山口恵以子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
東京・四谷の路地裏にある「めぐみ食堂」。さまざまな悩みを持つ常連客が訪れるが、この本の本当の主役は、何と言っても女将の恵さんが日々丁寧に作る料理たちだ。おでんの出汁の匂いや日常的な小料理の温もりが物語の根底にあり、だからこそ客たちも本音を漏らし、心がほぐれていくのだと感じる。
とりわけ、家庭でも試せる一品料理のアイデアが抜群で、作中に出てくるレシピはすべてメモさせてもらった。
料理の描写を読んでいると文字だけでは味や見た目のイメージに限界があり、「やっぱり写真付きの料理本が見たくなるな」と思ってしまう。
主に出てくるのは食堂に通う常連さんたちのリアルな婚活事情。そこに寄り添う恵さんだが、かつて彼女の才能を見抜いた占い師の「天からのお恵み」という言葉通り、自分の力を誇ることなく人々のために使う姿がとても温かい。
それにしても、お酒もおつまみもおでんもお腹いっぱい楽しんだら、結構なお会計になりそう。気兼ねなく通って身も心も満たせるのは、自由なお金と時間を持つ独身貴族ならではの贅沢な居場所だろう。
著者の凄まじい婚活経験(お見合い43回、そして結婚せず)があるからこそ、説教くささが一切なく「まあ、美味しいものでも食べて元気出しなよ」とそっと寄り添ってくれる一冊。読み終わったあとは、自分の心も「めぐみ食堂」の料理で温かく整えられたような気持ちになる。(ちなみに、今夜はおでんでした) -
Posted by ブクログ
☆3.5くらい!
ミステリーの短編集で、一話一話がコンパクトだからとても読みやすかった。
読み始めは「このまま同じようなテイストの話が続くのかな?」と思っていたけれど、家族、恋人、会社の同僚など、それぞれ異なる人間関係を描いたミステリーになっていて飽きずに楽しめた。
どの作品も「人って外から見える姿だけじゃ分からない」と思わされるような話ばかりで、短編ながら読み応えがあった。特に最後の一編が印象的。殺人の話ではあるのだけど、不思議と悲しいだけでは終わらず、ラストでは思わず涙が出てしまった。短編集の締めくくりとして、とても心に残る一冊だった。