辻堂魁のレビュー一覧
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シチュエーションの広がりもあり、円熟感も出てきたような。
本作では、今の文京区音羽にあった色茶屋の一人息子が著名な算勘学校の入試に挑むにあたり市兵衛がやとわれ家庭教師をすることに。この息子、藤蔵には腹違いだが弟思い家族思いの姉、歌がおり芸子として店の座敷にも出ているが、あまりの美貌に桜井長太夫という御持筒組頭の旗本につきまとわれる。一方、桜井家に出入りする古着屋の番頭、祈祷師一味などが暗躍し大きな事件が起ころうとしていた。
この作品の舞台となった江戸川橋あたりは、自分のジョギングコースでもあり、よく知る地名も出てきて余計に親しみがわいたかも。 -
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雷神が面白かったので、すぐ本作を読んだ。引き続き面白い。時代劇そのもの、紆余曲折はあっても勧善懲悪で終わり読後感がいい。単純なのだけどこりゃあハマるかな。”akahira"さんのコメントの中に、「浅見光彦江戸編」と書かれていたが、まさに言い得て妙。
酢醤油問屋の番頭一派が若旦那をないがしろにし、古川藩の側用人と結託し悪事を働く。若旦那の内儀は可愛い双子の姉妹を残し亡くなり、内儀の姉が代わりに面倒を見ながら若旦那に代わって帳簿の管理もしようとしているのだが腑に落ちないことが多く市兵衛がやとわれて登場する。果敢に問題に挑んでいく内儀の姉がとても美しく描かれており、まさに浅見光彦に登場する -
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旗本の家柄ながら元服後すぐに出奔。大坂で商売と算術を、奈良の興福寺で剣術を学び、江戸に戻って臨時雇いの用人稼業で生計を立てる唐木市兵衛の活躍を描く、時代サスペンス。越後津坂藩騒動後編。
シリーズ29作目。第弐部10巻。
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藩財政を操作し私服を肥やしていた江戸家老亡き後も、その不正システムの継続を図る津坂藩の賊臣たち。
告発しようとして謀殺された老臣の田津民部は、藩政浄化を進める新江戸家老の戸田浅右衛門の親友だった。失踪したとされる民部の捜索を依頼された市兵衛にも敵の魔の手が伸びる。
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前回に続き、大きな陰謀渦巻く設定。出だしからも -
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『刃鉄の人』シリーズ2作目。
元武士で刀鍛冶を営む一戸前国包の刺客仕事を描く。
◇
赤穂浪士討ち入り事件に翻弄された2人の武士。浪士を脱盟する川井太助と、吉良邸警護から脱走する山陰甚左。正反対の立場で不義の行動を取った2人。
その人生に区切りをつけさせる役割を敢えて引き受けた国包だったが……。
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難しい筋立てだったけれど、無理なく見事に描けていたと思います。卓越した人間力を持つ国包という人物の魅力が十分に滲み出てきた2作目でした。
また、プロローグで詳細に描かれる赤穂浪士討ち入り事件についても詳細に描かれていて、実に興味深く読 -
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前巻で決着がついたかと思った津坂藩。世継ぎ問題を中心になって解決した、戸田浅右衛門が江戸家老となり財政再建に力をそそぐ中で、浅右衛門の幼馴染でもある、勘定衆の田津民部の失踪事件が起こる。この失踪事件を探っていくと、またもや、聖願派が関わっていることが見えてくる。
前巻で、どうなるのかな?と思わせた、市兵衛の結婚問題については、あまり進展がなく、今後の方向性もあまり示されない感じだった。市兵衛が結婚しない間は、これまで通り、市兵衛の活躍が見られるのだから、嬉しい反面、あれ?と言う。
その代わり、今回は、若い良一郎、小春の関係に進展の兆しが。いいね、いいね。2人には早く幸せになってもらいたい。 -
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旗本の家柄ながら元服後すぐに出奔。大坂で商売と算術を、奈良の興福寺で剣術を学び、江戸に戻って臨時雇いの用人稼業で生計を立てる唐木市兵衛の活躍を描く、時代サスペンス。大坂編第2弾。
シリーズ25作目。第弐部5巻。
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今回も陰謀の規模は中程度でした。市兵衛にとっては兄のバックアップが望めない状況なので妥当な設定だと思います。
殺陣のシーンも市兵衛の腕前は達人のレベルで、一時の超人レベルでないというところが好ましい。何より市兵衛の卓越した推理力がわかる展開で、ミステリーとしても楽しめました。
「唐木市兵衛には無理がない」
「風は自在に吹く」
短