辻堂魁のレビュー一覧
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内容(ブックデータベースより)
市兵衛さん、待っていました。
風斬る剣の侍には、
埋火のごとき思いがあった。
橋の袂の敵討ちで、
命を賭した市兵衛の決断に涙する!
第弐部、大団円の終幕!
悪名高い金貸しの隆ノ助が谷中で襲われた。同心見習いの良一郎が探索を進めると、歪な人間関係と過去の強盗事件に行き当たる。同じ頃、両替商近江屋に戻った美しき早菜に新たな縁談が。早菜を案じる唐木市兵衛だが、武州の地侍から亡父の敵討ちに助太刀を頼まれる。相手は隆ノ助と名を偽り、江戸に潜伏していた。市兵衛はある覚悟を胸に、因縁の対決に加勢する……。
令和8年9月26日~10月2日 -
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母の面影と、父の背中。
砂村新田で童子が流した涙が導く運命(さだめ)とは――
内容(ブックデータベースより)
元町方、評判の隠居殺しを追い、七蔵が見つける悲しき過去の縁。
【あらすじ】
深川のさらに東、砂村新田の中洲で、北町奉行所を隠居した元同心・神門達四郎の惨殺死体が見つかった。
隠密廻り同心の萬七蔵は、同僚の間や市井での評判もよく愛想のよかった隠居に裏の顔があったのではと疑う。
遡ること三十三年前、砂村新田で女が荼毘に付されていたことが、まさかの真実につながっていく――。
悪意と報復、慕情と哀切が、七蔵の眼前で交差する!
令和8年3月29日~4月3日 -
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内容(ブックデータベースより)
その慈愛に、少女は聖き母を見た。
恩ある呉服太物所の女将を助けてほしい――。
つきまとう陰陽師。
明かされる秘密。
十三歳の娘の依頼に、
市兵衛の剣が舞う!
真心と感涙の傑作時代小説
江戸のかくれ切支丹をほのめかす手紙を残して、三田の陰陽師うしな秋蔵が殺された。一方、近くの岡場所で下女奉公するみつぐは、道で折檻されていたのを、呉服太物所の女将・婉に救われる。偶然にも婉の秘密を知ってしまったみつぐは、唐木市兵衛を頼る。異変を察した市兵衛が独自に探索を進めると、秋蔵殺しの復讐に燃える陰陽師一派もまた、周囲を嗅ぎ回り……。
令和8年2月20日~23日 -
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唐木市兵衛。江戸の裏店で独り暮らしをする渡り用人である。
市兵衛の前半生は少し変わっている。
旗本の家に生まれたが元服後すぐ江戸を出奔。姓を唐木に変え、大坂の商家で商売と算術を、奈良の興福寺で剣術を学んだのち、見聞を広めるため諸国を巡る。
38歳でようやく江戸に戻るも、実家を頼らず用人などの請け負い仕事で生計を立てることにした。
世情を知り、先の見通しを立て、「風の剣」を使う唐木市兵衛の活躍を描く、時代サスペンス。シリーズ33作目。第弐部13巻。
◇
3月3日の上巳節の日。元川越藩士村山永正の息女である早菜が、岩倉家嫡子の高和のもとに輿入れした。岩倉家は三千石をいただく旗本である。
盃事などの婚儀がつつがなく終わると、丹精こめて整えられた庭園が見渡せる座敷で披露の祝宴が始まった。
その新婦側の宴席に市兵衛と矢藤太も縁者に連なる者として、村山家家臣の富山小左衛門とともに招かれていた。
宴も酣となった頃、矢藤太が岩倉側の祝客の末席にいる男を気にしながら「俺はあの男に見覚えがある」と、声を潜めて市兵衛に言った。
矢藤太によると、その男は名を七右衛門という性質の悪い金貸しで、大身旗本の祝賀に列席する人間として相応しいとは思えないと言う。
矢藤太の視線に気づいたらしく、七右衛門も盃を手にこちらを訝しげに見た。裃をつけた正装をしているが、品のない食い方をしながら胡座をかいている七右衛門には、確かに崩れた印象しかなかった。 ( 第1章「花嫁御寮」) ※序章と終章を含め全6章。
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今回は、なかなか楽しめるシーンが多かった。
まずは、鬼しぶこと渋井鬼三次とそのひとり息子の良一郎のコンビで事件の調べに取り掛かかるシーン。
聞き込みの帰り、深夜に屋台で蕎麦を食べる父子の姿には心温まるものがありました。また、助弥と蓮蔵のほか、良一郎を助ける谷助という中間も新登場。終盤の捕物シーンも含めて、ファンにはうれしい展開でした。
続いて、内偵捜査中の片岡信正と返彌陀ノ介が市兵衛を呼び出し、昼の膳をともにするシーン。
内偵先は岩倉家の別邸で、それに絡んで当主則常の奢侈に過ぎる暮らしぶりや嫡子高和の博奕での散在により、多額の借金を抱えているという岩倉家の実情が兄の信正から市兵衛に伝えられます。
今回の婚儀は近江屋の財産目当てであり、たとえ近江屋の財産を注ぎ込んでも改易は避けられぬところまできているという話を聞いた市兵衛は、早菜を救い出すために動き始めます。
これが話の本筋なので、読んでいてワクワク感でいっぱいになりました。ただしクライマックスの大立ち回りは、敵が大した腕前でもなかったため、物足りませんでした。
そして、早菜自身の鮮やかな活躍が描かれるシーン。個人的にはこの早菜についての描写こそが本作の見せ場だったと思います。ネタバレになって申し訳ありませんが、少し詳しく紹介します。
市兵衛から岩倉家の内情を聞いた小左衛門が、早菜への注進のため岩倉家を訪れます。前もっての約束も添状もないことを理由に家宰が追い返そうとしたところを、偶然聞きつけた早菜が間に入るのですが、家宰を諌めたあと小左衛門の目通りを許す態度は堂々としていて、陪臣にすぎない村山家の娘とは思えない風格があります。
また、則常に呼び出され近江屋からの援助を口利きするよう命じられたときの、早菜の冷ややかな対応もカッコいい。小左衛門から真相を聞いていた早菜は、舅や傍に控える家宰に対して臆するところを見せません。その芯の強さ、実に魅力的です。
さらに、早菜を屈服させるよう父から命じられた高和が早菜の私室を訪れたシーンが痺れます。
力ずくで早菜を手籠めにせんとした高和ですが、早菜の抵抗にあい激昂。無礼討ちにしようと提げていた大刀に右手を掛けた高和より早く床の間の刀を取った早菜は、スラリと抜くや否や切っ先を高和の右腕に突きつけました。高和が刀を抜こうとすると早菜の剣先が右腕に突き刺さることになります。
早菜は幼い頃より武辺者の父から武芸の手ほどきを受けており、下手な武士より腕が立つのです。それを知らなかった高和は無理に藻掻いたため、右腕に浅からぬ傷を負うことになりました。
結局、岩倉家は改易に。早菜は近江屋に戻り、七右衛門に殺された小左衛門の遺骨を故郷の菩提寺に埋葬するために武州松山に向けて旅立つというシーンが終章で描かれます。
まだ夜も明けきらぬ早朝のことでしたが、見送りに駆けつけた市兵衛。市兵衛を見て顔を輝かせる早菜。2人はわずかなやりとりのあと、舟と岸辺に分かれて見つめ合います。
前巻の終章も印象的な見つめ合いのシーン ( 市兵衛が思わず早菜に見惚れるシーンも!! ) がありましたが、本巻では2人の距離が縮まったように思いました。
早菜には、その登場から本シリーズにおける真のヒロインではないかと密かに期待しています。才色兼備であり気丈で腕も立つ。市兵衛の伴侶としてこれ以上の女性はいないでしょう。
序盤に彌陀ノ介が市兵衛に嫁取りを勧め、市兵衛は縁があればと答えるシーンがありました。
ぜひ市兵衛にとっての強い縁となって、次巻あたりで早菜と結ばれて欲しいものだと思いました。 -
Posted by ブクログ
内容(ブックデータベースより)
輿入れした大身旗本は破綻寸前。
嵌められた花嫁を、愛する人々を、市兵衛は護れるか。
虚飾にまみれた名門の奸計を斬る!
鬼しぶ父子も大活躍!傑作時代小説
家格の違いにも拘らず、三千石の旗本岩倉家に輿入れした村山早菜。藩の陰謀で父を失うも唐木市兵衛に助けられた川越藩士の娘だ。だが、幸せは束の間だった。市兵衛は兄・片岡信正から、岩倉家の逼迫した台所事情を知らされ、憤る。早菜の幸福を願う後見人の大店両替商《近江屋》の財を貪らんとする卑劣な縁組か。そんな折、変死体を調べる渋井父子は妙な金貸の噂を聞く。
令和6年8月9日~11日 -
購入済み
純粋な気持ちの日暮龍平
北町奉行所の平同心、日暮龍平は三十歳で、身重の妻と子供一人と八丁堀に住んでいた。
龍平は、元は旗本沢木家の三男の部屋住みだったが、日暮家の娘、麻奈に見初められ、奉行所与力の日暮家に婿養子に入った。作者が描く徳川時代小説は、江戸時代後期、1800年前後の時代背景が多い。その頃は太平の世が永く続き、武士階級が壊れていく頃であり、代わりに商人や町人の活動が盛んな時代であったようだ。旗本でも、この時には落ちぶれ果て貧乏に苦しみ、生計もままならない状態の武士が増えたのである。
龍平は奉行所では平同心なので、自身の仕事をしている間にも他の同心たちから色々と雑用を頼まれる。しかし龍平が若い時に武道で鍛えた体と私塾で学んで得た才能で、そつなく頼まれ事をこなすのである。
菓子問屋鹿取屋の娘が拐かされているという訴えがあり、調べると娘は惚れた男のもとに嫁ぎたいのだけれど、お店を大事と考える親との意見の相違があって、娘が勝手に家出をして惚れた男のもとに走っただけであった。ただ、龍平には武家には無い町人たちの暮らしぶりが新鮮なものに感じられて魅せられるのであった。
この後、鹿取屋は破落戸たちに強請られたのだが、龍平は武士二人を含む破落戸を、武士は斬り殺して、後は捕縛して見事一味を退治する。
最後は、鹿取屋の娘が年が明けた春に、新たに婿を迎えるという目出度い筋書きだ。
鹿取屋の娘が惚れた男、川太郎もその出自を辿ると、武士生まれだが貧しさゆえ幼い頃に捨てられたという。
豊かな人がいる反面、貧しくても逞しく生き生きと暮らす町人たちの営みを直接肌で感じるこの仕事に、龍平は彼らから教えられるものが多く、そして憧れに似た感情に駆り立てられるのである。しかも彼らに対してもっと純粋な気持ちが龍平に湧くのかもしれない。とても興味があり面白い物語だった。
奉行所の他の同心たちは、その性根には江戸の商人や町人、大名などから事あれば金のために動く者ばかりである。それはそれとして良いのであろうが、プラス何かを感じさせる龍平である。 -
ネタバレ 購入済み
凶悪事件を起こした若侍
北町奉行所勤めの萬七蔵が、定町廻り同心になったばかりの頃に起きた事件の話しである。
深川近くの洲崎の土手道で男の首切り死体が見つかった。死体は深川界隈の賭場を取り仕切る貸元岩之介で、懐を狙った辻斬り強盗だった。
七蔵がこの事件を担当したのだが、被害者の関係者の聞き込みに時間を取られて、一向に下手人を捕まえられなかった。その後しばらくして、和菓子屋の番頭羽左衛門が首を斬り落とされて懐の紙入れが盗まれる、という同様の事件が起きた。
七蔵の探索では同じ人物、田島享之介がしばしば浮かんだ。享之介は北町奉行所年番方与力、殿山竜太郎の奉公人だった。享之介は、表向きは礼儀正しい物静かな若い侍である。同じ侍の七蔵は享之介を疑惑の目で見られなかった。
しかし、享之介は裏では賭場通いなど素行が悪い。深川の賭場で遊んでいた時賭場の取り締まりに遭遇し、その際、お金を使って見逃して貰った。
しかしながら、その時の同心が主の殿山に告げ口をして、主から享之介は厳しく叱られ切腹を宣告された。その場で享之介は主の殿山と内儀を斬って殺し、逃げる途中で告げ口した同心の首も刎ねた。享之介は、箱崎から舟を使って逃走し、行方不明になり、事件は未解決になってしまった。七蔵のちょっとした見過ごしが大失態を起こしたのであった。
奉行所は直ぐに御触書を各地に出したが成果がなかった。
それから7年が過ぎて、七蔵はお役替えで隠密同心として奉行所に務めている。奉行所の与力、山木大三郎が奉行所の大失態の無念をしたためて、せめて八州の本陣屋、出張陣屋の元締め宛に享之介捕縛に協力を願う書状を送っていた。成果は直ぐに出て、上野国群馬郡の岩鼻の手代がそれに応えて知らせをよこした。
それによると、享之介らしき人物は三一凶之介を名乗る侠客らしいことが分かった。
早速、七蔵らは上州に享之介捕縛に向かった。しかし享之介は七蔵らに執拗な抵抗を見せて、捕縛は困難になり剣術での決着となってしまった。七蔵の手下のタイミングのよい助けに支えられて、七蔵がかろうじて享之介を倒したのだった。
「享之介は、自分の生い立ちと境遇の中で、子供の頃から怒りをずっと腹の中に溜めて生きてきた。それがある時、自分の腹の底からこみ上げる怒りを抑えられなくなった・・・」と言う七蔵の言葉に強く印象を受けた物語である。成長しきれない未熟な大人が犯した凶悪事件である。 -
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親の敵討ちをする三姉妹
六百石の旗本、疋田家に仕えていた河野佐治兵衛は、10年前、疋田豪軒の息子、籐軒の供をして柳橋の書画会に出掛けた折、船宿の澤田屋で籐軒が若衆を斬り殺す事件を起こした。
佐治兵衛は、籐軒の身代わりとして奉行所に出頭して八丈遠島の刑を受けた。
そして御赦免により、10年経った今、江戸に戻ってきた。戻ってみると妻は労咳で病死していて、三人の娘で長女の椿は吉原の花魁に身を落としていた。
佐治兵衛と疋田家との約束では、刑を受けた後も、河野の禄高は保障され、不自由無い生活が送れたはずだったが、実際は刑の宣告を受けた直後に破られていたのであった。佐治兵衛はこの違いに抗議するために、籐軒こと現在は大垣藩江戸上屋敷、留守居役、根津籐軒に日々通うのである。しかし、佐治兵衛は籐軒に邪魔者扱いにされてしまい、彼の悪ガキ時代の仲間の浪人に殺されてしまう。
そこで、佐治兵衛の娘三人が父の敵を討つために立ち上がるのである。
萬七蔵は、彼の探索で様々な事実が証されて、三姉妹の敵討ちに正当性を加えるのであるが、あくまで彼は脇役である。三人姉妹は見事に敵討ちを成し遂げた。江戸の町に明るい話題をわき起こしたのである。
物語の筋書きはこんなものだが、吉原の風景や花魁の豪華な衣装、きらびやかな部屋の様子などが物語に細かく紡がれていて、とてもきれいである。柳橋の花街の情景では、江戸節と言われる長唄や常磐津が流れる風情に、物語を読んでいて癒やされる。また、敵討ちの場面では、見事な殺陣が見られてとても鮮やかである。読んでいて飽きない物語だ。
それにしても、幕藩政治のがたつきようにはあきれ果てる。特に武士階級の不祥事が多いのには、時代の末期症状が出始めているのかもしれない。大変残念な事だ。 -
購入済み
命は大切、無駄な命はない
「もどり途」という変わった名の物語は、2件の殺人事件から始まる。
1つは、浅草界隈を縄張りする貸元、谷次郎が殺された。そしてすぐ次に、2件目の殺しが発生。被害者は小網町、塩問屋「隅之江」の隠居の下女お豊である。
谷次郎の殺しは縄張り争いで、あやめの権八を頭とした破落戸一味が、谷次郎の縄張りを狙い横取りして、弟の谷三郎まで殺害するという、無法者同士が争う中で起きた殺人事件だ。
北町奉行所の隠密同心、萬七蔵は、お奉行小田切土佐守の命を受けて、あやめの権八の素性を探る為、手下の樫太郎と共に調べに入るのであった。
しかし、無法者は所詮味方すら殺害する極悪人である。権八は一味の1人、伊野吉に手下2人と共に殺されてしまう。七蔵の探索は打ち切らざる得なかった。
お豊の事件では、向島、木母寺辺りにある隅之江の寮で暮らしていた隠居、お純から話しを聞いて、犯人が徐々に判明するのである。
お豊には、結婚を約束した塩問屋手代恵吉がいて、腹に子を宿していたが、恵吉には他の大店の娘と結婚話が浮かんでいた。いずれはその大店の主になる可能性もあり、欲についつい目がくらみ、お豊が邪魔になり亡き者にしたことが判った。
七蔵は、夜叉萬の別名で江戸の町に知れていた。夜叉とは理不尽な事に対して容赦しない魔物である。魔物は、悪人の中でも理不尽な者は決して許さない、強い意志を持つ。「夜叉萬組」には、北町の内与力久米信孝、髪結いの嘉助、樫太郎とお甲などが仲間となっている。奉行所内では、町廻りとは違った働きがあるようだ。事件で犯人の生い立ち、素性を調べたり、事件で汲むべき事情があれば、お奉行に報告して詮議や裁きに反映させる役目があるようだ。
伊野吉は、谷次郎兄弟と権八一味の5人を殺害した。そこには伊野吉なりの特別な理由があっての犯行だった。
この事件に関連する死者数は7名に昇る。夜叉萬組にとり、後味の全く悪い事件だった。気持ちの悪さを、お純とお藤の二人の老女の生きながらえる姿が和らげているかのようだ。
簡潔な文章が物語を読み易くしてる。文章と文章の間に深い意味がありとても考えさせられた。 -
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名奉行大岡のお裁き、失敗
大岡忠介が江戸南町奉行として活躍した時代は、江戸の物価は上がり庶民の生活が苦しい。さらには西国では大飢饉が起きた。影響は江戸にも及び、米の価格が上がり暮らしで食べ物に困る程であった。
大岡は施策として金銀お吹替(改鋳)を推進して、物価の安定を図ることにした。施策に反対する両替商や大商人は幕閣の反対勢力の応援を得て妨害…その後、大岡は町奉行を退き、寺社奉行の務めを頂き今に到っている。
当時よりつまり五年前、江戸の庶民が群衆となり高間伝兵衛米問屋を襲い、毀す「高間騒動」が起きた。手代八右衛門が殺されて見つかった。犯人として与佐が捕まった。
与佐は、犯人では無いとお白州でまっすぐな申し開きをした。しかし、厳しい拷問を受け、自白し罪を認めた。
寺社奉行の今になり、忠介はその一件が心に引っかかる。鷹匠の十一に再調査を依頼するのである。
大岡忠介は、南町奉行所を辞める直前に罪もない指物職人に打首のお裁きを下したのではないかと、苦しんでいる。十一の粘り強い調査により事件の真相が明かされる。
定町廻りの前並甚之介は自らの借金を清算するために、博打仲間の広助と五平、道三郎の3人と結託。連んで与佐に殺しの罪をなすりつける。本当の犯人は、広助と五平、道三郎であった。手代八右衛門はお店で米俵を検査する差し米の仕事をして、相当な量の米を横流して、大金を貯め込んでいた。その大金目当てに八右衛門を殺して4人で分け合ったのだ。
そしてその後、町人3人は江戸に暮らし、甚之介は本庄で用心棒の仕事で暮らしている。
十一は各人に直接面会して、話しを聞き事実を知ったのである。
忠介は、社会の変化の激しい時代にあって、多忙を極めていた。また、高間騒動では騒動を主導した首謀者の探索が優先されるのであろうが、殺しが発生したためその調べに手が回らないばかりか、殺しの調べにも慎重さが不足した。その為、八右衛門殺しの裁きで間違いを犯してしまったのだろうと感じる。
本来、幕府内では、意見は違えども合議が為されて、一つに纏まるのであろうが、この時は働かなかった。部下の同心からも裏切られていた。忠介にとってその事件は大変無念な出来事でいつまでも忘れられないのであった。
だが、完全無欠な人はいないと側人が忠介を擁護するのだった。 -
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終わりよし。
このシリーズのファンで全巻読んでます、だんだんと辛い筋書きで生きていく厳しさを感じました。今回は市べいさんの凄腕斬り合いが無くて残念。
次回に期待しています。以前より市べいさんの見合い話から一向に話が進まないのが残念です。