乾石智子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ母にいらない子など言われ続けて育ってきたシエラが自分の境遇や憎しみなどと立ち向かい成長していく話。
楽な方向にいきたくなるのはすごくよくわかるし、わざわざ苦しい方向に進む勇気はわたしにはないなと思うので、シエラが羨ましいです。
何度も何度も誘惑されながらもいろんなひとに支えられて最後は見事に閉じることができ、イオーロともときどき会えてハッピーエンドでよかった。いずれは母と対峙するときがくるけどここまで戦ってきたシエラなら乗り越えられますね。
欲をいえば、イオーロとの関係を後日談でもう少し読みたかったような。文庫になるときは付けてくれたらうれしいです。 -
購入済み
この作家さんのお話はいつも、言葉の奔流というか鉄砲水というか、とにかく巻き込まれて流されるのが快感になります。いつのまにかナイトゥルと一緒に悟りをひらいてしまった気分です。
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Posted by ブクログ
「夜の写本師」に続く2作目。
同じシリーズで登場人物もダブりますが、続きというのとはちょっと違います。
若い魔道師二人の運命が帝国の危機に交錯し、さらに数百年前にまでさかのぼり絡み合う人々の物語。
コンスル帝国が繁栄を謳歌していた時代。
大地の魔道師のレイサンダーは、心のうちに闇を持たない半人前。
幸運の守りとして献上された<暗樹>が帝国を蝕んでいくとき、恐ろしいものだとはわかっても何をするすべもなく、城から逃げ出してしまう。
レイサンダーは追われる身に。
黒髪に緑の目で長身、という特徴がレイサンダーと似ていたキアルスは書物の魔道師。
心に深い傷を負い、衝動的に貴重な書物「タージの歌謡集」 -
Posted by ブクログ
ネタバレ好きだなあ。おそらくシリーズ中で一番好き。
何百年も生き続けなくてはならない魔道師たちの
苦悩と悲哀を感じて切なくもあるけれど
エンスの生き方のひょうひょうとしたところが
心地いい。
帝国の権力者や私利私欲に目のくらんだ魔道師たちと
魔法を正しく行おうとする魔道師たちの凄惨な戦いも
いわゆる王道ファンタジーとして心躍ったが
この物語の時代には帝国の力は衰え なんとなく
人々がつましくも平和に暮らしている ゆるゆるした
空気感があって それに包まれる感覚が好き。
何よりもほとんど血は流れず 人が死なないのがいい。
一方で
普通の人間たちの短くも穏やかな一生を
エンスはどこかで渇望して -
Posted by ブクログ
ずっと紛失していたオーリエラント魔導師シリーズ1巻目の「夜の写本師」を発掘し再読したので、前から買って読んでいなかった2巻目の「魔導師の月」をようやく読破。
思えば「日本のファンタジー」を毛嫌いしていた僕がファンタジーを読み漁るようになったのは「夜の写本師」がきっかけだった。なので続編はとても楽しみにしていた。
そして、期待は裏切られた。
まず、この本は「夜の写本師」の続編ではなく、あくまで同シリーズの作品ということ。裏表紙を読めば分かるものの、何も読まずに本屋で即購入したのが勘違いの原因だった。
だが続編ではなくとも世界観は同じであり、共通するキャラクターも登場する。
今回の主人 -