文倉十のレビュー一覧
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あの世界が返ってきたよ!
うん、面白かったあ。
本作は『狼と香辛料』のいわば正当な続編。
青年になったコルと、ホロとロレンスの娘ミューリの物語。
なんていうか、こういうの好きなんだよね。
一度終わった物語の、その後。
物語は終わっても、彼らはその後も生きているわけで。
もちろん物語によっては蛇足になってしまうこともあるのだけど、この物語は全然そうじゃない。
それは主人公が次の世代であることもあるのだろう。
(いやまあホロとロレンスの物語でも全然いいのだけど。)
こんなその後の物語が読めるなんて、とても幸せ。
実に嬉しい。
物語的には、イギリス国教会やプロテスタントの事績をモデルに宗教と国 -
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実に5年ぶりのホロとロレンスとの再会。
いやあ、愉しいわあ。
雑誌掲載の短編3つと書き下ろしの中編ひとつという構成の短編集。
時間軸的にはシリーズ最終巻から十数年後のお話。
同時刊行で、ホロの娘と青年になったコルを主人公にした一冊が出てるので、それに合わせて文庫未掲載のお話を載せたのだろうと推測。
後書きを読むと事情は少し違ったみたいだけど、まあ、似たようなもんだし、そんなことはどうでもいい(笑)
とにかくまた彼らのお話が読めるだけで幸せ。
最初の短編の冒頭、ホロの葬送の場面にドキッとしたけど、作者のことだからまあ大丈夫だろうとは思っていた。
それにしてもそのイベントは信心深い村人にはちょ -
Posted by ブクログ
ラノベを買うのは5年ぶり。つまり狼と香辛料の17巻が出て以来。まさか、またこの甘ったるい世界に浸れる日が来るなんて…願ってはいたけど、思ってもみなかった。
一旦閉じた物語を再開すると、付いて回るのが『蛇足』の声。けれど、この本に限ってはそんな声は生まれないんじゃないかな…
まるで桃の蜂蜜漬けのような甘ったるい夫婦生活を覗けただけで、胸が一杯になって、5年前ホロが愛おしくて仕方がなかったあの頃へ、時間が巻き戻ったようだった。ああ、やっぱり僕はホロが好きなんだな。そして、やっぱり僕は気持ち悪いオタクなんだな。そんな再確認をさせてくれた。
なにやら、あと1冊短編集が出るようなので気長に待とうと思う。 -
Posted by ブクログ
原作14巻のエピソード。
原作は最後の山場に向けて小休止みたいな巻なので、原作1冊にコミックス1冊しか使っていない構成ですがあまり不満はありません。ただし、原作ラスト近くに結構重要なシーンがあるのですが、ここは婉曲にではなく、きちんとビジュアルをつけてもらいたかったです。コミックならではの見せ場になったんじゃないかと思うんですけれど。
あ、コミックならではと言えば、湯浴みシーンは充実してサービス満点。さらに、掲載誌の関係からか、パワーダウンしていたホロのディテールについても、久しぶりに「あとがき」でしっかりフォローされていますよ。
さて、コル坊ともお別れをして、原作はラスト2冊+エピロー -
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Posted by ブクログ
この本を読んだ後の第一声は「どうして出版当時に読まなかったんだよ私のバカ―!」でした。
分かりやすく整合性のとれた高い文章力、勉強に裏打ちされた中世ヨーロッパの歴史・経済・文化・情景の正確かつ深い描写、そして「ラノベ」で「中世ヨーロッパ的世界」が舞台でありながら「経済」に着目するその面白さ…。まさしく良書と言っていいでしょう。
経済がテーマですから、為替や貨幣経済などなどライトノベルを読むような層の読者には難しい話も出てきますが、正直教科書や池上彰よりもするんと理解できるので読みながら賢くなれます。
また、情景をそのまま文章に落とし込んだような正確な情景描写によってその世界に入り込み没頭 -
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Posted by ブクログ
この作品の素晴らしい点は色々あるんだけど、個人的に評価しているのが非日常パートの緊張感。
前巻もそうだったように、大事な人があっさりと死ぬんですよね。
今回もそれは続いており、まさかのあの人がお亡くなりになるとは…。
確かに死亡フラグは立っていたけど、しっかり回収されてしまった。いやはや。
ダイアナのケーキの話など日常パートが非常にほのぼのとしているだけに、シリアスな場面が余計にグッときます。
そしてラストの、悲しいすれ違い。
来るんじゃないかとは思っていたけど、もう、うわーって感じ。
もはやハッピーエンドはあり得ないけど、どのようなまとめ方をするんだろうか。。。