乾石智子のレビュー一覧

  • 夜の写本師

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    ネタバレ

    とても好きな世界観。
    呪術や写本の道具も魅力的。
    カリュドウが、最初から闇に染まっている、という設定もいい。
    残念なのは、カリュドウの人となりがいまいち掴めなかったこと…フィンとの思い出がひとつくらい出てきてもいいのでは?とか、仲間が最後に、お前ひとりで背負うな!って協力するんだけど、いつのまにそんな関係築けてたの?とか。
    終わり方はとてもよかった。

    地の文がちょっと読みづらいと思ったけど、それについては解説で井辻さんが書いていた。
    「ファンタジーにおいて、語り手が魔法のない世界に身を置いて語るのはNGである。語られている世界とひとつでなければならない。このテクスト自体が閉じた魔法書である。

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    2019年04月06日
  • 夜の写本師

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    復讐モノかぁ...苦手だなぁ...
    と思ったのに買ってしまった本。笑

    登場人物の思考や信念の深さがとてもリアルで、読むのが大変だと思うのに読み進めている自分がいた。
    とっても不思議な体験!
    ファンタジーが好きで小学生の頃から分厚いハードカバーの本を読み漁ってた私だけど、とても新鮮な物語だなぁと思った。

    魔法モノ王道ファンタジーに飽きてきたなぁと思う人におすすめしたい♪

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    2019年03月20日
  • 竜鏡の占人 リオランの鏡

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    坊ちゃん王子達の成長譚かと思いきや、第二王妃カトラッカと腹心エスクリダオの陰謀譚かもからの、転生しても繰り返す呪いのような業のようなもの、最後はそれぞれに成長した王子様方でした。
    それにしてもティラン女神様は恐ろしい。怒らせると怖い神様ってあんまり神っぽくないような気がする。

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    2019年03月19日
  • 竜鏡の占人 リオランの鏡

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    人には必ず闇がある。時に逃げることも大切だけど、その抱える闇を受け容れる覚悟が必要なんだなぁと思いながら読んだ。

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    2019年02月07日
  • 夜の写本師

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    ネタバレ

    魔術と魔術師と魔術書を巡るファンタジー。

    「右手に月石。
    左手に黒曜石。
    口のなかに真珠。
    カリュドウは三つの品をもって生まれてきた。」

    淡々と綴られる文体ながら、魅力的な書き出しとそれに続く緻密な物語構成が心地良い。
    ただ、登場人物の心情が変化する描写、また登場人物同士のいだき合う心情が変化する描写が、あっさりしすぎているように感じられる場面があったのは少し残念。

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    2018年12月06日
  • 紐結びの魔道師

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    短編集だが最初の一編が「オーリエラントの魔道師たち」と同じだったので、間違えたかと思ったが、次からは新しい物語でした。リクエンシスの軽やかな、けれど長い長い人生。次作にニーナは出てくるのかな。あ、ケルシュが出てきた! 巻末の年表がありがたい。

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    2018年11月29日
  • 双頭の蜥蜴

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    ネタバレ

    シエラ・リーは家庭で問題を抱えていた。彼女の母親が彼女を憎んでいるのだ。兄が浴槽でなくなったことを兄を見ていなかったシエラのせいだという。父も兄弟も母から逃げている。シエラも逃げ出したかった。そんなときネイティブアメリカンのおばあさんに出会った。彼女からトルコ石を買ったシエラは、おばあさんからあんたは「石の司」だと言われる。公園から通路に飛び出したところで自転車にぶつかった。気が付いたらそこはニューヨークじゃなかった。そこはヴェレスだった。

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    2018年10月19日
  • 魔道師の月

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    ファイルモーはアイイリオン、
    アイイリオンはファイルモーに。
    マクベス的なモチーフがベースのファンタジー。
    面白い物語でした。

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    2018年07月14日
  • 沈黙の書

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    今までのシリーズでは、一番好きかも。
    大好きな、ドラゴンが出てきたから?(笑)
    それも含め、物語性が強いからなのかも。伝説、という感じがする。

    個人的には、海賊王が好き。
    かっこよすぎる。

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    2018年03月24日
  • 沈黙の書

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    オーリエラントの原初の物語。
    コンスル帝国建国の兆しも垣間見える。

    とても心地よく、得心のいく結末だった。
    はるか太古の物語としてとらえれば、
    この物語の何千年も何万年も未来に
    私たちの時間が成立しているのだとも言える。

    どのような苦難や裏切り、生死の危機を経ても
    希望を信じることをやめないヴェリルの存在は
    人間世界が続く限り、失われるものではない。

    アルデイラを秩序ある国家として成立させている
    ホウと言葉(コンシアル)は、後の物語に繋がる
    大切なものであり、たとえ百年単位の限られた時間
    であっても、人間世界に安穏と平和をもたらす鍵で
    あろう。

    ステファヌス、デランダール、風森村の仲間

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    2017年08月13日
  • 紐結びの魔道師

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    「オーリエラントの魔道師たち」に出てきた、紐結びの魔道師リクエンシスを主人公にした短編集。今までの乾石さんの魔道師たちは心に闇を抱えていたけど、リクエンシスは陽気で明るくて闇とは無縁だった。魔道師の中でも稀有な存在、招福の魔道師。何百年も生きて、喜びを見出せなくなっていたリクエンシスが、ニーナに一緒に暮らそうと伝え、日々の中に幸福を見出していこうとするラストが良かった。

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    2017年03月18日
  • 紐結びの魔道師

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    繊細な表紙がまず好き。
    いいなぁ、こういう魔法。
    いいなぁ、この世界観。

    しかし、どんな属性でも、どんな世界でも、描かれるのはやっぱり人間で。いろんな弱さ、いろんな強さを持ったいろんな人間で。それぞれ魅力的で、読み終えるのが勿体無くて、ことさらゆっくり噛み締めるように読みました。

    至福。そして、読み終わったあとの充足感と、すぐ後に訪れる喪失感。ええ本に会うと、嬉しいねんけど、読み終わるのがツラいわ。

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    2017年02月18日
  • 紐結びの魔道師

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    紐結びの魔導師・リクエンシスの物語。

    今までの魔導師シリーズと比べて“闇”の部分が少なく、エンス、ことリクエンシスの魔導師っぽくない飄々としたキャラもあって、素直に楽しく読める短編集。
    エンスの編み出す、“紐結びの魔法”も手作り感覚で好きですね。
    そして、温かな気持ちになるラストも素敵です。

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    2017年02月18日
  • 夜の写本師

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    心の闇の部分をも請け負う魔道士たち。そうした者たちの中で繰り広げられる復讐劇。
    「月の書」「三人の魔女」
    幾千の年を超えても続く野望と呪い。

    海に飲み込まれるシーンなどは詩的な感じがした。イメージが広がる。
    激しい描写もあるにもかかわらず、それほどおどろおどろしくは感じなかった。
    陰陽の陰の方のファンタジー。

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    2017年01月08日
  • 魔道師の月

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    前作に比べ描写の違和感が減り、世界観や魔法体系も丁寧に積み上げていて物語に入り込みやすかった。なにより食べ物の描写が旨そう。映像を言葉に現すスキルが確実に上がってる。詩的になる悪い癖が終盤で出てきたのが惜しい。物語の展開は前作同様に秀逸。総評、良い。

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    2017年01月05日
  • 双頭の蜥蜴

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    久しぶりの乾石智子さん。
    舞台が現代ニューヨークから始まったのでちょっとびっくりしたものの、とある事故が原因で実母とうまく行っていない主人公シエラ。
    彼女が街中で得体のしれない影のような存在に追われた際に出会った一人の老婆の手によって別世界へ転送されるところから話は始まります。

    転送されてしまえば元の世界のことは放置……という物語はよく見るけども、この作品はニューヨークと表裏一体の別世界 ── 時間的には多少歪められているかもしれないけれど老婆【門の司】の助けで行き来できる ──で起こる出来事を通じて、実母との確執に折り合いをつけて行こうとするシエラの成長物語です。
    パワーストーンの煌めきや

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    2016年12月13日
  • オーリエラントの魔道師たち

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    短編集の1冊。
    私は「闇を抱く」がいちばん心に残る。女性たちの密かな、しかし確固とした意思のもと、魔法を使う姿勢に、佇まいを正されるように感じた。

    私も闇を抱えている。誰しも年を重ねていけば大なり小なり闇を抱えていくのだ。それを認めて、向き合うこと。それなくして深みは増さない。

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    2016年11月24日
  • 太陽の石

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    新しく読んだものが毎回一番好きだ。
    世界観は相変わらず緻密で壮大なのだけど、どんどん人間味が増してきているような気がする。
    身勝手な魔導士を人間にし、優しさと痛みを教え、その上で力を使わせるという残酷さに胸が熱くなる。
    冬の砦での生活がずっと続けられたらよかったのになぁ。
    デイサンダーが二度目の瀕死状態から目覚めて、ザナザやビュリアンの話を聞きながら、込み上げてくるものを抑え切れなくなるシーン。自然も人間も同じ。どんなに傷つけられたとしても生きようとする力を持っている。ぐっときた。

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    2016年10月31日
  • 太陽の石

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    拾われて育ったデイスが、山でひょんな事で蘇らせたリンターという魔術師に半ば強引に付いてくるように脅されて村を出て旅をすることになる話。一緒に付いてきた姉の存在で嫌な予感はしましたが、やはり予想は的中しました。過去はなかなか凄惨なものでしたが、道中はそれほど苦難もなく着々と進んでいったので、楽しく読めました。出来ればみんな生きていたらと思わざるをえませんが、負けずに強く生きていってほしいなと思います。

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    2016年10月06日
  • ディアスと月の誓約

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    ネタバレ

    とてもよくできています。
    いつものごとく。

    四つあった月を人が引きずり降ろして、その力で凍土を人が住める街にする。
    宝石で着飾った豪奢な暮らしをしたい、というのが望み。
    ファンズの王サルヴィが赤と金の髪の魔法使いに警告するが、魔法使いは聞き入れずサルヴィを殺す。
    サルヴィはその角をもってして災いを妨げられると忠告を残すが、その角が滅びるとかならず疫病が流行った。

    その偉業をなしとげた王の息子の一人、ディアスは夢を見る。サルヴィが首を切られる夢。

    彼は家臣のマイハイのもとで育てられ、権力抗争から<降りて>いる状態。
    しかし陰謀に巻き込まれ、角を破壊した罪に問われ国外追放とされてしまう。

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    2016年09月25日