山口恵以子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
東京都中央区佃。江戸時代から庶民の町として栄え、現代でも旧佃島地域は昔ながらの人情と風情のある古い街並みで知られている。
そんな佃で2人のおばちゃんが営む食堂兼居酒屋を舞台にしたグルメ&ヒューマンドラマ。『食堂のおばちゃん』シリーズ 10 作目。
全5話で表題作は4話目に配されている。
* * * * *
本巻のポイントになる話は、1話目と5話目でしょう。
1話目は「発達障害」にスポットを当てた作品です。
こだわりや思い込みが強い傾向にあるのが発達障害を持つ人たち。それは食べ物の好き嫌いにも顕著に現れます。
それでも味覚の嗜好が狭いだけで、かつて口にできなかった食べ物でも将来的に好きになる可能性はある。その可能性の芽を摘んではいけない。
そんなメッセージ、しっかり伝わってきました。
相変わらず温かく優しい目線が感じられて心地よい。これまで LGBT やハラールを取り上げた時と同様、シリーズならではのスタンスです。
5話目は、瑠美の学生時代の彼氏が登場する話です。
はじめ食堂を取材する雑誌社のスタッフとして訪れた元カレと再会した瑠美。2人の間に漂う空気に (たぶん) 気づいていながら問題にせず受け流す康平。
そして、瑠美が康平や二三たちに思いを打ち明けるラストシーン。温かく受け止める康平が印象的でした。康平と瑠美の仲がさらに深まった感のある最終話。グッときました。
それにしても康平をスコッチエッグに例えたのは秀逸だと思いました。
ところで、はながストーカー被害に遭う表題作。万里の大活躍もないし犯人は小物感満載だし、尻切れトンボのようなラストだし。
本巻の中心に据えるには軽すぎる気がしました。表題作には5話のほうが……。 -
Posted by ブクログ
東京都中央区佃。江戸時代から庶民の町として栄え、現代でも旧佃島地域は昔ながらの人情と風情のある古い街並みで知られている。
そんな佃で2人のおばちゃんが営む食堂兼居酒屋を舞台にしたグルメ&ヒューマンドラマ。『食堂のおばちゃん』シリーズ9作目。
全5話で表題作は5話目に配されている。
* * * * *
またまた新準レギュラー登場。江戸川で青果店を営む松原団という好青年。今後の活躍が楽しみな存在です。
さて今回は2つの騒動が起こります。
2話目の瑠美に対する誹謗中傷記事事件と、3~4話目のお騒がせ女・永野つばさの「寿退社」事件です。
2つ目の厄介事を持ち込んだつかさは、もうこの辺で退場させてくれないでしょうか。身勝手だし軽率でもあり、もともと好きなキャラではありません。つかさに同情して協力した大河の株まで下がってしまうのは残念に思います。
さて、心温まる最終話。「思い出」が料理にとっての重要なソースであることが描かれていました。まったくそのとおりだと思います。
それにしても、「思い出の味」の隠れた筆頭がナポリタンであることには意外でしたが、なるほどとも思いました。
素朴な料理ほど懐かしさが増すものだということは、実感として頷けるからです。
そして、いま最大の楽しみである康平と瑠美の恋模様について。
いつの間にか互いに名前で呼び合うようになり、文中でもさり気なく「カップル」と書かれている最終話。なんと微笑ましくてよかった! 次巻への期待がいやがうえにも高まりました。 -
Posted by ブクログ
東京都中央区佃。
江戸時代から庶民の町として栄え、現代でも旧佃島地域は昔ながらの人情と風情のある古い街並みで知られている。
そんな佃で2人のおばちゃんが営む食堂兼居酒屋を舞台にしたグルメ&ヒューマンドラマ。シリーズ7作目も5話からなる。
* * * * *
表題作は第1話で、次々と斬新なメニューを考案してきた万里たちが、昔ながらの素朴な料理の大切さに気づいていく本巻のプロローグになっていました。
本作の肝となる物語は2つありました。
万里の調理師試験合格にまつわる話がひとつ目。そして、メイ(青木) と祖父(中条) との和解に至る話が2つ目。
だから、そのどちらも盛り込んだ第4話が本作のクライマックスでした。実に微笑ましい展開で、ホロリとさせられました。
ただ最終話の棒術使いの老女の登場はあまりに唐突すぎてシリーズにそぐわない気がしました。 ( 今後、重要な役どころでストーリーに関わってくるのなら、納得はできるのですが。)
まあ何にせよ、今回も安心して楽しめました。 -
Posted by ブクログ
東京都中央区佃。
江戸時代から庶民の町として栄え、現代でも旧佃島地域は昔ながらの人情と風情のある古い街並みで知られている。
そんな佃で2人のおばちゃんが営む食堂兼居酒屋を舞台にしたグルメ&ヒューマンドラマ。シリーズ8作目。全5話。
* * * * *
新陳代謝が始まった。そう思いました。今回は重大な展開が2件もあったのです。
1つは、いきなり親主導で始まった、酒屋の若旦那・康平の婚活と、自分の康平に対する気持ち ( 作者は前々からほのめかしていましたね ) に気づいた、料理研究家・瑠美の屈託。
これは予定調和路線なので温かく見守るだけですが、一子と二三が縁結びに乗り出したことで、何となく『婚活食堂』っぽくなってきた気がします。まあ吉事なのでよし!
2つ目が、レギュラーの1人、後藤の死でした。
オムライスに絡むイベント2つ ( 亡妻との初デートの想い出と、親友の山手との「別れの杯」っぽいオムライスのシェア ) が続いた時点でイヤな予感はあったのですが、やはり少なからずショックを受けました。友に先立たれてしまった山手がガックリいかないかも心配です。
また、後藤の死が、山手や三原、はては一子にも起こり得ることだと読者に印象付けた出来事でもありました。
シリーズが続けば彼らも死に近づく。作品にリアリティを与えたインパクトは大きいと思います。
余談ながら、はじめ食堂の夜の常連たちにはいつも感心します。
日曜以外ほぼ毎日来店し、オススメメニュー数品を食べ3合相当を呑む。しかも日本酒は入手困難な銘酒揃い。勘定は5千円は下らないでしょう。健康面とともに家計面も心配してしまいます。
康平と瑠美の恋の行方も気になりますが、レギュラー陣が健全な生活を送れるかどうかも気がかりです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ大学教授の播戸は婚活で辛い経験をした為、それがトラウマとなり婚活に大して消極的だった。そんな播戸の背中をそっと押してくれたのは「めぐみ食堂」の女将の恵で…
婚活パーティーだと、容姿や財力のある人ばかりが目立つのも納得でした。でも、リモートお見合いでリラックスした状態で婚活と言うのはとてもありがたい感じがしました。
めぐみ食堂で出会ったクールビューティーの秀より、一緒に居て穏やかになれる由子と婚約にまで漕ぎ着けたのは納得でした。
婚活の心構えがハッキリしないとまとまる物も纏まらないのでしょうね。
今回も色々な人の縁を見る事が出来てヒヤッとする物もありましたが、概ねホッとしました。 -
Posted by ブクログ
東京都中央区佃。
江戸時代から庶民の町として栄え、現代でも旧佃島地域は昔ながらの人情と風情のある古い街並みで知られている。
そんな佃で2人のおばちゃんが営む食堂兼居酒屋を舞台にしたグルメ&ヒューマンドラマ。シリーズ6作目も5話からなる。表題作は最終話。
* * * * *
新レギュラーになりそうな3人が登場する第5話が表題作ですが、本巻の中心は第2話および第3話だと思います。
はじめ食堂にタウン誌の取材が入ることで亮介と亘がひさびさに登場し、万里に仕掛けられた引き抜きの罠の解決へと繋がっていくという、シリーズとしては少し大掛かりな展開。
2作目に孝蔵と一子の若かりし頃を持ってきたのはこのためだったことがわかります。孝蔵の弟子だった亮介と亘が立派になっていて、嬉しくなりました。
また、バー月虹がいい雰囲気で、ワケありのマスターも素敵です。ぜひバーともども、毎回登場させて欲しいと思いました。
それにしても、山口さんはカクテルにも詳しいのですね。もう尊敬に価します。 -
Posted by ブクログ
東京都中央区佃。江戸時代から庶民の町として栄え、現代でも旧佃島地域は昔ながらの人情と風情のある古い街並みで知られている。
そんな佃で2人のおばちゃんが営む食堂兼居酒屋を舞台にしたグルメ&ヒューマンドラマ。シリーズ3作目も5話からなり、第3話が表題作。万里が働き始めて2年目のはじめ食堂を描く。
* * * * *
本巻もこれまで同様に、料理や酒の旨そうな描写に加え、各話ともきちんとテーマ設定されていて収まりがよかったと思います。
当初は目的達成のための手段であったはずですが、知らぬ間に手段自体が目的になってしまっているという、我々が犯しがちな間違いが描かれていた第1話。
親や祖父母から受け継ぐもののうち、本当に大切なものは何かを教えてくれる第3話。
そして全話に共通するのは、チャチな見栄やプライドにとらわれて本質を見誤ってはいけないというメッセージ。そのスタンスを忘れない一子の姿に、しみじみ感動してしまいます。
今回も教えられました。いい作品だと思います。 -
Posted by ブクログ
佃東京都中央区佃。江戸時代から庶民の町として栄え、現代でも旧佃島地域は昔ながらの人情と風情のある古い街並みで知られている。
そんな佃で2人のおばちゃんが営む食堂兼居酒屋を舞台にしたグルメ&ヒューマンドラマ。シリーズ5作目。5話からなる。
表題作は第1話に配され、万里がはじめ食堂に新風を吹き込んでいく展開になる本巻のプロローグになっている。
* * * * *
さあ、万里はどうするのだろう。読み終えて最初にそう思いました。
次々と新メニューを考案して、一子や二三に「若頭」と呼ばれ頼りにされるようになった万里。
もはやはじめ食堂にはなくてはならない人材なのですが、実はまだ万里の腰は定まってはいませんでした。
料理人の道に進む決心はついていない。小説家への未練は断ち切れていない。そして食堂の1人娘・要への想いには万里自身も気づいていない。
ないない尽くしの万里ですが、最終話でその万里の前に何やらいい感じの女性が現れます。
桃田はな。
気が強く行動力もある男勝りな女性なのですが、はにかみつつ手作りのパウンドケーキを万里に手渡しにくるような可愛らしさも持っています。
そのはなと進路について話し合い、取りあえずの目標として調理師の資格をとることにした万里ではありますが……。
料理以外では優柔不断な万里のこと。今後の展開が気になるところです。