乾石智子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
たぶん、ネットで見かけて。
酔った。酔わされた。
昔から車酔いにも酒酔いにも弱かったが、
この本の陶酔感と浮遊感はなんだろうか。
踏みしめている大地が、いや世界が揺り動かされたからなのか、
飛び散る血しぶきの匂いにむせたからのか、
入れ子になっている生と死を、駆け抜ける速さに振り回されたからなのか。
「魔法」やファンタジーに対する考え方だけでなく、
人生観といっても大げさではない観念を大きく揺さぶられたから、
ということなのかもしれない。
いや、もっと感情的な、驚嘆と畏怖の混じり合った何か。
あまりの衝撃に言葉にならない。
かつて子供の頃、「指輪物語」をはじめて読んだ時は、
その世界観に圧倒されながらも、それは受け入れるものだった。
時を経て、幾多の物語を読みながらも、
これほどに酔うことができて、しびれるほど幸せだ。 -
購入済み
深い内容。
内容が深い。昨今のファンタジーのヒーローとは違い、泥塗れで闇に翻弄され苦しみながらも、そこから抜け出していく。だからといって、最後に真っ白なハッピーエンドが来ることなく、呪いを抱えたまま前に進んでいく魂を獲得する。これこそ人生。感動しました。
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Posted by ブクログ
ネタバレ本棚を整理した際、未読本として出てきました。
タイトルと表紙に惹かれて(本との出会いは一期一会だったりしますので)購入したものでした。それからおよそ7年を経てようやく頁をひらくこととなりました。
まず、とても読みやすいことがあげられます。翻訳ものにありがちなどことなく存在する違和感がない。最初から日本語で書かれたからであろう、異国の名称もぎこちなさを感じない。しかし日本で書かれた洋風ファンタジーのような「なんちゃって」な空気もない。遠い国で編まれた物語が長い旅路を経て届けられた重厚感がそこにある。それは筆者の圧倒的な「魔力」というなの言語力に基づくものでしょう。
本編でわたしたちは幾人もの人生をなぞる。
「暗樹」との戦いの軌跡を、痛みを、苦しみを経験する。太古の昔から繰り返される「闇」の眠りと台頭に巻き込まれる。
人間に与えられた永遠の命題は、一筋の光とともに物語の環を閉じる。それはつかの間のことなのか、永久のものなのか、誰にもわかりはしない。
前作も続編もぜひ読んでみたくなる、大きな大きな物語でした。 -
Posted by ブクログ
文庫刊行当初より、このやや妖しげで蠱惑的なタイトルに惹かれ、ずっと読みたいと思いつつ数年、やっと読むことができました。
エズキウムの地で、右手に月石、左手に黒曜石、口の中に真珠と三つの品をもって生まれてきたカリュドウは、産婆をつとめた女魔道師エイリャに引き取られ、育てられました。
十二歳のある日、カリュドウの目の前でエズキウムの支配者にして魔道師長アンジストにエイリャが惨殺されます。
カリュドウは隣国パドゥキアに逃れ、復讐の決意を胸に魔導師の修行に励みますが、取り返しのつかない失敗を経た後に、「夜の写本師」を志すこととなります。
育ての親の復讐譚かと思えた物語は、一千年にも及ぶ、そして三つの石にまつわる3人の女魔道師が関連する、壮大な魔法と復讐の物語へと展開していきます。
魔道師同士の戦いの描写は残酷で血腥く、目を背けたくなる描写も多々あり、全編を通して流れるダークな雰囲気にも慄かされます。
ただ、それにも増して、カリュドウ自身とその復讐の行く先が気になって、夢中になって読ませられてしまいました。
ラストに出てきた少女は、そんな物語の中での、期待と希望の象徴ということになるのかなぁ?
素直に続いていく話とは思えないけど、「オーリエラントの魔道師」シリーズ、続けて読んでみたいと思わされました。 -
Posted by ブクログ
前回の夜の写本師から連続で読みました。
全体の構成として、主人公の人生と、主人公にまつわる人物の人生が交互に入れ替わることで中だるみなども一切なく読み切ることが出来ました。
過去と現在が行き来することで短編集を読んでいるかのような軽さと、濃厚なストーリー展開と伏線が読み終わってもしっかりと心に残り、まるでそこにいたかのような鮮明なイメージが今でも思い出されます。
景色の描写や登場人物の心情が密に表現されているのにも関わらず、ごちゃごちゃせず透き通った文章に収められ気持ちよく読めました。
作中のあるキャラクターが別の作品で主人公になりそうだなと思う場面があり、個人的に気に入っているキャラクターだったため嬉しかったのを覚えています。(調べたら出てました。)
人の心の中には闇があること、闇は光と表裏一体であり表の表は裏であるように、裏もまた返せば表になる。悪いこともその部分だけ見れば悪いが別の方面から見たら理由があることなのかもしれない。そんなことを考えさせられる作品でした。 -
ネタバレ 購入済み
『オーリエラントの魔道師たち』を読んでて、イスルイールってどんな人だっけと思い、再読。
テイクオク、プアダンの呪法、それに指なしカッシまで出てきて、思わず声を上げそうになる。最初に読んだときには気にも止めてなかったことが、ちゃんと別の物語の中でも活きてて、それを踏まえて読むのも面白い。 -
Posted by ブクログ
乾石智子氏のファンタジーはすべて読んだ。
読み始めるととまらない…まるで作品そのものに
魔法が封じ込められているかのように。
正直、心がずたずたにされそうな悲しい話も
たくさんあった。
でもこれだけは言いたい。
この作品は彼女の最高傑作だと私は思う。
これまでの彼女のファンタジー作品の数々には
どこか矛盾や受け容れ難い設定や
直視できない残酷さにまみれて
どうしても好きになれないものが含まれていたが
この作品を読み終えて このような素晴らしい世界観に
包まれたエンディングなどに出会えたことの幸せが
胸の中に溢れるのをどうにもとめられず
読み終えてすぐにレビューを書いている。
繰り返す。これは乾石智子氏の最高傑作だ。