一穂ミチのレビュー一覧
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会いたくなかったはずの同級生との再会から始まる物語。
百ちゃんの存在が色あざやかで一穂さんの書く女の子はBL世界にモブや当て馬でなくインパクトを残してくれていいものだなぁと。
片喰くんのストーカーっぷりの純真さと絆されてしまう初鹿野になるほどこんな出会いもありなのねとするする読まされました。
小道具やモチーフづかいとお仕事描写がうまく絡んでくるところはやっぱり面白いなぁ。
安定安心の一穂節、という感じで個人的にはあんまりインパクトはないけれどうむ、中々という感じ。
恋愛自体を遠ざけていた初鹿野が片喰の一途さにいつしか心を開いていく様がなんともかわいい。初鹿野のキャラクターはなるほど一穂キャラと思うところがありつつ、二人の関係が他にはない二人ならではなもので、会話のやり取りやちょっとした間合いの取り方がなんともゆるやかで心地よかった。不思議で穏やかなトーンに浸れました。 -
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ネタバレ▼あらすじ
金持ち学校に通う高校生の羊は、父親のカード会社のコンシェルジュ一色と知り合う。
どんな難題でも叶えてみせる彼に夢中になる羊だが……?
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一穂ミチ先生の作品を読むのは『シュガーギルド』、『ステノグラフィカ』に続いてこれで3冊目です。シュガーギルドとステノグラフィカがかなり面白かったことと、絵師さんがあの“まおうさまシリーズ”で有名な山田2丁目先生という事もあり、期待して買ったのですが、実際に読んでみたところ、ちょっと期待し過ぎたかもしれないな…と思いました。
とりあえず良かった点を先に挙げますと、やっぱり文章はとても良かったです。
今回はある意味、今時のライトな作風で『シュガーギルド』や『ステノグラフィカ』と比べると明るく、読みやすい内容に仕上がっているのですが、それでも一穂先生特有の心にストンと落ちて来るような不思議なリズム感の文章や言葉選びのセンスの良さは相変わらず健在で、素直にああ…好きだな…と思いました。
また、特に良かったのが攻めと受けの言葉の応酬で、“台詞”ではなく生身の人間同士の“会話”に近いと言いますか、テンポ良く繰り広げられる軽快且つ自然なやり取りに何度もクスッとさせられ、こういった然り気ないところでリアリティを出せる一穂先生は流石だと思いました……が!
今回、何が一番残念だったかって、攻めと受けが早々にくっ付いてしまったこと!
しかもこれがまた唐突に両想いになった感が半端ないのです…。
羊が一色に惚れたのはまぁ分からなくもない。でも、一色は羊のどこに惚れたの?
いつの間にそんなに好きになったの?ってとにかく疑問に思ってしまうくらい理解出来なくて、これなら攻めの視点も書いてほしかったな、と思いました。
正直、羊に惚れるようなこれといった要素やエピソードは私には無かったように思えましたし、羊なんて見た目も中身も子供そのものだから、そこが可愛いっていうのは分かるとしても、ただそれだけで恋愛感情抱くかな…?と疑問に思うんですよね。まぁ、それだけで恋愛感情抱いているようにしか思えないから二人の関係が浅く思えてしまって納得出来てない訳なんですが…。
攻め自身、後半で「ちょっと急ぎ過ぎた」と言っていますが、まさにその通りで。
エロよりもストーリー重視派の私としては、えっちは一回で良いからくっ付くのはもっと最後の方でも良かったのになぁ…と凄く残念に思ってしまいました。
また、受けの親友で、幼い頃から受けに密かな恋心を抱いている和楽というキャラ出て来るのですが、個人的には和楽の方がずっと感情移入で出来るキャラで、和楽が受けに「好きだよ」と告白したシーンは心にズシッときました。
受けのどこに惚れたか分からない一色の告白よりも、受けの事をずっと傍で見守って来た和楽の告白の方がずっとずっと心に響きました。(これってどうなの…)
とにかく和楽が報われなさ過ぎて辛いので、スピンオフとかで幸せになってくれないかなぁ…うう…切ない……(;_;)
…とまぁ、色々言いましたが決して面白くなかった訳ではなく、攻めのオンオフの差の激しさは衝撃的でしたし、「こら」からの「会いたいぞ」発言のように、恋愛体質ではない攻めの口からちょいちょいキュンとするような台詞が出て来たりと思わず萌えてしまうようなシーンも沢山あったので楽しめたのは事実です。
ただ、やっぱり二人の関係をもう少しじっくり進めて煮詰めてほしかったというのが正直な感想なので、評価は★を1個減らして★4という事で…!(;>人<) -
Posted by ブクログ
父親の仕事の関係でコンシェルジュを知った受け。到底無理な難題を軽くこなしてくれてビックリした相手とトイレで見かける。そこでは素に戻った攻めの顔を垣間見て興味が出て、その男に会うためにいろんな頼みごとをしてしまう。攻めは何の心配もないようにその頼みごとを解決してくれるので、受けにとってそれは地に足がついていないような今の生活の自分を少しだけ確かに地につけてくれて安心する。
血の繋がってない親も昔からの金持ちじゃないので、自分の今の立場にまだ慣れない受け。そんな中出会ったコンシェルジュという仕事の大人の男に惹かれるのは当然で。
素直でワガママを言わない受けが辛いのを辛くないように生きていこうと自分の気持ちをフラットに保とうとするそれが悲しい。攻めはきっと大人の視点でそういうの見えちゃうのよね。
好きな作品です。 -
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雑誌掲載時のエピソードに、次につながる和楽くんと一色の対面シーンを加えての完全版? と、その後のペンションアルバイトのエピソードを含めたお話。
しかしまぁ和楽くん、切ないなー。初めからそうだったのか、単行本化に合わせて伏線を張るための追加展開だったのか……苦い展開ではありますが、健やかで男の子らしくて好感の持てる関係性が築かれていて、どこかほっと安心できました。
タブーでもなんでもなくするっと男の子同士の好意が描かれる一穂ワールドはBLというファンタジーかもしれないけれど、爽やかで心地よい。
一色さんのオンオフの切り替えは計ほど強烈ではないけれど大人の男だなぁと。羊の前であやふやな態度を見せるところもかわいい。
嫁子さんとの関係性は一穂ワールド定番とも言える友情結婚。伝えるつもりのなかったメッセージの弱々しい本音にすごく胸がくすぐられました。
ペーパーも夢枕に立つ嫁子さんのエピソード、これはずるい。
職業との関わり方に加えて、価値観や人間同士の関わり方、家族の愛情、年の差ゆえのすれ違いや焦りなど、丁寧に紡がれていくやりとりの圧倒的な面白さの上にラブがしっかり根を張っていて楽しませてくれました。
雪原の上でしっかと抱き合う羊くんと一色さんのカットが前後展開含めてとても好きです。 -
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だらしない根無し草男と古くからの言い伝えの残る土地の純真な若様。出会うはずのなかった身分違いの二人が、恋という不確かだけれど強くあたたかな結びつきでゆっくりと結ばれていくタイトル通りの優しいおとぎ話。
過去作をどれから読もう、と悩んで重版されたというこちらを。
一見噛み合わない生まれも育ちも価値観も違う二人が、それゆえにゆっくりと気持ちを重ねあい、自分に課せられた役目を当たり前のこととして受け止めて生きてきた湊の「息苦しさ」をやわらかに掬い上げる隼人、自分が得てこなかったものすべてを持って穏やかに受け止める湊の温もりに包み込まれていく隼人、必然のようにゆっくり染み渡っていく二人の心の行方が丁寧でやわらかな言葉できらめきに包まれて紐解かれていくのは一穂ワールド全開。
文章が、言葉運びがとにかく心地よくてさらさらと流れていく感覚に酔いしれるよう。
脇に至るまでの人間関係の描写、何気ない小道具の使い方、情景の切り取り方ひとつひとつがきらめいてみえます。
家族や社会との折り合いのつけかた、自分の立ち位置をきちんと見つけて生きていくにはーーと、現実的な「おとぎ話」の中で、優しいハッピーエンドが用意されていることに安心感をおぼえました。
なににも執着しないはずだった隼人が帰る場所、自身を受け止めてくれる相手の温もりに違和感と、それ以上の安らぎを見つけられてよかったなぁと。
幼馴染三人の関係性が描かれるもうひとつの結末もとても優しい。
しかしまぁ、十和子と佐伯さんと義時……「さみしさのレシピ」にもその片鱗は見えたので、「off you go」で決定打のように描かれるまで一穂さんの中で根付いていたテーマなんだなと。 -
購入済み
後半はいい!
前半の攻の絡みはなんなんだろう。
無理あり過ぎでしょう。
そこのところは理解不能ですが、終わりは「良かったね」と思いました。
以前、海外ドラマの登場人物で受と同じ症状を知っていましたが、
それをこう使うかあ、と感心しました。
ジンときましたよ!なかなか。 -
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ネタバレ一穂さん家族ネタ好きですよね。BLとしてももちろん面白いんだけど、家族のあり方のお話だったのかなぁと。
雄二郎さんと香住さん夫妻が主役二人よりもインパクトがありました。
従兄弟で義兄弟、思い合いながら表向きは売り言葉に買い言葉の喧嘩ばかり。
素直になれない二人は一世一代の大勝負に出るが、その裏には突如現れた謎の男の差し金が…。
あっさん、こと雪の活躍ぶりがわくわく楽しい。
雄二郎さんに対して「息子」として複雑な思いを抱える二人の心情が物語の鍵として印象的。
模範通りの良い父親ではないし、そこに反発する逸も、自分を救ってくれた恩人で師匠として慕う一哉もわかるんだ。
二人とも自慢の息子、と胸を張る雄二郎さん、ろくでもなくても夫として心から愛して信頼している香住さんは良い夫婦です。
やっぱりこの二人が強すぎて主役二人が霞んでしまう。
これは文庫本ののちのお話ですが、天涯孤独になってしまった一哉が初めて家に招かれるシーンの回想場面がとても好きです。
のちに書かれた一哉のお母さんの墓参りのお話はファンブックに入るのかな。
一哉の心情に胸打たれるとても好きなエピソードです。
香港、カジノという題材が一穂さんにとって強く希求される物語のピースなんだなぁ。
どうもそこに乗り切れないので個人的にドツボかというとちょっとうーーーんですが、キャラクターの会話の妙は鮮やかで楽しい、安定の一穂ワールドでした。
スピンが出ているのを知っていたので社長と芦原先輩にもなんやかやあるのねとそわそわニヤニヤ。ワンダーリングもこれから続けて読みます。 -
Posted by ブクログ
3作目。
計に出馬か?の根も葉も無い噂が出る。一方潮の方は仕事のキャンセルが続く。
潮の周りで何かが動いてて…?
今回、掘り下げられた二人が描かれていてとても良かったです。計だけが甘えて潮がいつも計をさりげなくフォローしていたけれど、計だって守られるだけじゃなく潮のピンチには役に立ちたいと思っていて、でも潮は計を頼るわけでなく実家に戻ってしまう。計は最初はどうしようもなく落ち込み、TV局も辞める!とまで思うがレポをしてしまう自分を再認識して打開策に奔走する。そして潮を取り返し、二度と潮に親の手が届かないようにと。
4回泣きましたw
潮の回想の所、計が放心するところ、おばあちゃんの話のところ、そして最後は手形のところ。
二人の絆が強まってお互いがお互いを支えてこれから生きていくんだなぁっていうのが想像出来てとっても良かったです。
ところで前2作は電書だったので挿絵が無くって良かったのに今回小冊子目当てに本を買っちゃって、あの子供っぽい絵が目に入って辛かったです。ホント、挿絵の有る無しで本作って欲しいわぁ。好みじゃない絵師さんの時辛すぎる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ▼あらすじ
国会でひっそりと働く碧。がさつで忙しない新聞記者・西口とふとしたことから言葉を交わすようになり、少しずつその素顔に触れて…?
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★4.5
国会議事堂を舞台にした新聞記者と速記者のお話で、ガチめなお仕事BLです。
私、この作品がシリーズものだという事を作品を読むまで知らなくてですね…。
勿論、他のシリーズ未読でも全く問題無かったのですが、表紙を見て勝手に攻めは紳士系のおじさんだとばかり思っていたので、中身をチラッと確認した時に紳士とは程遠いキャラクターで少し落胆してしまい…。
元々、政治関係の話にまるで興味が無い人間な事もあり、買ったはいいものの何となく読むのを後回しにしてしまっていました。
でも、一穂ミチ先生の作品なのできっと面白いだろうとは思っていたんです。
そしてその予想はやっぱり裏切られませんでした。
政治の小難しい話が苦手なので、最初は詳し過ぎるお仕事描写が却って仇になり、少し読み辛さを感じたりもしたのですが、中盤からグッと引き込まれ、そこからは一気に読んでしまいました。
人物の心理描写、センスのある言葉選び、テンポ良く繰り広げられる言葉の応酬やちょっとした仕草の描写など、ほんのりと文学的要素を含んだ一穂先生の文章は読者の心を引きつける凄まじい力を持っていると言いますか、とにかく一穂先生の語彙力と表現力の高さに改めて驚かされる内容でした。
そして出て来るキャラクターは皆、きちんと個性を持っていて素晴らしいな、と。
(佐伯は露悪的過ぎて個人的にはちょっと苦手な部類でしたが…。)
特に私はすみれちゃんと松田さんがお気に入りで、この二人の印象が強く残りました。
すみれちゃんは受けと同様に攻めに恋する女性であり、攻めの同僚なんですが、BL小説に出て来る女性キャラにしては珍しく、かなり好感の持てる女性でですね…。
同じ女として共感出来る部分もあったりして、魅力的なキャラクターだと思いました。
松田さんは受けが唯一心を開いているとある隠居老人なんですが、最終的に明かされるこの人の秘密があまりにもインパクト強過ぎて、何だか作品の美味しいところを全てこの人に持って行かれているような気がしなくもないんですよね…。
ただの老人だと思っていたら実は伝説の人物でした、なんて格好良過ぎるでしょ!
しかも凄く悲しい過去を抱えていて、これがまたほんのりとBLの香りがするもんだから余計印象深くて。受けとの別れのシーンは何だか無性に悲しくて少しヘコんだぐらいなんですが、そういった部分を含めても、松田さんの下りは意外性があって凄く良かったと思います。
まぁ、おかげで自分の中では攻めよりも松田老人の方が格好良いキャラという評価になってしまったのですが…(笑)
因みにエロの方は最後の方にちょろっとある程度なんですが、エロが無くてもこのお話なら十分楽しめただろうな、って思います。
それくらい読み応えのある作品でした。きっと、西口みたいな子供っぽさを残したオッサンが好きな方には堪らない作品なんじゃないでしょうか。
私はもう少し落ち着いたオッサンが好きなので、西口が自分の好みど真ん中のキャラだったらきっと文句無しの神評価を付けていたに違いないです。
ついでに言うと受けは割と好みでした。他の人が同じキャラを扱えばただの地味キャラで終わってしまいそうな碧ですが、一穂先生が書くと“地味”という名の個性がしっかりと輝くから凄い。この作品が高評価なのも頷けます。 -
購入済み
お楽しみ袋(笑)
みたいなペーパーバック続編。カップル飛ぶしその後とそれ以前がごちゃ混ぜになってるのに不思議と雑然とした感じがなく「その時」の心情が良く見える。新聞社シリーズの中で佐伯が相当に謎な人で、、その儚げな暴君ぶり(笑)?に読んでて振り回されっぱなしでしたが本作で割とスポット当てられてた密と良時、2人の色んなやり取りを見てくにつれ前よりちょっとだけ佐伯密って人が見えたよーな。。実は凄く可愛い??
好きなのでシリーズ4作良く読み込んだつもりでいましたが、アンフォゲの2人あんまり印象が残ってないと言う事実が再び判明(ドーン)、急いで読み返さないと(笑)! -
Posted by ブクログ
ネタバレ一穂さんの小説の、女性キャラをメインカップルの片方にきゃーきゃー騒ぐモブもしくは嫌な感じの当て馬としてだけで描かないところ、
そして恋愛するとちゃんとその恋愛が仕事なり人格なり、主人公にプラスに働くところが好きです。
ヨウが見た目が派手な元カノのことを「でも俺は好きだった」と振り返るし、恋愛感情はなくなっても嫌いになってないところが良いなあ、と。
しょう子さんにしろ、つぐみにしろ、主人公カップルの恋愛以外にも色んな物語を書くことによって、お話全体が広がる気がします。口絵が主人公カップルとしょう子さんとつぐみの四人なのも良いですね。
みんな幸せに生きているところがいいです。
主人公カップルに焦点を当てているのが前半だけでBLとしてはちょっと物足りないけど、でも物語としては楽しめました。 -
購入済み
新聞社シリーズ!
大好きだったのでこのファンサービス的な番外編短編集すんごい嬉しかったです。一束のツンツンデレらんねぇとこも久々に堪能(笑)。ただ読んでて、アレ?アンフォゲッタブルの2人ってどんなんだっけどすっかり抜け落ちてたのが個人的にショック、ソッコー読み返します(笑)!