2021年11月08日
  • 夕影 風の市兵衛[15]

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    今回の市兵衛の役回りは、成り行きでやくざ同士の果し合いの軍師兼用心棒。
    過去の合戦から戦略を立てるところに少しだけ渡り用人らしさがあったとはいえ、怪しい人と接する時の慇懃かつ太々しい様子や乱闘での鬼神の活躍振りは、爽やかな風から離れていきそうで少し残念な気もする。
    弥陀ノ介の純情が切なかったので、青さんがまたいつか現れるのを期待します。

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    2021年11月05日
  • 科野秘帖 風の市兵衛[14]

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    腕も人柄も申し分ない宗秀先生がまさかの仇討ちの対象になり、藩医だったはずの彼が江戸で町医者をやっている理由も明らかになる。
    頼まれずとも宗秀先生に対する信頼と友情から背景を探る市兵衛さんの行動が何とも彼らしい。
    単なるサイドストーリーと思っていた鬼渋親子の問題も、いつの間にか真太郎がキチンと物語を締める役割を果たしていました。
    理緒さんがOKするはずはないと思うけれど、真っ直ぐな少年の気持ちにどう返事をしたのか気になります。

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    2021年10月15日
  • 天満橋まで 風の市兵衛 弐[25]

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     旗本の家柄ながら元服後すぐに出奔。大坂で商売と算術を、奈良の興福寺で剣術を学び、江戸に戻って臨時雇いの用人稼業で生計を立てる唐木市兵衛の活躍を描く、時代サスペンス。大坂編第2弾。
     シリーズ25作目。第弐部5巻。
     
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     今回も陰謀の規模は中程度でした。市兵衛にとっては兄のバックアップが望めない状況なので妥当な設定だと思います。

     殺陣のシーンも市兵衛の腕前は達人のレベルで、一時の超人レベルでないというところが好ましい。何より市兵衛の卓越した推理力がわかる展開で、ミステリーとしても楽しめました。

     「唐木市兵衛には無理がない」
     「風は自在に吹く」

     短

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    2021年09月17日
  • 春雷抄 風の市兵衛[11]

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    今回の事実上の依頼主は代官所の手代の妻で、敵は密造酒で儲けを企む連合軍。
    酒は原料が米であり、この時代の米は幕府にとってある意味ではお金より大事な為政の基盤なので、ここに手を出すのは旨味が大きい分だけリスクも特大であり、悪者の単なる小者ではない。
    農業や酒造りに加えて流通の視点からいろんな計算をするところなど、市兵衛の経験が上手く組み合わさって活きていました。

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    2021年08月29日
  • 風塵(上)風の市兵衛[9]

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    ほぼほぼ話の進行は大体同じなんだけど、いい。
    今回は蝦夷が絡み、ロシアが絡んでと壮大な話になるのか....。
    このあたりは実際に読んでからのお楽しみ。

    起承転結の「起承」の部分のお話なので、
    お楽しみは後半へ。

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    2021年07月31日
  • 風塵(下)風の市兵衛[10]

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    やっぱりこういう結末になったか。
    とても悲しい物語でした。
    真っ直ぐであるから故に、千人同心側の何人かが市兵衛の清々しい生き方にすぐに気がついたのだろう。

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    2021年07月22日