辻堂魁のレビュー一覧
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旗本の家柄ながら、元服後すぐに江戸を出奔。姓を唐木に変えて大坂の商家で商売と算術を、奈良の興福寺で剣術を学んだ。
その後、江戸に戻って1人暮らしをしながら臨時雇いの用人稼業で生計を立てる唐木市兵衛の活躍を描く、時代サスペンス。
シリーズ33作目。第弐部13巻。
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3月3日の上巳節の日。元川越藩士村山永正の息女である早菜が、岩倉家嫡子の高和のもとに輿入れした。岩倉家は三千石をいただく旗本である。
盃事などの婚儀がつつがなく終わると、丹精こめて整えられた庭園が見渡せる座敷で披露の祝宴が始まった。
その新婦側の宴席に市兵衛と矢藤太も縁者に連なる者として、村山家家臣 -
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内容(ブックデータベースより)
輿入れした大身旗本は破綻寸前。
嵌められた花嫁を、愛する人々を、市兵衛は護れるか。
虚飾にまみれた名門の奸計を斬る!
鬼しぶ父子も大活躍!傑作時代小説
家格の違いにも拘らず、三千石の旗本岩倉家に輿入れした村山早菜。藩の陰謀で父を失うも唐木市兵衛に助けられた川越藩士の娘だ。だが、幸せは束の間だった。市兵衛は兄・片岡信正から、岩倉家の逼迫した台所事情を知らされ、憤る。早菜の幸福を願う後見人の大店両替商《近江屋》の財を貪らんとする卑劣な縁組か。そんな折、変死体を調べる渋井父子は妙な金貸の噂を聞く。
令和6年8月9日~11日 -
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純粋な気持ちの日暮龍平
北町奉行所の平同心、日暮龍平は三十歳で、身重の妻と子供一人と八丁堀に住んでいた。
龍平は、元は旗本沢木家の三男の部屋住みだったが、日暮家の娘、麻奈に見初められ、奉行所与力の日暮家に婿養子に入った。作者が描く徳川時代小説は、江戸時代後期、1800年前後の時代背景が多い。その頃は太平の世が永く続き、武士階級が壊れていく頃であり、代わりに商人や町人の活動が盛んな時代であったようだ。旗本でも、この時には落ちぶれ果て貧乏に苦しみ、生計もままならない状態の武士が増えたのである。
龍平は奉行所では平同心なので、自身の仕事をしている間にも他の同心たちから色々と雑用を頼まれる。しかし龍平が若い時に武道で鍛えた体 -
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凶悪事件を起こした若侍
北町奉行所勤めの萬七蔵が、定町廻り同心になったばかりの頃に起きた事件の話しである。
深川近くの洲崎の土手道で男の首切り死体が見つかった。死体は深川界隈の賭場を取り仕切る貸元岩之介で、懐を狙った辻斬り強盗だった。
七蔵がこの事件を担当したのだが、被害者の関係者の聞き込みに時間を取られて、一向に下手人を捕まえられなかった。その後しばらくして、和菓子屋の番頭羽左衛門が首を斬り落とされて懐の紙入れが盗まれる、という同様の事件が起きた。
七蔵の探索では同じ人物、田島享之介がしばしば浮かんだ。享之介は北町奉行所年番方与力、殿山竜太郎の奉公人だった。享之介は、表向きは礼儀正しい物静かな若い侍である。同じ侍の -
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親の敵討ちをする三姉妹
六百石の旗本、疋田家に仕えていた河野佐治兵衛は、10年前、疋田豪軒の息子、籐軒の供をして柳橋の書画会に出掛けた折、船宿の澤田屋で籐軒が若衆を斬り殺す事件を起こした。
佐治兵衛は、籐軒の身代わりとして奉行所に出頭して八丈遠島の刑を受けた。
そして御赦免により、10年経った今、江戸に戻ってきた。戻ってみると妻は労咳で病死していて、三人の娘で長女の椿は吉原の花魁に身を落としていた。
佐治兵衛と疋田家との約束では、刑を受けた後も、河野の禄高は保障され、不自由無い生活が送れたはずだったが、実際は刑の宣告を受けた直後に破られていたのであった。佐治兵衛はこの違いに抗議するために、籐軒こと現在は大垣藩江戸上屋 -
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命は大切、無駄な命はない
「もどり途」という変わった名の物語は、2件の殺人事件から始まる。
1つは、浅草界隈を縄張りする貸元、谷次郎が殺された。そしてすぐ次に、2件目の殺しが発生。被害者は小網町、塩問屋「隅之江」の隠居の下女お豊である。
谷次郎の殺しは縄張り争いで、あやめの権八を頭とした破落戸一味が、谷次郎の縄張りを狙い横取りして、弟の谷三郎まで殺害するという、無法者同士が争う中で起きた殺人事件だ。
北町奉行所の隠密同心、萬七蔵は、お奉行小田切土佐守の命を受けて、あやめの権八の素性を探る為、手下の樫太郎と共に調べに入るのであった。
しかし、無法者は所詮味方すら殺害する極悪人である。権八は一味の1人、伊野吉に手下2人と共 -
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名奉行大岡のお裁き、失敗
大岡忠介が江戸南町奉行として活躍した時代は、江戸の物価は上がり庶民の生活が苦しい。さらには西国では大飢饉が起きた。影響は江戸にも及び、米の価格が上がり暮らしで食べ物に困る程であった。
大岡は施策として金銀お吹替(改鋳)を推進して、物価の安定を図ることにした。施策に反対する両替商や大商人は幕閣の反対勢力の応援を得て妨害…その後、大岡は町奉行を退き、寺社奉行の務めを頂き今に到っている。
当時よりつまり五年前、江戸の庶民が群衆となり高間伝兵衛米問屋を襲い、毀す「高間騒動」が起きた。手代八右衛門が殺されて見つかった。犯人として与佐が捕まった。
与佐は、犯人では無いとお白州でまっすぐな申し開きをし -
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終わりよし。
このシリーズのファンで全巻読んでます、だんだんと辛い筋書きで生きていく厳しさを感じました。今回は市べいさんの凄腕斬り合いが無くて残念。
次回に期待しています。以前より市べいさんの見合い話から一向に話が進まないのが残念です。 -
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旗本の家柄ながら元服後すぐに出奔。大坂で商売と算術を、奈良の興福寺で剣術を学び、江戸に戻って臨時雇いの用人稼業で生計を立てる唐木市兵衛の活躍を描く、時代サスペンス。越後津坂藩騒動前編。
シリーズ29作目。第弐部9巻。
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津坂藩の跡目相続を廻る陰謀を探索中の弥陀ノ介が、何者かに襲われて瀕死の重傷を負ってしまいます。市兵衛は無類の友想い。その後の展開は期待通りでした。
敵役となった影の軍団もよかった。
首魁が西洋式の短銃を使うのは気に入りませんが、久々に緊迫感に包まれたストーリーで、大いに楽しめました。
また、今回はシリーズの行方に少し変化が生じそ -
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世界に羽ばたく!
乱之介は、数奇な運命を背負い、世の中の不条理と戦い、生き抜いて、とうとう日本を出て、自由の身となった。
ロンドンからの手紙を読んだ孝康と同じく、感動で、涙が出るのと同時に、乱之介、おぬし、やりおったな!と、胸がいっぱいになった。
面白くて、あっという間に読んでしまった。読後は、少し、寂しさを感じる。 -
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権力を持つ悪者ども、死ねっ!
憎っくき悪者め!目に余る悪辣さ!情けなどかけるな! 私が、彼らなら、一気に抹殺してしまうけど….….
気になる乱之介の出自は?早く読みたいような、もう少し、ゆっくり読みたいような….….困った。