乾石智子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
前巻の記憶が色濃く残っているうちに読みました。
舞台は、前巻から約840年後の世界です。
イザーカト兄弟の物語が主軸にあるのですが、今作でも遥か昔の回想シーンがあったり、他国の人が登場したり、本当にどこまでも世界が膨らみます。
魔道師といっても、時代によっても国によってもまるで違います。切り取られた箇所によってこうも違った姿を見せるのかと、まるで私たちの世界の歴史を眺めるかのような面白さです。
今回は、死を司る闇と生を司る大地(緑)とのコントラストが印象的でした。魔道師はどうしたって闇と切り離せない。そして、闇は世界から消し去ることはできない。
闇を内に抱える以上、冷酷な部分も見え隠れしま -
Posted by ブクログ
「静かにうちよせる波、ときおり響く海鳥の声、半日航路の対岸には帝国本土の連絡港ヂャイの町が白くへばりつき、空も海もイルモネス女神の美の錫杖にかきまわされて、冬でも菫青石(アイオライト)の底なしの青さだ。」
ページを開くとすぐに、こんな文章で書かれた美しい描写。
前作「夜の写本師」と同じ世界でありながら、時間軸が違い、これはその頃から1000年もの昔の話。さらに作中ではそこから400年もの昔にも旅立ちます。
ギデスディン魔法の創始者キアルスなどが登場し、その魔法の成り立ちもおもしろいし、若かりし頃の彼の未熟さもまた読み手にはたまらない。
あとがきにも「本書は前作に先立つ物語であると同時に後日 -
Posted by ブクログ
実の母への憎しみと、罪悪感に葛藤するシエラが、異世界ヴェレスを救う「石の司」として迎えられ、試練を経て成長していく。
ストーリーの初めに、孤独だったシエラを支えていた親友アナベルが、事故死した後もずっと、シエラの心に活きいきと語りかけ、励まし続けるのが印象的。
乾石さんの作品としては初めて、現代世界と異世界を往還するストーリー。
いつもながら、色彩感覚の鮮やかな描写が美しい。
パワーストーンの力を武器にするのは当たり前だけど、宝石職人達の祈りで、力ある石に、さらに強力な力が宿るというのが面白いと思った。
雑誌に掲載されたものをそのまま並べたせいか、一冊のストーリーとしてのまとまりはもう -
Posted by ブクログ
太古からそこにある闇
暗樹
それは純粋な悪で、闇で
不幸と絶望と破滅を願うもの
世界にあまねく根を張るこの永久の闇と対峙する
星と大地の魔法の物語
******
ほんの数頁
ほんの数頁のプロローグを読んだだけでもう、
これは絶対に面白い以外の選択肢がない話だと直感するほど
引き込まれる出だしだった
前作、『夜の写本師』と舞台を同じくした世界での
魔法の物語
ファンタジーとはかくあるべき…!と震えるほど
好みな話を書く方なので、期待十分に読み進めたけど
思いを裏切らず大変充実した読後感だった
深く丁寧でありながらどこかサバサバした姿勢が
読んでいて疲れなくて良い
内容についてはもう -
Posted by ブクログ
この方も良いファンタジーを描くなあ。
最近、萩原規子さんや上橋菜穂子さんといった、素晴らしいファンタジー作品を多く読ませてもらえて嬉しい限りである。
『夜の写本師』を読んで、その時はちょっと硬質な味気なさを感じたのだけど、今作は良い具合に世界とキャラクターがマッチしている。(上橋菜穂子『鹿の王』を先に読んだからか、重なる所もあるけれど)
あらゆるものの「欲望」が表れ、罪を起こしてゆくのだが、そうした罪が簡単に帳消しされるという結末はなくて、安易なエンディングは迎えない。
けれど、国という社会基盤が続いていく中で、それを負うて人が生きていくことで、見えない結末の先に道があるのだと感じた。
そ -
-
Posted by ブクログ
ネタバレなんとなく評価が難しい作品。
特に序盤の部分で読み進めるのがいやな感じがしたのだが、後書きの部分を読んでそう感じた理由が分かった。
著者の代表作であるらしい『オーリエラントの魔導師シリーズ』を避けて、お試し目的で単一の作品である本作を選んだのだが、どうやら(他の単発の作品も含めて)全て同じ世界観の中で描かれているようなのだ。
なので、特に導入部分で、物語は面白い感じがするんだけど、身の回りの異世界的なモノ達が何の説明もなく当たり前のように出続けてくることに小さな違和感が積み重なっていった(→ やがて不信感に)というのがなかなか読み進められなかった理由だろう。
「自分だけが異世界に転移して、他