乾石智子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレとても好きな世界観。
呪術や写本の道具も魅力的。
カリュドウが、最初から闇に染まっている、という設定もいい。
残念なのは、カリュドウの人となりがいまいち掴めなかったこと…フィンとの思い出がひとつくらい出てきてもいいのでは?とか、仲間が最後に、お前ひとりで背負うな!って協力するんだけど、いつのまにそんな関係築けてたの?とか。
終わり方はとてもよかった。
地の文がちょっと読みづらいと思ったけど、それについては解説で井辻さんが書いていた。
「ファンタジーにおいて、語り手が魔法のない世界に身を置いて語るのはNGである。語られている世界とひとつでなければならない。このテクスト自体が閉じた魔法書である。 -
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Posted by ブクログ
オーリエラントの原初の物語。
コンスル帝国建国の兆しも垣間見える。
とても心地よく、得心のいく結末だった。
はるか太古の物語としてとらえれば、
この物語の何千年も何万年も未来に
私たちの時間が成立しているのだとも言える。
どのような苦難や裏切り、生死の危機を経ても
希望を信じることをやめないヴェリルの存在は
人間世界が続く限り、失われるものではない。
アルデイラを秩序ある国家として成立させている
ホウと言葉(コンシアル)は、後の物語に繋がる
大切なものであり、たとえ百年単位の限られた時間
であっても、人間世界に安穏と平和をもたらす鍵で
あろう。
ステファヌス、デランダール、風森村の仲間 -
Posted by ブクログ
久しぶりの乾石智子さん。
舞台が現代ニューヨークから始まったのでちょっとびっくりしたものの、とある事故が原因で実母とうまく行っていない主人公シエラ。
彼女が街中で得体のしれない影のような存在に追われた際に出会った一人の老婆の手によって別世界へ転送されるところから話は始まります。
転送されてしまえば元の世界のことは放置……という物語はよく見るけども、この作品はニューヨークと表裏一体の別世界 ── 時間的には多少歪められているかもしれないけれど老婆【門の司】の助けで行き来できる ──で起こる出来事を通じて、実母との確執に折り合いをつけて行こうとするシエラの成長物語です。
パワーストーンの煌めきや -
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Posted by ブクログ
ネタバレとてもよくできています。
いつものごとく。
四つあった月を人が引きずり降ろして、その力で凍土を人が住める街にする。
宝石で着飾った豪奢な暮らしをしたい、というのが望み。
ファンズの王サルヴィが赤と金の髪の魔法使いに警告するが、魔法使いは聞き入れずサルヴィを殺す。
サルヴィはその角をもってして災いを妨げられると忠告を残すが、その角が滅びるとかならず疫病が流行った。
その偉業をなしとげた王の息子の一人、ディアスは夢を見る。サルヴィが首を切られる夢。
彼は家臣のマイハイのもとで育てられ、権力抗争から<降りて>いる状態。
しかし陰謀に巻き込まれ、角を破壊した罪に問われ国外追放とされてしまう。