【感想・ネタバレ】不義 刃鉄の人のレビュー

あらすじ

赤穂浪士が依頼した一振りの打刀。

だが四十七士の中に、依頼した男の名は無かった――。
国包が見た”武士の不義”の真実とは。


武士の身分を捨て、刀に向き合うことを選んだ孤高の刀鍛冶、一戸前国包(いっこまえくにかね)。
彼の鍛冶場に、若い女が訪ねてきた。女は、川井太助という男が国包に注文した打刀を、自ら届けたいのだという。
実は川井は、吉良邸討ち入り前日に失踪した赤穂浪士の一人であり、刀は討ち入り半月前に注文されたものだった。
国包は事情を察し川井の行方を探るが、一方で本家を通じ、ある武士を斬ってくれとの依頼が……。
武士の矜持を描く、大好評の時代小説シリーズ第2弾。

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Posted by ブクログ

 『刃鉄の人』シリーズ2作目。
 元武士で刀鍛冶を営む一戸前国包の刺客仕事を描く。
          ◇
 赤穂浪士討ち入り事件に翻弄された2人の武士。浪士を脱盟する川井太助と、吉良邸警護から脱走する山陰甚左。正反対の立場で不義の行動を取った2人。
 その人生に区切りをつけさせる役割を敢えて引き受けた国包だったが……。

      * * * * *

 難しい筋立てだったけれど、無理なく見事に描けていたと思います。卓越した人間力を持つ国包という人物の魅力が十分に滲み出てきた2作目でした。

 また、プロローグで詳細に描かれる赤穂浪士討ち入り事件についても詳細に描かれていて、実に興味深く読むことができました。

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2021年12月05日

購入済み

赤穂浪士事件のもう一つ顛末

こんな「赤穂浪士討ち入り事件」の顛末があるのかと感じさせられた作品である。
主人公は一戸舞国包󠄃で、彼の縁筋から人の始末を依頼される。これは前作と同じ流れである。
討ち入り事件で犯した二人の不忠者がいる。一人は吉良方の家臣、山陰甚左。もう一人は赤穂浪士の河井太助である。彼を探して郷里赤穂から江戸に来た内儀の由良との悲しく切ない物語だ。
しかし、この物語を読んでいると、一見ありそうに無いと考えてしまうのだが、いや有るかもしれないと思わさせる不思議な物語である。そもそも主人公の国包󠄃は市中の刀鍛冶であり、その人がなぜ人の始末を依頼されなければならないのかが、どうしても腑に落ちない。赤穂浪士の話しは歴史小説なのだからリアルで真実である。しかしこの作品を読でいると、どこからフィクションで物語られているのか見分けるがの難しく解らない。歴史小説と時代小説が巧妙に入り交じる作品である。赤穂浪士の事件が詳しく述べられていたりおそらく歴史考証も正しいのだろうが、だからこそ無さそうで有る、有りそうで無いという相反する思いが読んでいながら感じてしまう不思議な物語である。読み人にそうした感情を湧かせるというのも魅力なんだろう。

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2020年05月14日

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