一穂ミチのレビュー一覧
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ネタバレ編集者・岩崎数真×CGオペレーター・仁科縁
子どもの頃、目が見えなかった数馬と再会した縁には、ごく限られた関係者しか知らない事情がある。
ごく平凡で一般的な日々を歩んでいる私には、少数の人が経験している様々なことを知ると、自分の世界の狭さを感じます。
BLという娯楽性の高いジャンルで、大きなことは言えませんが、こういった設定の本で、思いもよらないことが世の中にあって、苦しい思いをしている人がいるってことを振りかえらせてくれます。
で、切なかったりするんですが。
だからって、聖人君子ではなく、諦めの上に立つものであっても下世話だったりする日常もあるし。その辺が綺麗事でなくて、こちらの低俗な -
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みなさんのレビューを見て、すでに発行済みの本のスピンアウトだと知りましたが、前作は未読です。
読み始めてみたら、大好きなプラネタリウム話。へええええ、と思いました。
冒頭、メガネの昴くんが働く(アナウンスする)プラネタリウムで、大地と彼女がドラマみたいな痴話げんかを始めるところから物語は始まります。
大地という男は、適当なんだけど、適当ゆえに頭が柔軟。カタブツできっちりしている昴に興味を覚えてゆく、という……ある意味、王道なお話です。
王道なんだけど、きっちり読ませるのが一穂ミチ先生。
そして王道をいかに読ませるかが、このジャンルの力量だと思いますが、この話は星をテーマに優しく時間が動い -
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ネタバレわりと評価の分かれる作品のようでしたが、私は結構好きでした。
表題の『オールトの雲』というのは、冥王星のずっと先、太陽系の果てにある彗星が生まれるところ。
『空には星がたくさん光っているからきれいだろ。真っ暗じゃないんだよ』
幼い頃、暗いところが怖くて夜が苦手だった流星に、アメリカ人の父親が教えてくれた。
それ以来、夜の星空は流星にとって、とても大切なものになった。
対する太陽は、その名の通り、暖かい家庭で家族の愛をたっぷり受けて成長した真っ直ぐな男の子。
離婚して母ひとり子ひとりで育ち、不器用で周りにうまく溶けこめない流星の孤独を明るく照らして暖めてくれる。
ふたりは流星が近所に越してきた5 -
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ネタバレ『雪よ林檎の香のごとく』のスピンオフ。あのヤンデレの栫先輩のお話。(デレはどこだよ!)いざレビューを書こうと思った時、このお話は一体何にカテゴライズされるのか一瞬考え込んでしまった。結論として、サイコサスペンスかなと少し思った。恋愛はあくまでも付加的なもの・・・っていうか、これを恋愛小説と呼んでいいのか、わたしには正直わからなかった。『雪よ林檎の~』でも、栫先輩は十分に壊れている人だと思っていたけど、そんなもんではなかった。その壊れっぷりは半端ない。ただ、本作を読むと、栫の人格がどうして壊れてしまったのかの理由がわかる。プロセスは詳しく明かされていないけれど。
それは、五歳の時に突然行方不明に -
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ネタバレタイトルとカバーイラストがいまいち好みじゃなったけど、作家読みしました。うん、結構好きだった。前にどなたかのレビューでこの作家さんの文体が好き過ぎて盲目っていうのを読んだけど、すごくわかります。話の筋がどうこう以前に、わたしもこの作家さんの文章が醸し出す空気感が大好きです。今回もしっとりと美しい世界観だった。とにかくこの人のセリフまわしがリアルで好き。受のクールでツンとしたしゃべり方が特に好き。本当は色んなことを我慢して感情を殺した上で成り立っているクールなんだけども。受が藍を栽培する農家の子のなので、『藍』がキーワードです。作中のところどころに散りばめられた色、色、色。青だけでもそんなにたく