山口恵以子のレビュー一覧
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ネタバレ恵以子さんの「食堂のおばちゃん」シリーズは愛読している。
出演された“くりいむクイズ”も観ました。
しかし、その陰で高齢のお母さまを在宅介護されていたとは!
自分も高齢の母親を持っているので、他の人はどうなのか、ましてや好きな作家さんの一人なので、気になって手に取りました。
「おばちゃん街道」を読んでいたので、自伝的部分は重なっていましたが、介護のお話は初めて読みました。
しかし、これは介護の愚痴を書いた本ではありません。
恵以子さんは、お母さんが大好き。
それは、お母さん側の、愛される性格にもあるようですが、何といっても一番は「相性がいい」ことが重要らしいです。
親子でも相性が悪ければ、距離を置いた方が、お互い幸せ。
それを見極めるのが大切。
11歳年上のお兄さん(独身)が大黒柱で、実年齢よりも精神肉体ともに若く、ずっと頼りにしてきたお母さん。
母親が急激に老い、兄も病を得て、恵以子さんは、家族を支える責任の重さとしては一番下の、気楽な立場から、どんどん順番が上がって、トップに立つことになります。
還暦にして、親離れ、成長の記録と言ってもいいかもしれません。
介護がだんだん大変になっていくこと、お母さまの老いがどんどん進んでいくこと、でも、恵以子さんは、あの世とこの世に分かれても、ずっと二人三脚で行きたいと書かれています。
お母さまに捧げる最高の一冊になったのではないかと思います。 -
Posted by ブクログ
一万円選書の中の一冊。
読み始める前は「上海の話かあ。なんか地名とか読めない漢字ばっかとかで、読みにくそう」と思ってましたが、そんな心配ご無用、でした。読めなくたってどうでもよい。話がおもしろい。
菊池寛が出てきたので、え、八島多江子って実在した人物?と調べたりしてしまいました。
お金持ちはたとえ戦時中でも優雅なのねえ。東京編が面白かったです。瑠偉よお……。
ただ、夏のところに潜入するのがあまりにあっさりすぎて、しかもそのエピソードがそんなにこの本の中では重要じゃない感じで、やや拍子抜けでした。
選書でどうしてこの本を選んでくれたのかなあ?と考えました。私が戦時中の話が好きなことと、あともしかして私が給食のおばちゃんで、著者が食堂のおばちゃんだから? -
Posted by ブクログ
広尾にある隠れ家レストランは、オーナーシェフの古川淳が招いたお客様限定で、毎週金曜日の夜だけ開店する。
お客様の舌を満足させる極上の料理は、その人の人生までも浮かび上がらせる。
招待客は、淳の知り合いであるが、喜んでもらえるようにメニューに工夫を凝らし、最高級の食材を使って贅を尽くした宴を開催している。
満足度の高さは、言うまでもないが、淳の料理で思い出を巡らせるというのも味わいがある。
第2話では、淳の故郷の知り合いであり、彼の子ども時代がわかる。
第5話でも故郷で、隣家に住んでいた2歳上の秀才・夏生ちゃんで、今は東京の白樺女子学院で校長先生になっている。
もやもやとしていた感情も美味しい料理と淳の言葉で気持ちが変わっていく。
心がこもった料理には、人の心まで温かくさせる。
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東京・四谷の路地裏にある「めぐみ食堂」。さまざまな悩みを持つ常連客が訪れるが、この本の本当の主役は、何と言っても女将の恵さんが日々丁寧に作る料理たちだ。おでんの出汁の匂いや日常的な小料理の温もりが物語の根底にあり、だからこそ客たちも本音を漏らし、心がほぐれていくのだと感じる。
とりわけ、家庭でも試せる一品料理のアイデアが抜群で、作中に出てくるレシピはすべてメモさせてもらった。
料理の描写を読んでいると文字だけでは味や見た目のイメージに限界があり、「やっぱり写真付きの料理本が見たくなるな」と思ってしまう。
主に出てくるのは食堂に通う常連さんたちのリアルな婚活事情。そこに寄り添う恵さんだが、かつて彼女の才能を見抜いた占い師の「天からのお恵み」という言葉通り、自分の力を誇ることなく人々のために使う姿がとても温かい。
それにしても、お酒もおつまみもおでんもお腹いっぱい楽しんだら、結構なお会計になりそう。気兼ねなく通って身も心も満たせるのは、自由なお金と時間を持つ独身貴族ならではの贅沢な居場所だろう。
著者の凄まじい婚活経験(お見合い43回、そして結婚せず)があるからこそ、説教くささが一切なく「まあ、美味しいものでも食べて元気出しなよ」とそっと寄り添ってくれる一冊。読み終わったあとは、自分の心も「めぐみ食堂」の料理で温かく整えられたような気持ちになる。(ちなみに、今夜はおでんでした)