文倉十のレビュー一覧
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・狼と湯煙の向こう
ロレンスとホロが娘たちの様子を見に旅に出ることになり、宿を任されることになったセリムは責任感に押し潰されそうで毎日憂鬱だった。ロレンスは村の人から硫黄を大量に預かり、ホロは昔の仲間の情報を集め、どうも長旅っぽいのも気が重い原因だった。しかし、それらの理由がお互いのためを思ってのことであり帰る場所はここであることを知り、気が楽になる。
・狼と秋色の笑顔
川沿いの関所から船ではなく陸の道を行き、道に迷って森の中へ。意図をつけた蜂を見つけ上等な蜂蜜がとれそうな蜂の巣を見つける。徐々に旅のころの勘を取り戻していくロレンス。
・狼と森の色
途中の旅籠で紙とインクを補充しようと立ち寄る -
Posted by ブクログ
いやあ楽しいなあ。
なんという幸せ、なんという喜び。
全編に幸せが満ちていて最高に楽しい。
ホロとロレンスが再び旅に出かける短編集。
湯屋の話も良かったけど、今巻を読むとやっぱり狼と香辛料には旅の話が一番だなと思う。
そしてすでに幸せを掴んだ二人のその後の話は、まさしく笑いと幸せが溢れる湯屋のような、そんな物語。
旅の途中のちょっとした困難も、さらなる幸せへのアクセントなのだ。
ずっと彼らの旅路を見続けてきた者として、この幸せがとても嬉しい。
特に、第一話の互いを想い遣って旅を続ける理由をお互いに用意する姿には、なんだか幸せで泣きそうになった。
そして第四話でホロの姿を絵画に残す機会を得た -
購入済み
タイトルで損しているかも
ヒモ生活という看板に偽りありで、蓋を開けてみると王侯貴族の心理的駆け引きが繰り広げられているストーリー。
主人公はヒモ生活どころか、徐々に王族としての意識が高まり、嫁とのパワーバランスを考慮した言動を心がけるようになる。
まだまだ序盤なので、これからどう話が進んでいくのか楽しみ。 -
Posted by ブクログ
原作ラノベの1巻刊行から12年、コミカライズ自体の1巻刊行から10年かけての大団円。
この巻の読みどころは、得がたく失うことができないもの…伴侶を得たロレンスが、野心や理想や冒険に背を向け、手にしたものを守ろうとする葛藤と、ロレンスを失いたくないホロの、彼を危険から遠ざけようとしつつ結局は厄介ごとに首を突っ込みたがる彼を応援してしまう葛藤―安定した職について家庭を守って欲しいのにリスクを取って起業しようとする夫と、最終的にそれを応援してしまう妻、というなんだかよくありそうな構図です。
象徴的にその構図が描かれるのはホロの演説シーン。わざわざ厄介ごとに首を突っ込んだロレンスの背中を苦笑いして -
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Posted by ブクログ
なんだと!?
ホロとロレンスがまた旅にでるだと!
と最終話で歓喜してしまった。
とは言え、本編はニョッヒラの温泉町でのロレンスとホロの平穏であいかわらず仲睦まじい穏やかな日々の物語。
もうね、なんというか二人の姿が愛おしくて仕方ない。
不安がるホロはロレンス同様抱きしめたくなるし、上機嫌に酔っ払ったホロには苦笑するしかない(笑)
それに行商時代のようなロレンスのちょっとした機転も観ることが出来たし、いやあ、安定の面白さだね。
で、このままこんな日常話がこれからも続くのだろうなあと思っていたら、そう来たか。
これはまた二人の冒険が観られるのかな。
懐かしい顔にも会えるかもしれない。
うん、と -
購入済み
いいですね!この本に出逢って続巻が出るのがまちどうしくなったことを思い出しました。
まだ続くのですね。
ホロが何度読んでも色あせない物語、異なる動物の出会い、皆、必至に生きていく様、今後も期待します。 -
Posted by ブクログ
『狼と香辛料』という壮大な絵巻を描き切ったからこそ、この『羊皮紙』でホロとロレンスが歩いてきた軌跡をなぞるようなこの物語は胸にくるものがある。さらにこの3巻では『香辛料』では描かれなかったもう1つの世界が存在することが明かされる。辛い世界からは目を逸らす老獪さを持っているホロとは違い、ミューリはどんな世界だってこの目に納めてやろうというお転婆ぶり。僕はこの物語を、中世ヨーロッパの動向をなぞりつつ宗教改革の中でコル坊とミューリの奮闘を描いていくものだとばかり思っていたため、今回描かれた新たな可能性にはワクワクしないわけない。でもね、もし新大陸編を書くならこの物語が完全にファンタジーになってしまい
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Posted by ブクログ
ギターを抱えた少女の表紙とスタイリッシュなタイトルに惹かれて購入したんですが、面白かったです。
基本女子高生の一人称で話が進むんですが、これが凄くリアル。
外面はいいけどその実世間を斜に見る冷めた女の子の心情が「あるある!」「いるいる!」「むしろこれ私!」という絶妙な比喩で表現され小気味よい。
男子をじゃがいもにたとえ「せいぜい男爵芋とメークインの違いしかない」と辛辣に批評したかと思えば、ぜんぜんタイプの違う男子三人が親友である現実に「それだけの違いを許せるすきまがどこにあるのだろうか」と思索を巡らしたり……とにかく心情描写がリアルですいすい読ませる。
タマシイビトに食われるためだけに生かさ -
Posted by ブクログ
SpringLogという物語に波乱なんていらない。事件なんて起こらなくていい。ただただ、2人の幸せであり続ける物語を見せてくれたらそれでいい。
書き下ろし中編『狼と香辛料の記憶』のラストには震えた。ホロの視点から見る、幸せであり続ける物語からは悲哀がひしひしと伝わって来て僕の胸も苦しい。起伏なく続く日常に恐れを感じるというホロの焦燥が痛いくらいに伝わって来て。それならばと旦那が示した策は、読者にとっても余りに魅力的。
必ずや、1巻から読み返したくなる。ファンにとっては堪らなくそそる好編だった。
ってかさ、わっち可愛すぎんだろわっち。こんな真面目くさった気障な文章書いてる間も顔が緩んで緩んで仕方 -
Posted by ブクログ
「主人公とヒロインが結ばれてめでたしめでたし。二人は末永く幸せに暮らしましたとさ。とっぴんぱらりのぷう。」から始まる物語。
主人公とヒロインが結ばれるところまではっきり書き切れない作品がよく見られる中、主人公とヒロインの娘が新ヒロインになる新シリーズが始まるというのはなかなか壮大です。ドラゴンクエストVみたい。
主人公役にはコル坊が抜擢されました。前シリーズは商人ロレンスとの行商の旅という大枠があり、助けた恩、孤独の支えなんて縛りもあった上での結びつきだったので、ホロとロレンスのお互いに対する思いのバランスが取れていたのだと思います。それが、コル坊主人公では互いの思いのバランスが取れない、ま -
Posted by ブクログ
ホロとロレンスはお互いの気持ちを察しつつも、ある種のタブーとして本音を交わし合うことを避けてきたのよね。そこに生まれるホロのいじらしさだったり、虚勢張っちゃう姿がべらぼうに可愛くてもう虜だったんだけど。新シリーズ「羊皮紙」のミューリは見てくれ通りの年齢で、酸いも甘いも経験したホロとは違って、いい意味で真っ直ぐな女の子。お利口さんだから、人ならざる者である自分の立場を理解はしている。だからこそ“今が大事”だと言ってコル坊への気持ちを公言することを憚らない。これが「香辛料」とは違う部分で、伝えないことが歪みを生むのではなく、伝えることがいつかきっと哀しみを連れくる。その哀しみの中で“今”の幸せを必
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